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家庭用の非常用発電機の選び方比較|長期停電に備える「屋外で使う」4タイプ

ツムギ・住まいの防災・ライフライン担当
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家庭用の非常用発電機の選び方比較|長期停電に備える「屋外で使う」4タイプ

停電が数時間なら、モバイルバッテリーで足ります。丸1日から2日なら、ポータブル電源とソーラーパネルでしのげます。では、それを超えて停電が続いたら。戸建てで、屋外に安全な運転場所を取れる家庭に限られますが、そこから先を支える選択肢が「燃料で発電する機器」です。この記事では、家庭向けの非常用発電機を、屋外で使うことを大前提に整理して比較します。

ヒント

この記事にはアフィリエイト広告を含みます。紹介する商品は「選び方の目安」を示すための代表的なタイプであり、特定の型番を断定的に推奨するものではありません。価格・在庫・仕様は変動するため、購入前に各販売サイトの最新情報を必ずご確認ください。

まず押さえたい|発電機とポータブル電源は役割が違う

同じ「非常用電源」と呼ばれますが、両者は性格がまったく違います。ポータブル電源は、あらかじめためておいた電気を取り崩す道具です。静かで排気が出ないため屋内で使えますが、ためた分を使い切ればそこで終わります。一方の発電機は、ガソリンやカセットガスを燃やしてその場で電気をつくる道具です。燃料を足せば発電し続けられますが、排気が出るため屋外でしか使えません。

長期の停電は、実際に起きています。千葉県によると、令和元年房総半島台風(台風第15号)では最大64万1,000軒が停電し、県の検証報告書にも「解消までに長期間を要した」と記されています。数時間の停電と、復旧に1週間以上を要するような長期の停電では、必要な備えが変わります。

停電の規模と長期化については、千葉県「令和元年房総半島台風(台風第15号)」および同県の検証報告書の記述によります。復旧にかかる時間は災害の規模・地域・設備の被害状況によって大きく異なります。

ポータブル電源を1台買って安心していましたが、2日目の夜に残量が尽きて、そこから先がまったくの手つかずだと気づきました。家に庭がある我が家なら、発電機という選択肢もあるのかもしれないと考えるようになりました。
郊外の戸建てで家族4人と暮らす読者

ポータブル電源そのものの選び方は別記事にまとめています。この記事は「燃料で発電する機器」に絞ってお読みください。

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選ぶ軸5つ|燃料・出力・騒音・保管と法規制・始動性

発電機は、次の5つの軸で見比べると自分の家に合うかどうかを判断しやすくなります。

  1. 1

    燃料(カセットガス/ガソリン)

    カセットボンベ式は、ふだんカセットこんろで使っているボンベをそのまま燃料にでき、備蓄を共用できるのが利点です。ガソリン式は同じ大きさでも出力を取りやすく連続運転時間も長めですが、燃料の保管に消防法令上の注意が伴います。
  2. 2

    出力(定格出力と最大出力)

    国産の家庭向けインバーター発電機では定格出力だけが示されることが一般的ですが、機種によっては定格出力に加えて最大出力(瞬間最大)が併記されます。どちらの表記でも継続して使えるのは定格出力のほうです。最大出力は起動時など短時間だけ許容される値なので、使いたい家電の合計は定格出力の範囲に収まるように考えます。なお出力が「kVA」で書かれている機種もあります。kVAは皮相電力の単位で、力率1.0なら1.6kVAは約1,600Wにあたります。
  3. 3

    騒音

    運転音は、7メートル離れた位置の騒音値(dB)で表示されることが多い項目です。これは法令で決まった値ではなく、メーカーが定格の運転音を示すときの慣行的な表記です。住宅が近い場所で夜間まで動かすことを想定するなら、静かなタイプかどうかは実用上かなり効きます。
  4. 4

    保管と法規制

    ガソリンは消防法令上の危険物です。運ぶときは基準に適合した金属製の携行缶が必要で、家に置く量そのものにも消防法と市町村の火災予防条例による区分があります。カセットボンベは高圧ガスを使った可燃性の製品で、40度未満の場所での保管が求められます。どちらも「買えば済む」ものではなく、置き場所まで含めて考える必要があります。
  5. 5

