断水・停電中の洗濯と衣類の備え|携帯洗濯グッズ・衣類の選び方比較6タイプ


断水と停電が重なると、家の中でいちばん早く「詰まる」ものの一つが洗濯です。水も電気も使う家事なので、片方が止まっただけでも洗濯機は回りません。それでも、汗をかいた下着、子どもが汚した服、片付けで泥にまみれた作業着は、待ってくれません。この記事では、洗濯と衣類の管理に的をしぼって、家庭で備えられる道具を6タイプに整理し、公的機関の資料をもとに選ぶ観点を比較します。特定の商品の効果を保証するものではなく、わが家に足りないものを見つけるための地図として使ってください。
ヒント
この記事の役割|「体を洗う」「水を確保する」記事との違い
モシモニアには、断水まわりの記事がすでにいくつかあります。本記事はそのなかで「衣類」だけを担当します。役割の分担は次のとおりです。重複する部分は簡潔にとどめ、それぞれの記事へ送ります。
| 記事 | 扱っていること | 本記事との関係 |
|---|---|---|
| 断水に備える生活用水の考え方 | 水をどれだけ・どこにためるか、風呂の残し湯の運用 | 本記事はためた水を「洗濯にどう配分するか」 |
| 給水タンク・給水袋の選び方比較 | 給水所から水を運ぶ容器の選び方 | 本記事は運んだあとの使い道の一つ |
| 清潔・衛生グッズの選び方比較 | 体を拭く・髪を洗う・手指を清潔にする道具 | 本記事は体ではなく「着るもの」側 |
| 防水バッグ・防水ケースの選び方比較 | 貴重品や電子機器を水から守る袋 | 本記事は「濡れた衣類を隔離する」袋の使い方 |
| 女性の視点の防災の備え | 生理用品やプライバシーを含む備え全般 | 本記事は下着・着替えの実務に限定 |
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断水・停電中に、洗濯はどこまでできるのか
道具の話に入る前に、水の量から現実を把握しておきます。不安をあおるためではなく、「何日分の着替えを用意すればいいか」を決める材料にするためです。
洗濯用の水は、備蓄の優先順位では三番目
首相官邸の「災害が起きる前にできること」は、家庭の備蓄として飲料水を3日分、1人1日3リットルを目安として示しています。そのうえで、飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水も必要だとし、日頃から水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水をいつも張っておく、といった備えを勧めています。
「飲料水 3日分(1人1日3リットルが目安)」「飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水も必要です。日頃から、水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水をいつも張っておく、などの備えをしておきましょう。」は、首相官邸「災害が起きる前にできること」の記載にもとづきます。
ここで大切なのは、洗濯用の水が「飲料水」でも「トイレ用の水」でもない、さらに外側の用途だという点です。内閣府(防災担当)の「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」も、飲料水の確保が済んだら生活用水の確保についても検討するようにと述べ、生活用水の例として「トイレの水、清掃用の水、体を拭くための水、洗濯用の水」を挙げています。順番でいえば、洗濯はいちばん後ろに置かれる用途です。
「飲料水の確保が済んだら、生活用水(飲料水以外に生活に必要な水)の確保についても検討しましょう。トイレの水、清掃用の水、体を拭くための水、洗濯用の水など、飲料水以外にも生活には水が必要です。」は、内閣府(防災担当)「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」(平成28年4月/令和6年12月改定)の記載にもとづきます。
洗濯機1回分の水は、手洗いには回せない
ふだんの洗濯がどれだけ水を使っているかも、感覚をつかんでおくと役に立ちます。東京都水道局の「水の上手な使い方」は、風呂の残り湯は使用状態によって異なるものの一般家庭では約180リットルあり、この半分を洗濯・掃除・散水などに利用すれば約90リットルの節水になる、と紹介しています。国土交通省関東地方整備局の「家庭での節水」も、洗濯の水として風呂の残り湯を最初の1回だけでも再利用すれば約50リットルの節水になると案内しています。
