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2026年の台風は記録的なハイペース|秋の台風シーズン本番に向けた家庭の備え

カエデ・避難計画・防災情報担当
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2026年の台風は記録的なハイペース|秋の台風シーズン本番に向けた家庭の備え

今年はやけに台風のニュースが多い、と感じている方は多いと思います。実際、2026年は8月だけで10個の台風が発生しました。数字だけを見ると身構えたくなりますが、大事なのは「発生が多い」ことがそのまま「家庭の危険が増える」ことを意味するわけではない、という点です。気象庁の統計は、台風の数を「発生」「接近」「上陸」の3つに分けて公表しています。この3つを分けて読むと、2026年の秋に家庭が本当に構えるべきポイントが見えてきます。

本記事の台風の発生数・接近数・上陸数と平年値は気象庁「台風の統計資料」(平年値は1991〜2020年の30年平均)、台風の経路・風雨の特性・情報の発表間隔は気象庁「台風について」の各解説ページ、9月以降の見通しは日本気象協会の防災レポートにもとづきます。2026年の数値は速報値で、事後解析により変わることがあります。実際の避難や対応の判断は、お住まいの自治体が出す避難情報と気象庁の最新の発表を優先してください。

2026年の台風、数字でどれくらい多いのか

まず事実の確認からです。気象庁の「台風の発生数」のページに掲載されている2026年の月別発生数は、2026年9月1日現在で次のようになっています(速報値)。比較のため、1991年から2020年の30年平均である平年値を並べます。

月2026年の発生数平年値
1月10.3
2月10.3
3月10.3
4月10.6
5月21.0
6月21.7
7月53.7
8月105.7
9月(9月1日現在)15.0
年間24(9月1日現在)25.1

1月から8月までの平年値を単純に足すと13.6個です。2026年は同じ期間に23個が発生しているので、平年のおよそ1.7倍のペースということになります。年間の平年値25.1個に、9月1日の時点でほぼ並んでいる計算です。

とくに目立つのが8月の10個です。気象庁の統計をさかのぼると、8月の1か月で10個が発生した年は1960年と1966年があり、2026年はこれに並ぶ1951年の統計開始以降で最多タイの数字になります。1月から8月までの累計23個も、1971年の24個に次ぐ多さです。報道で「記録的なハイペース」「1970年代以来」といった表現が使われているのは、この累計の順位を指しています。

メモ

2026年の値は速報値です。気象庁は台風の位置や強度を事後解析で確定させるため、あとから数字がわずかに変わることがあります。この記事の数字も、発生数は2026年9月1日現在、接近数・上陸数は2026年8月31日現在の速報値として読んでください(基準日は気象庁の各ページの表記に合わせています)。年間の確定値は年が明けてから公表されます。

月別の発生数と平年値は気象庁「台風の発生数」「台風の平年値」によります。平年値は1991年から2020年の30年平均で、端数処理のため各月の合計と年間値は必ずしも一致しません。

「多い」の中身を分けて読む|発生は記録的、接近と上陸は平年並み

ここが今年いちばん大事な読み方です。台風がたくさん発生しても、そのすべてが日本に来るわけではありません。気象庁は、台風の中心が国内のいずれかの気象官署等から300km以内に入った場合を「接近」と定義し、接近数と上陸数を別に集計しています。

2026年の状況を並べると、次のようになります(速報値。基準日は気象庁の各ページの表記どおり、発生数は2026年9月1日現在、接近数・上陸数は2026年8月31日現在です)。

区分2026年平年値(年間)平年値のピーク月
発生数24個(9月1日現在)25.1個8月(5.7個)
接近数8個(8月31日現在)11.7個8月・9月(各3.3個)
上陸数2個(8月31日現在)3.0個9月(1.0個)

接近数の平年値を4月から8月まで足すと約7個なので、2026年の8個はほぼ平年並みです。上陸も、5月に発生して6月に上陸した台風第6号と、8月の台風第15号の2個にとどまっています。つまり2026年は、発生の数だけが突出していて、日本に近づいた数は8月末の時点で平年と大きく変わらないという年なのです。なお接近数・上陸数は8月31日現在の値なので、9月に入ってからの分は次の更新で加算されます。最新の値は気象庁の各ページでご確認ください。