    始動性とメンテナンス

    いざというときにエンジンがかかるかどうかは、ふだんの手入れで決まります。長期保管の前に燃料を抜くこと、年に1回程度は試運転をすること。この手間を続けられるかどうかが、実は最大の分かれ目です。

メモ

波形の質も見ておくと安心です。インバータータイプは家庭のコンセントに近い安定した波形(正弦波)を出せるため、パソコンや通信機器のような精密機器にも使いやすいとされます。非インバーターの標準タイプは波形が乱れやすく、精密機器への使用は製品ごとに可否が異なります。実際に使う機器との相性は、発電機と家電の双方の取扱説明書で確認してください。

騒音の見方|住宅地では「静かさ」が実用性を左右する

長期停電のとき、動かしたいのはたいてい夜です。近所も同じように停電しているぶん、ふだんより運転音が目立ちます。カタログの騒音値(7メートル離れた位置のdB表示)は、機種選びの現実的な判断材料になります。この「7メートル」は法令で定められた測定条件ではなく、メーカーが定格運転時の音を示すときに広く使われている表記の慣行です。同じ条件どうしの比較には使えますが、実際の聞こえ方は設置場所や周囲の反射によって変わります。

環境省の「騒音に係る環境基準」では、専ら住居の用に供される地域などで昼間55デシベル以下・夜間45デシベル以下が基準値とされています(昼間は午前6時から午後10時まで、夜間は午後10時から翌日午前6時まで)。これは発電機の運転音に直接あてはめる基準ではありませんが、住宅地でどのくらいの音なら受け入れられるかを考える手がかりになります。

ヒント

静音性を重視するならインバータータイプが有利です。負荷に応じてエンジン回転数を抑える仕組みを持つ機種が多く、同じ出力帯でも運転音を抑えやすくなっています。あわせて、深夜は運転を止めて照明はポータブル電源でまかなう、といった時間帯の使い分けも考えておくと近所づきあいの面で安心です。

必要な出力の考え方|家電ごとの消費電力の目安

「何ワットの機種を選べばよいか」は、停電中に何を動かしたいかで決まります。家電の消費電力は本体や説明書の定格表示に書かれているので、まずは自宅の実物を確認するのが確実です。下表は一般的な目安で、製品によって幅があります。

使いたいもの消費電力の目安起動時の注意
スマホ・タブレットの充電10〜20W程度特になし
LEDライト・LEDスタンド5〜60W程度特になし
ノートパソコン50〜100W程度精密機器。波形の安定したタイプが向く
液晶テレビ(32〜43型)50〜150W程度特になし
扇風機・サーキュレーター20〜50W程度モーターあり。起動時に一時的に増える
電気毛布50〜80W程度特になし
石油ファンヒーター燃焼中は10〜30W程度点火時に数百W必要な機種が多い。マイコン制御。波形の安定したインバータータイプが向く
冷蔵庫(400L級)運転中は60〜150W程度(機種差が大きい)コンプレッサー起動時に定格の数倍かかる機種がある。インバーター制御機は起動がゆるやかで小さめのことも
炊飯器・電子レンジ・電気ケトル700〜1,500W程度消費電力が大きく、複数同時は難しい

ポイントは2つあります。1つは、モーターやコンプレッサーを持つ家電(冷蔵庫、ポンプ、扇風機など)は、機種によっては動き出す瞬間に定格の数倍の電力が必要になることがあるため、余裕を見て選ぶこと。インバーター制御の機種は回転数をゆるやかに上げるため起動時の増加が小さい場合もありますが、どちらかは外から判断しにくいので、余裕を持たせておくほうが安全です。もう1つは、加熱系の家電(電子レンジ、ケトル、ドライヤー)は単体で1,000Wを超えることです。

