モシモニア
防災グッズ

停電・避難時の防寒・保温グッズの選び方比較|電源に頼らず暖をとる5タイプを「重ね着・断熱・局所加温」で組み合わせる

シュン・家族・ペット防災担当
・ 約33分で読めます
停電・避難時の防寒・保温グッズの選び方比較|電源に頼らず暖をとる5タイプを「重ね着・断熱・局所加温」で組み合わせる

夏の暑さ対策と違い、冬の停電・避難で困るのは「暖房が使えないこと」そのものです。エアコンもファンヒーターも電気がないと動かず、部屋の温度は時間をかけて静かに下がっていきます。この記事では、電源がなくても暖をとれる保温グッズを5タイプに分けて比較し、「どれを何枚そろえて、どう組み合わせるか」を整理します。特定の型番をすすめるものではなく、選ぶときの目安として読んでいただければと思います。

ヒント

この記事にはアフィリエイト広告(商品リンク)を含みます。紹介するのは「選び方の目安」となる代表的なタイプで、特定の型番を断定的におすすめするものではありません。価格・在庫・仕様は変動しますので、購入前に各販売サイトの最新の表示をご確認ください。

冬の停電・避難で「保温」が最優先になる理由

寒い時期に停電が起きると、照明や情報よりも先に体に効いてくるのが室温の低下です。断熱性の高い住宅でも、暖房が止まれば外気温に向かってゆっくり室温は下がります。木造の古い住宅や、風雨で窓が損傷した家では、下がり方はさらに速くなります。

体温が下がりすぎた状態は低体温症と呼ばれます。日本救急医学会の医学用語解説集では、低体温症は深部体温(直腸温・膀胱温・食道温など)が35℃以下に低下した状態とされ、事故や不慮の事態によるものは偶発性低体温症と呼ばれます。一般に軽度(35〜32℃)・中等度(32〜28℃)・高度(28℃以下)に分類され、軽度では骨格筋のふるえ(戦慄)がみられる一方、中等度になるとふるえが消失するとされています。また、幼少児や高齢者、低栄養の状態などで起こりやすいとも説明されています。

低体温症の定義(深部体温35℃以下)、重症度の区分、ふるえの現れ方、起こりやすい条件は、一般社団法人 日本救急医学会「医学用語解説集|偶発性低体温症」の記述にもとづきます。医学的な判断や治療については、必ず医療機関にご相談ください。

家庭の備えとして押さえておきたいのは、「ふるえが止まったからよくなった」とは限らないこと、そして子どもや高齢の家族は寒さを訴えにくい場合があることです。停電中は周囲がこまめに声をかけ、手足の冷たさや反応の鈍さに気づける距離にいることが、どんなグッズよりも先に効きます。

注意

意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い、ふるえが止まってぐったりしている、といった様子が見られるときは、家庭で様子を見るのではなく、ためらわず119番通報や医療機関への相談を優先してください。この記事は日常の備えを整理するもので、医学的な診断や治療の判断を示すものではありません。

公的なガイドラインでも「寒さ対策」は明示されている

内閣府(防災担当)の「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(チェックリスト)」(令和6年12月改定)では、避難者の健康管理で押さえるべき項目として、病気の予防のなかに「熱中症」と並んで「低体温症」「一酸化炭素中毒」が挙げられています。またチェックリストには「暑さ・寒さ対策を検討する」「必要と判断される時には防寒着を確保する」「冷暖房器具・設備を備蓄・確保する」といった項目が並びます。

寝床については、「初動は毛布や通気を確保する等、寒さ暑さの緩和に努める」とともに、「マットや段ボール仕様やエアーベッドも含め簡易ベッドを避難所開設時から設置できるようにしましょう」と記されています。避難所でも、まず毛布、次にマットや簡易ベッドという順で寒さと床の冷えに手を打つ考え方が示されているわけです。

避難者の健康管理項目に「低体温症」「一酸化炭素中毒」が含まれること、「暑さ・寒さ対策」「防寒着の確保」「冷暖房器具・設備の備蓄・確保」、寝床について初動の毛布とマット・簡易ベッドの設置が示されていることは、内閣府(防災担当)「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(チェックリスト)」(令和6年12月改定)にもとづきます。

ただし、避難所に十分な数の毛布や暖房がすぐ届く保証はありません。だからこそ、家庭側で「自分たちの分の保温」を用意しておく意味があります。総務省消防庁の防災危機管理eカレッジ「大雪・暴風雪への備え」では、大雪時にやむを得ず車を運転する場合の準備として、防寒着・長靴・手袋・カイロ・スコップ・牽引ロープ・飲料水・非常食などが挙げられています。車という限られた空間ですら防寒着とカイロが必要になるということは、暖房の止まった家の中でも同じ考え方が要る、と読み替えられます。

