噴火警戒レベルの読み方|1〜5は何が違う?岩手山のレベル引下げから考える火山の備え


2026年8月27日、気象庁は岩手山の噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)へ引き下げました。2024年10月2日から約1年11か月続いたレベル2からの引下げです。火山のニュースは「レベルが上がった」ときに大きく報じられがちですが、実際にはこうして下がることもあります。つまり噴火警戒レベルは、上下しながら「いま、どこまでが危ないか」を伝え続けている指標です。落ち着いているいまこそ、読み方を覚えておくのに向いたタイミングだと思います。この記事では、気象庁と内閣府の資料をもとに、レベル1から5がそれぞれ何を意味し、家庭や旅先で何をすればよいのかを整理します。
本記事の制度・数値は、気象庁「噴火警戒レベルの説明」「噴火警報・予報の説明」「活火山とは」およびリーフレット「噴火警報と噴火警戒レベル」、内閣府(防災担当)「火山対策」およびリーフレット「火山への登山のそなえ」にもとづきます。火山ごとの規制や避難の判断は、お住まいの自治体および気象庁の最新の発表を優先してください。
岩手山の「レベル引下げ」は何を意味していたのか
まず、今回のニュースの中身を気象庁の報道発表で確認します。気象庁の発表によると、岩手山では西岩手山の大地獄谷付近のごく浅いところで膨張を示す地殻変動が認められたため、令和6年(2024年)10月2日に噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)へ引き上げられていました。その後、2026年7月中旬以降は山体膨張を示す地殻変動が認められなくなり、地震活動も7月中旬以降は低調な状態が続き、ほかの観測データにも火山活動の高まりを示す変化はみられなくなりました。これらのことから、西岩手山の想定火口から概ね2kmの範囲に影響を及ぼす噴火の可能性は低くなったと判断され、8月27日11時00分にレベル2からレベル1(活火山であることに留意)へ引き下げられた、という経過です。
注目したいのは、引下げの理由が「観測データに変化がみられなくなったこと」で説明されている点です。レベルは予言ではなく、観測にもとづいて「いまどこまでが危ないか」を更新している値だとわかります。
一方で、レベル1になったからといって何もなくなったわけではありません。気象庁は同じ発表のなかで、想定火口内では火山灰・火山ガス・熱水等が突発的に噴出する可能性があること、特に大地獄谷付近では火山ガスの噴出や地熱の高まりがみられるため注意が必要なことをあわせて示し、地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないよう呼びかけています。
メモ
岩手山の経過と時刻は、気象庁「岩手山の噴火警戒レベルを1へ引下げ」(令和8年8月27日 報道発表資料)によります。レベル1のキーワードが平成27年5月18日に「平常」から「活火山であることに留意」へ変更されたことと、その理由が「活火山であることを適切に理解できるよう」であることは、気象庁「よくお寄せいただくご質問(火山について)」および「地震・火山月報(防災編)平成30年1月」の特集「噴火警戒レベル運用開始から10年」によります。本記事は2026年9月4日時点の内容です。最新の噴火警戒レベルは気象庁「火山に関する情報の発表状況」でご確認ください。
噴火警戒レベルとは|「範囲」と「行動」がセットになった指標
気象庁の説明によれば、噴火警戒レベルとは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と、防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標です。ポイントは、数字だけが示されるのではなく、危ない範囲と、その範囲に対して誰が何をするかがセットになっていることです。
この「範囲」と「行動」は、気象庁が単独で決めているわけではありません。活動火山対策特別措置法にもとづき、火山のある地域の都道府県・市町村・気象台・砂防部局・自衛隊・警察・消防・火山専門家等で構成される火山防災協議会が、平常時から噴火時の避難について共同で検討しています。そこで合意された避難開始時期・避難対象地域が市町村や都道府県の地域防災計画に定められた火山で、噴火警戒レベルの運用が始まります。だからこそ、レベルが上がると自治体は入山規制や避難指示などの対応を迅速にとることができます。
