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防災用の雨具(レインウェア)の選び方比較|避難・片づけ・持ち出し袋で使い分ける7タイプ

ツムギ住まいの防災・ライフライン担当
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防災用の雨具(レインウェア)の選び方比較|避難・片づけ・持ち出し袋で使い分ける7タイプ

持ち出し袋の中身を点検していると、たいてい「雨具」だけが後回しになっています。薄いポンチョが袋の底で折り目のまま固まっていたり、そもそも入っていなかったり。水も食料も入れたのに、雨具だけは「まあ、傘があるし」で済ませてしまう。わが家もそうでした。

けれど公的機関が示す避難時の服装をよく読むと、雨具は「濡れないためのもの」ではなく「両手を空けて動くための装備」として位置づけられていることがわかります。この記事では防災用の雨具を7タイプに分け、耐水圧と透湿度の読み方から、フードのひさし、袖口と裾の絞り、反射材、収納サイズまで比較の軸を整理します。避難のとき、浸水後の片づけのとき、持ち出し袋に入れておくとき。場面ごとに役割が違うので、そこを分けて考えるのが近道です。

ヒント

この記事にはアフィリエイト広告(商品リンク)を含みます。紹介するのは選び方の目安になる代表的なタイプで、特定の型番を断定的におすすめするものではありません。価格・在庫・仕様は変動するため、購入前に各販売サイトの最新情報をご確認ください。

雨具は「濡れないため」ではなく「動けるため」の道具

公的機関が示す、雨のなかを動くときの服装

国土交通省の「川の防災情報」に掲載されている「浸水深と避難行動について」では、避難の際に気をつけるべき事項として「動きやすい格好で」という項目があり、「持ち物はリュックで、手は自由に、長靴よりひも付き運動靴で避難しましょう」と示されています。短い一文ですが、雨具選びに必要なことがほとんど入っています。荷物は背負う。手は空ける。足元はひも付きの運動靴。

千葉県の「避難のときの注意点」でも、服装のポイントとして、ヘルメットや帽子で頭を保護すること、荷物は両手が空くリュックにすること、足元を確認するための傘や杖を持つこと、けがを防ぐため夏でも長袖・長ズボンを着ること、そして「靴はスニーカー(長靴は水が入ると動きにくいので避ける)」が挙げられています。傘が「さして雨を防ぐもの」ではなく「足元を確認するための杖」として登場している点が印象的です。福岡管区気象台も、服は長袖・長ズボン、靴は運動靴のような脱げにくいしっかりしたもの、持ち出し品はリュックで背負って両手が使えるように、と案内しています。

「持ち物はリュックで、手は自由に、長靴よりひも付き運動靴で避難しましょう」は国土交通省 川の防災情報「浸水深と避難行動について」、避難時の服装のポイント(靴はスニーカー、長靴は避ける等)は千葉県「避難のときの注意点」、長袖・長ズボンとリュックの心得は福岡管区気象台「気象災害に備える」にもとづきます。

つまり、雨のなかを移動する前提での標準的な装備は「リュック+両手を空ける+ひも付き運動靴」であり、その状態で雨をしのぐ道具が雨具です。傘は片手をふさぎ、強い風ではあおられます。だからレインウェアなのだ、と理解しておくと、選ぶときの優先順位がぶれません。

雨具の出番は3つの場面に分かれる

同じ「雨具」でも、使う場面によって求められるものは大きく違います。移動が避けられないときに求められるのは、両手が空くこと、フードで視界が確保できること、暗がりで見つけてもらえること。水が引いたあとの片づけで求められるのは、汚れてもよいこと、汚水や泥が肌に付かないこと。ここで初めて長靴が主役になります。屋外での作業や待機なら、体温を奪われないことと蒸れにくいことが効いてきます。

総務省消防庁の「非常用持出品チェックシート」でも、衣料品の欄に「下着・靴下」「長袖・長ズボン」と並んで「防寒用ジャケット・雨具」が挙げられています。持ち出し袋に雨具を入れるのは、特別なことではなく標準装備という位置づけです。

