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「林野火災注意報・警報」とは?|2026年1月に始まった新しい情報と、大槌町の火災原因調査報告書から考える家庭の火の扱い

カエデ・避難計画・防災情報担当
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「林野火災注意報・警報」とは?|2026年1月に始まった新しい情報と、大槌町の火災原因調査報告書から考える家庭の火の扱い

「林野火災注意報」「林野火災警報」という情報をご存じでしょうか。2026年(令和8年)1月から、全国の多くの市町村で運用が始まった新しい情報です。大雨や台風の警報と違って気象庁が出すものではなく、市町村長が出します。そして警報のほうには、屋外での火の使用を制限する効力と罰則があります。

2026年8月27日、消防庁は、同年4月22日に岩手県大槌町で発生した林野火災についての火災原因調査報告書を公表しました。この記事では、報告書に書かれている事実を確認したうえで、注意報と警報の違い、自分の市町村での確かめ方、そして庭のたき火やバーベキューといった家庭の火の扱いを、実行できる粒度まで落として整理します。林野火災が多いのは2月から5月ですが、空気が乾きはじめる秋のうちに制度を知っておくと、冬から春に慌てずに済みます。

本記事の制度の説明は、総務省消防庁「林野火災への備え」、消防庁「火災予防条例(例)の一部改正について」(令和7年8月29日通知)、消防法、政府広報オンライン、林野庁「山火事予防!!」にもとづきます。大槌町の火災に関する数値は、消防庁が令和8年8月27日に公表した火災原因調査報告書(概要および消防研究センター掲載の全文)の範囲に限っています。自治体の運用例は東京消防庁・栃木県・宇都宮市の公開ページ(いずれも2026年9月22日時点で確認)によります。条例の内容や発令基準は市町村ごとに異なるため、実際の判断はお住まいの市町村・消防本部の最新情報を優先してください。

8月27日に公表された、大槌町の火災原因調査報告書

まず、報告書に書かれている事実を、時点つきで確認します。ここに挙げる数値は、消防庁の報道発表資料(概要)と、消防研究センターのホームページに掲載された報告書全文に記載のあるものだけです。

同じ日に2か所で出火し、鎮火まで1か月以上

報告書によると、2026年4月22日、岩手県上閉伊郡大槌町の小鎚(こづち)と吉里吉里(きりきり)の2か所で林野火災が発生しました。消防が火災を覚知した時刻は、小鎚が13時53分、吉里吉里が16時22分です。出火時刻はいずれも「時分不明」とされています。

項目内容
覚知小鎚 4月22日13時53分/吉里吉里 4月22日16時22分
鎮圧5月2日13時00分
鎮火5月29日13時00分
林野被害1,708ヘクタール(小鎚473ヘクタール、吉里吉里1,235ヘクタール)
人的被害負傷者(軽傷)2人(避難所における転倒、活動中の消防団員)
住家・非住家被害(7月27日現在)小鎚で住家3棟(全焼1、部分焼1、ぼや1)と非住家10棟、吉里吉里で非住家15棟

覚知から鎮圧まで10日、鎮火までは37日かかっています。消防庁は林野火災の特徴として、消火のための立入りが困難であること、消火用水の確保が難しいこと、広範囲の消火が必要になることを挙げ、他の火災に比べて鎮火までに時間がかかる場合があると説明しています。大槌町の火災は、その説明どおりの経過をたどった事例といえます。

出火原因はどちらも「不明」

報告書は、小鎚の火災の出火箇所を小鎚川沿いの道路の法面と判定しています。出火原因は、電線、たばこ、放火について検討した結果、電線からの出火は考えにくく、たばこと放火については確たる物証がないため「不明」とされました。吉里吉里の火災は、出火箇所は尾根付近と考えられるものの詳細に範囲を限定できず、基地局、たき火、たばこ、放火を検討したうえで、やはり出火原因は「不明」とされています。

メモ

報告書は、この火災の原因をたき火やたばこだと結論づけてはいません。この記事でも、大槌町の火災を特定の行為と結びつけることはしません。家庭の火の扱いの話は、この火災の原因からではなく、後述する全国の統計と制度の内容から導きます。