そしてもう一点。接近数の平年値は8月と9月がともに3.3個で並び、上陸数の平年値は9月の1.0個が年間で最も多くなっています。10月の接近数も1.7個あります。数のうえでは、台風シーズンは8月で終わりではなく、9月から10月が上陸という意味では最も濃い時期にあたります。

日本気象協会が2026年7月30日に公表した防災レポートでも、9月の発生数は4〜7個で平年並み、日本への接近数は2〜4個で平年並み、10月は発生1〜4個・接近1〜3個という見通しが示されています。同レポートは、発生数や接近数が平年を上回らなくても、一つの台風による雨や風、波の影響が大きくなる可能性があるため、台風シーズン後半まで注意が必要だとしています。一般に、台風の強さや進路、移動速度、前線との位置関係によって影響の大きさは変わるので、数の見通しだけで安心しないことが大切です。

8月に台風のニュースが続いたので、正直「今年はもう十分見た」という気分でした。防災リュックの点検も8月にやったし、9月はもういいかなと。でも上陸が多いのは9月だと聞いて、気が抜けていたことに気づきました。
小学生と暮らす読者

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秋の台風は夏の台風と何が違うのか

「9月からが本番」と言われても、夏と同じ備えを繰り返せばよいのでしょうか。気象庁の解説を読むと、秋の台風には夏とは違う性質がいくつかあり、それが家庭の備えのタイミングに効いてきます。

経路が変わる|南海上から放物線を描いて日本付近を通る

気象庁は、台風は春先は低緯度で発生して西に進みフィリピン方面に向かうが、夏になると発生する緯度が高くなり、太平洋高気圧のまわりを回って日本に向かって北上する台風が多くなる、と説明しています。そのうえで、8月は発生数では年間で一番多い月だが、台風を流す上空の風がまだ弱いために不安定な経路をとることが多く、9月以降になると南海上から放物線を描くように日本付近を通るようになるとしています。室戸台風や伊勢湾台風など、過去に日本に大きな災害をもたらした台風の多くが9月にこの経路をとった、とも書かれています。

夏の台風が「どこに行くかわからない」代わりに、秋の台風は「日本列島に沿って通りやすい」。ここが1つ目の違いです。

速度が上がる|偏西風に乗って一気に近づく

気象庁は台風の動きについて、通常東風が吹いている低緯度では西に移動し、太平洋高気圧のまわりを北上して中・高緯度に達すると、上空の強い西風(偏西風)により速い速度で北東へ進むと説明しています。秋は上空の偏西風が日本付近まで南下してくるため、台風がこの流れに乗りやすくなると一般に言われます(この季節差の部分は気象庁の台風解説ページに明記された記述ではなく、一般的な説明です)。

家庭にとっての意味は単純です。準備できる時間が短くなる。夏の台風はゆっくり近づいてくることが多く、進路予報が出てから接近まで数日の猶予があります。秋の台風は、いざ日本付近に差しかかると一気に速度を上げるので、「明日やろう」が間に合わないことがあります。

秋雨前線と組み合わさる|台風本体が来る前から大雨になる

3つ目が、家庭の避難判断にいちばん効く違いです。気象庁は、9月以降の放物線の経路をとる台風について、このとき秋雨前線の活動を活発にして大雨を降らせることがあると明記しています。また台風に伴う雨の特性を説明したページでも、日本付近に前線が停滞していると、台風から流れ込む暖かく湿った空気が前線の活動を活発化させ大雨となることがあり、雨による大きな被害をもたらした台風の多くは、この前線の影響が加わっていると書かれています。

実際、日本気象協会が2026年9月3日に公表した防災レポート(第1報)でも、南西諸島付近の台風第24号から湿った空気が流れ込む影響で、西日本太平洋側を中心に秋雨前線の活動が活発になり、大雨が長時間続くおそれがあるという見通しが示されました。台風の位置は日本から遠くても、雨は先に降り始めるということです。

注意

秋の台風でいちばん誤解されやすいのが、この「本体が来る前から大雨」という点です。台風の予報円がまだ遠くにあっても、前線の側で川が増水したり土砂災害の危険度が上がったりします。避難の判断は台風の位置ではなく、お住まいの地域に出ている防災気象情報(2026年5月29日からは「レベル3大雨警報」のように警戒レベルの数字が付いて発表されます)と自治体の避難情報、キキクル(危険度分布)で行ってください。