レベル1から5の一覧
気象庁のリーフレット「噴火警報と噴火警戒レベル」に示された区分を、表に整理します。
| レベル | キーワード | 対象範囲 | 火山活動の状況 | 住民等の主な行動 | 登山者・入山者への対応 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5 | 避難 | 居住地域及びそれより火口側 | 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫している状態にある | 危険な居住地域からの避難等が必要(状況に応じて対象地域や方法等を判断) | (原資料に記載なし。住民等の行動に準じます) |
| 4 | 高齢者等避難 | 居住地域及びそれより火口側 | 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される(可能性が高まってきている) | 警戒が必要な居住地域での高齢者等の要配慮者の避難、住民の避難の準備等が必要(状況に応じて対象地域を判断) | (原資料に記載なし。住民等の行動に準じます) |
| 3 | 入山規制 | 火口から居住地域近くまで | 居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される | 通常の生活(今後の火山活動の推移に注意。入山規制)。状況に応じて高齢者等の要配慮者の避難の準備等 | 登山禁止・入山規制等、危険な地域への立入規制等(状況に応じて規制範囲を判断) |
| 2 | 火口周辺規制 | 火口周辺 | 火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される | 通常の生活(状況に応じて火山活動に関する情報収集、避難手順の確認、防災訓練への参加等) | 火口周辺への立入規制等(状況に応じて火口周辺の規制範囲を判断) |
| 1 | 活火山であることに留意 | 火口内等 | 火山活動は静穏。火山活動の状態によって、火口内で火山灰の噴出等が見られる(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ) | 通常の生活(状況に応じて火山活動に関する情報収集、避難手順の確認、防災訓練への参加等) | 特になし(状況に応じて火口内への立入規制等) |
表は気象庁リーフレット「噴火警報と噴火警戒レベル」(令和4年3月)および気象庁「噴火警戒レベルの説明」の区分にもとづき、本記事で読みやすく整理したものです。原資料ではレベル5・4の「登山者・入山者への対応」欄に記載がないため、本記事では「(原資料に記載なし。住民等の行動に準じます)」と補記しています。気象庁「噴火警戒レベルの説明」の注記のとおり、住民等の主な行動と登山者・入山者への対応には代表的なものが記載されており、避難・高齢者等避難や入山規制の対象地域は火山ごとに火山防災協議会での共同検討を通じて地域防災計画等に定められています。火山活動の状況によっては、具体的な対象地域があらかじめ定められた地域とは異なることがあります。
レベルは、警報・予報のどれとして発表されるか
噴火警戒レベルは単独で発表されるものではなく、噴火警報・噴火予報に付けて発表されます。気象庁の整理では、対応は次のようになります。
- レベル5・4は、「警戒が必要な範囲」が居住地域まで及ぶため、噴火警報(居住地域)として発表されます。これは特別警報に位置づけられています
- レベル3・2は、「警戒が必要な範囲」が火口周辺に限られるため、噴火警報(火口周辺)、または火口周辺警報として発表されます
- レベル1は、噴火予報として発表されます
つまり、テレビやアプリで「噴火警報(居住地域)」という言葉を見たら、それは居住地域に危険が及ぶ段階の特別警報だ、と読み替えられます。海底火山の場合は噴火警報(周辺海域)として発表されます。
注意
レベルが設定されていない火山もある
ここが意外と知られていない点です。気象庁は全国111の活火山を対象に噴火警報・予報を発表していますが、噴火警戒レベルはすべての活火山で運用されているわけではありません。