乾燥注意報と強風注意報は出ていた。林野火災注意報は出ていなかった

この記事の主題にいちばん関わるのが、気象と注意報のくだりです。報告書全文によると、4月22日に大槌町を対象に発表されていた注意報は、乾燥注意報(4月21日10時26分発表、4月26日20時19分解除)と強風注意報(4月20日16時11分発表、4月22日17時43分解除)でした。そして、4月21日にアメダス大槌で4.5ミリ、大槌消防署で2.0ミリの降雨があり、林野火災注意報は発令されていなかった、と記されています。

出火当日の大槌消防署の観測では、最大瞬間風速17.2メートル毎秒(14時07分)の強い西風、湿度8.6パーセント(14時34分)、気温23.7度(14時20分)が記録され、報告書はフェーン現象の発生が考えられるとしています。

消防庁が示している発令指標の例(次の章で説明します)は「前3日間の合計降水量が1ミリ以下」を条件のひとつにしています。前日に4.5ミリの雨があった大槌町は、この例に照らすと条件を満たさない計算になります。ただし、報告書自体は発令されなかった理由を論じているわけではなく、大槌町の実際の発令基準もこの記事では確認できていません。ここで言えるのは、次の一点です。

注意

林野火災注意報が出ていないことは、「今日は火を使っても安全」という意味ではありません。報告書は出火前の降水について、前日にもわずかな降水が観測されているが、樹冠の閉鎖した林では樹冠で遮断されて地表の可燃物には届かない程度の雨量だった、と述べています。注意報の有無だけでなく、乾燥注意報と強風注意報が出ていないかを自分でも確かめる。この二段構えが、家庭の側の現実的な読み方です。

飛び火と、住宅地のすぐそばまで迫った火

延焼の様子も、山や林の近くに住む家庭には参考になります。報告書によると、小鎚の火災は周辺の建物と林内へ延焼し、複数の飛び火を発生させました。15時ごろに風向きが変わると、小鎚川の対岸(左岸)へ飛び火し、北側の山中へ延焼が広がっています。吉里吉里の火災は、主に地表火で1.3キロメートルから1.5キロメートルを約2時間40分で延焼しました。急な斜面では、燃えている枝や松ぼっくりが転がり落ち、斜面の下からも突然火の手が上がったことが記録されています。

全文には、消防団によれば17時半ごろには吉里吉里地区の住宅地への飛び火警戒が必要と判断される状況だったこと、19時20分に吉里吉里一丁目から三丁目に避難指示が出たことも書かれています。安渡地区と赤浜地区の間のスギ林では、最も近い住家まで約30メートルの地点で消し止められました。報告書は、地元の消防本部と消防団、県内応援隊、緊急消防援助隊の展開が早く、集落周辺での散水や飛び火警戒が行われたことで、小鎚の出火箇所に近接する住家を除いて住家への延焼は阻止された、とまとめています。

林野火災注意報・林野火災警報とは

ここからは制度の話です。

大船渡市の火災をきっかけに創設された

消防庁の「林野火災への備え」によると、林野火災注意報と林野火災警報は、2025年(令和7年)2月の岩手県大船渡市などでの大規模林野火災を踏まえて創設されたものです。政府広報オンラインは、この大船渡市の火災について、焼損面積が約3,370ヘクタール、鎮火までに1か月以上、死者1人、建物被害226棟と紹介しています。

この火災を受けて消防庁と林野庁が開いた「大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会」の報告書は、もともと消防法にもとづく火災警報という仕組みがあるものの、消防本部から「強い制限・罰則を伴うため発令を躊躇する」という意見がみられることを指摘しました。そこで、罰則を伴わない注意喚起の段階として林野火災注意報を新たに設け、具体的な発令指標を示すことで的確な発令を促す、という考え方が示されています。

消防庁は2025年8月29日、市町村の条例のひな形である「火災予防条例(例)」を改正し、都道府県などに通知しました。施行期日は2026年1月1日です。「林野火災への備え」には、令和8年1月から全国の多くの市町村で運用が開始されていると書かれています。