温帯低気圧に変わっても終わりではない

気象庁は台風の衰弱期について、北から寒気の影響が加わると前線を伴う「温帯低気圧」に変わり、このとき低気圧の中心付近では多くの場合風速のピークは過ぎているが、強い風の範囲は広がるため低気圧の中心から離れた場所で大きな災害が起こったり、寒気の影響を受けて再発達して風が強くなり災害を起こすこともあると注意を促しています。寒気が近づく秋以降は、この「温帯低気圧化」が起きやすくなります。「温帯低気圧に変わりました」というニュースを、警戒解除の合図と受け取らないことが大切です。

高潮も秋のテーマ

気象庁は高潮について、台風の反時計回りの風が進行方向の右側で強くなるため、南に開いた湾では台風が湾の西側を北上する際に南風が吹き続けて海面が上昇すると説明しています。過去50年間に潮位偏差1m以上となった高潮は、そのほとんどが東京湾・伊勢湾・大阪湾・瀬戸内海・有明海といった遠浅で南に開いた湾で発生している、とも記されています。9月に日本列島に沿って北上する経路は、まさにこの条件に重なりやすいコースです。沿岸部にお住まいの場合は、雨と風だけでなく高潮の情報にも目を向けてください。

まとめると、夏と秋の台風の違いは次のように整理できます。

観点夏(おもに8月)秋(9月以降)
経路上空の風が弱く不安定な経路をとることが多い南海上から放物線を描いて日本付近を通りやすい
速度比較的ゆっくりなことがある(※)偏西風に乗って速度が上がりやすい(※)
雨台風本体の雨が中心秋雨前線を刺激し、本体到達前から広範囲で大雨
通過後弱まって熱帯低気圧になることが多い寒気の影響で温帯低気圧化し、再発達することがある

経路・速度・秋雨前線・温帯低気圧化・高潮の説明は、気象庁「台風の発生、接近、上陸、経路」「台風とは」「台風の一生」「台風に伴う雨の特性」「高潮と台風の進路」によります。表の(※)を付けた「夏は比較的ゆっくり」「秋は偏西風に乗りやすい」という季節差の表現は、気象庁の解説ページにある「中・高緯度に達すると上空の強い西風(偏西風)により速い速度で北東へ進む」という記述をもとにした一般的な説明で、気象庁がそのまま述べているものではありません。

つまり秋は「早く来る・逃げ遅れやすい」

ここまでの違いを、家庭の行動の言葉に置き換えると2つです。

1つ目は早く来る。偏西風に乗って速度が上がるぶん、「進路が固まってから動く」では屋外の片づけや買い出しが間に合わないことがあります。準備の締切を、夏より半日から1日前倒しにしておくのが安全側です。

2つ目は逃げ遅れやすい。前線の雨で、台風本体が来る前に道路が冠水したり川が増水したりします。「まだ台風は遠いから大丈夫」と思っているうちに、避難所へ向かう道のほうが先に危険になる、という順番が起こり得ます。避難のタイミングは台風との距離ではなく、地域に出ている情報で決めてください。

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9月から10月にやること(1)|台風情報を見る頻度を決める

情報を「気になったときに見る」から「決めた頻度で見る」に変えるだけで、動き出しは早くなります。気象庁が台風情報をどの間隔で更新しているかを知っておくと、無駄に張りつかずに済みます。

気象庁は台風の実況(位置・強さなど)を3時間ごとに発表し、5日先までの24時間刻みの予報を6時間ごと(3時・9時・15時・21時の約50分後)、1日先までの12時間刻みの予報を3時間ごとに発表しています。さらに台風が日本に接近し影響するおそれがある場合には、実況と1時間後の推定値を1時間ごとに発表し、24時間先までの3時間刻みの予報を3時間ごとに発表します。

これに合わせて、家庭の確認頻度を次のように決めておきます。

  1. 1

    5日前|1日1回、朝か夜に台風情報を見る

    気象庁の台風情報で予報円の位置と、暴風警戒域が自分の地域にかかっているかを確認します。この段階では予報円は大きく、進路が定まっていないのが普通です。「うちに来るかどうか」を当てにいくのではなく、週末の予定や買い出しの日を調整する材料として見ます。
  2. 2

