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オール電化・太陽光の家が停電したら|自立運転コンセント・蓄電池・エコキュートの水を平時に確かめる

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オール電化・太陽光の家が停電したら|自立運転コンセント・蓄電池・エコキュートの水を平時に確かめる

キッチンはIHクッキングヒーター、お風呂とキッチンのお湯はエコキュート、屋根には太陽光パネル。そんな家は珍しくなくなりました。そして「太陽光があるから停電しても平気ですよね」と聞かれることも増えました。実際には、太陽光パネルが載っているだけでは、停電した瞬間に家のコンセントはすべて使えなくなります。使うには、平時に一度も触ったことがないかもしれない切り替え操作が必要です。逆に、エコキュートの貯湯タンクには数百リットルの水が入っていて、断水したときの生活用水として活かせる可能性があります。

つまりオール電化の家は、停電に弱い面と、意外に持っている資源の両方があります。この記事では、資源エネルギー庁・経済産業省・国民生活センターなどの公開情報と、各メーカーが公開している取扱い情報をもとに、「何が止まるか」「何が使えるか」「平時に何を確かめておくか」を順番に整理します。作業手順そのものは機種によって大きく異なるため、最後は必ずご自宅の取扱説明書と設置業者の案内にしたがってください。

自立運転機能の手順は資源エネルギー庁「停電時の住宅用太陽光発電パネルの自立運転機能について」(令和元年9月9日)および太陽光発電協会(JPEA)「停電時でも電気が使えます」、被災設備の取り扱いは経済産業省「破損・浸水した太陽電池発電設備による感電事故防止について」、貯湯タンクの固定は国民生活センター「地震による転倒の防止策」にもとづきます。給湯機の操作手順はメーカー・機種で異なるため、ダイキン工業・パナソニック・三菱電機が公開する情報を例として参照しています。実際の操作は、ご自宅の機器の取扱説明書と設置業者・自治体の最新の案内を優先してください。

停電すると、オール電化の家では何が止まるのか

最初にやりたいのは、難しい理屈ではなく「わが家で電気を使っているものを書き出す」ことです。オール電化の家は、調理・給湯・暖房・換気という生活の土台がすべて電気に乗っています。ふだんは意識しませんが、停電すると同時に止まるので、代わりの手段を持っているかどうかで数日間の暮らしやすさが変わります。

止まるものと、代わりになるもの

設備・機能停電するとどうなるか代わりに考えられる手段・注意
IHクッキングヒーター使えない。ロックや設定も操作できないカセットこんろとカセットボンベ。屋外用のガスバーナーは屋内で使わない
電気給湯機(エコキュート等)の運転沸き上げ・ふろ自動・追いだきなどの運転が止まる。タンクにお湯が残っていても機能は限られる湯を沸かす手段(カセットこんろ)、体を拭く用のウェットタオル
蛇口・シャワーからのお湯機種によって「出る場合」と「原則出ない場合」がある。温度調節はできない熱湯が出ることがあるため必ず湯温を確かめる
電気暖房(エアコン、電気ストーブ、床暖房)使えない衣類・寝袋・湯たんぽなど電気を使わない保温
24時間換気・レンジフード止まる窓を開けての換気。屋内でこんろを使うときは特に重要
電動シャッター、電動ガレージ、宅配ボックスの一部電動操作ができない。手動解除の方法が用意されている製品が多い手動解除のレバー位置と手順を平時に確認しておく
給水ポンプで加圧している集合住宅の水道ポンプが止まると水も出なくなることがある飲料水の備蓄、風呂の水の残し置き
インターホン、電気錠、ホームエレベーター使えない、または非常時の動作に切り替わる鍵の物理キーの場所を確認しておく

メモ

パナソニックがエコキュートの非常時対応として案内しているように、集合住宅などでポンプを使って給水している場合は、停電すると給湯機からお湯が出なくなります(断水と同じ状態になります)。戸建てと集合住宅では、同じ停電でも起きることが違うと考えておくと想定を立てやすくなります。

「お湯が出る家」と「出ない家」がある

意外に知られていないのが、停電中に蛇口からお湯が出るかどうかは機種によって違うという点です。

パナソニックは、エコキュートについて「停電時にもお湯が出せます」「シャワーや蛇口からお湯が使えます」と案内したうえで、湯温調節ができないため高温のお湯や水が出る場合があること、必ず湯温を確かめてから使うこと、タンクのお湯がなくなると水が出ること、ふろ自動・追いだき・沸き上げはできないことを示しています。

一方、三菱電機は自社エコキュートについて、対象となる形名のタイプではシャワーや蛇口からお湯を使用できる(断水時を除く)としつつ、それ以外の機種は原則として蛇口からお湯は使えない(ただし水は出る)と、機種を分けて案内しています。停電時はタンクにお湯があれば給湯できるものの、温度調整ができないため設定温度と異なる温度のお湯が出ることがあり、高温になる場合もあるのでやけどに注意するようにとも書かれています。