活火山とは、気象庁の定義では「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」です。2003年に火山噴火予知連絡会がこの定義に改めて以降、追加を経て現在は111とされています。2024年4月には、活動火山対策特別措置法の改正で設置された火山調査研究推進本部において、当面は火山噴火予知連絡会の定義にもとづく111の火山を活火山とすることが決定されています。
そのうち、火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山として選定され、気象庁が24時間体制で監視しているのが常時観測火山です。気象庁の説明ページによると、噴火警戒レベルは常時観測火山である51火山のうち、49火山(令和8年3月現在)で運用されています。つまり、111の活火山のうちレベルが付いているのは一部で、残りはレベルなしで噴火警報・予報が発表される仕組みです。
ヒント
レベル以外に、家庭が知っておくとよい火山の情報
気象庁は噴火警報・予報のほかにも、いくつかの火山情報を発表しています。名前が似ていて混同しやすいので、家庭の目線での使いどころとあわせて並べます。
| 情報の名前 | どんなときに出るか | 家庭での使いどころ |
|---|---|---|
| 噴火速報 | 噴火警報が発表されていない常時観測火山で噴火が発生した場合など。火山名と噴火した時刻のみを速やかに伝える | 登山中・旅行中に真っ先に身を守る行動をとる合図。プッシュ通知で受け取れるようにしておく |
| 火山の状況に関する解説情報(臨時) | 噴火警戒レベルの引上げ基準には達していないが、今後の推移によっては引き上げる可能性があると判断した場合、または判断に迷う場合 | 登山や旅行の予定を見直すかどうかの判断材料。出発前に必ず見ておきたい |
| 火山の状況に関する解説情報 | 現時点でレベルを引き上げる可能性は低いが、火山活動に変化がみられるなど状況を伝える必要があると判断した場合 | 平時の様子見。地域の火山の「ふだん」を知るのに役立つ |
| 噴火に関する火山観測報 | 噴火が発生したことや、発生時刻・噴煙高度・噴煙の流れる方向等を噴火後直ちに知らせる | 噴煙がどちらへ流れるかを知り、降灰に備える |
| 降灰予報 | 噴火後に、どこにどれだけの火山灰が降るかを知らせる。活動が活発化している火山では事前の情報も発表される | 洗濯物、外出、車の運転、窓の開閉を決める |
| 火山ガス予報 | 居住地域に長期間影響するような多量の火山ガスの放出がある場合に、濃度が高まる可能性のある地域を知らせる | 該当地域での外出や換気の判断 |
各情報の定義は気象庁「知識・解説『火山』」および「噴火速報の説明」「火山ガス予報の説明」によります。火山ガス予報について、気象庁は現在発表している火山はないとしています(2026年9月4日閲覧時点)。
火山ハザードマップと自治体の避難計画を確認する
噴火警戒レベルは「範囲」を示す指標なので、自宅や職場がその範囲に入るのかを知らないと使いこなせません。そこで出てくるのが火山防災マップ(火山ハザードマップ)です。内閣府と気象庁の資料でも、火山に登る前や火山の近くで暮らす場合に、火山防災マップで危険な場所と避難場所を確認しておくことが基本とされています。地図は市町村が作成しているので、まずは自治体の防災担当部署のページを見るのが近道です。
内閣府が公表している火山災害警戒地域の一覧によると、令和6年8月1日現在で、50火山について23都道県・179市町村(延べ203市町村)が火山災害警戒地域に指定されています。これは活動火山対策特別措置法にもとづく指定で、指定された市町村と都道府県は火山防災協議会を設置し、避難計画などの検討を進めています。ご自宅の市町村がこの一覧にあるかどうかを一度確かめておくと、「わが家は火山防災の対象地域なのか」がはっきりします。
- 1
自分の市町村が火山災害警戒地域かを確認する
内閣府の火山災害警戒地域の一覧で、市町村名を探します。載っていれば、その火山について避難計画の検討が進められている地域です。 - 2
市町村の火山防災マップを入手する
自治体サイトで「火山防災マップ」「火山ハザードマップ」を探します。紙で配布されている場合もあります。噴火警戒レベルごとの避難対象地域が色分けされている地図が多く、レベルと地図をセットで見るのがコツです。 - 3
自宅・職場・学校の位置に印をつける
大きな噴石や火砕流の想定範囲に入るのか、降灰が中心なのかで、備えの重点が変わります。家族それぞれの日中の居場所も確認します。 - 4