    3日前|早期注意情報を確認して、片づけの日を決める

    気象庁の早期注意情報は、5日先までに警報級の現象が予想されるときにその可能性を段階で示します。ここで自分の地域に印が付いたら、屋外の片づけと買い出しをいつやるかをカレンダーに書き込みます。秋は速度が上がるので、この時点で日程を決めておくのが効きます。
  3. 3

    前日|3時間ごとの更新に合わせて1日3〜4回見る

    24時間先までの3時間刻みの予報が出ていれば、暴風域に入りそうな時間帯の見当がつきます。ここまでに屋外の作業を終える、という締切を家族で共有します。
  4. 4

    当日|1時間ごとの実況とキキクルを併用する

    台風の位置は台風情報で、自分の家のまわりの危険度はキキクル(危険度分布)で見ます。2026年5月29日からは防災気象情報に警戒レベルの数字が付いて伝えられるようになりました。警戒レベル4にあたる避難指示が出たら、危険な場所にいる人は全員避難が基本です。

ヒント

「見る頻度」は家族で分担すると続きます。朝は誰、夜は誰、と決めておくと、1人が気づかなくても誰かが気づきます。スマートフォンの防災アプリの通知は、通知が来てから見るのではなく、上の頻度で自分から見にいく習慣とセットで使うのがおすすめです。

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(2)|屋外の片づけは「風が強くなる前」に終える

秋の台風は速度が上がりやすいぶん、屋外作業の締切を早める必要があります。目安になるのが気象庁の「風の強さと吹き方」です。

平均風速人への影響・屋外の様子(気象庁の記述より)
10m/s以上15m/s未満風に向かって歩きにくくなる。傘がさせない。樹木全体が揺れ始める
15m/s以上20m/s未満風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る。高所での作業はきわめて危険
20m/s以上25m/s未満何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷するおそれがある

気象庁が台風情報で示す強風域は平均風速15m/s以上の範囲、暴風域は25m/s以上の範囲です。表を見るとわかるとおり、強風域に入った時点で高所での作業はきわめて危険とされています。つまり「暴風域に入る前」ではなく「強風域に入る前」が屋外作業の締切です。

さらに、平均風速10m/sを超えると傘がさせなくなります。雨の中で片づけを始めると、それだけで危険と効率の両方が落ちます。秋は前線の雨が先に降り始めるので、実際の締切は「雨が降り出す前」まで前倒しになると考えておいてください。

強風域に入る前に済ませる屋外の片づけ

  • ベランダ・庭の植木鉢、物干し竿、サンダル、ほうきなど飛ぶものを室内へ入れる
  • 自転車は倒しておくか、屋内・屋根のある場所へ移す
  • ゴミ箱、灯油タンク、屋外収納のふたを固定する。空のポリタンクは水を入れて重くする
  • 雨どい、ベランダの排水口、側溝の落ち葉を取り除く(秋は落ち葉が増えて詰まりやすい)
  • 雨戸・シャッターがある家は動作を確認しておく。ない窓はカーテンを閉めておく
  • 車を駐車する場所を決める(冠水しやすい地下駐車場や川沿いを避ける)
  • エアコンの室外機まわりに飛びそうなものが置かれていないか確認する

注意

風が強くなってからの屋根や雨どいの点検、脚立を使った高所作業は行わないでください。気象庁の表でも、平均風速15m/s以上では高所での作業はきわめて危険とされています。片づけが間に合わなかったものは、諦めて室内にとどまる判断が安全です。

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(3)|停電・断水への備えを前倒しにする

秋の台風でもう1つ前倒しにしたいのが、備蓄の点検と買い足しです。理由は2つあります。

1つは、前線の雨で外出そのものが先に不便になること。「台風の前日に買いに行こう」と思っていても、その前日にはもう前線の大雨が始まっているかもしれません。もう1つは、店頭の在庫です。同じ地域の人が同じタイミングで動くので、水・パン・電池・カセットボンベは進路が報道されたあと数時間で品薄になることがあります。