同じ「エコキュートのある家」でも、メーカーと年式で結論が変わるということです。だからこそ、平時に自宅の機種名を控えておく価値があります。

注意

停電中に蛇口からお湯が出る機種でも、温度調節は効きません。高温のお湯が出ることがあるため、いきなり手や体にかけず、指先などで湯温を確かめてから使ってください。小さな子どもがいる家庭では、停電中は子どもだけで蛇口を使わせないという約束を先に決めておくと安心です。

停電時のお湯の可否と注意事項は、パナソニック「もしもの備え(エコキュート断水・停電時の対応)」および三菱電機「三菱 エコキュート 停電時・断水時の処置に関するお知らせ」によります。記載は機種・年式により異なるため、ご自宅の取扱説明書をご確認ください。

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太陽光発電があっても、そのままでは家のコンセントは使えない

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

住宅用の太陽光発電は、ふだんは電力会社の系統とつながった「連系運転」で動いています。停電すると、パワーコンディショナ(パワコン)は系統から切り離され、家のコンセントへの電気の供給も止まります。太陽が照っていても、そのままでは電気は使えません。

そこで用意されているのが自立運転機能です。資源エネルギー庁は「停電時の住宅用太陽光発電パネルの自立運転機能について」という資料で、屋根などに太陽光発電パネルを設置している人は、停電時でも自立運転機能で電気を使うことができると案内しています。太陽光発電協会(JPEA)も、同じ趣旨のページを設けています。

自立運転への切り替え手順

資源エネルギー庁とJPEAが示している手順は、次のとおりです。ただし両者とも「メーカーや機種により操作方法が異なる場合もありますので、必ず取扱説明書をご確認ください」と明記しています。ここに書くのはあくまで全体の流れです。

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    自立運転用コンセントの位置を確認する

    機種により、パワコンの側面、屋内の壁、廊下の足もと、屋外など設置場所はさまざまです。シャープは、屋外設置のパワコンの場合は室内や廊下の足もと、屋外に設けられることがあり、屋内設置の場合はパワコン側面または別途設置されると説明しています。ラベルで示されていることもあり、わからない場合は販売店に確認するよう案内されています。
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    取扱説明書で自立運転モードへの切り替え方法を確かめる

    操作の場所がパワコン本体か、モニター(エネルギーコントローラやリモコン)かは機種によります。自動で切り替わる製品もあります。
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    主電源ブレーカーをオフにする

    分電盤の主幹ブレーカーです。
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    太陽光発電ブレーカーをオフにする

    分電盤の中の、太陽光発電用の子ブレーカーです。
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    自立運転モードに切り替える

    ここで初めて、自立運転用コンセントに電気が来ます。
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    自立運転用コンセントに必要な機器を接続して使う

    家中のコンセントが使えるようになるわけではありません。使えるのは専用コンセントだけです。延長コードが必要になることが多いので、平時に用意しておきます。
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    停電が復旧したら必ず元に戻す

    資源エネルギー庁と北九州市の案内では「自立運転モード解除、太陽光発電用ブレーカーをオン、主電源ブレーカーをオン」の順、JPEAのページでは「自立運転モード解除、主電源ブレーカーをオン、太陽光発電ブレーカーをオン」の順と示されています。順序の書き方が資料によって異なるため、ここは必ずご自宅の取扱説明書のとおりに行ってください。
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    連系運転(通常)モードに戻っていることを確認する

    JPEAは最後の確認として、連系運転モードになっていることを確かめるよう案内しています。ここを忘れると、停電が明けても発電した電気を通常どおり使えない状態が続くことがあります。

手順は資源エネルギー庁「停電時の住宅用太陽光発電パネルの自立運転機能について」(令和元年9月9日)、太陽光発電協会(JPEA)「停電時でも電気が使えます」、北九州市「停電時の住宅用太陽光発電パネルの自立運転機能について」によります。自立運転用コンセントの設置場所の例はシャープの案内によります。復旧時の操作順序は資料により表記が異なるため、必ず取扱説明書を優先してください。

使える電力の目安と、つないではいけないもの

自立運転は「太陽が出ていれば家中が普通に動く」機能ではありません。使える電力には上限があります。

京セラは、自社の太陽光発電システムについて、自立運転で使用できる電気は最大1500Wであると案内しています。シャープは、自立運転時の定格出力はパワーコンディショナにより異なるとしたうえで、太陽電池パワーコンディショナは1.5kVA、ハイブリッドパワーコンディショナは機種により1.5kVAまたは2.0kVA、蓄電池連携型パワーコンディショナは5.5kVAという数値を、対応する機種名とともに公開しています(蓄電池のみで使う場合は、接続する蓄電池の機種によって値が変わるとも書かれています)。太陽光だけの機種は1.5kVA、蓄電池を組み合わせた機種のほうが大きい、という並びになっています。

なお、Wは実際に消費される電力(有効電力)、kVAは電圧と電流を掛けた皮相電力で、意味の異なる単位です。1500Wと1.5kVAを同じものとして読み替えず、ご自宅の上限は取扱説明書の「定格出力(自立運転時)」の欄で確認してください。