避難場所と、そこまでの経路を歩いて確かめる
火山では風向きや火口の位置で安全な方向が変わることがあります。複数のルートを見ておくと安心です。 - 5
家族の集合場所と連絡手段を決める
噴火は突然起きることがあります。ハザードマップの確認と同じ日に、連絡ルールも決めてしまうのが効率的です。
ハザードマップと家族の避難計画の作り方はこちら
ハザードマップの見方と家族の避難計画|「いつ・どこへ・どうやって」を決める
なお、地形そのものを知りたいときは国土地理院の火山基本図・火山土地条件図も参考になります(本記事執筆時点で一覧に掲載されているのは、火山基本図が50火山ぶん、火山土地条件図が35火山ぶんで、いずれも国土地理院の一覧ページを筆者が数えた掲載数です)。避難の判断に使う地図はあくまで市町村の火山防災マップですが、「この谷筋は何なのか」を知る手がかりになります。
現象ごとに、家庭でできる備えを分ける
火山と一口に言っても、起きる現象によって必要な備えはまったく違います。ここが火山防災のわかりにくいところなので、現象ごとに分けて整理します。
事前に離れるしかない現象|大きな噴石・火砕流・融雪型火山泥流
気象庁は、噴火警報で主に警戒を呼びかける現象として、大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流を挙げています。いずれも、発生から短時間で火口周辺や居住地域に到達し、避難までの時間的猶予がほとんどない現象です。気象庁の説明では、噴火によって火口から吹き飛ばされる概ね20〜30cm以上の大きな噴石は風の影響をほとんど受けずに弾道を描いて飛散し、火砕流は温度数百度・最大時速100km以上に達し、融雪型火山泥流は時速60kmを超えることもあるとされています。
これらは「発生を確認してから避難するのでは間に合わない」ため、噴火警報を活用した事前の避難や入山規制が必要だと明記されています。家庭でできることは、グッズを増やすことではなく、レベルが上がったら規制範囲に入らない・早めに離れると決めておくことです。
注意
屋内に入ることで守れる現象|小さな噴石
風に流されて降る小さな噴石は、大きな噴石とは扱いが異なります。気象庁のリーフレットによると、強風時には10km以上流されることがあり、概ね1cm以上のものから被害が生じ、車の窓ガラスを割ったり人に当たればけがのおそれがあります。降灰予報では、この小さな噴石の落下範囲も示され、1cm以上の小さな噴石に対しては屋内退避が示されています。
つまり、屋外にいるときに小さな噴石や降灰の情報が入ったら、まずは頑丈な建物に入る、というのが基本の動きになります。ただしこれは小さな噴石と降灰に対する行動です。大きな噴石や火砕流の警戒が必要な範囲にいる場合は屋内退避では足りず、事前に範囲外へ離れておくことが前提になります。登山中に噴火速報を受け取ったときは、気象庁が示すとおり、直ちに下山する、シェルターや避難小屋に退避する、近くの岩陰に隠れるなど、その場の状況に応じた行動をとってください。
生活が長く続く現象|降灰
降灰は、命に直接かかわる危険度は相対的に低い一方で、広い範囲に長く影響するのが特徴です。気象庁は降灰予報で、降灰量を3つの階級に分けて、とるべき行動を示しています。
| 降灰量の階級 | 厚さの目安 | とるべき行動 |
|---|---|---|
| 多量 | 1mm以上 | 運転や外出を控える |
| やや多量 | 0.1〜1mm | マスク等で防護、徐行運転 |
| 少量 | 0.1mm未満 | 窓を閉める、車窓の除灰 |
気象庁の資料では、火山灰が目に入ったり大量に吸い込んだりした場合、目・鼻・のど・気管支に異常が出たり、ぜんそくの症状が悪化するおそれがあるとされています。また、雨が降ると火山灰が固まり、5mm程度の降灰でも道路や鉄道が利用できなくなるおそれがあること、電柱のがいしに火山灰が付着して停電を引き起こすことも示されています。
家庭の備えとしては、防じん用のマスクとゴーグル、窓のすき間対策、灰を集めるための袋や道具、そして停電・断水に備えた水と食料が中心になります。降灰の備えを詳しく整理した記事もあわせてご覧ください。
富士山噴火を想定した降灰対策はこちら
富士山噴火の降灰にどう備える|家庭でできる火山灰対策(内閣府ガイドライン)
防じんマスクの選び方の比較はこちら