防寒着・長靴・手袋・カイロ・スコップ等の準備が、大雪時にやむを得ず車を運転する際の対策として挙げられていることは、総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ 1.大雪・暴風雪への備え」にもとづきます。同ページでは、外出を避け自宅にいる場合の備えとして懐中電灯・携帯ラジオ・飲料水・食料の準備と、FF式暖房機の給排気口付近の除雪が挙げられています。

暖房が使えない前提の考え方|「重ね着・断熱・局所加温」の3層

保温グッズは種類が多く、何から買えばよいか迷いやすい分野です。そこで、次の3層に整理して考えると重複買いを避けられます。

  1. 1

    第1層|重ね着(体から熱を逃がさない)

    まず衣類です。空気の層を何枚もつくると保温力が上がります。肌に近い層は汗を吸って乾きやすい素材、中間層はフリースなどの起毛素材、外側は風を通しにくい上着、という組み合わせが基本です。ここが弱いと、どんな道具を足しても熱が逃げ続けます。
  2. 2

    第2層|断熱(床・地面・座席からの冷えを断つ)

    床は体温を効率よく奪います。避難所の体育館の床、車の座席、フローリングの上に直接座る・寝るのは避けたいところ。マットや段ボール、銀マットを一枚はさむだけで体感は大きく変わります。
  3. 3

    第3層|局所加温(足りない分をピンポイントで足す)

    カイロや湯たんぽで、冷えやすい部分に熱を足します。あくまで補助であり、第1層・第2層が整っていないと熱がどんどん逃げてしまいます。順番としては最後に足すものと考えてください。

メモ

やりがちな失敗は、いきなり第3層(カイロや湯たんぽ)から買ってしまうことです。カイロを何個貼っても、床から熱が逃げ、風が入ってくる状態では体は温まりにくいものです。まず着るもの、次に敷くもの、最後に温めるもの、という順で見直すと費用対効果が高くなります。

保温グッズを選ぶ6つの軸

比較の前に、判断の軸をそろえておきます。

軸見るポイント
電源・火の要否電気なしで使えるか。火を使うなら換気が必要か
保温力の目安寝袋は温度表示、衣類は素材と厚み、カイロは持続時間
かさばり・重さ持ち出し袋に入るか。家に置くだけなら大きくてもよい
使い捨てか繰り返しか消耗品はストック量、繰り返し品は点検と手入れが要る
価格の目安家族分そろえられるか。1人1つ必要か共用できるか
家族分のそろえやすさ子ども用・高齢の家族用のサイズや扱いやすさがあるか

とくに「使い捨てか繰り返しか」は、停電の長さで効いてきます。使い捨てカイロは初動に強い一方、長期化すると数が尽きます。寝袋や湯たんぽは繰り返し使えますが、湯たんぽはお湯を沸かす手段(カセットこんろなど)とセットで初めて機能します。役割を分けて両方持つのが現実的です。

ヒント

保温力の目安として最もわかりやすいのは寝袋の温度表示です。製品には「快適使用温度(コンフォート)」「下限温度(リミット)」といった表示があり、快適使用温度は「寒さを感じずに眠れるとされる温度域」、下限温度は「体を丸めればなんとか眠れるとされる温度域」を指すのが一般的です。これらの温度は、国際規格ISO 23537(前身は欧州規格EN 13537)にもとづく試験結果として表示されることが多い一方、メーカー独自の「使用可能温度」を示す製品もあります。どの規格の、どのような条件で測った値なのかは商品説明で確認し、標準的な体格・服装を前提にした目安と考えて、寒がりの方や子ども・高齢の家族には余裕をもった温度帯を選ぶと安心です。

5タイプを比較|電源の要否と役割で見る

家庭で用意しやすい5タイプを、役割と電源の観点で並べると次のようになります。

タイプ主な役割電源・火使い捨て/繰り返し価格の目安
アルミブランケット体を包む・敷く(補助)不要ほぼ使い捨て(繰り返し可の厚手も)数百円〜
寝袋(封筒型/マミー型)寝るときの主力の保温不要繰り返し3,000〜15,000円前後
使い捨てカイロ局所加温(手先・腰など)不要使い捨て10枚数百円〜
湯たんぽ(お湯を入れるタイプ)局所加温・寝床の予熱お湯を沸かす熱源が必要(電源は不要)繰り返し1,000〜5,000円前後
断熱マット(銀マット/エアマット)床・座席からの冷えを断つ不要繰り返し1,000〜8,000円前後