そして上限以上に注意したいのが、つないでよい機器の考え方です。シャープが自立運転用コンセント(専用コンセント・専用配線)について「つながないでください」と警告しているのは、人命に直接かかわる医療機器および人身の損傷に至る可能性のある装置と、灯油やガスを用いた暖房機器の2つです。京セラも「自立運転の電源を使用する際、生命に関わる機器は絶対に接続しないでください」と案内しています。

これとは別に、シャープは、停電時はモーターで作動する機器(掃除機、冷蔵庫、エアコン、洗濯機など)、運転開始時に大きな電流が流れる機器、アースを必要とする機器(温水便座など)、特定の電流波形を持つ機器(一部のドライヤーなど)は「使用できない場合があります」とも案内しています。こちらは接続禁止ではなく、つないでも動かないことがある、という意味合いです。禁止と、動かないかもしれない、は分けて覚えておくと迷いません。

理由はシンプルで、自立運転の電気は雲がかかっただけでも不安定になり、突然止まることがあるからです。止まって困るもの、止まると危険なものはつながない、というのが基本になります。

使いやすいもの注意が必要なもの
スマートフォン・タブレットの充電冷蔵庫などモーターで作動する機器(メーカーが「使用できない場合がある」としている)
モバイルバッテリー・ポータブル電源への充電電子レンジ、ドライヤー、電気ケトルなど消費電力の大きい機器
LEDライト、扇風機などの小型家電人命に直接かかわる医療機器・人身の損傷に至る可能性のある装置、灯油やガスを用いた暖房機器(メーカーが接続を禁止している)
ノートパソコン、ラジオ、Wi-Fiルーター途中で止まると困る作業(データ保存中のパソコンなど)

ヒント

停電時にいちばん効くのは、自立運転用コンセントで直接家電を動かすことよりも、日が出ているうちにモバイルバッテリーやポータブル電源に充電しておくことです。電気を「使う」のではなく「ためる」ことに使えば、夜間や雨天の時間帯にも回せます。急に止まっても被害が小さいという点でも、充電は自立運転と相性のよい使い道です。

夜と雨の日は使えない

京セラは「夜間や雨天時は発電しませんので、電気を利用することはできません」と明記しています。シャープも、太陽光のみの場合は発電していないときは使用できないこと、天候の変化により使用できる電力が変動することを示しています。

これは弱点というより、性質です。晴れた日中に電気を確保して、夜に備える。この使い方に頭を切り替えておくと、停電した日の動き方が組み立てやすくなります。

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平時に一度、家族全員で試しておく

JPEAは「停電時に備え、平常時にあらかじめ『自立運転機能』の操作方法を確認しておくことをお奨めいたします」と案内しています。これは本当にそのとおりで、停電した夜に、懐中電灯を口にくわえながら初めて取扱説明書を開くのは現実的ではありません。

平時に確かめておく太陽光まわりのこと

  • 自立運転用コンセントがどこにあるか(家族全員が場所を言えるか)
  • 自立運転モードへの切り替えが、パワコン本体かモニターか、自動か手動か
  • 切り替えの操作を実際に一度やってみて、元の連系運転に戻せたか
  • 自立運転で使える電力の上限(取扱説明書に書かれている数値)
  • 自立運転用コンセントまで届く延長コードがあるか
  • パワコンとパネルのメーカー・機種名、設置業者の連絡先
  • 取扱説明書の保管場所(紙が無ければPDFの保存先とスマホでの開き方)

注意

試すときは、いきなり本番と同じ操作をする前に、取扱説明書の該当ページを最後まで読んでください。切り替えの途中で家全体が一時的に停電状態になるため、デスクトップパソコンや録画中の機器がある場合は先に終了させておきます。不安がある場合は、設置業者や販売店に操作方法を確認するのが確実です。
屋根に載せて8年、自立運転は一度も触ったことがありませんでした。休日にやってみたら、コンセントは廊下の足もとにあって、家族の誰も知らなかった場所でした。延長コードが2mでは届かず、あわてて買い足しました。試さないとわからないことばかりです。
戸建てで小学生と暮らす40代

蓄電池がある家は、何がどう違うのか

太陽光に蓄電池を組み合わせている家では、停電時の様子がかなり変わります。日中に貯めた電気を夜も使えますし、多くの機種は停電を検知して自動的に放電へ切り替わります。

ただし、ここでよく誤解が生まれます。「蓄電池があるから停電しても家中いつもどおり」とは限らないという点です。

全負荷と特定負荷という考え方

住宅用の蓄電システムでは、停電時に電気を供給する範囲を、家全体にするか、あらかじめ決めた回路だけにするかという設計の違いがあります。一般に前者を全負荷型、後者を特定負荷型と呼びます。特定負荷型では、分電盤の中のいくつかの回路(たとえば冷蔵庫のあるキッチンと寝室の照明など)を工事のときに選んでおき、停電時はその回路だけが生きます。