非常用持出品の衣料品として「防寒用ジャケット・雨具」が挙げられていることは、総務省消防庁「非常用持出品チェックシート(地震防災マニュアル)」にもとづきます。

「台風のとき、子どもの分だけ通学用のレインコートがありました。でも大人の分は折りたたみ傘だけ。両手が空かないと子どもの手も引けないと気づいて、あわてて自分の分を買いに行きました」
小学生と暮らす読者

注意

雨具は「濡れても大丈夫だから水の中を進める」ための道具ではありません。国土交通省 川の防災情報では、洪水氾濫時の避難困難事例として、関川水害(平成7年)の調査結果で浸水深がひざ(0.5メートル)の高さ以上になるとほとんどの人が避難困難でした、と紹介されています。国土交通省 河川局の「避難時に注意すること」も、避難中はできるだけ浸水していない場所を歩き、避難途中で危険を感じたら自宅の二階以上や近所のビルに避難しましょう、と示しています。すでに道路が冠水しているときは無理に外へ出ず、建物の高い階へ移動するなど、より安全な行動に切り替えてください。移動の可否は、自治体が出す避難情報(警戒レベル)と現地の状況で判断してください。気象庁は防災気象情報と警戒レベルとの対応を一覧で示しており、警戒レベル4は危険な場所からの避難が必要な段階とされています。

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耐水圧と透湿度|数字の意味と目安

商品説明でよく見る「耐水圧20,000mm」「透湿度10,000g」という数字。ここを読めるようになると、値段の差が何の差なのかがわかります。

耐水圧(mm)は「どのくらいの水圧まで水が染み出さないか」

耐水圧は、生地に水圧をかけたときに、どの程度で裏側に水が染み出すかを評価した数値です。試験方法は日本産業規格のJIS L 1092(繊維製品の防水性試験方法)で定められています。一般財団法人カケンテストセンターの説明によれば、試験片の表面に水滴が3滴出水した時点の水圧を測定し、5枚の平均値を結果とするとされています。数値が大きいほど耐水性が高いと評価できる、というシンプルな指標です。なお一般財団法人ボーケン品質評価機構の説明では、JIS L 1092のA法(低水圧法)は約2000mmH2Oまでの範囲で「レインウェア、おむつカバー、防水シーツ、傘などの製品又は布地」に適用するとされています。一方、B法(高水圧法)は通常約10kPaから約500kPaまで(おおよそ1,000mmH2Oから50,000mmH2O相当)の水圧に耐えるものが対象で、防水帆布、テント用布、靴用布などに適用するとされています。市販のレインウェアで見かける「耐水圧20,000mm」のような数値は、A法の測定範囲を超えており、B法の範囲にあたる水準です。

耐水性試験の手順(水滴3滴出水時点の水圧・試験片5枚の平均)は一般財団法人カケンテストセンター「耐水性試験(JIS L 1092)」、A法・B法の測定範囲と適用製品は一般財団法人ボーケン品質評価機構「防水性(JIS L 1092)」にもとづきます。

数値の目安については公的な統一基準があるわけではなく、メーカーが用途に応じて示しているのが実情です。たとえばモンベルは、同社のレインウエアガイドで「レインウエアに求められる耐水圧20,000mm以上をクリアした素材を使用しています」と説明しています。登山向けの水準ではありますが、参考になる数字です。家庭の防災で考えるなら、おおむね次のような読み方をしておけば大きく外れません。あくまで目安であり、幅があると考えてください。

耐水圧の目安想定できる使い方
2,000mm前後まで小雨や短時間の移動。使い捨てタイプや簡易ポンチョの多くがこのあたり
5,000〜10,000mm程度一般的な雨のなかを数十分歩く。通勤通学用レインウェアに多い
10,000〜20,000mm程度強い雨や風雨。リュックを背負って長く歩く場面も想定した水準
20,000mm以上長時間の激しい雨。アウトドア向けの上位モデルが名乗る水準

メモ

耐水圧の数字が高くても、縫い目から水が入れば意味がありません。針の穴をふさぐ処理の有無は、商品説明の「シームシール」「目止め加工」といった記載で確認できます。ファスナーの上に雨よけの布(フラップ)があるかも見ておきたい点です。