発令するのは市町村長

大雨警報や乾燥注意報は気象庁が発表しますが、林野火災注意報・林野火災警報は、市町村の火災予防条例で規定され、市町村長が林野火災の危険性に応じて発令します。

法的な位置づけは、注意報と警報で異なります。消防庁の通知によると、林野火災注意報は改正後の火災予防条例(例)第29条の8に新設された情報で、発令中は火の使用の制限に「従うよう努めなければならない」という努力義務です。いっぽう林野火災警報は、消防法第22条第3項に規定された「火災に関する警報」を、林野火災の予防を目的として発するものです(同条例(例)第29条の9)。消防法第22条第4項は、警報が発せられたときは解除されるまでの間、その市町村の区域内にいる人は市町村条例で定める火の使用の制限に従わなければならないと定めており、同法第44条は、この制限に違反した者を30万円以下の罰金又は拘留に処すると定めています。

注意報と警報の違い

消防庁が示している内容を表にまとめます。

林野火災注意報林野火災警報
どんな状況か降水量や乾燥といった条件により、林野火災が発生・延焼しやすい危険な状況注意報の条件に加えて強風注意報が発表され、発生した林野火災が大規模化しやすい危険な状況
発令指標の例前3日間の合計降水量が1ミリ以下で、かつ、前30日間の合計降水量が30ミリ以下または乾燥注意報の発表林野火災注意報の発令指標に加えて、強風注意報の発表
求められること発令地域での屋外の火の使用中止の努力義務発令地域での屋外の火の使用の制限
罰則なしあり(30万円以下の罰金又は拘留に科される場合がある)

発令指標の例には、当日に降水が見込まれる場合や積雪がある場合にはこの限りでない、という注記が付いています。また消防庁は、市町村により条例の制定状況や、発令指標、火の使用制限の内容などは異なるとして、詳しくは管轄の消防本部等に問い合わせるよう案内しています。

発令されると制限される行為の例

消防庁は、注意報・警報の発令時における屋外での火の使用制限の例として、次の6項目を挙げています。火災予防条例(例)第29条の各号にあたる内容です。

  • 山林、原野等において火入れをしないこと
  • 煙火(花火)を消費しないこと
  • 屋外において火遊び又はたき火をしないこと
  • 屋外においては、引火性又は爆発性の物品その他の可燃物の付近で喫煙しないこと
  • 山林、原野等の場所で、火災が発生するおそれが大であると認めて市町村長が指定した区域内において喫煙しないこと
  • 残火(たばこの吸殻を含む)、取灰又は火粉を確実に処理すること

注意報のときはこれらに「従うよう努める」、警報のときは「従わなければならない」。この差が、2つの情報のいちばん大きな違いです。

市町村ごとにここが違う|自分の町の確認手順

制度の骨格は共通でも、実際の運用は自治体によってかなり違います。公開されている例を2つ見ておきます(いずれも2026年9月22日時点の各ページの記載)。

東京消防庁の管内栃木県宇都宮市
運用開始林野火災警報は令和8年1月1日、林野火災注意報は令和8年4月1日注意報・警報とも令和8年1月1日
期間毎年1月1日から5月31日までの期間中に、基準を満たした場合に発令注意報は1月から5月の期間
対象区域管内の地域森林計画対象森林と国有林の敷地。対象区域を有するのは八王子市、青梅市、町田市、奥多摩町など13市町村北西部と北部の山岳地帯における森林(町名を列挙して指定)
周知の方法ホームページ、公式X・Facebook、公式アプリ、自治体の防災行政無線や防災メール、消防車両の巡回広報消防車による巡回広報、消防局公式XなどのSNS。警報時は市公式LINEや登録制防災情報メールなど

この2つの例だけでも、「注意報の運用開始が警報より遅い自治体がある」「通年ではなく1月から5月に限って発令する自治体がある」「市内全域ではなく森林とその周辺に区域を絞っている自治体がある」ことが分かります。秋や初冬に空気が乾いていても、自治体によっては制度上、注意報・警報が発令されない時期にあたる、ということです。

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    消防庁のページから、自分の都道府県のページへ進む