京セラも、蓄電池を併設していると停電時に発電していなくても蓄電池から電気を供給でき、複数の家電を使えるようになると説明したうえで、特定負荷への設定という考え方があることに触れています。

見ておきたい点確認の仕方
停電時に使えるのは家全体か、決められた回路だけか蓄電池の取扱説明書と、工事時に受け取った書類。分電盤に印がついていることもある
特定負荷の場合、どの回路が対象か分電盤のラベル。冷蔵庫・照明・通信機器のどれが入っているかを家族で共有する
200Vの機器(IH、エアコンの一部)が使えるか機種と工事の設計による。使えない前提で代わりの手段を用意しておくと安全
停電時に自動で切り替わるか、手動操作が必要か取扱説明書の「停電時」の章
何時間くらい持つか蓄電容量と、そのとき使っている家電の消費電力で決まる。目安として計算しておく

メモ

全負荷か特定負荷か、200V機器が使えるかどうかは、機種と設置工事の設計によって決まります。カタログの一般論ではなく、ご自宅の機器の取扱説明書と、設置業者から受け取った書類で確認してください。中古で購入した住宅や、以前の所有者が設置したシステムの場合は、書類が残っていないこともあります。その場合は設置業者やメーカーの相談窓口に機種名を伝えて確認するのが早道です。

なお、蓄電池があると停電時の生活は確かに楽になりますが、水と食料、明かり、トイレの備えが不要になるわけではありません。地震では停電と断水が同時に起きることもあります。蓄電池は「暮らしの質を保つ道具」であって「備蓄の代わり」ではない、と位置づけておくと備えのバランスを崩さずにすみます。

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エコキュート・電気給湯機の水を生活用水として使う

ここからは、オール電化の家が持っている数少ない「資源」の話です。

エコキュート(ヒートポンプ給湯機)や電気温水器の貯湯タンクには、常に水が入っています。家庭用では370L、460Lといった容量が一般的で、国民生活センターの実態調査でも、設置された貯湯タンクの貯湯容量で最も多かったのは460Lタイプだったと報告されています。断水したとき、この水を生活用水として使える可能性があるというのが、オール電化の家の強みの一つです。

飲用ではなく、生活用水として

まず押さえておきたいのは用途です。ダイキン工業は、非常用水として取り出したお湯(水)について「飲料水としてのご使用は避けてください。生活用水としてのみご使用願います」と案内しています。パナソニックも非常用取水栓からの取水について「飲用はおさけください」と記載しています。

トイレを流す、手や体を拭く、掃除に使う、といった用途が中心になります。メーカーが示しているのは「生活用水」までで、食器洗いに使ってよいとは書かれていません。すすぎの水は口に入る可能性があるため、この水で食器を洗うのではなく、皿にラップをかけて使う、紙皿や紙コップを使うといった方法で、洗い物そのものを減らすほうが安全です。飲用にできるかどうかを自己判断せず、メーカーの案内と、断水時に自治体が出す情報にしたがってください。

注意

取水時は高温のお湯が出ることがあります。三菱電機は非常時の取水方法の資料で、給湯(取水)・排水時は熱湯が出ることがあるのでお湯に触らないよう注意を促しています。ダイキン工業も「火傷に十分気をつけて作業をお願いします」と案内しています。バケツで受ける、耐熱性のある容器を使う、子どもを近づけない、といった配慮をしてから作業してください。

取水の流れ(手順は機種ごとに違います)

各社の資料を並べると、大きな流れは似ています。ただし栓の位置、回す回数、必要なホースの有無は機種によって違います。ここでは全体像をつかむために整理しますが、実際の作業はご自宅の取扱説明書と、貯湯ユニット前面の注意ラベルにしたがってください。

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    本体の電源(漏電しゃ断器・電源レバー)を切る

    パナソニックは「本体の電源(漏電しゃ断機)を『切』にしてから、タンク下部の非常用取水栓から取り出してください」と案内しています。三菱電機の資料でも、最初の手順は電源レバーを下げて「切」にすることです。
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    機種によっては、脚部カバーの取水窓を開ける

    三菱電機の資料では、電源レバーを「切」にした次の工程として、脚部カバーの取水窓を開けることが示されています。取水窓が無い場合は脚部カバーを外し、脚部カバーが無い機種ではこの工程自体がありません。機種によって有無が分かれるところです。
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    給水配管専用止水栓を閉じる

    タンクへの給水を止めます。断水しているときにこれを閉じないままにしておくと、濁った水がタンクに入るおそれがあります。三菱電機は、断水したときや近くで水道工事があるときは給水配管専用止水栓を閉じるよう案内しています。
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    逃し弁のレバーを起こしてタンクに空気を入れる

    タンクは密閉されているため、空気を入れないと水が出てきません。三菱電機の手順では、逃し弁操作窓を開けてレバーを手前に起こすとされています。ダイキンの手順でも点検口を開けてレバーを上げる工程があります。
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    非常用取水栓にホースをつなぎ、栓を開ける