透湿度(g/m2・24h)は「内側の蒸れをどれだけ外に逃がすか」

もうひとつの数字が透湿度です。生地がどれだけ湿気を通しやすいかを示す指標で、試験方法はJIS L 1099(繊維製品の透湿度試験方法)で定められています。ボーケン品質評価機構の説明によれば、透湿度は肌から出る湿気を外に逃がす性能を評価するもので、レインウェアなどでは防水性とあわせて快適性の向上に重要とされています。同機構の説明では、透湿度はJIS L 1099のA-1法(塩化カルシウム法)やA-2法(ウォーター法)、B-1法・B-2法(酢酸カリウム法)などの方法で測られ、1平方メートルあたり1時間あたり(g/m2・h)で算出されるとされています。商品表示では、これを24時間あたりに換算した「10,000g/m2/24h」のような形が一般的です。

モンベルのレインウエアガイドは「ウエア内の蒸れ(水蒸気)を外に逃がす性質が『透湿性』です」と説明しています。防水だけを追い求めると、雨は防げても内側が汗でびしょ濡れになり、結局は体が濡れます。濡れた衣服は体温を奪うため、夏でも避けたい状態です。

これは夏の片づけ作業で特に効いてきます。環境省の「ごみ処理作業時等における熱中症対策事例集」では、手袋、ゴーグル、マスク等の防護具や肌の露出の少ない作業着(長袖・長ズボン)を着用する場合、夏季の気温・湿度が高い環境では熱中症のリスクが高くなるおそれがあると述べられ、熱を吸収する服装や保熱しやすい服装は避け、透湿性・通気性のよい衣服を着用するという対策も挙げられています。家庭の片づけでも考え方は同じです。

透湿度の意味は一般財団法人ボーケン品質評価機構「透湿性(JIS L 1099ほか)」、透湿性の説明と耐水圧20,000mm以上という同社の基準はモンベル「レインウエアガイド」、防護具や長袖・長ズボン着用時の夏季の熱中症リスクと透湿性・通気性のよい衣服の対策は環境省「ごみ処理作業時等における熱中症対策事例集」にもとづきます。

「防水」と「撥水」は別のもの

撥水は生地の表面で水をはじく加工で、洗濯や摩擦で少しずつ落ちていきます。防水は生地そのものが水を通さない状態を指します。撥水が落ちた防水生地は表面が水を吸って重くなり、内外の温度差で内側に結露が起きます。「しみてきた気がする」現象の正体がこれであることも少なくありません。撥水は消耗する機能だ、と覚えておくと点検の見方が変わります。

ヒント

数字にこだわりすぎないことも大切です。家庭の防災で最も多い失敗は「高性能なレインウェアを買ったが、収納袋ごと押し入れにしまい込んでいて、いざというときに出てこない」というものです。性能と、取り出しやすい置き場所は、セットで考えてください。

選ぶときの7つの軸

数字の意味がわかったら、実物を見比べる番です。次の7点を順に確認していくと、迷いが減ります。

  1. 1

    形を決める(セパレート・ポンチョ・使い捨て)

    レインスーツは動きやすく風にあおられにくい一方、着るのに時間がかかります。ポンチョはかぶるだけで速く、リュックごと覆えるものもありますが風には弱くなります。使い捨てタイプは軽い代わりに破れやすい。まず「主にどの場面で使うか」を決めてから形を選びます。
  2. 2

    フードとひさしを見る

    雨のなかで前が見えるかどうかは安全に直結します。フードの周囲を絞れるドローコードがあるか、後頭部側で深さを調整できるか、ひさし(つば)に芯が入って形が保たれるかを見ます。モンベルはフードの説明で、ひさしは先端に芯を入れ雨を効果的に遮るとしています。顔の向きに追随して視界が確保できることが、フードの良し悪しです。
  3. 3

    袖口と裾の絞りを確かめる

    水は上からだけでなく袖口と裾から入ります。袖口は面ファスナーやゴムで絞れるか、裾はドローコードで締められるかを見ます。片づけでは、袖口が絞れないと腕を上げたときに泥水が肘まで流れ込みます。
  4. 4