価格帯はあくまで一般的な目安で、素材やサイズによって大きく変わります。表に挙げた5タイプは、いずれも電源に頼らずに使えるものです。湯たんぽには電子レンジで温めるタイプや通電して温めるタイプ(充電式・電気蓄熱式)もありますが、これらは電気が要るため停電中は使えません。停電を想定した備えとしては「お湯を入れるタイプ」を主役に考え、充電式などは平常時の暖房補助として位置づけるのが安全側です。以下、それぞれの特徴と選ぶときの注意点を見ていきます。

1. アルミ(エマージェンシー)ブランケット|軽くて安い、けれど「補助」

アルミ蒸着のシートで体を包み、放射で逃げる熱を抑えるタイプです。手のひらサイズにたためて数十グラムと軽く、持ち出し袋や車、職場のロッカーにも1枚しのばせておけるのが最大の利点です。価格も安く、家族分を用意しやすいのも助かります。

一方で、これ1枚で冬をしのげるものではありません。風は防げても、床からの冷えは断てず、体を動かすとかさかさと音が出ます。内側が結露して衣類が湿ると、かえって体が冷えることもあります。位置づけは「補助」と割り切り、衣類やマットと組み合わせて使うのが実際的です。持ち出し袋には、まずこれを入れておく。そのうえで家には別の主力を置く、という二段構えが向いています。

アルミブランケット(エマージェンシーシート)

広告
アルミブランケット(エマージェンシーシート)

価格の目安: 1枚数百円〜(複数枚セットも)

軽くて安く、持ち出し袋に入れておく最初の1枚に向きます。厚手で音が出にくいタイプや、繰り返し使える生地のものもあります。単体で完結させず、衣類やマットと重ねて使う前提で選びましょう。家族の人数分に加えて、車や職場にも分散しておくと安心です。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

2. 寝袋・シュラフ|保温力を「温度」で選べる数少ないタイプ

避難生活全般の睡眠環境という観点でのマット・寝袋の選び方は、別記事「避難生活の睡眠グッズの選び方比較」で扱っています。この記事では「冬に暖房が使えない」場面に絞って、温度表示の読み方を中心に見ていきます。

寝袋は、保温性能が温度という数字で示されている点が他のグッズと大きく違います。快適使用温度・下限温度を見れば、住んでいる地域の冬の最低気温と照らし合わせて選べます。前述のとおり測定条件は製品によって異なるため、数字を鵜呑みにせず、商品説明でどのような条件の表示かを確かめておくと失敗が減ります。停電で暖房が止まった室内は、屋外ほど下がらないとしても外気温に近づいていくため、「屋内だから」と甘く見ずに余裕を持たせるのが安全側です。

形は大きく2種類あります。封筒型は長方形で、ファスナーを全開にすれば掛け布団のように使え、家族で連結できる製品もあります。寝返りが打ちやすく、ふだんの布団に近い感覚で使えるのが利点です。マミー型は体に沿った形で、隙間が少ないぶん同じ中綿量でも暖かく、収納も小さくまとまります。窮屈さを感じる人もいるので、可能なら店頭で入ってみるのが確実です。

中綿は、ダウン(羽毛)は軽くて暖かく収納も小さい反面、価格が高く濡れに弱い傾向があります。化学繊維は重くかさばりがちですが、価格が抑えめで、濡れても保温力が落ちにくく、洗いやすいものが多いのが特長です。在宅避難や避難所での使用が中心なら、扱いやすさとコストで化学繊維を選ぶ家庭が多いでしょう。

寝袋・シュラフ(封筒型/マミー型)

広告
寝袋・シュラフ(封筒型/マミー型)

価格の目安: 3,000〜15,000円前後

保温力を温度表示で選べるのが強みです。お住まいの地域の冬の最低気温より余裕のある快適使用温度のものを。封筒型は掛け布団のようにも使え家族向き、マミー型は軽量・コンパクト重視。洗えるか、収納サイズが持ち出し袋や押し入れに収まるかもあわせて確認しましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

3. 使い捨てカイロ|安くて確実、ただし枚数と貼り方に注意

使い捨てカイロは、電源も火も要らず、袋から出すだけで発熱してくれる手軽な局所加温グッズです。持続時間は製品によって幅があり、小さいもので数時間、貼らないレギュラーサイズでは20時間前後を表示する製品もあります。買うときはパッケージの持続時間表示を確認して選びましょう。貼るタイプは衣類の上から腰や背中に、貼らないタイプは手で握ったりポケットに入れたりして使えます。1枚あたり数十円と安く、箱でまとめ買いしておけば家族分をそろえやすいのも利点です。