    機種により、ホースが同梱されているもの、市販の耐熱ホースで代用できるもの、ホース不要のものがあります。ダイキンは、同梱のホースを紛失した場合に使う市販ホースの目安として、長さ25cm以上で耐熱90℃以上のホースを挙げ、栓を2回転以上回すと外れてしまうため回しすぎないよう注意しています。三菱電機の資料では、薄型タイプ以外は2回転から2回転半で全開、特定の機種は1回転から1回転半で全開と、機種ごとに数値が書き分けられています。同資料は、初めての操作時や長期間操作していない場合はハンドルが回りにくいことがあるため、操作時はけがに注意するようにとも記しています。かたいからと力任せに回さず、手を保護してゆっくり動かしてください。
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    バケツなどで受けて取り出す

    ダイキンは、使い始めは湯あか等が出るのでしばらく洗い流すよう案内しています。なお、パナソニックは、非常用取水栓からのみではすべてのお湯(水)を取水することはできず、タンク容量よりも実際に取り出せる量は少なくなると説明しています。「460Lタンクだから460L使える」ではない、という点は知っておいてください。
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    取水が終わったら栓を閉じ、カバーや窓を元に戻す

    開けた点検口や取水窓を閉じ、外したカバーがあれば取り付けます。

注意

タンクの水を抜いたあとの再開手順は、故障に直結するため特に慎重に行ってください。三菱電機の資料は「必ず満水にしてから電源を入れてください。故障の原因となります」と明記しています。パナソニックも、停電復帰後は注意ラベルと取扱説明書にしたがって満水にしてから使用するよう案内しています。断水が続いていて満水にできない間は、電源を入れずに待つ判断が必要になることがあります。判断に迷う場合は、販売店・設置業者に相談してください。

断水が復旧したときの注意

断水明けの水は、しばらく濁ることがあります。三菱電機は、断水時は蛇口の混合栓を水側にして蛇口を開けないこと、断水が復旧したら蛇口の水側を開き、水の汚れがなくなったのを確認することを案内しています。濁ったまま使い続けると、貯湯ユニットの給水ストレーナ部が目詰まりし、出湯量が減ることがあるとも書かれています。

「断水が明けたら、まず水側から少し流して確認する」。これはガスや電気にはない、水まわりならではの一手間です。

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地震で貯湯タンクが倒れないようにする

生活用水として頼りにするなら、そのタンクが地震で倒れないことが前提になります。ここには、公的機関の調査があります。

国民生活センターは2018年6月7日に「地震による転倒の防止策−電気給湯設備の貯湯タンクと家具・家電について−」を公表しました。この中で、貯湯タンクは常に満水を維持するため、大容量のタンクが転倒すると機器の故障だけでなく、まわりの建物を壊したり人に当たってけがをする危険性も考えられるとして、転倒防止策の重要性を指摘しています。

制度面では、2013年4月1日以降、国土交通省告示により貯湯タンクの転倒防止措置が義務化され、基準が明確化されたことが説明されています。一方で、モニター100件を調べた実態調査では、63件が改正告示一号に基づく太さ・本数のアンカーボルトを使用していませんでした(改正告示より前に設置されたものは違法というわけではない、と注記されています)。また、適切なボルトが使われていた36件のうち5件は、芯棒が根元まで打ち込まれていませんでした。

振動試験では、コンクリート基礎の上に置いただけの貯湯タンクは震度6弱相当の揺れで転倒し、芯棒を根元まで打ち込んでいないものは、試験中にアンカーボルトが抜けて転倒することがあったと報告されています。同センターは消費者へのアドバイスとして、貯湯タンクを設置する際は、設置事業者に国土交通省告示による転倒防止策や、告示に基づく各メーカー指定の転倒防止策を依頼するよう案内しています。

ヒント

すでに設置済みの家庭では、自分でボルトの太さを判定するのは難しいものです。給湯機の点検や買い替えの見積もりで業者に来てもらう機会に、「告示に基づく転倒防止措置になっているか見てほしい」と一言頼むところから始めるのが現実的です。タンクの倒れる先に、寝室の窓や、子どもの通り道、隣家の外壁が来ていないかを目視で確認しておくのも、今日できる一歩です。

貯湯タンクの転倒防止に関する記述は、国民生活センター「地震による転倒の防止策−電気給湯設備の貯湯タンクと家具・家電について−」(2018年6月7日公表)によります。試験結果は特定の給湯器・地震波・設置方法等の条件で実施したものであり、あらゆる条件で同様の結果になるわけではないと同センターが注記しています。

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被災した太陽光パネルには近づかない

停電の話から少し離れますが、太陽光発電のある家がいちばん気をつけたい安全上のポイントなので、必ず触れておきます。

経済産業省は、台風など豪雨による被害の発生を受けて、破損・浸水した太陽電池発電設備による感電事故防止の注意喚起を繰り返し出しています。令和3年7月5日の注意喚起では、次の点が示されています。