「残り湯は、使用状態によって異なりますが、一般家庭では、約180リットルの量があります。この半分を洗濯、掃除、散水などに利用すれば約90リットルの節水になります。」は東京都水道局「水の上手な使い方」、「洗濯の水としてお風呂の残り湯を最初1回だけでも再利用すれば、約50リットルの節水になります。」は国土交通省 関東地方整備局「家庭での節水」の記載にもとづきます。
言い換えると、洗濯機を1回回すには数十リットル単位の水が要るということです。給水所からポリタンクで運べる量は、大人が無理なく持てる範囲でせいぜい10〜20リットル。飲む・調理する・トイレを流す・体を拭くを差し引いたあとに、洗濯機1回分の水が残ることはまずありません。断水中の洗濯は「洗濯機の代わりを探す」のではなく、「バケツ1杯の水でどこまでやるか」に発想を切り替える必要があります。
避難所でも「自分で洗える」は目標であって前提ではない
避難所に行けば洗濯できる、と考えている方もいるかもしれません。内閣府のガイドラインは「衣類」を独立した項目として立て、着の身着のままで避難してきた被災者には下着の確保に始まり、性別や年齢などに応じた衣類の確保に努めること、状況が落ち着けば被災者自らが洗濯できる環境を整えることを目指すと述べています。チェックリストには、避難者の属性に応じた下着類の確保、体や季節に合った衣類の確保、仮設洗濯場(洗濯機・乾燥機)の確保、洗濯干し場(女性用の洗濯干し場)の確保、洗濯洗剤等の洗濯キットの備蓄・確保、コインランドリーとの巡回バスやランドリカーの確保といった項目が並びます。
「着の身着のままで避難してきた被災者に対しては、衣類の配慮をしましょう。下着の確保に始まり、性別や年齢などに応じた衣類の確保に努めます。状況が落ち着けば、被災者自らが洗濯できる環境を整えることを目指しましょう。」および仮設洗濯場・洗濯干し場・洗濯キット等のチェック項目は、内閣府(防災担当)「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」(平成28年4月/令和6年12月改定)「13.衣類」の記載にもとづきます。
実際の災害では、避難所の洗濯環境は外部からの支援で埋められることが多くありました。内閣府(防災担当)が令和8年3月にまとめた「令和6年能登半島地震における入浴支援、洗濯支援の好事例集」によると、令和6年能登半島地震では石川県内の広い範囲で長期の断水が起き、避難者は入浴や洗濯に使う生活用水の確保が極めて困難な状況に置かれました。そのなかで、民間企業やNPO等によるランドリーカーの派遣、コンテナ型移動式ランドリーの設置、洗濯代行サービスの提供といった支援が行われています。輪島市門前地区等でのランドリーカーによる支援は令和6年1月27日から3月10日までの43日間で、約1,600組が利用しました。
ここから読み取れることは二つあります。一つは、洗濯支援は「ある」ということ。もう一つは、その支援が始まったのは発災から3週間以上あとで、しかも給水・排水・燃料・通行許可といった調整が整って初めて動いたということです。家庭で用意しておくべきなのは、支援が届くまでの数週間を、洗わずに、あるいはバケツ1杯でしのぐための衣類と道具になります。
石川県内の広範囲で長期の断水が発生し避難者の生活用水の確保が困難だったこと、ランドリーカーの派遣・洗濯代行サービス等の支援が行われたこと、輪島市門前地区等でのランドリーカーによる支援期間(令和6年1月27日〜3月10日・43日間)と利用実績(約1,600組)は、内閣府政策統括官(防災担当)付 食事支援担当参事官室「令和6年能登半島地震における入浴支援、洗濯支援の好事例集」(令和8年3月)の記載にもとづきます。
裏を返せば、これらは自治体が「これから整える」目標として掲げられている項目です。発災直後からそろっているとは限りません。同ガイドラインは、善意から古着が送られてくることがあるものの、衛生状態がわからなかったりサイズがそろわなかったりして現実的には活用できないことが多い、とも記しています。自分と家族のサイズに合う下着と着替えは、自分で用意しておくのが確実です。
洗う前に「洗わずに済ませる日数」を伸ばす