    消防庁の「林野火災注意報・林野火災警報の状況」には、都道府県ごとの発令状況ページへのリンクが地図と一覧で掲載されています。都道府県のページから、市町村や消防本部のページへたどれる構成になっているところが多くあります。
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    運用が始まっているか、いつからかを確認する

    消防庁の表現は「全国の多くの市町村」であり、すべての市町村ではありません。自分の市町村で条例が改正されているか、運用開始日はいつかを確認します。見つからなければ、管轄の消防本部に電話で聞くのが確実です。
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    対象の区域と期間を確認する

    自宅、実家、よく行くキャンプ場や畑が対象区域に入るかを見ます。区域は「市内全域」とは限りません。あわせて、発令される期間が通年なのか、1月から5月などに限られるのかも確認します。
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    制限される行為と、対象外の行為を確認する

    たき火、花火、喫煙のほか、バーベキューコンロや七輪の扱いがどう書かれているかを見ます。ここは自治体によって書き方が分かれる部分です。
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    発令を知る方法を1つ決めて登録する

    防災メール、自治体の公式LINE、消防本部のSNSなど、自分の市町村が使っている周知手段のうち1つを登録します。大雨のときに使っている自治体の防災メールがそのまま使える場合もあります。

ヒント

住んでいる市町村が対象外でも、出かけた先では対象になることがあります。東京消防庁は、林野火災警報が発令されている間は、23区内や都外に住んでいる人も含め、キャンプや登山などで対象区域の林野に入る場合は火の使用が制限される、と案内しています。キャンプ場を予約したら、その市町村の運用も一緒に確認しておくと安心です。

家庭の火の扱い|「火を使う日を選ぶ」

林野火災は、山奥で自然に起きるものというより、人の暮らしの近くで起きる火災です。林野庁によると、直近5年間(令和2年から令和6年)の平均で、林野火災は1年間に約1,200件発生し、焼損面積は約800ヘクタールにのぼります。原因が明らかなもののうち、もっとも多いのは「たき火」の32.5パーセントで、次いで「火入れ」「放火(疑い含む)」「たばこ」の順です。落雷など自然現象によるものは稀とされています。消防庁も、林野火災の出火原因の多くは人的要因であり、大部分は一人ひとりの注意で防ぐことができると説明しています。

時期にも特徴があります。消防庁は、林野火災は年間を通じて発生しているものの、冬から春に増えはじめ、とくに2月から5月に多く発生する傾向があるとしています。政府広報オンラインによると、令和2年から令和6年の月別出火件数の平均では、出火件数の6割超が2月から5月に集中しています。

消防庁が示す6つの注意点

消防庁は、屋外で火を取り扱う際に年間を通じて注意する点として、次の6つを挙げています。

  • 乾燥・強風の日は火を使わない
  • たき火や火入れは複数人で行う
  • 火から目を離さない
  • 消火用の水を準備する
  • 使用後は完全に消火する
  • たばこの投げ捨て、火遊びは絶対にしない

このうち家庭でいちばん効くのは1つめです。残りの5つは「火を使うときの作法」ですが、1つめだけは「使うかどうかの判断」だからです。

火を使う前の、3分の確認

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    自分の市町村に林野火災注意報・警報が出ていないか見る

    前の章で登録した周知手段、または市町村・消防本部のページで確認します。警報が出ていれば、対象区域では条例で定められた火の使用はできません。注意報でも、使用を控えるのが制度の趣旨です。
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    乾燥注意報と強風注意報を見る

    気象庁の「気象警報・注意報」のページで、自分の市町村に乾燥注意報や強風注意報が出ていないかを確認します。気象庁の「林野火災予防ポータルサイト」には、乾燥注意報、強風注意報、降水量の状況へのリンクがまとめられています。大槌町の事例のとおり、林野火災注意報が出ていなくても、この2つの注意報が重なっている日は火を使わない日と決めておくと迷いません。
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    その場の風を確かめる

    注意報が出ていなくても、木の枝が揺れつづけている、落ち葉が舞っている、という日は延期します。風の強さは時間帯によって変わるため、朝の様子だけで決めず、火を使う直前にもう一度確かめます。