防災用マスクの選び方比較|防じんマスク(DS2・N95相当)とサージカルマスクの違い
降灰量の階級ととるべき行動、小さな噴石の落下範囲に関する数値は、気象庁リーフレット「降灰予報〜火山灰・小さな噴石から身を守るために〜」(平成28年3月)によります。
見えないぶん注意したい現象|火山ガス
火山ガスは、噴煙や噴石と違って目に見えません。内閣府と気象庁のリーフレットでは、登山者が被害を受けた事例として、1997年9月15日に福島県の安達太良山の沼ノ平火口内で、溜まっていた硫化水素による中毒で登山者4名が亡くなった事故が紹介されています。冒頭の岩手山でも、レベル1へ引き下げたあとの注意事項として大地獄谷付近の火山ガスの噴出が挙げられていました。
内閣府(防災担当)は、火山に登るときの注意として、噴気孔や噴気地帯の窪地などの危険な場所には絶対に立ち入らないよう呼びかけています。「風下」だけでなく「くぼんだ地形」を避ける、と覚えておくと実践しやすくなります。
火山のある地域で、家庭に足しておきたいもの
- 市町村の火山防災マップ(紙で1部。冷蔵庫や玄関など家族が見る場所に)
- 防じん用のマスク(家族分。子どもサイズも)とゴーグル
- 窓やドアのすき間をふさぐテープ類、灰を集める丈夫な袋
- 水と食料の備蓄(降灰時は買い物・物流が止まりやすいため)
- 停電に備えたライト、モバイルバッテリー、電池式ラジオ
- 噴火警報・噴火速報のプッシュ通知が届くアプリの設定
- 家族の集合場所と連絡手段のメモ
旅行や登山で活火山に行くときの事前確認
火山は、住んでいる人だけの問題ではありません。人気の登山ルートや温泉地が活火山であることは珍しくなく、内閣府のリーフレットも「登山者に人気のある山が活火山であることがあります」と述べ、2014年9月27日の御嶽山の噴火で死者・行方不明者63名の被害が発生したことなどを紹介しています。行かない理由を探す必要はありませんが、出発前に数分の確認をしておくかどうかで、当日の判断の速さが変わります。
- 1
行き先が活火山かどうかを調べる
気象庁の「火山登山者向けの情報提供ページ(全国)」で、火山ごとの噴火警報や解説情報の発表状況を確認できます。旅行先の温泉やハイキングコースが活火山の周辺ということもあります。 - 2
噴火警戒レベルと臨時の解説情報を確認する
レベルが2以上なら規制の範囲を必ず確かめます。レベルが上がっていなくても「火山の状況に関する解説情報(臨時)」が出ていれば、活動が活発化している可能性があります。内閣府のリーフレットも、登る前に臨時の解説情報が出ていないか確認するよう案内しています。 - 3
地元自治体の規制情報を見る
実際の登山道の通行止めや入山規制は、市町村や県が出します。気象庁のレベルと自治体の規制の両方を見るのが確実です。 - 4
登山届を出し、家族と共有する
平成27年の活動火山対策特別措置法の改正で登山届の提出は努力義務となり、令和5年の改正(令和6年4月施行)では、地方公共団体が登山届等の提出の容易化に配慮することが規定され、オンライン提出の導入などが進められています。提出方法は、オンライン、登山届ポストへの投函、警察署への郵送・FAX・メール等があります。緊急連絡者として家族や友人を登録できる仕組みもあります。 - 5
装備に火山向けの一手を加える
内閣府の資料では、火山防災マップ、携帯電話と予備バッテリー、雨具、タオル、ヘッドライト、ゴーグル、ヘルメット、非常食と飲料水、登山地図とコンパスが挙げられています。ヘルメットとゴーグルは、火山では小さな噴石と降灰の両方に効く装備です。 - 6
現地では噴気孔・窪地に近づかない
噴気孔や噴気地帯の窪地などの危険な場所には絶対に立ち入らないこと、異常を発見したら下山するとともに市町村・警察・消防へ速やかに連絡すること、噴火時は山小屋や岩陰などに一時避難し、ヘルメット・ゴーグルを着用してマスクや湿らせたタオルなどで口を覆うこと、噴火が収まったら直ちに下山することが示されています。避難したあとの行動は、自治体や現地の指示にしたがってください。
ヒント
登山前の確認事項と装備は、内閣府(防災担当)・気象庁のリーフレット「火山への登山のそなえ」(令和8年3月作成)および内閣府「火山への登山のそなえ」ページ、登山届に関する制度は内閣府「登山届がオンラインで提出できることをご存じですか?」および「活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第60号)の概要」によります。