    反射材と色を確認する

    警察庁は、夜間歩くときは明るい目立つ色の衣服を着用したり、靴・衣服・カバンなどに反射材用品等を付けたりするよう呼びかけており、自動車運転者から見て「反射材を着用している歩行者」は「着用していない歩行者」よりも2倍以上手前で発見できるといわれているとしています。避難は夜間や薄暮になることも多く、雨のなかでは視界がさらに悪くなります。明るい色と反射材は「見つけてもらう」ための機能です。
  5. 5

    収納サイズと重さを量る

    持ち出し袋に入れるなら、収納袋込みの大きさと重さが決め手です。500ミリリットルのペットボトルより小さくたためるか、家族分入れても袋がふくらみすぎないかを実際に詰めて確かめます。玄関や車に置くものは、多少かさばっても性能を優先できます。
  6. 6

    サイズは『重ね着したうえで』選ぶ

    レインウェアの下には長袖・長ズボンを着ます。冬なら防寒着も重ねるため、ふだんの服のサイズちょうどだと動きにくくなります。厚手のパーカーの上から着て、腕を上げる・しゃがむができるかを確認します。
  7. 7

    子ども用はひもの安全性も見る

    経済産業省は、子ども服のひもに関する安全基準としてJIS L4129を紹介し、安全性もチェックするよう呼びかけています。東京都生活文化局の資料は、13歳未満が着用する子供服を対象とするJIS L4129の「規定事項例」として、頭、及び首まわりに垂れ下がっているひもがあってはならない、と紹介しています(規格本体では年齢層と部位ごとに要件が分かれています)。同じ資料には、フードは適用外だが附属書に「子ども用衣料のフードの安全性」が示されている、との注記もあります。子ども用を選ぶときは、フードまわりに垂れ下がるひもがないか、ゴムや面ファスナーで調整する方式になっているかを見ておきましょう。

反射材の効果と明るい色の衣服の呼びかけは警察庁「反射材・ライト」、ひさしに芯を入れて雨を遮る設計はモンベル「レインウエアガイド」、JIS L4129の紹介は経済産業省、規定事項例とフードに関する注記は東京都生活文化局の資料にもとづきます。

タイプ別の比較表

家庭の防災でよく使われる7タイプを、向いている場面・強み・弱み・価格の目安で並べます。価格は市販品のおおまかな幅で、素材やブランドによって変わります。

タイプ向いている場面強み気をつけたい点価格の目安
上下セパレートのレインスーツ避難時の移動、屋外作業、片づけ風にあおられにくく動きやすい。全身を覆える着脱に時間がかかる。かさばりやすい3,000〜20,000円前後
レインポンチョ短時間の移動、リュックごと覆いたいときかぶるだけで速い。荷物ごと覆える製品がある風に弱い。足元やすそから濡れる1,500〜6,000円前後
使い捨てレインコート持ち出し袋、車、職場の予備軽くて小さい。汚れたら捨てられる破れやすい。耐水性は低め100〜1,000円前後
長靴(レインブーツ)水が引いたあとの片づけ、泥かき泥や汚水から足を守れる避難時の移動には向かない。水が入ると重い2,000〜8,000円前後
防水シューズカバー履き慣れた運動靴を濡らしたくないとき靴を替えずに防水を足せる濡れた路面で滑りやすい製品がある1,000〜4,000円前後
子ども用レインウェア子どもと一緒に移動するときサイズが合って動きやすい成長で毎年サイズが変わる2,000〜8,000円前後
反射材つきタスキ・アームバンド夜間・薄暮の移動全般雨具の上から付けられる。軽い単体では雨を防げない500〜2,000円前後

一覧にすると、雨具は「1つで全部をまかなう道具」ではないことがわかります。役割を分けたほうが、結果的に安く軽く収まります。

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タイプ別に見る|使いどころと注意点

1. 上下セパレートのレインスーツ

いちばん汎用性が高いのがこの形です。上着とズボンが分かれているため風にあおられにくく、しゃがむ・またぐ・階段を上るといった動きがしやすくなります。弱点は着脱に時間がかかることと、かさばること。「持ち出し袋の底」ではなく「避難のときに真っ先に着るもの」として、玄関の手が届く場所に置きましょう。選ぶときは、耐水圧と透湿度の両方の記載、縫い目の目止め処理、フードのひさしの芯、袖口と裾の絞り。この4つを見ておけば大きく外しません。

上下セパレートのレインスーツ(防水透湿タイプ)