注意したいのは低温やけどです。NITEの注意喚起では、低温やけどは温かく心地よいと感じる程度の温度でも、長時間にわたって皮膚が触れていると発症するという特徴があるとされ、目安として44℃で3〜4時間以上、46℃で30分〜1時間、50℃で2〜3分の接触で発症するとの記載があります(個人差があります)。同機構の製品安全情報マガジン「温活グッズの事故」では、カイロについて、直接肌に当てない、使用部位や用途が指定されているものはそれを守る、就寝時に使用しない、同じ部位に長時間当てない、血流を圧迫する使い方をしない、こたつや暖房器具の近くで使用しない、といった注意が挙げられています。

注意

停電の夜に「暖かいから」とカイロを貼ったまま眠るのは避けてください。NITEは、カイロについて就寝時に使用しないこと、同じ部位に長時間当てないこと、ベルトやサポーターなどで圧迫しないことを呼びかけています。低温やけどは皮膚の深いところまで達し、見た目より重症の場合があります。皮膚の変色や痛み、違和感があるときは自己判断せず、皮膚科など専門の医療機関を受診してください。

低温やけどの発症温度と時間の目安、対象となる製品、使い捨てカイロの使用上の注意は、NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)「『低温やけど』の事故防止について(注意喚起)」および「製品安全情報マガジン Vol.468 温活グッズの事故」にもとづきます。

備蓄量は、家族の人数×1日2〜3枚×想定する日数、というように掛け算で考えると数が見えてきます。4人家族で3日分なら24〜36枚、つまり箱1つ分がひとつの目安です。使用期限(有効期間)があるので、冬に使い切って買い足すローリングストックにすると無駄が出ません。

使い捨てカイロ(貼るタイプ/貼らないタイプ)

広告
使い捨てカイロ(貼るタイプ/貼らないタイプ)

価格の目安: 10枚入り数百円〜、箱買いで1枚数十円

電源も火も要らず、初動から確実に使える局所加温の定番です。貼るタイプと貼らないタイプを両方そろえておくと使い分けができます。持続時間の表示と使用期限を確認し、冬に使い切って買い足すローリングストックがおすすめ。肌に直接貼らない、就寝時に使わないという注意は必ず守りましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

4. 湯たんぽ|繰り返し使えるが「熱源」とセットで考える

湯たんぽは、お湯の熱をゆっくり手放す繰り返し使える保温具です。停電しても、カセットこんろなどでお湯を沸かせれば使えるのが強みで、寝る前に布団を温めておくといった使い方に向いています。消費者庁の資料では、湯たんぽの種類は「お湯を入れるタイプ」「電子レンジで温めるタイプ」「通電して温めるタイプ(電気蓄熱式・充電式などと呼ばれるもの)」に整理されています。

停電を想定するなら、電子レンジ式と充電式は「電気が復旧してから使うもの」と考えておく必要があります。停電中に頼れるのは、火や熱源でお湯を沸かせる前提の「お湯を入れるタイプ」です。カセットこんろとボンベの備えとセットで用意しておくと、湯たんぽが実際に機能します。

安全面の注意も押さえておきましょう。消費者庁は、事故情報データバンクに平成27年11月から令和2年10月までの5年間で湯たんぽ関連の事故情報が108件寄せられ、うち68件がやけど事故、治療に1か月以上かかる重傷事故が31件発生していると公表しています。事故は12月から2月にかけて多く、共通のアドバイスとして、(1)使用前によく点検し亀裂や破損がないか確認する、(2)製品ごとに指定された加熱方法・加熱時間を守る、(3)長時間身体に接触させない・就寝時に布団を暖めるために使う場合は就寝前に布団から出す、(4)家庭にある湯たんぽがリコール対象になっていないか確認する、の4点が挙げられています。

注意

湯たんぽは「布団を温める道具」として使い、布団が暖まったら就寝前に取り出すのが安全な使い方です。消費者庁は、長時間身体に接触させないこと、就寝時に布団を暖めるために使う際は就寝前に布団から出すことを呼びかけています。消費者庁の資料では、高齢の方や子どもは皮膚が薄く、高齢の方や糖尿病のある方は感覚が鈍くなっていることがあり、重症化しやすいとされています。周囲の方が時々位置を変えるなどの配慮が必要です。また、直火やIHヒーターで「そのまま温められる」と取扱説明書に明記された製品を加熱するときは、必ず口金を外してください。直接加熱に対応していない製品を直火やIHにかけるのは、破裂や変形のおそれがあり危険です。

