車中泊避難と車の防災|車に積んでおく備えとエコノミークラス症候群への注意

マイカーがある家庭にとって、車は移動手段であると同時に、災害時には避難や物資の運搬、電源の確保などに役立つ「動く備え」でもあります。一方で、車中泊避難には特有の健康リスクもあります。この記事では、持ち出し袋や帰宅困難への備えとは切り口を分け、「車そのものへの備え」と「車中泊避難のときの注意」に絞って、公的機関の目安に沿って整理します。
車中泊避難はどう位置づけられているか
車中泊避難は、プライバシーを保ちやすい、冷暖房やラジオが使える、ペットと一緒にいられるといった理由で選ばれることがあります。ただし、これは積極的にすすめられる避難方法ではなく、避難所に入れない・在宅も難しいといった事情があるときの、やむを得ない一時的な選択肢と考えるのが基本です。
国(内閣府)は、避難所以外で過ごす人が増えている状況をふまえ、「在宅避難者・車中泊避難者」への支援に取り組んでいます。避難の場所にかかわらず、情報や物資、健康面の支援が届くようにするという考え方が示されています。つまり、車中泊避難を選ぶ場合でも、自分たちだけで抱え込まず、自治体の窓口や支援の仕組みにつながることが大切です。
在宅避難者・車中泊避難者への支援に国(内閣府 防災担当)が取り組んでいることは、内閣府「在宅避難者・車中泊避難者の支援に関すること」にもとづきます。避難方法の判断は、お住まいの自治体や公的機関の最新情報を優先してください。
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車に積んでおきたい防災の備え
車は収納場所が限られるため、あれもこれもと詰め込むより、「短期間の車内避難をしのぐ最低限」と「徒歩避難に切り替えるときの持ち出し」を意識してそろえると無理がありません。JAFは、道路の通行止めなどで1〜2日の車内避難を余儀なくされる場面を想定し、車内に用意しておきたい防災用品を挙げています。
車に常備したい防災用品(目安)
- 飲料水・長期保存できる食料(缶詰・ロングライフ食品など)
- 携帯トイレ(便座がなくても使えるタイプ)
- 懐中電灯・ヘッドライト、ポケットサイズのラジオ
- モバイルバッテリーやシガーソケット用の充電ケーブル
- 毛布・寝袋・使い捨てカイロなどの防寒具
- 軍手・手袋、救急用品(消毒薬・絆創膏・三角巾など)
- レインコート、アルミブランケット
- 地図、現金(小銭)、雪の多い地域は小型スコップ
車内に用意しておきたい防災用品(飲料水・食料・携帯トイレ・防寒具・懐中電灯・ラジオ・軍手・救急箱・アルミブランケット等)の例は、JAF「車内に用意しておきたい防災用品とは?」にもとづきます。
三角表示板(停止表示器材)は、故障などで路上に停車するときに後続車へ知らせるための装備で、車に備えておくと安心です。発炎筒(非常信号用具)は多くの車に標準で積まれていますが、有効期限があるため、車検や点検のタイミングで期限を確認しておきましょう。
夏の車内は高温になり、食品や電池、モバイルバッテリーが傷みやすくなります。飲料や食料は定期的に入れ替え、日常で使いながら補充する「ローリングストック」の発想で管理すると、いざというときに期限切れで使えない事態を防げます。
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燃料と電源|「半分を切る前に給油」の習慣
災害時はガソリンスタンドが被災したり、給油に長い列ができたりして、燃料の補給が難しくなることがあります。全国石油商業組合連合会(全石連)は、燃料計が半分になる前に満タンにしておく「満タン&灯油プラス1缶運動」を呼びかけています。ふだんから残量を半分より減らさないようにしておくと、いざというときに移動や暖の確保に使える余裕が生まれます。
メモ
車からの充電に頼りきりにならないよう、モバイルバッテリーやポータブル電源もあわせて備えておくと、車を降りて避難する場面でも電源を確保しやすくなります。
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車中泊で最も注意したいエコノミークラス症候群
車中泊避難でとくに気をつけたいのが、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)です。食事や水分を十分にとらないまま、狭い座席で長時間足を動かさずにいると、血の巡りが悪くなって脚の静脈に血のかたまり(血栓)ができることがあります。この血栓が肺に流れて血管をふさぐと、胸の痛みや息苦しさなどを起こすおそれがあります。
厚生労働省は、エコノミークラス症候群の予防として次のような点を挙げています。
- ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
- 十分にこまめに水分をとる
- アルコールを控える。できれば禁煙する
- ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
- かかとの上げ下ろし運動をしたり、ふくらはぎをもんだりする
- 眠るときは足を上げる
注意
エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)の予防法は、厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」にもとづきます。体調の判断は医療機関や公的機関の最新情報を優先してください。
トイレを我慢して水分を控えてしまうと、かえって血栓のリスクが高まります。携帯トイレを備えておくことは、衛生面だけでなく、水分を我慢しないための備えでもあります。
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一酸化炭素中毒と、安全な場所選び
もうひとつの重大なリスクが一酸化炭素(CO)中毒です。一酸化炭素は無色・無臭で気づきにくく、大雪で車が埋まったり、浸水などでマフラー(排気口)がふさがれたりした状態でエンジンをかけ続けると、排気ガスが車内に流れ込んで危険な濃度に達することがあります。JAFの実験では、車が雪に埋もれた状態でエンジンをかけると、短時間で車内のCO濃度が大きく上昇したと報告されています。一方、マフラー周りを除雪しておくと濃度はほとんど上がらなかったとされています。
注意
積雪などでマフラーがふさがれた状態でエンジンをかけると一酸化炭素中毒の危険があること、マフラー周りの除雪が有効であることは、JAF「雪で埋まった場合の一酸化炭素中毒の危険性とは?」にもとづきます。
車中泊の場所選びも安全に直結します。地割れや浸水、土砂災害のおそれがない、なるべく平坦で安全な場所を選びましょう。傾いた場所では体に負担がかかり、休養の妨げにもなります。防犯やプライバシーの面では、周囲から車内が見えにくいようにサンシェードやカーテンを使い、貴重品を見える場所に置かない工夫が役立ちます。長時間の駐車で他の避難者や緊急車両の妨げにならないよう、駐車位置にも配慮しましょう。
よくある質問
車中泊避難は避けたほうがよいのですか
車には何を積んでおけばよいですか
エコノミークラス症候群はどう予防しますか
車内で暖をとるためにエンジンをかけ続けても大丈夫ですか
燃料はどのくらい残しておけばよいですか
今日からの一歩
車の防災は、特別な道具をそろえるより、「積んでおく」「減らさない」「無理をしない」という日々の習慣づくりが中心です。できることから始めましょう。
車の防災 今日からのチェック
- 飲料水・食料・携帯トイレ・毛布・ライトを車に常備する
- モバイルバッテリーや充電ケーブルを車内に入れておく
- 燃料は半分を切る前に給油する習慣をつける
- 発炎筒の有効期限と三角表示板の有無を確認する
- 車中泊時は水分と足の運動でエコノミークラス症候群を予防する
- エンジンをかけたままの就寝を避け、マフラー周りの除雪・換気を意識する
- 車中泊は平坦で安全な場所を選び、防犯にも配慮する
車は「動く備え」として頼れる存在ですが、車中泊避難には健康リスクもあります。ふだんの備えと注意点を知っておくことで、「もしも」のときに落ち着いて選べるようになります。実際の判断は、自治体や公的機関の最新情報を優先してください。帰宅困難や睡眠の備えとあわせて整えると、より安心につながります。
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