上表の消費電力は、一般に市販されている製品の定格表示から編集部がまとめた目安で、公的機関が定めた基準値ではありません。同じ種類の家電でも容量・年式・省エネ性能によって幅があるため、実際の数値は必ずお手元の製品本体の定格表示(銘板)や取扱説明書でご確認ください。

ヒント

目安としては、900W級なら「照明・スマホの充電・扇風機のような小型家電を同時に数点まで。電子レンジやケトルなど1,000Wを超える加熱系は動かせない」、1,600〜2,000W級なら「冷蔵庫を動かしつつ照明とスマホ」といった使い方が現実的です。使いたい家電を紙に書き出し、定格表示のワット数を足し算してから機種を選ぶと、買ってから足りないという失敗を避けられます。

安全に使うための鉄則|一酸化炭素中毒を絶対に起こさない

ここが、この記事でいちばん大切な部分です。発電機の排気には一酸化炭素(CO)が多く含まれます。無色・無臭で気づきにくいうえ毒性が非常に強く、屋内使用による死亡事故が実際に起きています。

注意

発電機は屋内では絶対に使用しないでください。室内・車内・物置・倉庫・テント内はすべて屋内と同じ扱いです。屋外でも、ベランダなどの窓や玄関の近く、車庫・ガレージの近く、テントの近く、温室・ハウスの近くでは排気が流入するおそれがあるため使用しないよう、消費者庁が注意喚起しています。

消費者庁「携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!」(令和3年8月25日)の本体資料(PDF)によると、東京都の実験では、居室内で発電機を使用した場合に一酸化炭素濃度が10分程度で1,600ppm(2時間の吸入で死に至るとされる値)に達しました。また製品評価技術基盤機構(NITE)は2025年8月28日の注意喚起で、2020年から2024年までの5年間に携帯発電機の事故21件、カセットボンベ等の事故204件が寄せられ、発電機の事故は屋内使用による一酸化炭素中毒で死亡に至る割合が高いと公表しています。

そのうえで、運転時の基本を押さえておきます。日本陸用内燃機関協会が経済産業省の監修で公開している啓発リーフレットと、消費者庁の注意喚起に示された注意点をまとめると、次のようになります。

発電機を動かすときの基本

  • 屋外の風通しのよい場所で、排気を人家や人に向けない
  • 建物やその他の設備からは、製品ごとに取扱説明書で定められた距離を離して置く(排気を建物に向けない)
  • 平坦で堅い場所に水平に置く。傾斜地や砂利の上では使わない
  • 本体を囲ったり箱をかぶせたりしない。周囲に紙くず・油脂類など燃えやすいものを置かない
  • 雨や水のかかる場所では使わない。ぬれた手で操作しない
  • 燃料の補給は必ずエンジンを止めてから、換気のよい場所で行う
  • 運転中や停止直後の本体・マフラーは高温。触れない、物を載せない
  • その場を離れるときはエンジンを止め、機器のプラグを抜く
  • 音・におい・振動に異常を感じたらすぐエンジンを止める
  • 長期保管の前には燃料タンクと気化器内の燃料を抜いておく

メモ

買ったあと一度も動かしていない発電機は、いざというときに始動しないことがあります。年に1回、防災の日や季節の点検にあわせて、屋外で短時間の試運転をしておくと安心です。取扱説明書の「長期間使用しない際の手入れ」の項も、そのときに読み返しておきましょう。

燃料の保管|ガソリンとカセットボンベで気をつけることが違う

燃料は「発電機とセットで備えるもの」です。ただし、種類によって扱いが大きく異なります。

ガソリンは消防法令上の危険物です。ここでは「どんな容器で運ぶか」と「家にどれだけ置けるか」を分けて考えると整理しやすくなります。

まず運ぶときの容器です。ガソリンの運搬には基準に適合した金属製の携行缶が必要で、ポリタンクに入れて運ぶことは禁止されています。国民生活センターによると、携行缶は落下試験・気密試験・内圧試験などの基準に適合している必要があり、運搬容器としての最大容積は1缶あたり22リットルと消防法令で規定されています。これは容器1つあたりの上限を定めた運搬の基準であって、「家庭で保管してよい量は22リットルまで」という意味ではありません。取り扱いとしては、高温になる場所に置くと内圧が上がり、キャップを外したときに噴き出す危険があるため、直射日光の当たる場所や温度変化の大きい場所を避け、エア調整ねじのある缶ではこまめに圧力調整を行います。