湯たんぽの種類の分類、事故件数(平成27年11月〜令和2年10月の5年間で108件、うちやけど68件、1か月以上の重傷31件)、事故防止のための共通アドバイス、低温やけどが重症化しやすい方の特徴、直火・IHヒーターでそのまま温められる製品を加熱する際に口金を外すことは、消費者庁「ゆたんぽを安全に正しく使用しましょう!-ゆたんぽの破損・破裂等によりやけど事故が発生しています-」(令和2年12月16日)にもとづきます。

充電式(通電して温めるタイプ)についても、同資料では通電中の破裂事故が報告されており、布団や毛布の中で通電しない、平らな場所で通電する、通電中はその場を離れない、といった注意が示されています。便利な一方で扱いに気をつかう製品なので、購入時は安全に関する表示(電気用品安全法のPSEマークなど)を確認しましょう。

湯たんぽ(お湯を入れるタイプ・カバー付き)

広告
湯たんぽ(お湯を入れるタイプ・カバー付き)

価格の目安: 1,000〜5,000円前後

停電時に頼れるのは、熱源でお湯を沸かせる「お湯を入れるタイプ」です。カセットこんろの備えとセットで考えましょう。専用カバーが付属するもの、SGマークなど安全基準の表示があるものを選ぶと安心です。使い始めの前に亀裂や漏れがないか点検し、布団が暖まったら就寝前に取り出す使い方を家族で共有しておきましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

5. 断熱マット(銀マット・エアマット)|地味だけれど効き目が大きい

見落とされがちですが、避難所や車中泊で体感を最も変えるのが床からの冷え対策です。冷たい床に直接寝ると、体の熱は接している面から絶え間なく逃げていきます。上に何枚重ねても、下が冷たいままだと暖かくならないのはこのためです。

もっとも手軽なのは、アルミ蒸着の発泡シート(いわゆる銀マット)です。ロール式や折りたたみ式があり、広げるだけですぐ使えて安価。段ボールを敷いた上に重ねると、さらに効果が上がります。厚みのある空気層をつくりたい場合はエアマットやインフレーターマット(自動膨張式)が快適ですが、収納サイズと膨らませる手間は増えます。

内閣府のガイドラインでも、寝床について毛布による初動の寒さの緩和とともに、マットや段ボール、エアーベッドを含む簡易ベッドを避難所開設時から設置できるようにすることが示されています。床から体を離すという考え方は、寒さ対策としてだけでなく、ほこりを吸い込むことによる健康被害を抑える意味もあるとされています。

同じく内閣府の「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定)でも、生活環境の改善対策として畳・マット・カーペット・段ボールベッド等の簡易ベッドや冷暖房機器の整備が挙げられ、避難者の健康管理・衛生管理の項では避難所内の暑さ寒さ対策に留意し、規模や設備状況に応じて適切な冷暖房の整備や備蓄を進めることが適切だとされています。備蓄が望ましい生活必需品にも、タオルケット・毛布・布団等の寝具が例示されています。避難所側でも「床から離す」「冷えを緩和する」ことが課題として位置づけられている、と読み取れます。

畳・マット・カーペット・段ボールベッド等の簡易ベッドや冷暖房機器の整備、避難所内の暑さ寒さ対策と冷暖房の整備・備蓄、備蓄が望ましい寝具(タオルケット・毛布・布団等)の例示は、内閣府(防災担当)「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定)にもとづきます。

断熱マット(銀マット/エアマット)

広告
断熱マット(銀マット/エアマット)

価格の目安: 1,000〜8,000円前後

床からの冷えを断つ、寒さ対策の土台になる一枚です。銀マットは安価で軽く、広げるだけで使えるのが利点。厚みと快適さを求めるならエアマットやインフレーターマットですが、収納サイズと準備の手間は増えます。避難所・在宅・車中泊のどこでも使えるので、まず1人1枚を目標にそろえると無駄がありません。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

あわせて読みたい

避難生活の睡眠グッズの選び方比較|マット・寝袋・アイマスクで休養を守る

忘れがちな「衣類」の備え|結局いちばん効く第1層

グッズを買う前に、家にある衣類を見直すのが最も費用対効果の高い備えです。ポイントは、1枚の厚さより「層の数」です。

  • 肌に近い層: 汗を吸って乾きやすい素材を。汗で濡れた綿の下着は、体が動かなくなったときに一気に冷えの原因になります
  • 中間層: フリースや薄手のダウンなど、空気を含む起毛素材。脱ぎ着で温度調節がしやすいものを
  • 外側: 風を通しにくい上着。屋外へ出るなら雨や雪をはじく素材が望ましい
  • 末端: ウールなどの厚手の靴下、手袋、ニット帽。頭・首・手足の末端は熱が逃げやすく、覆うだけで体感が変わります
  • 首まわり: ネックウォーマーやマフラーで、襟元から入る冷気を止める