断水・停電中の衣類対策は、洗う技術より先に「何日洗わなくても回るか」の設計で決まります。ここに公的な後押しがあります。
内閣府男女共同参画局の「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」は、備蓄チェックシートの女性用品の欄に注記を添えています。避難所では物干し場がなかったり、断水により洗濯できない可能性もあるため、使い捨て下着やおりものシートがあると衛生を保つために便利です、という一文です。
「避難所では物干し場がなかったり、断水により洗濯できない可能性もあるため、使い捨て下着やおりものシートがあると衛生を保つために便利です」は、内閣府男女共同参画局「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」(令和2年5月策定)第3部 便利帳の備蓄チェックシートの記載にもとづきます。なお、同局のページによれば、この使い捨て下着等に関する記述は「女性用品」部分への追記(令和7年8月25日)です。
つまり、公的なガイドラインの側でも「洗えない前提で衣類をそろえる」という発想が示されているということです。これは女性用品の欄の注記ですが、考え方自体は家族全員に応用できます。
また、着替えそのものの重要性についても資料があります。厚生労働省の「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」は、居住環境の項で夏服の確保と適切な衣類への着替えは大切だと述べ、寒い場合には毛布の確保や衣類の重ね着で対応しているかに留意するよう促しています。高齢者への留意点としては、衣服を着替えたり入浴したりするのがおっくうになるため、衛生状態を保つためにも確認するようにと記されています。
「夏服の確保と、適切な衣類への着替えは大切です。」「避難者が毛布の確保や衣類の重ね着をして対応しているかどうかに留意しましょう。」「衣服を着替えたり、入浴したりするのが、おっくうになります。衛生状態を保つためにも確認をするようにしましょう。」は、厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」(平成23年6月3日事務連絡)の記載にもとづきます。
同ガイドラインは、水が十分に確保できない時や入浴設備が整わない場合でも、病気や感染症予防等のために体を清潔に保つことが大切だとして、温かいおしぼりやタオル等で体を拭く、足や手など部分的な入浴をする、といった方法を挙げています。体を拭いたあとに乾いた下着へ着替えられること。ここまでがワンセットだと考えると、備えるべきものが見えてきます。
メモ
選び方の5つの軸
道具を比べる前に、判断の軸をそろえておきます。カタログの機能を並べるより、この5つで見たほうが失敗が減ります。
- 1
水がなくても機能するか
水を使う道具(バケツ、洗剤)と、水を使わずに済ませる道具(速乾インナー、使い捨て下着、消臭スプレー)は役割が違います。前者だけをそろえると、断水が長引いたときに手詰まりになります。 - 2
電気がなくても機能するか
乾燥機や全自動の小型洗濯機は電源が前提です。ポータブル電源と組み合わせるのか、手回し・足踏み式にするのかを先に決めます。 - 3
すすぎがどれだけ少なくて済むか
断水中に効くのは「洗う力」より「すすぎの少なさ」です。洗剤はすすぎ回数の表示を見て選びます。 - 4
室内で乾かせるか
雨天や冬場、避難所の体育館など、外に干せない場面は普通に起こります。干す場所と風の作り方まで含めて考えます。 - 5
ふだんの暮らしで使えるか
旅行・出張・部活・キャンプで使える道具は、いざというとき家族の誰もが使い方を知っている状態になります。防災専用の箱にしまい込む道具ほど、本番で使われません。
6タイプの比較表
断水・停電中の洗濯と衣類の備えを、役割の違う6タイプに整理しました。価格帯はいずれも2026年9月時点の一般的な目安で、製品によって大きく幅があります。
| タイプ | 向いている場面 | 選ぶときの見どころ | 価格帯の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 折りたたみバケツ・洗濯袋 | 給水した水で下着や靴下だけを洗いたい | 容量(8〜15リットル前後)、自立するか、注ぎ口の有無、洗濯袋の網目の細かさ | 1,000〜4,000円前後 |