8月26日「火山防災の日」を、わが家の点検日にする
令和5年の活動火山対策特別措置法の改正により、8月26日が「火山防災の日」として定められました(令和6年4月1日施行)。明治44年(1911年)8月26日に、日本で最初の火山観測所が浅間山に設置され、観測が始まった日にちなんでいます。同法では、火山防災の日には防災訓練等その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めることも定められています。
この改正では、ほかにも避難確保計画の作成等に対する市町村長の援助、情報通信技術を活用した迅速・的確な情報伝達、火山に関する専門人材の育成、文部科学省への火山調査研究推進本部の設置などが盛り込まれました。国全体として、噴火が起きる前の予防的な備えを強めていく方向にあります。
家庭でできることは小さくて構いません。年に1回、8月26日の前後に、火山防災マップを開いて家族で位置を確かめる。アプリの通知設定を見直す。マスクとゴーグルの在庫を数える。それだけでも、いざレベルが上がったときの動き出しが変わります。カレンダーに繰り返しの予定として入れてしまうのがいちばん続きます。
メモ
まとめ|レベルは上下する。だから「読み方」を持っておく
岩手山のレベル引下げは、火山活動が落ち着いたという明るいニュースであると同時に、噴火警戒レベルが観測にもとづいて上下する生きた指標であることを、あらためて教えてくれました。
覚えておきたいのは3つだけです。1つ目は、レベルは「どこまでが危ないか」と「誰が何をするか」を示す指標で、数字より範囲と行動を見ること。2つ目は、レベルは順番どおりに動くとは限らず、レベルのない火山もあるので、噴火警報・予報や噴火速報、解説情報もあわせて見ること。3つ目は、家庭の備えの出発点は火山防災マップで、そこから降灰・停電・断水の備えにつながっていくことです。
火山のある地域に暮らす方も、旅行や登山で訪れる方も、まずは地図を一枚開くところから始めてみてください。最終的な避難や規制の判断は、お住まいの自治体と気象庁が発表する最新の情報を優先してください。
噴火警戒レベルが1に下がったら、もう安全ということですか?
レベルは必ず1、2、3と順番に上がるのですか?
近くの山に噴火警戒レベルの表示がありません。危険がないということですか?
レベル4とレベル5は何が違うのですか?
火山防災マップはどこで手に入りますか?
降灰があったとき、外出はどう判断すればよいですか?
出典・参考
- 岩手山の噴火警戒レベルを1へ引下げ(報道発表資料/令和8年8月27日)/気象庁
- 噴火警戒レベルの説明/気象庁
- 噴火警報・予報の説明/気象庁
- リーフレット「噴火警報と噴火警戒レベル」(令和4年3月)/気象庁
- 知識・解説「火山」(気象庁の火山の情報とその解説)/気象庁
- 活火山とは/気象庁
- 噴火速報の説明/気象庁
- 火山ガス予報の説明/気象庁
- リーフレット「降灰予報〜火山灰・小さな噴石から身を守るために〜」(平成28年3月)/気象庁
- 火山登山者向けの情報提供ページ(全国)/気象庁
- 火山対策/内閣府防災情報のページ
- リーフレット「火山への登山のそなえ」(令和8年3月作成)/内閣府・気象庁
- 火山への登山のそなえ/内閣府防災情報のページ
- 活動火山対策特別措置法/内閣府防災情報のページ
- 活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第60号)の概要/内閣府
- 登山届がオンラインで提出できることをご存じですか?(制度PR資料)/内閣府
- 火山災害警戒地域(令和6年8月1日現在)/内閣府
- 8月26日は「火山防災の日」/内閣府
- 命にかかわる「火山災害」噴火警戒レベルを理解し、防災情報をチェックしましょう/政府広報オンライン
- 火山の地図について/国土地理院
- 火山基本図/火山基本図データ/国土地理院
- 火山土地条件図/火山土地条件図データ/国土地理院
- よくお寄せいただくご質問「火山について」/気象庁
- 火山に関する情報の発表状況/気象庁
- 地震・火山月報(防災編)平成30年1月 特集「噴火警戒レベル運用開始から10年」/気象庁
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