  • 破損・浸水した太陽電池発電設備は、接近すると感電するおそれがあるので、一般の住民も含めてむやみに近づかないこと
  • 太陽電池パネルは光が当たれば発電をすることがありえるため、素手で触ると感電するおそれがあること。周囲にロープを張るなど、関係者以外が不用意に立ち入らないような対策を行うこと
  • 被害の対処にあたっては、50kW未満の設備の場合は販売施工業者に、50kW以上の設備の場合は選任されている電気主任技術者に連絡し、太陽電池発電設備に充分な知見のある者が作業を行うようにすること
  • 復旧作業等でやむを得ず取り扱う場合は、ゴム手袋、ゴム長靴着用等の感電対策を行うこと。浸水した場合は、水が引いた後であっても集電箱内部やパワーコンディショナ内部に水分が残っていることも考えられ、触ると感電するおそれがあること

同省の資料では、太陽光パネルは災害等によって浸水・破損した場合でも発電を行う可能性があるため、破損箇所等に触れると感電する危険性があることが示されたうえで、自治体にも地域住民への周知が依頼されています。太陽光発電協会も、水没・浸水した太陽光発電システムへの接近や接触による感電のおそれについて注意を呼びかけています。

注意

「電気が止まっているのだからパネルも止まっているはず」という思い込みが、いちばん危険です。パネルは、系統からの電気とは関係なく、光が当たれば自分で発電します。屋根から落ちたパネル、割れたパネル、水に浸かったパワコンには、日中でも夜間でも近づかず、素手で触らないでください。片づけたい気持ちが出てきたときこそ、業者に連絡する場面です。

壊れたパネルの片づけと処分

環境省は「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」を公表しており、災害により破損した太陽光発電設備の取り扱いについても整理しています。地震・落雷・台風などで破損し、解体・撤去が必要になったものは、市町村が処理責任を負う災害廃棄物(一般廃棄物)として扱われる場合があります。感電のおそれがあるため自分で触らず、専門の業者に依頼すること、保管する際は感電や火災を防ぐために絶縁処理・遮光・雨水対策を行うことなどが示されています。

つまり、被災したパネルの処理は「粗大ごみに出す」話ではありません。自治体の災害廃棄物の案内と、設置業者への連絡が出発点になります。

被災した太陽電池発電設備の取り扱いは、経済産業省「破損・浸水した太陽電池発電設備による感電事故防止について(注意喚起)」(令和3年7月5日)、「浸水した太陽電池発電設備による感電事故防止について(注意喚起)」、経済産業省電力安全課「太陽電池発電設備による感電事故防止について」、太陽光発電協会「太陽光発電システムの水害時の感電の危険性について」、環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」によります。実際の撤去・処分は、お住まいの自治体の災害廃棄物の案内と、設置業者・専門業者の指示にしたがってください。

電気が戻るときこそ気をつける|通電火災とブレーカー

停電は、止まっているときより「戻るとき」に事故が起きやすいライフラインです。

内閣府は、大規模地震時に発生する火災のうち電気に起因するものが多くを占めることを踏まえ、感震ブレーカーの設置を呼びかけています。地震で停電したあと、倒れた電気ストーブや傷ついた配線が残ったまま電気が復旧すると、火災につながるおそれがあるためです。消防庁も感震ブレーカーの種類や特徴を紹介しています。

オール電化の家では、この論点がさらに重くなります。ガスこんろに比べて発熱する電気機器が多く、IHや電気暖房、乾燥機など、通電と同時に動き出す可能性のある機器が家の中に散らばっているからです。

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    避難で家を離れるときはブレーカーを落とす

    主幹ブレーカーを切ってから家を出ます。太陽光発電がある場合は、太陽光発電用ブレーカーも取扱説明書にしたがって扱います。
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    戻ってきたら、まず家の中を見て回る

    水漏れ、においの異常、倒れた電気製品、傷んだコードがないかを確認します。焦げたにおいや、水に浸かった配線・コンセントがある場合は、電気を入れる前に電気工事店や電力会社に相談します。
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    電気製品のプラグを抜いてからブレーカーを入れる

    まず主幹ブレーカーを入れ、次に子ブレーカーを一つずつ入れて、異常がないか確かめながら進めます。
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    太陽光発電を連系運転に戻す

    自立運転にしていた場合は、取扱説明書の順序で連系運転に戻し、モニターで通常モードになっていることを確認します。
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    給湯機は満水を確認してから電源を入れる

    非常用取水でタンクの水を抜いていた場合は、必ず満水にしてから電源を入れます。手順がわからない場合は販売店・設置業者に相談します。

感震ブレーカーと通電火災対策の詳しい記事はこちら

感震ブレーカーと通電火災対策|地震のあとの「電気の火事」を家庭で防ぐ

オール電化でも、そうでなくても、共通の備え

ここまで設備の話が続きましたが、停電時の暮らしを支えるのは、実はとても地味な道具です。オール電化かどうかにかかわらず、火を使う手段、明かり、水、保温と冷却の4つが共通の土台になります。