次に家に置く量です。こちらは容器の基準とは別に、消防法と市町村の火災予防条例による数量の区分で決まります。

注意

家庭で保管できるガソリンの量や必要な手続きは、消防法と市町村の火災予防条例で決まります。ガソリンの指定数量は200リットルで、その5分の1にあたる40リットル以上200リットル未満(少量危険物)を貯蔵・取り扱う場合には条例に基づく消防署長への届出が、200リットル以上では市町村長等の許可が必要とされます。届出の様式や細目は自治体によって異なります。保管を考えるときは、量と置き場所を決める前に、お住まいの地域の消防署に確認してください。

ガソリンの指定数量200リットルと、その5分の1以上(少量危険物)で届出・指定数量以上で許可という区分は、大阪市消防局「危険物規制について」および横浜市消防局「許可や届出が必要な危険物の量」の説明によります。携行缶の最大容積22リットルは、国民生活センターが示す運搬容器としての消防法令上の規定です。

ガソリンの容器詰替え販売については、危険物の規制に関する規則の改正により、令和2年2月1日から、購入者の本人確認・使用目的の確認・販売記録の作成が義務づけられています(総務省消防庁)。ガソリンスタンドで携行缶に詰めてもらう際は、身分証の提示を求められると考えておきましょう。また大阪市消防局は、セルフスタンドで「お客様自らガソリンを容器に入れて購入することは、消防法令で禁止されています」と案内しています。容器での購入は従業員に依頼する必要があり、保安上の理由から容器販売を行っていない店舗もあります。

カセットボンベは高圧ガスを使った可燃性の製品です。NITEは「使用機器から取り外し、室内の40度未満の場所に保管する」ことを呼びかけています。東京消防庁も、暖房機やガスこんろの近く、直射日光の当たる車内など高温になる場所に置かないよう注意を促しています。経年劣化によるさびやガス漏れの事故も報告されているため、古いボンベを使い続けず、ローリングストックで入れ替えていくのが安全です。

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停電への備えと停電時の過ごし方|明かり・電源・冷蔵庫の現実的な対策

タイプ別に比較|代表的な4タイプ

ここまでの軸をふまえ、代表的な4タイプを整理します。特定の型番ではなく「こういうタイプ」という括りで、価格帯の目安とあわせて紹介します。価格や仕様は変動するため、購入前に各サイトで最新の表示をご確認ください。

タイプ燃料出力の目安向いている家庭
カセットボンベ式インバーターカセットガス定格700〜900W級燃料の備蓄を簡単にしたい。初めての1台
ガソリン式インバーターガソリン定格1,600〜2,000W級(1.6〜2.0kVA級)冷蔵庫を含めて動かしたい。静音も重視
ガソリン式スタンダードガソリン定格2,000W超(2.0kVA級以上)コストを抑えて出力を確保したい
ポータブル電源+ソーラー不要定格1,000〜2,000W級(別に容量1,000Wh前後)集合住宅。屋内で使いたい。燃料を扱いたくない

メモ

単位の読み分けに注意してください。W(ワット)とkVA(キロボルトアンペア)は「一度にどれだけの家電を動かせるか」という出力の単位で、力率1.0なら1.6kVAは約1,600Wにあたります。一方のWh(ワットアワー)はポータブル電源の「ためられる電気の量」を表す容量の単位で、出力とは別の値です。ポータブル電源は容量1,000Whでも同時に取り出せる出力は定格1,000〜2,000W級、というように2つの数字を分けて確認します。

カセットボンベ式インバーター発電機(900W級)

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カセットボンベ式インバーター発電機(900W級)