| 2. 少量で使える洗剤(粉末・液体・シート・部分洗い) | バケツ1杯の水で、すすぎを減らして洗いたい | すすぎ回数の表示、小分け・個包装か、部分洗い用スティックの携帯性 | 300〜2,000円前後 |
| 3. 速乾インナー・使い捨て下着・衣類用消臭スプレー | そもそも洗えない日を乗り切りたい | 乾くまでの速さ、枚数、肌当たり、消臭スプレーの用途表示 | 1枚500〜4,000円前後/スプレー500〜1,500円前後 |
| 4. 室内干しロープ・洗濯ばさみ・ハンガー | 外に干せない、干す場所がない | ロープの長さと耐荷重、フックの固定方法、折りたたみハンガーのかさばり方 | 800〜3,000円前後 |
| 5. 衣類圧縮袋・防水袋(濡れた衣類の隔離) | 濡れた・汚れた衣類を分けて持ち歩きたい | 圧縮方法(手押しか掃除機併用か)、防水袋のロール式開閉、においの漏れにくさ | 500〜3,000円前後 |
| 6. 小型洗濯機(手動式・電動式+ポータブル電源) | 家族分の洗濯を数日ごとに回したい | 容量、消費電力、水の量、脱水機能の有無、収納時のサイズ | 4,000〜30,000円前後 |
「どれから買うか」に唯一の正解はありません。ただ、優先順位をつけるなら3(洗わずに済ませる)と5(濡れたものを隔離する)が先です。この2つは水も電気もいらず、そろえた瞬間から効きます。1・2・4は水が少しでもあれば効く道具、6は電源や置き場所の条件が整った家庭の選択肢と考えると整理しやすくなります。
タイプ別の選び方
1. 折りたたみバケツ・洗濯袋|「バケツ1杯」を作業台にする
断水中の手洗い洗濯で主役になるのは洗濯機ではなく、水を受け止める容器です。折りたたみバケツはシリコンやポリエステル製で、使わないときは平らにたためます。防災用として買っておくと、給水の一時受け、床の拭き掃除、トイレを流す水の運搬など、洗濯以外にも用途が広いのが利点です。
選ぶときは容量から決めます。8〜15リットル前後が扱いやすい範囲で、これ以上大きいと水を入れたときに持ち上げられません。洗濯に使うなら、ふちがへたらず自立するタイプのほうがもみ洗いしやすくなります。注ぎ口があるものは、すすいだあとの水をトイレ用に移すときに便利です。
もう一つ、洗濯袋(メッシュのランドリーバッグ)を組み合わせる方法があります。袋に衣類と少量の水・洗剤を入れて口を閉じ、外から揉む、あるいは袋ごと振る使い方です。水がバケツの中に散らないので、少ない水でも洗剤を衣類に行き渡らせやすくなります。網目の細かいものはデリケートな衣類向け、粗いものは水の出入りがよく汚れ落ちに向きます。
注意
折りたたみバケツ(8〜15L)とメッシュ洗濯袋
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で1,000〜4,000円前後
収納時に平らになるので、備蓄棚のすき間や車のトランクに入れておけます。洗濯用なら、ふちがしっかりして自立するタイプが揉み洗いしやすいです。給水の受け・掃除・トイレの水の運搬にも使えるので、断水対策としては費用対効果の高い1つ。キャンプや大掃除でふだんから使っておくと、置き場所を家族が覚えます。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
2. 少量で使える洗剤|見るべきは「洗浄力」より「すすぎ回数」
ふだんの洗剤をそのまま手洗いに使うと、泡切れが悪くてすすぎに何度も水が要ります。断水中に効くのは、すすぎが少なくて済む形の洗剤です。
形は大きく4つあります。粉末の小分けタイプは1回分ずつ個包装されていて、計量がいらず、液漏れの心配もないので持ち出し袋向きです。液体の濃縮タイプは少量で溶けやすく、冷たい水でも扱いやすいのが利点。シート状・ジェルボール状は携帯性が高い一方、水量が少ないと溶け残ることがあるので、量の調整には向きません。部分洗い用のスティック・ペンは、襟や袖口、食べこぼしなど「一部だけ何とかしたい」場面で全体を洗わずに済ませられます。
断水中に本当に洗いたいのは、たいてい全身の服ではなく下着と靴下、そしてシャツの襟です。この現実に合わせて、部分洗い用を1本持っておくと、水の消費を大きく減らせます。
メモ
携帯用・小分けタイプの洗濯洗剤と部分洗いスティック
