マンション(高層階・集合住宅)の防災|停電・断水・エレベーター停止に備える在宅避難

耐震性の高いマンションは、大きな地震でも建物が倒れにくく、被害がなければ避難所へ移らず自宅で過ごす「在宅避難」に向いています。一方で、停電でエレベーターや給水ポンプが止まると、高層階から水が出なくなり、階段での運搬が重労働になるなど、集合住宅ならではの困りごとがあります。この記事では、マンションで実際に起きることを整理したうえで、各戸でやる備えと、管理組合による建物全体の共助の両面から、今日から始められる準備をまとめます。
マンションで起きること|エレベーター停止・断水・長く続く揺れ
集合住宅の防災を考えるうえで、まず知っておきたいのが「戸建てとは止まり方が違う」という点です。マンションは電気を使って水をくみ上げ、人や物を上下に運んでいるため、停電がそのまま断水や移動の困難につながります。
エレベーターは地震で自動停止する
地震が起きると、エレベーターは安全装置が働いて自動的に止まります。再び動かすには専門業者による点検が必要で、多くの建物が同時に被災すると、点検の順番待ちで復旧まで時間がかかることがあります。東日本大震災では多くのエレベーターが停止しました。運転中に止まれば、中に人が閉じ込められるおそれもあります。
停電すると高層階から水が出なくなる
多くのマンションでは、いったん受水槽にためた水をポンプで各階に押し上げたり、加圧ポンプで直接送ったりしています。停電でこのポンプが止まると、道路の下を通る水道本管が生きていても、建物の中で上の階から水が出なくなることがあります。「断水していないのに蛇口から水が出ない」という状況が、高層階ほど起こりやすいのです。
高層階は揺れが大きく長く続きやすい
高層階では、地震のときにゆっくりと大きく揺れる「長周期地震動」の影響を受けやすく、揺れが大きく長く続くことがあります。キャスター付きの家具が動いたり、背の高い家具が倒れたりしやすいため、家具の固定は戸建て以上に重要になります。
注意
地震でエレベーターが自動停止すること、閉じ込め時の対応や防災キャビネットの取り組みは東京消防庁が、停電でポンプが止まると高層階などで断水することは大阪市の上水道が案内しています。
各戸でやる備え|家具固定・水・携帯トイレ・階段前提の備蓄
建物全体の対策は管理組合が担いますが、住戸の中でできる備えは各家庭の役目です。運搬が重労働になることを前提に、少し多めにそろえておくのがマンション防災のコツです。
- 1
家具を固定し、寝室と通路を安全にする
背の高い家具は壁に固定し、キャスター付きの家具はロックや固定具で動かないようにします。とくに寝室と、玄関までの通路には倒れて塞ぐものを置かないようにします。ガラスには飛散防止フィルムを貼ると、割れても足元の安全を保ちやすくなります。 - 2
飲料水を多めに備える
飲料・調理用の水は1人1日3Lが目安です。ポンプ停止による断水も想定し、2Lボトルなどで最低3日分、できれば1週間分を家族の人数でそろえます。運び上げる負担が大きいので、日頃から少しずつ買い足しておくと安心です。 - 3
携帯トイレを厚めに用意する
排水管が損傷していると水を流せません。携帯トイレは1人1日5回分を目安に、断水が長引くことも考えて多めに備えます。使用後の保管場所とにおい対策まで決めておくと、いざというとき慌てません。 - 4
階段での生活を前提に備蓄を置く
エレベーターが使えないと、水や食料の買い足し、ゴミ出しがすべて階段の上り下りになります。非常食やカセットコンロ、明かり、モバイルバッテリーなどを住戸内にまとめて備え、外に買いに出なくても数日は暮らせる状態をつくっておきます。 - 5
家族の安否確認ルールを決める
停電でインターホンやオートロックが使えなくなることもあります。集合場所や災害用伝言サービスの使い方など、連絡が取れないときの再会ルールを家族で共有しておきます。
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飲料水は1人1日3L、携帯トイレは1人1日5回分といった量の目安や、在宅避難に向けた備蓄の考え方は、東京都のマンション防災ガイドブックなど公的機関の資料をもとにしています。
マンション全体の共助|管理組合とハード・ソフトの両輪
マンションの防災は、各戸の備えだけでは完結しません。建物という共有財産を守り、住民同士で助け合う仕組みづくりが欠かせません。これは大きく、設備などの「ハード」と、ルールや人のつながりといった「ソフト」の両輪で考えると整理しやすくなります。
ハード面では、自家発電設備や受水槽、防災備蓄倉庫といった建物の設備が、停電・断水時の暮らしを支えます。エレベーター内に水や携帯トイレなどを備える「防災キャビネット」を設ける動きもあります。閉じ込めが起きたときに、救助を待つ間の備えになります。
ソフト面では、管理組合による防災マニュアルの整備や、住民同士の安否確認の仕組みが要になります。とくに高層階の高齢者や、小さな子どものいる家庭は、停電・エレベーター停止時に孤立しやすいため、声をかけ合える関係づくりが命綱になります。東京都は「マンション防災ガイドブック」や「東京とどまるマンション」の取り組みを通じて、その場にとどまる在宅避難を後押ししています。
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マンション防災をハード(設備)とソフト(管理組合・共助)の両面で進める考え方や、在宅避難を後押しする取り組みは、東京都防災ホームページおよび東京都マンション防災ガイドブックで示されています。
平時にやっておきたいこと
いざというときに動けるかどうかは、平時の準備で決まります。マンションでは、自分の住戸の備えと、建物としての備えの両方を確認しておきましょう。
マンション防災の確認ポイント
- 自宅の給水方式(受水槽・直結増圧など)と、停電時に断水するかを管理会社や管理組合に確認する
- エレベーターが止まったときの階段の位置と、非常用の連絡手段を家族で確認する
- 管理組合の防災マニュアルや、防災備蓄倉庫・自家発電設備の有無を確認する
- 同じ階や近隣の住民と、安否確認の声かけルールをつくる
- 在宅避難を前提に、飲料水・携帯トイレ・非常食を家族分そろえる
よくある質問
マンションなら断水しても水は出続けますか
エレベーターに閉じ込められたらどうすればよいですか
高層階でも在宅避難はできますか
トイレは断水していなければ流してよいですか
管理組合として何から始めればよいですか
まとめ
マンションは建物が丈夫なぶん在宅避難に向いていますが、停電が断水やエレベーター停止に直結するという集合住宅ならではの弱点があります。だからこそ、各戸では家具の固定と、飲料水・携帯トイレを多めに備え、階段での生活を前提にした備蓄を整えておきましょう。そして管理組合や近隣とのつながりという共助の備えが、いざというときの大きな支えになります。まずは今週末、自宅の給水方式と、水・携帯トイレの備蓄量を確かめるところから始めてみてください。「もしも」を「いつも」の暮らしに近づけておけば、その場にとどまるという安心な選択肢が手に入ります。
出典・参考
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