在宅避難なら、押し入れの毛布や来客用布団も立派な保温資源です。まずは家にあるものを数え、足りないところだけ買い足す。この順番なら、買ってから使わないという失敗を減らせます。

ウール靴下・ニット帽・手袋(末端の防寒)

広告
ウール靴下・ニット帽・手袋(末端の防寒)

価格の目安: 1,000〜3,000円前後

頭・首・手足の末端を覆うだけで体感は大きく変わります。ふだん使いのものをそのまま持ち出し袋に入れられるのが利点で、防災専用品を買い足す必要はありません。避難所では靴を脱ぐ場面もあるため、厚手の靴下は替えを含めて用意しておくと安心です。子どもと高齢の家族の分を優先してそろえましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

火とストーブの注意|一酸化炭素中毒を避ける

停電して暖房が止まると、手元にある火の道具で暖をとりたくなります。ここで先に押さえておきたいのは、カセットこんろは調理器具であり、暖房として使うものではないということです。東京消防庁は、カセットこんろについて調理以外の用途(木炭や練炭の火おこしなど)に使用しないこと、こんろをおおうような大きな調理器具を使わないこと、2台以上並べて使用しないことを呼びかけています。いずれも熱がこもるとカセットボンベが過熱し、爆発するおそれがあるためです。カセットボンベを暖房機のそばなど高温になる場所に置かないことも、同じ理由で示されています。停電中にこんろを使うのは、湯たんぽ用のお湯を沸かすといった調理の範囲にとどめてください。

暖房として使うのは、カセットガスストーブや石油ストーブなど、暖をとるためにつくられた機器です。これらは電源がなくても使える心強い道具ですが、屋内での使用には換気が欠かせません。

NITEは、カセットこんろについて「換気が不十分だと、酸素が不足して不完全燃焼となり、一酸化炭素濃度が上昇して中毒に至るおそれがあります」と注意を呼びかけており、石油ストーブについても同様に、換気不足による不完全燃焼のおそれを示しています。一酸化炭素は無色無臭で気づきにくいのが怖いところです。

注意

屋内で火を使う暖房器具や調理器具を使うときは、必ず換気をしてください。NITEは、カセットこんろや石油ストーブについて、換気が不十分だと酸素が不足して不完全燃焼となり、一酸化炭素濃度が上昇して中毒に至るおそれがあると注意を呼びかけています。テントや車内など狭く密閉された空間で燃焼器具を使うのは避け、就寝中の使用はしないでください。頭痛や吐き気、めまいを感じたら、すぐに換気して外気に触れられる場所へ移動しましょう。

カセットこんろ・石油ストーブの換気不足による不完全燃焼と一酸化炭素中毒のおそれは、NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)の注意喚起「カセットこんろ 4.換気不足による不完全燃焼」「石油ストーブ 9.換気不足による不完全燃焼」にもとづきます。カセットこんろを調理以外の用途に使用しないこと、大きな調理器具を使わないこと、2台以上並べて使用しないこと、ストーブの近く(暖房機のそばなど高温になる場所)にカセットボンベを置かないこと、いずれも熱がこもるとカセットボンベが過熱して爆発するおそれがあることは、東京消防庁「カセットこんろの誤使用・誤廃棄による事故に注意!」にもとづきます(同ページは一般社団法人 日本ガス石油機器工業会「カセットこんろ・カセットボンベの安全な使い方」を出典としています)。

車で暖をとる場合も同じ注意が必要です。総務省消防庁の防災危機管理eカレッジでは、車内に長時間滞在する場合はマフラーの除雪や換気による一酸化炭素中毒の防止を行うことが挙げられています。積雪で排気口がふさがれた状態でエンジンをかけ続けるのは危険です。

一方、外出を避けて自宅にいる場合の注意として同じページに挙げられているのが、FF式暖房機の給排気口付近の除雪です。車内と自宅では気をつける場所が違う、と分けて覚えておくとよいでしょう。

家のまわりも同様です。内閣府(防災担当)の「市町村のための降雪対応の手引き」(令和7年11月改訂)には、自治体が住民に呼びかける協力依頼の例として、FFストーブ・風呂釜・給湯器などの排気口が雪で埋もれていないか確認することが挙げられています(北海道北見市の広報紙から一部抜粋し、内閣府が修正したものです)。また同じ手引きには、消費者庁がまとめた歩行型ロータリ除雪機の事故防止の注意喚起例(啓発チラシ)も掲載されており、そのなかで、作動中の除雪機の排気には一酸化炭素が多く含まれるため屋内で作動させることは大変危険であり、始動・停止も含めて屋外で使うことが示されています。大雪のあとは、雪かきのついでに排気口の周囲を見ておく習慣をつけたいところです。