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で300〜2,000円前後
1回分ずつ包装された粉末や、小容量の濃縮液体が備蓄向きです。選ぶ基準は洗浄力より「すすぎ回数の少なさ」。あわせて部分洗いのスティックを1本入れておくと、襟や袖口だけを処理して全体を洗わずに済ませられます。旅行用品売り場のものがそのまま使えるので、出張や旅行で回しながら備えるのがおすすめです。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
3. 速乾インナー・使い捨て下着・衣類用消臭スプレー|水を使わない選択肢
前述のとおり、内閣府男女共同参画局のガイドラインは、避難所では物干し場がなかったり断水で洗濯できない可能性があるとして、使い捨て下着やおりものシートが衛生を保つのに便利だと注記しています。「洗わない」を積極的な選択肢として位置づけている点が重要です。
家庭で備えるなら、次の3つの組み合わせで考えます。
一つ目は枚数を増やすこと。もっとも単純で、もっとも確実です。下着と靴下を、家族1人あたり最低3日分、できれば1週間分を防災用として別に確保します。ふだんのローテーションとは分けて、圧縮袋に入れて備蓄棚か持ち出し袋に置いておきます。
二つ目は速乾インナー。化学繊維の薄手インナーは、手洗いしても短時間で乾くので、少ない枚数で回せます。汗を吸って発散するタイプは、着たままの時間が長くなる避難生活でも比較的快適です。冬場は保温をうたうインナーが役立ちますが、汗をかいたまま乾かないと体を冷やすので、重ね着で調整できるようにしておきます。
三つ目は使い捨て下着と衣類用の消臭スプレー。使い捨て下着は洗う必要がなく、洗濯の順番待ちからも解放されます。衣類用消臭スプレーは、洗えない上着やズボンのにおいを一時的に抑えるためのもので、洗濯の代わりにはなりませんが、避難生活の心理的な負担をかなり下げてくれます。用途表示(衣類用か、除菌をうたうか、布製品全般か)を確認して選びます。
ヒント
速乾インナー・使い捨て下着(家族分のストック)
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で1枚500〜4,000円前後
「洗えない日」を前提に、下着と靴下は家族1人あたり3日〜1週間分を防災用として別置きにします。速乾インナーは手洗いしても乾きが早く、少ない枚数で回せるのが強み。使い捨てタイプは洗濯の順番待ちから解放されます。サイズは年1〜2回、点検のタイミングで実物合わせを。旅行や出張でも使えるものを選ぶと循環させやすいです。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
4. 室内干しのロープ・洗濯ばさみ・ハンガー|干せなければ、洗っても意味がない
手洗いまではできても、乾かせなければ着られません。雨が続く、外に干す場所がない、避難所で屋外に干すのが防犯上ためらわれるといった事情は、災害時にはむしろ普通のことです。内閣府のガイドラインも、防犯上の観点から女性用の洗濯干し場を確保することをチェック項目に挙げており、干す場所の確保は運営側でも課題として扱われています。
家庭で用意するなら、物干しロープが最小の投資です。より合わせたタイプは洗濯ばさみがなくても衣類を挟めます。長さは3〜5メートル程度あれば、部屋のカーテンレールと柱、あるいはドア枠のあいだに渡せます。フックやカラビナ、粘着フックが付属しているものだと設置の自由度が上がります。
あわせて、折りたたみハンガーを数本と、洗濯ばさみ付きの小型ピンチハンガーを1つ用意しておくと、下着と靴下がまとめて干せます。旅行用の折りたたみハンガーは持ち出し袋に入る大きさです。
乾かす速さは、風の有無で大きく変わります。停電中は乾燥機も浴室乾燥も使えないので、窓を開けて風の通り道を作る、乾いたバスタオルで衣類をはさんで水分を移してから干す(脱水の代わり)、といった手順が効きます。厚生労働省のガイドラインも、寝具について日中は敷きっぱなしにせず、晴れた日には日光干しや通風乾燥を行うよう避難者に促すことを挙げています。衣類でも考え方は同じで、湿ったものを室内にためないことが衛生の基本です。
