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富士山噴火の降灰にどう備える|家庭でできる火山灰対策(内閣府ガイドライン)

カエデ避難計画・防災情報担当
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富士山噴火の降灰にどう備える|家庭でできる火山灰対策(内閣府ガイドライン)

富士山の大規模噴火と聞くと身構えてしまいますが、これは「いつ噴火するか」を予知する話ではありません。火山灰は地震や台風とちがい、命に直接かかわる危険は比較的低い一方で、広い範囲に長く影響し、電気・水道・交通・物流に支障を出すのが特徴です。内閣府が令和7年(2025年)3月に公表したガイドラインでも、基本は「できるだけ降灰域内にとどまり、自宅で生活を続けること」とされています。だからこそ、日頃の備えがそのまま効いてきます。この記事では、いつもの地震・停電・断水の備えに何を足せばよいかを、公的な目安に沿って整理します。

富士山の噴火と広域降灰、内閣府はどう整理しているか

内閣府(防災担当)は、令和6年(2024年)7月から「首都圏における広域降灰対策検討会」を開催し、富士山の大規模噴火を首都圏のモデルケースとして検討してきました。その成果として、令和7年3月に「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」を公表しています。土台となっているのは、令和2年(2020年)4月の「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」が示した降灰の影響です。

本記事の数値・方針は、内閣府(防災担当)「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」(令和7年3月公表)および同ワーキンググループの整理にもとづいています。

ガイドラインの基本方針は明確です。火山灰は緊急的・直接的な命の危険性は比較的低いものの、広範囲かつ長期に影響が及ぶため、できる限り降灰域内にとどまって自宅等で生活を継続することが基本とされています。そのため、日頃からの十分な備蓄が極めて重要だと位置づけられています。

一方で、直ちに命の危険がある場合は避難などの行動をとります。具体的には、降灰量が30cm以上の地域の木造家屋にいる人、土石流の危険がある地域にいる人、要配慮者のうち自助・共助で生活を続けられず直ちに生命に危険が及ぶ人などが挙げられています。

火山灰は何が困るのか|地震・台風とちがう点

火山灰は、砂ぼこりとは性質が異なります。ガラス質の細かい粒で、目・のど・呼吸器を痛めます。水を含むと重くなり、濡れると滑りやすく、通電の原因にもなります。屋根や車、道路、電線などに広く積もり、時間をかけて生活を止めていくのが火山灰の怖さです。

注意

火山灰は濡れると重く、電気を通しやすくなります。屋根の灰を無理に自分で下ろそうとしたり、濡れた灰に近づいたりするのは危険です。作業の可否は、必ず自治体や公的機関の最新情報にしたがってください。

分野別の影響も、ガイドラインでは具体的な数値で示されています。備えの優先順位を考えるうえで参考になります。

分野影響が出る降灰の目安起きること
鉄道微量の降灰地上路線の運行が停止
道路乾燥時10cm以上/降雨時3cm以上二輪駆動車が通行不能に
電力降雨時3mm以上碍子(がいし)の絶縁低下で停電
上下水道原水の水質悪化、停電による使用制限
建物降雨時30cm以上木造家屋が倒壊するものが発生

上表の降灰量の目安は、内閣府の広域降灰対策の検討で示された分野別の影響にもとづく数値です。

注目したいのは、鉄道はごく微量でも止まり、電力も降雨時3mm程度で停電が起こりうるという点です。つまり、少ない降灰でも交通と電気が先に影響を受けます。停電・断水・通信支障への備えが、そのまま降灰対策の土台になります。

降灰の4つのステージと、家庭がとる行動

ガイドラインでは、被害の様相を降灰量で4つのステージに区分しています。数値を正しく押さえておくと、報道や自治体の情報を受け取ったときに落ち着いて動けます。

ステージ降灰量基本の行動
ステージ1微量〜3cm自宅等で生活を継続
ステージ23〜30cm(被害が比較的小さい)自宅等で生活を継続
ステージ33〜30cm(被害が比較的大きい)自宅等で生活を継続(状況に応じ生活可能な地域へ移動)
ステージ430cm以上(降灰後土石流が想定される範囲)原則避難。噴火直後は自宅や堅牢な建物に退避

ステージ1・2・3は、いずれも「自宅等で生活を継続」が基本です。鉄道や物資供給に支障は出ますが、無理に外へ出るより、備えた物資で暮らしを続けるほうが安全という考え方です。ステージ3で被害が大きく長期化する場合は、状況に応じて生活可能な地域へ移動することも想定されています。

ステージ4は例外です。降灰量30cm以上で、降雨があると火山灰の重みで木造家屋が倒壊するおそれがあり、降灰後の土石流も想定される範囲です。この場合は原則避難ですが、噴火直後はまず自宅や堅牢な建物に退避します。

メモ

「対応のトリガーとなる情報」や降灰の見通しを伝える情報については、気象庁が提供を検討中とされています(令和7年時点)。今後の情報提供の詳細は、気象庁や自治体の発表を確認してください。