場面ごとの考え方

庭のたき火や、剪定した枝・落ち葉を燃やす場面では、まず法令上の前提があります。消防庁は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で廃棄物の焼却は原則として禁止されていること、市町村の火災予防条例で、たき火など屋外での火の取扱いに消防機関への届出が必要となる場合があることを案内しています。消防庁が公開している「届出が必要なたき火の例」という資料には、地面で薪を組んだたき火のほか、焚き火台やかまどを使った火、枯れ草を広く焼く作業、行事の大きな火とみられる写真が並び、「詳細はお近くの消防本部にお問い合わせください」「森林法における許可を受けた火入れを除きます」と注記されています。燃やしてよいものかどうかは自治体のごみ・環境の担当に、届出が必要かどうかは消防本部に、それぞれ事前に確認するのが確実です。剪定枝や落ち葉は、可燃ごみや資源として回収している自治体もあるので、「燃やさない」選択肢を先に調べるのも現実的です。

森林やその近くで、草や枝を広く焼く「火入れ」を行う場合は、さらに別の手続きが要ります。森林法では、森林または森林の周囲1キロメートルの範囲内での火入れには市町村長の許可が必要とされています。実家の畑や山の手入れを手伝うときは、この点を家族で確認しておきます。

バーベキューや七輪については、自治体の案内をよく読む必要があります。東京消防庁は、制限の対象を「屋外において裸火を使用し、かつ、火の粉が周囲に飛ぶような行為」と説明し、たき火、キャンプファイヤー、落ち葉を燃やすこと、薪を使うかまど、どんど焼きなどを例に挙げています。いっぽう、バーベキュー台、七輪、ガス器具などは、火の粉が飛散しない形態の火を使用する製品等に限り、それぞれの使用方法に従って使う場合は制限の対象にならない、としています。ただしこれは東京消防庁の管内の取扱いです。ほかの市町村で同じとは限らないため、出かける先の消防本部の案内を確認してください。対象外であっても、乾燥して風の強い日に炭火を扱うなら、消火用の水を手元に置き、炭を完全に消してから片づけるという基本は変わりません。

花火は、消防庁の制限例に「煙火を消費しないこと」として含まれています。東京消防庁も、がん具用を含む花火を屋外で行わないことを制限行為に挙げています。発令中の日は、手持ち花火も別の日に回します。

たばこは、可燃物の近くで吸わない、吸殻を確実に消す、投げ捨てない、の3点です。山や林の近くを歩きながらの喫煙や、車の窓からの投げ捨ては、制度の有無にかかわらず避けます。

秋になると実家で剪定した枝を庭で燃やすのが恒例でした。届出が要る場合があることも、そもそも燃やしてよいものかを確認する必要があることも知らなかったので、今年は枝を束ねてごみの日に出す方法を、先に市役所に聞いてみようと思います。
想定される読者の声(実家の庭の手入れを手伝う方)

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山や林のそばの家は、避難をどう考えるか

林野火災で避難が必要になるかどうかは、住んでいる場所によります。裏が山、集落が林に囲まれている、実家が山あいにある、という家庭は、水害や土砂災害と同じように、一度だけ家族で話しておく価値があります。

飛び火があるので「まだ遠い」は当てにならない

大槌町の報告書では、川を挟んだ対岸への飛び火や、風向きの変化で延焼の方向と速さが変わったことが記録されています。大船渡市の検討会報告書も、火点から離れていても風向きや風速等によっては飛び火が飛来する可能性があるとし、住民への啓発が重要な事柄として、飛び火により着火しやすい箇所(瓦屋根、軒裏、植栽等)と、飛び火が発生している状況下での行動(窓閉め、予防散水、避難等)を挙げています。

家庭として平時にできるのは、着火しやすいものを家のまわりに溜めないことです。軒下に積んだ段ボールや古い木材、雨どいや屋根に溜まった落ち葉、家に接した枯れ草は、風のない休日に片づけておきます。