車内滞在時のマフラー除雪・換気による一酸化炭素中毒の防止と、FF式暖房機の給排気口付近の除雪(外出を避け自宅にいる場合の注意)は、総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ 1.大雪・暴風雪への備え」にもとづきます。FFストーブ・風呂釜・給湯器などの排気口が雪で埋もれていないかの確認は、内閣府(防災担当)「市町村のための降雪対応の手引き(令和7年11月改訂)」に住民への協力依頼例として掲載されたもの(広報きたみ2017年12月号から一部抜粋し内閣府が修正)です。除雪機の排気に一酸化炭素が多く含まれるため屋内で作動させないことは、同手引きに「歩行型ロータリ除雪機の事故防止の注意喚起例(啓発チラシ)」として掲載された消費者庁の注意点にもとづきます。

大雪で半日ほど停電したとき、カイロを何枚も貼ったのに全然温まらなくて不思議でした。あとで気づいたのですが、フローリングに座布団一枚で座っていたのが原因でした。翌年に銀マットを買って敷いたら、同じ格好でもまったく違いました。順番が大事だというのは、身をもって納得しています。
北関東の戸建てで在宅避難を想定する読者

家族分のそろえ方|優先順位をつけて少しずつ

一度に全部そろえる必要はありません。効きやすい順に足していけば、負担も分散できます。

  1. 1

    1. 家にあるものを数える

    毛布・布団・フリース・厚手の靴下・ニット帽を数え、家族の人数分あるかを確認します。ここで足りないものが「買うべきもの」です。
  2. 2

    2. 床の冷えを断つ一枚を用意する

    銀マットなど断熱マットを、まず1人1枚を目標に。安価なロール式でも十分効果があります。段ボールを数枚とっておくのも有効です。
  3. 3

    3. 局所加温の消耗品をストックする

    使い捨てカイロを、家族の人数×1日2〜3枚×3日分を目安に箱で備えます。使用期限を確認し、冬に使い切って買い足します。
  4. 4

    4. 持ち出し袋に軽い保温を入れる

    アルミブランケットを人数分、持ち出し袋と車に入れておきます。かさばらないので分散配置しやすい備えです。
  5. 5

    5. 主力の寝袋・湯たんぽを足す

    冬の停電が長引く想定なら、温度表示を見て寝袋を。カセットこんろがあるなら、お湯を入れるタイプの湯たんぽも役立ちます。

メモ

家族の中でいちばん寒がる人、いちばん自分で調節しにくい人(乳幼児・高齢の家族)から優先してそろえるのが基本です。子どもは体が小さく熱を奪われやすい一方、寒さをうまく言葉にできないことがあります。大人用の余りを使い回すより、その人に合ったサイズを用意するほうが結果的に効きます。