火を使う手段の中心はカセットこんろとカセットボンベです。停電時の食事と、お湯を沸かして体を拭くという衛生の両方を支えます。東京消防庁は、こんろを覆うような大きな調理器具を使わない、2台以上を並べて使わない、ボンベを正しくセットする、火気の近くや高温になる場所に置かないといった注意を呼びかけています。あわせて、テントや車内などで使用すると一酸化炭素(CO)中毒や酸欠になる場合があるとして、屋外であっても狭い空間では換気に注意するよう促しています。

ここは停電時にとくに注意したい部分です。停電中は24時間換気もレンジフード(換気扇)も止まっていて、ふだんなら勝手に入れ替わっていた空気が動きません。屋内でカセットこんろを使うときは、離れた2か所の窓を少し開けて空気の通り道をつくり、換気しながら使ってください。暖を取る目的で長時間つけっぱなしにするのは避け、寝るときは必ず火を消します。一酸化炭素は無色無臭で、頭痛や吐き気に気づいたときには動けなくなっていることがあります。

明かりは、LEDのランタンを部屋の数だけ、移動用のヘッドライトか懐中電灯を人数分に近づけるのが目安です。ろうそくは火災の危険があるため、停電時の主役にはしないでください。水については、飲料水は自立運転でも蓄電池でも作れません。貯湯タンクの水は生活用水として位置づけ、飲む水は備蓄で確保します。保温と冷却は季節で分かれ、電気暖房が止まる冬は衣類・寝袋・湯たんぽで体温を守り、夏はエアコンが止まるため風の通り道づくりと水分補給が中心になります。

カセットこんろとボンベの選び方はこちら

防災用カセットコンロ・カセットボンベの選び方比較|タイプ別の違いと備蓄本数の目安

メモ

オール電化の家は、ガスの復旧を待つ必要がないぶん、電気が戻れば一気に元の生活に戻れるという利点もあります。弱点だけを見て不安になるのではなく、「電気が来るまでの数日をどうしのぐか」に絞って準備すると、やることがはっきりします。

平時にやる「わが家の設備メモ」をつくる

最後に、この記事でいちばん実用的な作業です。停電した夜に必要になる情報は、たいてい「どこに何があるか」と「誰に連絡するか」です。これを1枚にまとめておきます。

紙に書いて分電盤の扉の裏や冷蔵庫に貼り、同じ内容をスマートフォンの写真にも残しておくと、家にいないときも確認できます。

項目記入する内容記入欄
太陽光パワコンのメーカー・型式パワコン本体のラベルに記載
自立運転用コンセントの場所例: 1階廊下の足もと、洗面所の壁
自立運転の切替操作の場所パワコン本体/モニター/自動
自立運転で使える電力の上限取扱説明書に記載の数値
蓄電池のメーカー・型式本体ラベル
停電時に使える範囲家全体/指定回路のみ(どの回路か)
給湯機のメーカー・型式貯湯ユニットのラベル
非常用取水栓の位置貯湯ユニット下部のどこか
取水用ホースの有無と保管場所同梱ホース/市販の耐熱ホース
分電盤の場所例: 玄関収納の上段
太陽光発電ブレーカーの位置分電盤内の何番か
取扱説明書の保管場所紙の場所/PDFの保存先
設置業者・販売店の連絡先電話番号
電力会社の停電連絡先電話番号/アプリ名
自治体の防災担当・上下水道の連絡先電話番号

わが家の設備メモをつくる日にやること

  • パワコン・蓄電池・給湯機のラベルを写真に撮る(型式が読める大きさで)
  • 取扱説明書を探し、見つからないものはメーカーサイトでPDFを探して保存する
  • 自立運転用コンセントの場所を家族全員で見に行く
  • 自立運転への切り替えを一度試して、連系運転に戻す
  • 分電盤を開けて、主幹ブレーカーと太陽光発電ブレーカーの位置を確認する
  • 貯湯ユニットの前面ラベル(非常時の取水方法)を読む
  • 非常用取水に使う耐熱ホースとバケツを、置き場所を決めて用意する
  • 延長コードと、モバイルバッテリー・ポータブル電源の充電状況を確認する
  • カセットボンベの本数と使用期限を数える
  • メモを紙で貼り、写真でも共有する
工事のときに「特定負荷です」と言われた記憶はあったのですが、どの回路かは覚えていませんでした。書類を探したら図面が出てきて、寝室の照明とリビングのコンセント、冷蔵庫の3回路でした。エアコンが入っていないとわかったので、夏の停電に備えて扇風機を1台足しました。知っていれば準備できることでした。
蓄電池を入れて3年のご家庭

ヒント

この作業は、年に1回の見直し行事に組み込むのが続けるコツです。防災週間(8月30日から9月5日)や、家族の誕生日など覚えやすい日に、備蓄の点検とセットで行うと忘れません。設備は10年、15年と使うものなので、点検のタイミングで業者に一言確認するだけでも情報が更新できます。