「避難所生活が長引くにつれ、敷きっぱなしの毛布等寝具が汚れ、湿気を含み、(中略)ダニなどが発生しやすくなります。日中は布団を敷きっぱなしにせず、晴れた日には日光干しや通風乾燥を行うよう、避難者に促しましょう。」は厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」(平成23年6月3日事務連絡)、防犯上の観点から女性用の洗濯干し場を確保するというチェック項目は内閣府(防災担当)「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」の記載にもとづきます。
室内干し用の物干しロープと折りたたみハンガー・洗濯ばさみ
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で800〜3,000円前後
より合わせたロープなら洗濯ばさみなしでも挟めます。長さは3〜5メートルあればカーテンレールと柱のあいだに渡せる長さ。折りたたみハンガー数本と小型のピンチハンガーを足すと、下着と靴下がまとめて干せます。かさばらないので持ち出し袋にも入り、旅行先の部屋干しでも活躍します。設置場所の耐荷重には注意してください。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
5. 衣類圧縮袋・防水袋|濡れたもの・汚れたものを「隔離」する
洗えない期間にいちばん効くのが、実はこの隔離です。汗や雨で濡れた衣類、泥のついた作業着、子どもの汚した服を、乾いた衣類と同じ空間に置かないだけで、においとカビの発生がかなり抑えられます。
衣類圧縮袋は、備蓄側で使います。乾いた下着・靴下・着替えを圧縮して収納しておけば、棚のスペースが空き、ほこりや湿気からも守れます。掃除機を使わず手押しで空気を抜けるタイプは、停電中でも開け閉めできます。
防水袋(ドライバッグ)やジッパー付きの厚手ポリ袋は、持ち出し・避難側で使います。口をロールして留めるタイプは、においが漏れにくく、濡れたものを入れてもリュックの中身を巻き込みません。中身が見えないタイプを選ぶと、避難所で下着を運ぶときの心理的な負担も減ります。内閣府男女共同参画局のガイドラインでも、備蓄品のリストに「中身が見えないゴミ袋」が挙げられています。
浸水した衣類の扱いには、別の注意が必要です。日本環境感染学会の「一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法(暫定版ガイダンス)」は、浸水した衣類・布類は熱水洗濯、あるいは80度の熱水に10分以上漬けた後洗濯し、乾燥させること、清掃時に着ていた服は汚れていない服と区別して洗濯することを示しています。つまり、洪水の水に触れた衣類は、断水中の手洗いで済ませる対象ではありません。袋に隔離しておき、水道と洗濯機が復旧してから、この手順で処理するのが現実的です。
「浸水した衣類、布類は熱水洗濯、あるいは80℃の熱水に10分以上漬けた後洗濯し、乾燥させます。」「清掃時に着ていた服は、汚れていない服と区別して洗濯します。」は、日本環境感染学会「一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法(暫定版ガイダンス)」(平成28年9月)の記載にもとづきます。熱湯を扱う作業はやけどの危険があるため、無理のない方法を選び、実際の処理は自治体や保健所の案内も確認してください。
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衣類圧縮袋と防水ドライバッグ(濡れた衣類の隔離用)
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で500〜3,000円前後
圧縮袋は掃除機を使わず手押しで空気を抜けるタイプが停電中でも使えます。防水袋は口をロールして留める形が、においを閉じ込めやすく中身も濡らしません。乾いた着替えは圧縮袋で棚に、濡れた・汚れたものは防水袋でリュックに、と役割を分けるのがコツ。中身が見えないタイプは避難所で下着を運ぶときに気持ちが楽になります。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
6. 小型洗濯機(手動式・電動式+ポータブル電源)|条件が整うなら家族分が回る
最後は、水と電源に一定の余裕がある家庭の選択肢です。バケツ型の小型洗濯機や、手回し・足踏み式の洗濯器具が市販されています。