避難情報の仕組みは大雨のときと同じ

林野火災でも、避難指示などの避難情報を出すのは市町村です。大槌町では、吉里吉里の火災の覚知(16時22分)からおよそ3時間後の19時20分に、吉里吉里一丁目から三丁目に避難指示が出ました。大船渡市の検討会報告書は、林野火災は急激な延焼拡大に至る場合があるとして、市町村に速やかな避難指示等の判断を求めるとともに、避難指示の対象区域外であっても、火災発生を知らせる情報や避難の準備を促す情報の発表、高齢者等避難の発令を検討すべきだとしています。また、市町村が地域の実情を踏まえて林野火災に適した避難先をあらかじめ定めておくことの重要性にも触れています。

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    林野火災のときの避難先を市町村に確認する

    水害用・地震用の避難場所が、林野火災のときにも使われるとは限りません。山に近い避難場所は使えない可能性もあります。市町村の防災担当に、林野火災のときの避難先の考え方を一度聞いておきます。
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    山と反対方向へ出る道を2本確かめる

    火は風下に向かって広がり、風向きは途中で変わることがあります。山から離れる方向の道を、車と徒歩の両方で2本確認しておくと、当日の選択肢が残ります。
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    煙が見えたら、まず119番と情報の確認

    政府広報オンラインは、山火事かもしれない煙を見かけた場合は速やかに119番へ通報するよう呼びかけています。通報したら、市町村の防災メールや防災行政無線で避難情報を確認します。
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    高齢の家族は、早い段階で動く

    避難に時間のかかる家族がいる場合は、避難指示を待たずに、避難の準備を促す情報や高齢者等避難の段階で動きはじめます。大船渡市では、自治会長などが一人暮らしの高齢者に直接声をかけたことが避難につながったと、検討会報告書に記されています。離れて暮らす親には、電話で声をかける役を家族のだれが担うかを決めておきます。
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    持ち出すものは、ふだんの非常用持ち出し袋でよい

    林野火災専用の袋を作る必要はありません。いつもの持ち出し袋に、常用薬、眼鏡、充電器、貴重品を加えればそのまま使えます。煙のなかを移動する可能性を考えて、マスクとタオルが入っているかだけ確かめておきます。

注意

火や煙が見えている状況で、自宅の様子を見に戻ったり、自分で消火しようと山に近づいたりするのは避けてください。林野火災は風と地形で急に状況が変わります。大槌町の報告書にも、燃えている枝や松ぼっくりが急斜面を転がり落ち、斜面の下から突然延焼した事例が記録されています。