年1回のわが家の点検の進め方はこちら

防災週間にわが家の備えを総点検|防災の日(9月1日)に見直す備蓄・持ち出し袋・連絡ルール

まとめ|太陽光は「あるだけ」では使えない、給湯機は「知っていれば」使える

オール電化・太陽光の家の停電対策は、突き詰めると2つの確認に集約されます。

1つ目は、太陽光発電は自立運転に切り替えないと使えない、ということ。専用コンセントの場所と切り替え方法を家族全員が知っているかどうかで、停電した日にスマートフォンを充電できるかが変わります。資源エネルギー庁もJPEAも、平常時に操作方法を確認しておくことを勧めています。使える電力には上限があり、夜と雨の日は使えないという性質も、あらかじめ知っておけば落胆せずにすみます。

2つ目は、貯湯タンクの水は生活用水として使えることがある、ということ。ただし飲用は避けるようメーカーが案内しており、取水手順は機種ごとに異なり、使ったあとは満水にしてから通電するという決まりがあります。そのタンクが地震で倒れないよう、固定の状態を確認しておくことも忘れないでください。加えて、被災したパネルには近づかないこと、電気が戻るときは通電火災に気をつけることは、安全に直結します。

どれも、停電してから調べるには重すぎる内容です。今日は取扱説明書の場所を探すところまで、次の週末に自立運転を一度試すところまで。そのくらいの刻み方で十分です。安全に関わる操作や設備の判断は、必ずご自宅の機器の取扱説明書と、設置業者・メーカー・自治体が出す最新の案内を優先してください。

太陽光発電があれば、停電しても今までどおり電気が使えますか?
いいえ。住宅用の太陽光発電はふだん電力会社の系統とつながって運転しており、停電するとパワーコンディショナが系統から切り離されるため、そのままでは家のコンセントは使えません。使うには「自立運転」への切り替えが必要で、電気を取り出せるのは自立運転用の専用コンセントだけです。資源エネルギー庁と太陽光発電協会は、操作方法がメーカー・機種で異なるため必ず取扱説明書を確認すること、平常時にあらかじめ操作方法を確認しておくことを案内しています。
自立運転では、どのくらいの電力が使えますか?
機種によります。京セラは自社製品について、自立運転で使用できる電気は最大1500Wと案内しています。シャープは、自立運転時の定格出力はパワーコンディショナにより異なるとして、太陽電池パワーコンディショナは1.5kVA、ハイブリッドパワーコンディショナは機種により1.5kVAまたは2.0kVA、蓄電池連携型パワーコンディショナは5.5kVAという数値を示しています(蓄電池のみで使う場合は接続する蓄電池の機種によって変わります)。太陽光だけの機種より、蓄電池を組み合わせた機種のほうが大きい、という並びです。なお、W(有効電力)とkVA(皮相電力)は意味の異なる単位なので同じものとして読み替えず、ご自宅の上限は取扱説明書の定格出力(自立運転時)の欄でご確認ください。また、シャープは停電時にモーターで作動する機器(掃除機、冷蔵庫、エアコン、洗濯機など)は使用できない場合があると案内しています。
蓄電池があれば、停電中も家中の電気が使えますか?
機種と設置工事の設計によります。住宅用の蓄電システムには、停電時に家全体へ電気を供給する設計(全負荷)と、あらかじめ決めた回路にだけ供給する設計(特定負荷)があります。特定負荷の場合、対象になっている回路以外は使えません。200Vの機器が使えるかどうかも機種によります。カタログの一般論ではなく、ご自宅の取扱説明書と設置業者から受け取った書類でご確認ください。
エコキュートのタンクの水は飲めますか?
メーカーは飲用を避けるよう案内しています。ダイキン工業は非常用水として取り出した湯水について「飲料水としてのご使用は避けてください。生活用水としてのみご使用願います」と記載し、パナソニックも「飲用はおさけください」としています。トイレを流す、手や体を拭くなどの生活用水として使い、飲む水は備蓄で確保してください。判断に迷う場合は、断水時に自治体が出す情報にしたがってください。
タンクの水を取り出したあと、そのまま電源を入れてよいですか?
いけません。三菱電機は非常時の取水方法の資料で「必ず満水にしてから電源を入れてください。故障の原因となります」と明記しています。パナソニックも、停電復帰後は貯湯ユニット前面の注意ラベルと取扱説明書にしたがって満水にしてから使用するよう案内しています。断水が続いて満水にできない間は電源を入れずに待つ判断が必要になることがあり、手順がわからない場合は販売店・設置業者に相談してください。
台風で屋根の太陽光パネルが割れました。自分で片づけてもよいですか?
触らないでください。経済産業省は、破損・浸水した太陽電池発電設備は接近すると感電するおそれがあるためむやみに近づかないこと、太陽電池パネルは光が当たれば発電することがありえるため素手で触ると感電するおそれがあること、周囲にロープを張るなど関係者以外が立ち入らない対策を行うことを呼びかけています。50kW未満の設備の場合は販売施工業者に連絡し、充分な知見のある者が作業を行うようにと案内されています。撤去後の処分についても、環境省のガイドラインで災害廃棄物としての扱いが整理されており、自治体の案内にしたがう必要があります。

出典・参考

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