手動式は電気がいらないのが最大の利点です。ハンドルを回す、足で踏む、真空の吸引で洗うなど方式はさまざまで、扱えるのは下着や子ども服など少量が中心。脱水機能がないものが多いので、乾いたタオルで水分を移す工程を組み合わせます。
電動の小型洗濯機は、ポータブル電源と組み合わせて使う想定になります。ここで確認したいのが消費電力と使用時間です。ポータブル電源の容量(ワットアワー)に対して、洗濯機の消費電力(ワット)と1回あたりの運転時間から、何回回せるかが決まります。加えて、多くのポータブル電源には出力の上限があるため、洗濯機の定格消費電力が上限を超えていないかを必ず確認してください。モーターを使う機器は起動時に定格より大きな電力が流れることがあり、余裕を見た組み合わせが必要です。
注意
正直なところ、この6番目は「あると便利だが、なくても何とかなる」枠です。同じ予算を1〜5に配分したほうが、多くの家庭では効きます。ただ、乳幼児がいて着替えの回転が速い家庭、在宅避難が長引きやすい住まい、すでにポータブル電源を持っている家庭では、検討する価値があります。
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小型・ポータブル洗濯機(手動式/電動式)
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で4,000〜30,000円前後
手動式は電気がいらないのが強みで、下着や子ども服など少量向け。電動式はポータブル電源との相性を先に確認します(定格消費電力が電源の出力上限を超えないか、メーカーが対応をうたっているか)。必要な水の量も製品ごとに違うので、断水中に確保できる水量と照らして選んでください。ふだんは分け洗いや部活着の予洗いに使えます。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
断水中の手洗い洗濯|水を無駄にしない段取り
道具がそろったら、使う順番を決めておきます。ポイントは「きれいな水から汚れた水へ」一方向に流すことです。
- 1
洗うものを3つに仕分ける
今日どうしても洗いたいもの(下着・靴下)、部分洗いで済むもの(襟・袖口)、復旧まで待つもの(上着・浸水した衣類)に分けます。ここで量を絞れるかどうかで、必要な水がまったく変わります。 - 2
バケツ1杯の水を用意し、洗剤を先に溶かす
水に洗剤を溶かしてから衣類を入れます。衣類に直接かけるより少ない洗剤で行き渡ります。冷たい水では溶けにくい洗剤もあるので、粉末は特にしっかり混ぜます。 - 3
きれいなものから順に洗う
下着、靴下、汚れの強いものの順で、同じ水を使い回します。逆にすると1杯で1枚しか洗えません。洗濯袋に入れて外から揉むと、水の飛び散りが減ります。 - 4
すすぎは2杯目の水で、まとめて行う
洗い終わったものをまとめて、新しい水ですすぎます。強く絞ってから入れると、すすぎの水が汚れにくくなります。 - 5
乾いたタオルで水分を移してから干す
脱水の代わりに、乾いたバスタオルで衣類をはさんで押します。これだけで乾く時間が大きく変わります。そのあと風の通る場所に間隔を空けて干します。 - 6
残った水をトイレ用などに回す
すすぎに使った水は比較的きれいなので、トイレを流す水や玄関の掃除に転用できます。ただし排水の可否は自治体の指示に従ってください。
メモ
買ったあとが本番|置き場所と、1回の予行演習
道具は買った時点では戦力になりません。使える状態にしておくところまでが備えです。
- 1
持ち出し用と在宅用に分けて置く
持ち出し袋には、下着1〜2日分・小分け洗剤・防水袋・折りたたみハンガーなど軽いものを。自宅の備蓄には、折りたたみバケツ・洗濯ばさみ・圧縮した着替え・小型洗濯機などかさばるものを置きます。 - 2
1回だけ予行演習をする
休日に、バケツ1杯の水で靴下と下着を洗ってみます。必要な水の量、乾くまでの時間、洗剤の使い勝手が体でわかります。この1回があるかないかで、本番の落ち着きが変わります。 - 3
干す場所を決めておく
停電中に室内干しをするなら、どこにロープを張るかを決めて、フックの位置まで確認しておきます。当日に探すと、疲れて後回しになります。 - 4
サイズと枚数を年1〜2回見直す
子どもの成長、季節、家族構成の変化に合わせて中身を入れ替えます。防災週間や年度替わりなど、日付を決めてしまうのが続くコツです。 - 5