在宅生活を続けるための備え|いつもの備蓄に足すもの

降灰対策の大部分は、地震や停電・断水の備えと共通です。まずは水・食料・トイレ・電源という基本の備蓄を整えることが土台になります。家庭の備蓄量の目安は、農林水産省の食品ストックガイドが参考になります。飲料水は1人1日3リットル、食料とあわせて最低3日分、できれば1週間分が一般的な目安とされています。

飲料水1人1日3リットル、最低3日分・できれば1週間分という目安は、農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」で示されている家庭備蓄の考え方です。

そのうえで、降灰ならではの品を「追加」します。難しく考えず、下のチェックリストで足りないものだけをそろえていけば十分です。

降灰対策として足したいもの

  • 防塵マスク(粒子を防げる規格のもの)を家族の人数分
  • 目を守るゴーグル(すき間の少ないタイプ)
  • 窓やドアのすき間をふさぐ養生テープ・すきまテープ
  • 灰の掃除用のほうき・ちりとり・厚手のごみ袋
  • 灰を入れて口を縛れる丈夫な袋(土のう袋など)
  • 予備のエアコン・換気扇フィルター、掃除機の紙パック
  • 常備薬(特に呼吸器の持病がある人は多めに)
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    まず水・食料・トイレ・電源をそろえる

    降灰時は物流と交通が止まりやすく、停電・断水も起こりえます。飲料水1人1日3リットルを目安に、最低3日分から。トイレ・電源の備えも忘れずに。
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    マスクとゴーグルを人数分そろえる

    屋外で行動するときは、健康被害を防ぐため防塵マスクとゴーグルの着用が望ましいとされています。呼吸器の持病がある人は特に留意してください。
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    窓やドアのすき間対策をする

    細かい灰は室内に入り込みます。養生テープやすきまテープでふさぐ準備をしておくと、噴火の情報が出てから慌てずに済みます。
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    掃除・処理の道具を用意する

    積もった灰を集めるほうき・ちりとり・丈夫な袋を用意します。フィルターや紙パックの予備もあると、掃除が続けられます。

降灰中の過ごし方と、灰の処理で守ること

降灰中は、視界が低下して屋外が危険になることがあります。その場合は基本的に自宅などの屋内にとどまります。どうしても屋外で行動する必要があるときは、防塵マスクとゴーグルを着け、肌の露出を減らします。呼吸器疾患などの持病がある人は、より慎重に判断してください。

灰の処理には、地域全体で守るルールがあります。宅地から出た火山灰は、市町村がルールを定めて処分します。自己判断で下水や側溝に流すと、下水管の閉塞につながるため、絶対に流してはいけません。集めた灰は、自治体の案内にしたがって出します。

灰が降ると外に出られないのが一番心配です。マスクとゴーグル、常備薬を多めにして、降っている間は無理に動かないと家族で決めています。
呼吸器に持病のある家族がいる方

停電・断水・通信支障への備えは、地震や台風の対策とそのまま重なります。ここを厚くしておくことが、降灰への備えにもなります。詳しくは関連記事もあわせてご覧ください。

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よくある質問

富士山はいつ噴火するのですか
噴火の時期を予知することはできません。この記事は予知ではなく、いつ起きても慌てないための備えを扱っています。過度に不安を感じる必要はなく、地震・停電・断水の備えの延長として少しずつ準備するのがおすすめです。
火山灰が降ったら避難すべきですか
内閣府のガイドラインでは、できる限り降灰域内にとどまり自宅等で生活を継続するのが基本とされています。ただし降灰量30cm以上の木造家屋、土石流の危険がある地域、直ちに命の危険が及ぶ要配慮者などは避難などの行動をとります。実際の判断は自治体・公的機関の最新情報を優先してください。
ふつうのマスクでも大丈夫ですか
火山灰はガラス質の細かい粒のため、屋外では防塵マスク(粒子を防げる規格のもの)とゴーグルの着用が望ましいとされています。手元にあるマスクがまったく無意味ということはありませんが、備えるなら粒子を防げる規格のものを人数分そろえておくと安心です。
積もった灰は水で流してもよいですか
下水や側溝に流してはいけません。下水管の閉塞につながります。宅地から出た火山灰は市町村がルールを定めて処分するため、自治体の案内にしたがって集めて出してください。
どのくらいの量を備えればよいですか
飲料水は1人1日3リットルを目安に、食料とあわせて最低3日分、できれば1週間分が一般的な目安です。降灰は影響が長期化しやすいため、余裕があれば1週間分に近づけておくと安心です。

まとめ|地震の備えに、マスクとゴーグルを足すだけ

富士山の広域降灰への備えは、ゼロから始める特別なものではありません。基本は「在宅で暮らしを続ける」こと。そのための水・食料・トイレ・電源の備蓄が土台になり、そこにマスク・ゴーグル・すき間対策・掃除用品を足すのが現実的な進め方です。

  1. 水・食料・トイレ・電源を最低3日分そろえる
  2. 防塵マスクとゴーグルを家族の人数分足す
  3. 窓のすき間対策と灰の掃除道具を用意する

いつ噴火するかは分かりません。だからこそ、いつもの防災の延長で、今日できる一歩から積み上げていきましょう。実際の行動は、必ず自治体・気象庁など公的機関の最新情報を優先して判断してください。

出典・参考

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