価格の目安: 900W級 5万〜13万円前後

カセットこんろ用のボンベをそのまま燃料にできるタイプ。ガソリンの保管という悩みがなくなり、備蓄をこんろと共用できるのが最大の利点です。出力は照明・スマホ・小型家電が中心になりますが、「まず1台」を屋外で安全に使える戸建て家庭には現実的な選択肢です。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

ガソリン式インバーター発電機(1,600〜2,000W級)

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ガソリン式インバーター発電機(1,600〜2,000W級)

価格の目安: 定格1.6〜2.0kVA級(約1,600〜2,000W)5万〜25万円前後

冷蔵庫を含めて複数の家電を動かしたい家庭向けの中核タイプ。波形が安定していて精密機器にも使いやすく、負荷に応じて回転数を落とすため運転音も抑えやすい構成です。そのぶん燃料の保管ルールを守れることが前提になります。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

ガソリン式スタンダード発電機(2,000W超・コスト重視)

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ガソリン式スタンダード発電機(2,000W超・コスト重視)

価格の目安: 定格2.0〜2.8kVA級(約2,000〜2,800W)3万〜15万円前後

同じ出力ならインバータータイプより価格を抑えやすい標準タイプ。投光器や電動工具のように波形の質を問わない用途には向きますが、運転音が大きめで、精密機器への使用は機種ごとに可否が分かれます。敷地に余裕があり、近隣との距離を取れる家庭向けです。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

ポータブル電源+ソーラーパネル(燃料不要・屋内でも使える併用の選択肢)

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ポータブル電源+ソーラーパネル(燃料不要・屋内でも使える併用の選択肢)

価格の目安: 容量1,000Wh級+100Wパネルで10万〜15万円前後(セット構成により幅があります)

排気が出ないため屋内で使え、運転音もほとんどありません。ためた分を使い切ると止まりますが、日中にソーラーパネルで充電を継ぎ足せば、晴天なら使い続けられます。集合住宅にお住まいの方や、燃料を扱いたくない家庭にはこちらが第一候補です。発電機を持つ家庭でも、夜間用として併用する価値があります。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

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集合住宅では発電機は現実的ではない|その場合の代替

マンションやアパートでは、発電機を安全に動かせる場所を確保するのが難しいのが実情です。ベランダは窓のすぐ外で、排気が室内や上下階へ流れ込むおそれがあります。共用廊下や駐車場、駐輪場も、避難経路であったり管理規約で使用が制限されていたりします。前述のとおり、消費者庁の注意喚起でもベランダなどの窓や玄関の近く、車庫・ガレージの近くは使用しない場所として挙げられています。

注意

集合住宅で「ベランダなら屋外だから大丈夫」と考えるのは危険です。窓や換気口から排気が室内に入り込み、自宅だけでなく上下階・隣戸の住民が一酸化炭素中毒になるおそれがあります。燃料の保管についても、管理規約で禁止されている場合があります。

集合住宅で長期停電に備えるなら、ポータブル電源とソーラーパネルの組み合わせが基本の形になります。加えて、カセットこんろで湯を沸かせるようにしておく、乾電池式のライトとラジオを分けて持つ、といった「電気に頼らない手段」を厚くしておくほうが現実的です。