ふだん使いで循環させる
旅行、出張、キャンプ、部活の合宿。使う機会を作れば、賞味期限のない道具でも劣化や紛失に気づけます。
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よくある質問
断水中、洗濯は何日くらいできないと考えておけばよいですか
洗濯に使う水は、飲料水の備蓄から出してよいですか
風呂の残り湯で洗濯してもよいですか
使い捨て下着は本当に必要ですか
洗えないあいだ、においが気になります。どうすればよいですか
洪水で浸水した衣類は、断水中に手洗いしてもよいですか
ポータブル電源があれば、家の洗濯機を回せますか
避難所へ行けば洗濯できますか
今日からの一歩
洗濯の備えは、大きな買い物をしなくても前に進みます。今日できるのは、下着の枚数を数えることと、干す場所を決めることの2つです。そのうえで、足りない道具を1つずつ足していきましょう。
断水・停電中の洗濯と衣類の点検リスト
- 家族1人あたりの下着・靴下を数え、3日分〜1週間分を防災用として別に確保する
- 子どものサイズが合っているか、実物合わせで確認する
- 速乾インナーを1人1〜2枚、防災用のストックに加える
- 使い捨て下着を数枚、持ち出し袋に入れる
- 折りたたみバケツを1つ用意し、給水・洗濯・掃除の兼用にする
- メッシュの洗濯袋を1〜2枚、バケツと一緒に置く
- 小分けの洗濯洗剤と部分洗いスティックを持ち出し袋へ入れる
- 物干しロープを1本用意し、室内のどこに張るかを決めておく
- 折りたたみハンガーと洗濯ばさみを持ち出し袋に入れる
- 衣類圧縮袋で乾いた着替えをまとめ、備蓄棚に置く
- 防水袋(中身が見えないタイプ)を、濡れた衣類の隔離用に2〜3枚用意する
- 休日に一度、バケツ1杯の水で下着と靴下を手洗いしてみる
- 断水時の排水の可否を、自治体や管理組合の案内で確認しておく
洗濯は、命に直結する備えではないかもしれません。それでも、乾いた下着に着替えられる日と、そうでない日とでは、避難生活の消耗がまるで違います。水や食料の備蓄が一通り整ったら、次の一手として衣類のことを考えてみてください。
なお、健康や衛生に関わる判断は、この記事だけで完結させないでください。肌のトラブルや体調の変化があるときは医療機関へ、断水中の排水や水の使い方は自治体・水道事業者・管理組合の案内へ、浸水した家屋や衣類の処理は自治体や保健所の案内へ。最終的な判断は、お住まいの地域の公的機関が出す最新の情報を優先してください。
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女性の視点で見直す防災の備え|プライバシー・衛生・防犯と持ち出し品
出典・参考
- 避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(平成28年4月/令和6年12月改定)/内閣府(防災担当)
- 避難所の生活環境対策/内閣府(防災担当)
- 令和6年能登半島地震における入浴支援、洗濯支援の好事例集(令和8年3月)/内閣府政策統括官(防災担当)付 食事支援担当参事官室
- 災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~(第3部 便利帳・備蓄チェックシート)/内閣府男女共同参画局
- 災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~/内閣府男女共同参画局
- 避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン(平成23年6月3日事務連絡)/厚生労働省
- 「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」について(平成23年6月)/厚生労働省
- 災害が起きる前にできること/首相官邸
- 家庭での節水/国土交通省 関東地方整備局
- 水の上手な使い方/東京都水道局
- 一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法(暫定版ガイダンス・平成28年9月)/日本環境感染学会
- 災害時における避難所での感染症対策/厚生労働省
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