あわせて読みたい

停電への備えと停電時の過ごし方|明かり・電源・冷蔵庫の現実的な対策

よくある質問

まず何から買えばよいですか
家にある毛布や防寒着を数えたうえで、足りなければ床の冷えを断つ断熱マット(銀マットなど)から用意するのがおすすめです。冷たい床に直接寝ると体の熱が逃げ続けるため、上に何を重ねても暖まりにくくなります。そのうえで使い捨てカイロを箱で備え、持ち出し袋にアルミブランケットを入れ、最後に寝袋や湯たんぽといった主力を足していくと無理なくそろえられます。
寝袋はどの温度表示のものを選べばよいですか
多くの寝袋には快適使用温度(コンフォート)や下限温度(リミット)といった表示があります。お住まいの地域の冬の最低気温を調べ、それより余裕のある快適使用温度のものを選ぶのが目安です。表示は標準的な体格・服装を前提とした目安なので、寒がりの方や子ども・高齢の家族にはさらに余裕を見てください。停電した室内は屋外ほど下がらないとしても外気温に近づいていくため、屋内用と考えて甘く見ないほうが安全側です。
カイロを貼ったまま寝ても大丈夫ですか
避けてください。NITEは、カイロについて就寝時に使用しないこと、同じ部位に長時間当てないこと、ベルトなどで圧迫しないことを呼びかけています。低温やけどは温かく心地よいと感じる程度の温度でも長時間皮膚が触れていると起こり、皮膚の深いところまで達して見た目より重症になる場合があります。皮膚の変色や痛み、違和感があるときは自己判断せず、皮膚科など専門の医療機関を受診してください。
湯たんぽは停電中でも使えますか
お湯を入れるタイプであれば、カセットこんろなどでお湯を沸かせる前提で使えます。電子レンジで温めるタイプや通電して温めるタイプ(充電式・電気蓄熱式)は電気が必要なので、停電中は使えません。停電を想定するなら、お湯を入れるタイプとカセットこんろ・ボンベをセットで備えておくと確実です。使う前には亀裂や漏れがないか点検し、指定された加熱方法・加熱時間を守ってください。
避難所には毛布や暖房が用意されていますか
内閣府のガイドラインでは、避難所の寒さ対策として初動での毛布による寒さの緩和や、マット・簡易ベッドの設置、冷暖房器具・設備の備蓄・確保が求められています。ただし発災直後にどれだけ届くかは状況によって変わります。自分と家族の分の保温は家庭側でも用意しておき、避難所での過ごし方や必要な物資については、自治体や避難所運営者の案内を確認してください。
停電中に石油ストーブやカセットガスストーブを使ってもよいですか
換気を必ず行うことが前提です。NITEは、カセットこんろや石油ストーブについて、換気が不十分だと酸素が不足して不完全燃焼となり、一酸化炭素濃度が上昇して中毒に至るおそれがあると注意を呼びかけています。一酸化炭素は無色無臭で気づきにくいため、狭く密閉された空間での使用や、就寝中の使用は避けてください。頭痛や吐き気を感じたらすぐ換気し、外気に触れられる場所へ移動しましょう。
アルミブランケット1枚あれば冬を越せますか
1枚で完結させるのは難しいと考えてください。軽くて安く、放射で逃げる熱を抑える助けになりますが、床からの冷えは断てず、内側が結露して衣類が湿ることもあります。衣類の重ね着や断熱マットと組み合わせる補助として位置づけ、持ち出し袋の携帯用と家に置く主力の備えを分けて考えるのが現実的です。

まとめ|順番を守れば、少ない出費でも暖かくなる

冬の停電・避難の備えは、高価な道具をそろえることよりも、順番を間違えないことが効きます。まず重ね着で熱を逃がさない、次に断熱マットで床からの冷えを断つ、最後にカイロや湯たんぽで足りない分を足す。この3層の順番で見直すと、家にあるものを活かしながら無理なく整えられます。

停電・避難にそなえる防寒・保温チェック

  • 家にある毛布・防寒着・厚手の靴下を数え、家族の人数分あるか確認する
  • 床の冷えを断つ断熱マット(銀マット等)を1人1枚を目標に用意する
  • 使い捨てカイロを人数×1日2〜3枚×3日分を目安に備え、使用期限を確認する
  • アルミブランケットを持ち出し袋と車に人数分入れておく
  • 冬の停電が長引く想定なら、温度表示を見て寝袋を選ぶ
  • 湯たんぽを備えるならカセットこんろ・ボンベもセットで用意し、使う前に点検する
  • カイロ・湯たんぽは就寝時に体へ当て続けない(低温やけどの予防)
  • 屋内で燃焼器具を使うときは必ず換気する。就寝中は使わない
  • カセットこんろは暖房代わりに使わない(調理の範囲で使う)

保温グッズは、買って終わりではなく、冬のうちに一度使ってみることで初めて自分の家に合うかが分かります。寝袋を一晩使ってみる、湯たんぽを実際に沸かして入れてみる。そうした小さな試運転が、「もしも」を「いつも」に近づけてくれます。実際の避難や健康に関する判断は、自治体や公的機関、医療機関の最新の情報を優先してください。

夏の停電対策と対にして考えたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

あわせて読みたい

停電・猛暑の暑さ対策グッズの選び方比較|電源が要らない冷却グッズで熱中症を防ぐ

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事

防災グッズ

避難生活の睡眠グッズの選び方比較|マット・寝袋・アイマスクで休養を守る

避難所・在宅避難・車中泊では睡眠と休養の質が健康を左右します。床の冷えを断つマット、保温する寝袋、光と音を防ぐアイマスク・耳栓、軽量なアルミ保温シートの4タイプを、断熱性・収納サイズ・衛生・価格の観点で比較し、無理なく休める環境の整え方をまとめました。

防災グッズ

停電・猛暑の暑さ対策グッズの選び方比較|電源が要らない冷却グッズで熱中症を防ぐ

2026年の夏も全国的に高温の予想。停電でエアコンが止まると室内でも熱中症の危険が高まります。電源に頼りすぎない冷却グッズを、扇風機・ネッククーラー・冷感タオル・保冷剤の4タイプで比較し、冷やし方・稼働時間・携帯性・価格の目安から選ぶ視点を整理します。