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よくある質問

ベランダで発電機を使ってもよいですか
避けてください。消費者庁の注意喚起では、屋外であってもベランダなどの窓や玄関の近く、車庫・ガレージの近く、テントの近くは排気が流入するおそれがあるため使用しないよう示されています。排気に含まれる一酸化炭素は無色・無臭で気づきにくく、屋内使用による死亡事故も起きています。
定格出力と最大出力は、どちらを基準に選べばよいですか
継続して使えるのは定格出力のほうです。国産の家庭向けインバーター発電機では定格出力だけの表記が一般的ですが、機種によっては最大出力(瞬間最大)が併記されます。最大出力は起動時など短時間だけ許容される値なので、使いたい家電の合計消費電力が定格出力の範囲に収まるように選びます。冷蔵庫のようにモーターやコンプレッサーを持つ家電は、機種によっては動き出す瞬間に定格の数倍の電力が必要になることがあるため、余裕を見て選んでください。なお出力がkVAで示されている場合、力率1.0なら1.6kVAは約1,600Wにあたります。
ガソリンは家に何リットルまで置けますか
置ける量と必要な手続きは、消防法と市町村の火災予防条例で決まります。ガソリンの指定数量は200リットルで、その5分の1にあたる40リットル以上200リットル未満(少量危険物)で消防署長への届出が、200リットル以上で許可が必要とされますが、細目は自治体により異なります。保管を考える前に、お住まいの地域の消防署に確認してください。なお、よく知られている「携行缶の最大容積22リットル」は容器1つあたりの運搬容器の基準であって、家庭での保管上限を示す数字ではありません。運ぶときは基準に適合した金属製の携行缶を使い、ポリタンクでの運搬は禁止されています。
カセットボンベ式とガソリン式、どちらが家庭向きですか
初めての1台なら、燃料の保管がしやすいカセットボンベ式が扱いやすいでしょう。カセットこんろと備蓄を共用でき、消防法令上の危険物の保管という課題も生じません。一方で冷蔵庫を含めて動かしたい、連続運転時間を長く取りたいという場合はガソリン式が有利です。燃料の保管ルールを守れるかどうかで選ぶとよいでしょう。
買ったまま何年も動かしていない発電機は使えますか
そのままでは始動しないことがあります。日本陸用内燃機関協会の啓発リーフレットでは、長期保管の前に燃料タンクと気化器(キャブレータ)内の燃料を抜いておくこと、点検や清掃は必ずエンジンを止め、各部が十分に冷えてから行うことが案内されています。加えて、年に1回程度は屋外で短時間の試運転をして始動を確かめておくと安心です(こちらは編集部の提案です)。実施の前に、取扱説明書の「長期間使用しない際の手入れ」の項もあわせて確認してください。
発電機があればポータブル電源は不要ですか
併用をおすすめします。発電機は屋外専用で運転音もあるため、夜間や屋内での利用には向きません。日中に発電機で電気をつくり、その電気でポータブル電源を充電しておき、夜は静かなポータブル電源で照明とスマホをまかなう、という使い分けが現実的です。
停電中に発電機から家の配線へ電気を送れますか
家庭の分電盤へ直接つなぐことは、感電や火災、復旧作業者の事故につながるおそれがあるため行わないでください。発電機は本体のコンセントに機器を直接つないで使うのが基本です。家全体への接続を考える場合は、電気工事店や電力会社に相談してください。

まとめ|「屋外で安全に使える家か」から考える

非常用発電機は、長期停電を支える力がある一方で、置き場所と使い方を誤ると命に関わる道具でもあります。だからこそ、機種選びの前に「自宅の屋外に、窓や玄関から離れた風通しのよい運転場所を取れるか」を確認してください。ここで無理があるなら、発電機ではなくポータブル電源とソーラーパネルを厚くするほうが安全で現実的です。

場所を取れるなら、次は使いたい家電から必要な定格出力を決め、燃料の保管が続けられるかで種類を選びます。そして年に1回の試運転を習慣にしておく。ここまでそろって、はじめて「もしも」に間に合う備えになります。

今日からの一歩

  • 自宅の屋外に、窓・玄関から離れた風通しのよい運転場所があるか確認する
  • 停電中に動かしたい家電を書き出し、本体の定格表示でワット数を確認する
  • カセットガス式かガソリン式か、燃料の保管を続けられるかで決める
  • ガソリンを保管するなら、量と手続きを地域の消防署に確認する
  • カセットボンベは40度未満の場所に保管し、古いものから使って入れ替える
  • 年に1回、屋外で試運転をして始動を確かめる日を決めておく
  • 夜間用にポータブル電源を併用し、発電機と役割を分けておく

災害時の判断は、お住まいの自治体や公的機関が出す最新の情報を優先してください。備えの道具は、あくまで暮らしを支える手段です。安全に使える形で少しずつ整えていくことが、「もしも」を「いつも」に近づける一歩になります。

出典・参考

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