進路が報じられた日のうちに確認したいもの

  • 飲料水は1人1日3Lを目安に、家族の人数×日数分あるか
  • カセットこんろのボンベの本数と、メーカーが表示している使用期限
  • モバイルバッテリーとスマートフォンの充電。乾電池のサイズと本数
  • 懐中電灯・ランタンが点灯するか。ヘッドライトがあると両手が空く
  • 冷蔵庫の中身を整理し、保冷剤・凍らせたペットボトルを作っておく
  • 浴槽に水をためる(生活用水。小さな子がいる家庭は転落に注意する)
  • 常備薬・処方薬の残量。持病がある家族のお薬手帳の場所
  • 現金(停電時はキャッシュレス決済が使えないことがある)

秋は気温が下がってくるぶん、夏の停電より熱中症のリスクは下がりますが、代わりに夜が長くなります。日没が早まる9月・10月は、明かりの確保が体感的に効いてきます。ランタン1台を家族の集まる部屋に、懐中電灯を1人1つ、という配分にしておくと、停電した夜の過ごし方がぐっと落ち着きます。

ヒント

台風のたびに買い足すのではなく、ふだんの買い物で少し多めに買って古いものから使うローリングストックにしておくと、秋のシーズン中に何度も買い出しに走らずに済みます。台風が続く年ほど、この差が効きます。

(4)|マイ・タイムラインを「秋仕様」に見直す

マイ・タイムラインは、国土交通省が「住民一人ひとりのタイムライン(防災行動計画)であり、台風等の接近による大雨によって河川の水位が上昇する時に、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列的に整理」したものと説明しているものです。すでに作ってある方は、秋のシーズン前に次の3点だけ見直してみてください。

  1. 1

    行動の時刻を半日〜1日前倒しにする

    秋の台風は速度が上がりやすく、前線の雨で先に足元が悪くなります。「前日の夕方」に置いていた行動を「前日の昼」に、「3日前」に置いていた買い出しを「4日前」に、といった具合に繰り上げます。
  2. 2

    雨のトリガーを台風の位置から切り離す

    「台風が〇〇の南に来たら」ではなく、「レベル3大雨警報が出たら」「キキクルが自宅周辺で警戒の色になったら」という、地域に出る情報を引き金にします。台風本体が遠くても前線の雨で状況が動くのが秋だからです。
  3. 3

    日没の時刻を書き込む

    9月から10月にかけて日没は早まります。暗くなってからの移動は避けたいので、その日の日没時刻を書き込み、「避難するなら日没の何時間前に出る」を決めておきます。夜間の避難が危険と判断される場合の、自宅内での安全確保(2階や斜面と反対側の部屋へ移る)も併せて決めておきます。

メモ

避難の考え方は内閣府の「避難情報に関するガイドライン」にもとづく警戒レベルで整理されています。警戒レベル3で高齢者等避難、警戒レベル4で危険な場所から全員避難が基本の目安です。自宅の安全が確認できていれば在宅避難という選択もありますが、その判断はハザードマップでの自宅の位置づけが前提になります。

(5)|台風が続くときは「次までの数日」で立て直す

2026年のように発生数が多い年は、1つ通り過ぎたあと数日で次が近づく展開もあり得ます。このとき効くのは、完璧を目指さず優先順位をつけて立て直すことです。

通過後72時間でやることは3つに絞れます。第一に電源の回復(モバイルバッテリーとポータブル電源の再充電、乾電池の補充)。第二に水と食料の補充(使った分だけ買い足す)。第三に屋外の再点検(前の台風で外れかけた雨どいや、飛んできて詰まった排水口)。この3つを済ませておけば、次の台風に対して「ゼロからの準備」にはなりません。

8月に2つ続けて来たとき、1つ目のあとで気が抜けて、モバイルバッテリーを充電し忘れていました。2つ目が来たときに残量が3割で、そこからはもう充電の順番待ちです。片づけより先にまず充電、と決めておけばよかったと思っています。
沿岸部にお住まいの読者