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よくある質問

林野火災注意報が出ている日に、庭でたき火をすると罰せられますか
消防庁の説明では、林野火災注意報は発令地域での屋外の火の使用中止の努力義務で、罰則はありません。ただし、注意報は林野火災が発生・延焼しやすい危険な状況で出される情報です。罰則の有無にかかわらず、その日は火を使わず別の日に回すのが制度の趣旨に沿った行動です。なお、注意報や警報とは別に、たき火そのものに消防機関への届出が必要な場合や、廃棄物の焼却として原則禁止にあたる場合があります。
林野火災警報の罰則はどのくらいですか
林野火災警報は、消防法第22条第3項の『火災に関する警報』を林野火災の予防を目的として発するものです。消防法は、警報の発令中は市町村条例で定める火の使用の制限に従わなければならないと定め、違反した者は30万円以下の罰金又は拘留に処するとしています。消防庁も、違反した場合は消防法違反として30万円以下の罰金又は拘留に科される場合があると案内しています。具体的にどの行為が制限されるかは、市町村の条例によります。
バーベキューも禁止されますか
自治体によって取扱いが異なります。東京消防庁は、制限の対象を『屋外において裸火を使用し、かつ、火の粉が周囲に飛ぶような行為』とし、バーベキュー台、七輪、ガス器具などは、火の粉が飛散しない形態の火を使用する製品等に限り、使用方法に従って使う場合は対象外としています。いっぽう、たき火、キャンプファイヤー、薪を使うかまどなどは制限の対象に挙げられています。これは東京消防庁の管内の取扱いなので、実際に出かける先の消防本部の案内を確認してください。
自分の市町村で運用されているかどうかは、どこで分かりますか
消防庁の『林野火災注意報・林野火災警報の状況』のページに、都道府県ごとの発令状況ページへのリンクがまとめられています。そこから市町村や消防本部のページへ進むと、運用開始日、対象区域、制限される行為が確認できます。消防庁は、条例の制定状況や発令指標、火の使用制限の内容は市町村により異なるとして、詳しくは管轄の消防本部等に問い合わせるよう案内しています。
秋や初冬にも林野火災注意報は出ますか
市町村によります。たとえば東京消防庁は、毎年1月1日から5月31日までの期間中に基準を満たした場合に発令するとしており、宇都宮市も注意報を1月から5月の期間の情報としています。こうした自治体では、秋や初冬に空気が乾燥していても注意報は発令されません。その時期は、気象庁の乾燥注意報と強風注意報を自分で確認し、2つが重なる日は屋外で火を使わないと決めておくのが現実的です。
大槌町の火災の原因は、たき火だったのですか
いいえ、消防庁長官の火災原因調査報告書は、小鎚の火災・吉里吉里の火災とも出火原因を『不明』としています。小鎚については電線・たばこ・放火を、吉里吉里については基地局・たき火・たばこ・放火を検討したうえで、電線と基地局からの出火は考えにくく、それ以外は確たる物証がないと結論づけています。
住宅地に住んでいて、近くに山や林がありません。関係ありますか
ふだんの暮らしでは対象区域に入らないことも多いはずです。ただし、キャンプや登山、実家の庭や畑の手伝いなどで対象区域に入ると、その市町村の火の使用制限を受けます。東京消防庁も、23区内や都外に住んでいる人を含め、対象区域の林野に入る場合は火の使用が制限されると案内しています。出かける先の運用を確認する、という使い方が中心になります。

まとめ|注意報を待つのではなく、火を使う日を選ぶ

林野火災注意報・林野火災警報は、2025年の大船渡市の大規模林野火災を受けて創設され、2026年1月から全国の多くの市町村で運用が始まった情報です。注意報は努力義務、警報は罰則のある火の使用制限で、どちらも市町村長が発令します。発令指標の例は、前3日間の降水量が1ミリ以下で、前30日間の降水量が30ミリ以下または乾燥注意報が出ていること。警報はそこに強風注意報が加わります。

2026年4月の大槌町の林野火災では、乾燥注意報と強風注意報が出ていた日に、湿度8.6パーセント、最大瞬間風速17.2メートル毎秒という条件のもとで火災が急速に拡大し、1,708ヘクタールの林野が焼け、鎮火までに37日かかりました。林野火災注意報は発令されていませんでした。制度ができても、情報が出ていない日の判断までは代わりにしてくれない、ということです。

家庭にできることは、難しくありません。自分の市町村の運用を一度確認し、発令を知る手段を1つ登録する。火を使う前に、林野火災注意報・警報、乾燥注意報、強風注意報、その場の風を見る。条件が悪ければ別の日にする。林野火災が増える2月から5月の前に、この秋のうちに済ませておけば十分に間に合います。

秋のうちに済ませる、林野火災への備えチェック

  • 自分の市町村で林野火災注意報・林野火災警報の運用が始まっているか、開始日を確認した
  • 自宅・実家・よく行くキャンプ場が対象区域に入るかを確認した
  • 発令される期間(通年か、1月から5月などに限られるか)を確認した
  • 制限される行為と、バーベキューコンロや七輪の取扱いを確認した
  • 発令を知るための防災メール・公式LINE・SNSのいずれか1つを登録した
  • 気象庁の気象警報・注意報のページをブックマークし、乾燥注意報と強風注意報の見方を家族と共有した
  • たき火の届出が必要かどうかを、管轄の消防本部のページか電話で確認した
  • 剪定枝や落ち葉を燃やさずに処分する方法を自治体に確認した
  • 軒下や雨どい、家のまわりの落ち葉・枯れ草・不要な可燃物を片づけた
  • 山や林が近い家は、林野火災のときの避難先と、山から離れる道を2本確認した

火を使う日を選ぶ。それだけで、防げる火災があります。

出典・参考

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