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よくある疑問

台風の発生数が記録的に多いと、日本に来る台風も増えるのですか。
必ずしもそうとは限りません。気象庁は「発生」「接近(気象官署等から300km以内)」「上陸」を分けて集計しており、2026年は発生24個(9月1日現在)に対し接近8個・上陸2個(いずれも8月31日現在)で、接近・上陸はおおむね平年並みのペースです。発生数の多さは、そのまま家庭の危険度の大きさを意味するものではありません。ただし平年値では接近数のピークは8月と9月(各3.3個)、上陸数のピークは9月(1.0個)なので、これからの時期の備えは必要です。
9月・10月の台風は本当に多いのですか。
気象庁の平年値(1991〜2020年平均)では、発生数は8月5.7個、9月5.0個、10月3.4個。日本への接近数は8月と9月がともに3.3個で最も多く、10月も1.7個あります。上陸数は9月の1.0個が年間で最多です。8月がピークではありますが、9月・10月も台風シーズンのただ中と考えるのが妥当です。
秋の台風が「速い」と、家庭の備えでは何が変わりますか。
準備にかけられる時間が短くなります。気象庁は、台風が中・高緯度に達すると上空の強い西風(偏西風)により速い速度で北東へ進むと説明しています。屋外の片づけや買い出しの締切を、夏より半日から1日ほど前倒しにしておくと安全側です。とくに気象庁の風の階級表では平均風速15m/s以上で高所での作業はきわめて危険とされているため、強風域に入る前に屋外作業を終える計画にしてください。
台風がまだ遠いのに大雨警報(レベル3大雨警報)が出るのはなぜですか。
秋雨前線の影響です。気象庁は、9月以降に南海上から放物線を描いて日本付近を通る台風は秋雨前線の活動を活発にして大雨を降らせることがあると説明しており、雨による大きな被害をもたらした台風の多くはこの前線の影響が加わっているとしています。台風本体が到達する前から大雨になることがあるため、避難の判断は台風との距離ではなく、地域に出ているレベル付きの防災気象情報と自治体の避難情報、キキクルで行ってください。
「温帯低気圧に変わった」と聞いたら、もう安心してよいですか。
安心の合図とは言えません。気象庁は、温帯低気圧に変わると中心付近では多くの場合風速のピークは過ぎているものの、強い風の範囲は広がるため中心から離れた場所で大きな災害が起こったり、寒気の影響を受けて再発達して風が強くなり災害を起こすこともあると注意を促しています。熱帯低気圧に変わった場合も、最大風速が17m/s未満になっただけで強い雨が降ることがあります。
沿岸に住んでいます。秋の台風で高潮はどう見ればよいですか。
気象庁は、台風の風は進行方向の右側で強くなるため、南に開いた湾では台風が湾の西側を北上する際に高潮が発生しやすいと説明しています。過去50年間に潮位偏差1m以上となった高潮は、そのほとんどが東京湾・伊勢湾・大阪湾・瀬戸内海・有明海の遠浅で南に開いた湾で発生しているとも記されています。高潮警報・注意報と、自治体の高潮ハザードマップで自宅の想定浸水深を確認し、該当する場合は早めの水平避難を計画に入れてください。
8月に一度点検したので、9月はやらなくても大丈夫でしょうか。
台風を1つでも経験していれば、使った備蓄や外れかけた設備があるはずです。とくにモバイルバッテリーの残量、乾電池の本数、飲料水の在庫、排水口の詰まりの4点は減ったり変わったりしやすい項目です。9月・10月は接近・上陸の平年値が高い時期なので、シーズンの入口でもう一度この4点だけでも確認しておくことをおすすめします。

おわりに

2026年の台風は、発生数だけを見れば確かに記録的です。ただ、その数字を「今年は危ない年だ」という不安に変換しても、家の中は何も変わりません。気象庁の統計を分けて読むと、発生は多いが接近と上陸は平年並み、そして接近と上陸の平年のピークはこれから来る9月にある、という落ち着いた事実が見えてきます。

やることも派手ではありません。情報を見る頻度を決める。屋外の片づけの締切を半日早める。買い出しを前倒しにする。マイ・タイムラインの時刻を書き直す。この4つを9月のうちに1回やっておけば、秋のシーズンを通して使い回せます。

台風の数が多い年ほど、1回ごとに全力で構えると続きません。少し早めに、少し軽く、何度でも。それが秋の台風シーズンとのつきあい方です。最終的な避難の判断は、お住まいの自治体の避難情報と気象庁の最新の発表を優先してください。

出典・参考

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