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上下セパレートのレインスーツ(防水透湿タイプ)

価格の目安: 3,000〜20,000円前後(素材・透湿性能により変動)

避難時の移動から屋外作業まで、いちばん出番の多い基本形。耐水圧と透湿度の両方が書かれている製品を選び、縫い目の目止め処理も確認を。下に長袖・長ズボンを重ねる前提なので、サイズは少し余裕を持たせるのがコツです。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

2. レインポンチョ

かぶるだけで着られる速さが最大の利点です。リュックを背負ったまま上から覆えるサイズの製品もあり、荷物と体をまとめて雨から守れます。一方で裾が開いているぶん風には弱く、強い風では大きくあおられます。自転車での使用は視界をふさいだり車輪に巻き込んだりする危険があるため避けるのが無難です。足元は別に守る必要があるので、シューズカバーやレインパンツと組み合わせる手もあります。

注意

ポンチョは風で顔を覆ってしまうことがあります。強い風のときは、前を留められるスナップやサイドを絞れるひもがあるタイプを選び、フードのドローコードをしっかり締めてください。視界がふさがれた状態で歩くのは、それ自体が危険です。

レインポンチョ(リュックごと覆えるタイプ)

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レインポンチョ(リュックごと覆えるタイプ)

価格の目安: 1,500〜6,000円前後(素材・サイズにより変動)

かぶるだけで着られる速さが持ち味。リュックを背負ったまま覆えるサイズなら、荷物と体をまとめて守れます。風にあおられやすいので、前を留められるスナップやサイドを絞るひもがある製品が安心です。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

3. 使い捨てレインコート(携帯用)

持ち出し袋、車のグローブボックス、職場のロッカー、通学カバン。分散して置いておく「予備」として優秀です。軽く、たためば手のひらに収まり、値段も手ごろ。ただし素材が薄く破れやすく、強い雨のなかを長時間歩く用途には向きません。「メインの雨具は別に用意し、これは予備」と位置づけるのが現実的です。

なお、厚手のポリ袋に頭と腕を通す穴を開けて雨具の代わりにする方法もありますが、袖がなく風で開くため、あくまで応急のものと考えてください。とくに小さな子どもがかぶる場合は、窒息を防ぐため大人が目を離さないでください。

使い捨てレインコート(携帯用・複数枚入り)

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使い捨てレインコート(携帯用・複数枚入り)

価格の目安: 100〜1,000円前後(枚数・厚みにより変動)

持ち出し袋・車・職場に分散して置く予備用。軽くて小さく、汚れたら捨てられるのが利点です。薄手で破れやすいため、メインの雨具の代わりにはなりません。複数枚入りを選んで分散配置しておくと、外出先で被災したときにも一枚は手元に残ります。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

4. 長靴(レインブーツ)|出番は避難ではなく片づけ

ここが、防災の雨具でいちばん誤解されやすいところです。前述のとおり、国土交通省 川の防災情報は避難時の心得として「長靴よりひも付き運動靴で」と示し、千葉県も「靴はスニーカー(長靴は水が入ると動きにくいので避ける)」と案内しています。水がたまった場所を歩くと長靴の中に水が入って重くなり、歩きにくくなったり脱げたりする、というのが理由です。

では長靴は不要なのかというと、そんなことはありません。出番は、水が引いたあとの片づけです。生駒市は浸水被害発生時の衛生対策として、けがを防ぐために厚手のゴム手袋、ゴム長靴(あればゴーグルを付けて目も保護)、ほこりを吸い込まないためにマスクを付けて清掃にあたるよう案内しています。石川県健康福祉部健康推進課の資料でも、作業する際の服装として、感染症の防止のためマスク、長袖・長ズボン、手袋(厚手のゴム手袋など)を装備し、水や土、汚染された廃材などを直接触ったり、くぎなどを踏んだりしないよう体を保護してくださいと示されています。

浸水後の清掃時に厚手のゴム手袋・ゴム長靴・ゴーグル・マスクを着用する案内は生駒市「浸水被害発生時の衛生対策について」、作業時の服装(マスク・長袖長ズボン・厚手のゴム手袋)と体の保護は石川県健康福祉部健康推進課「水害の際の衛生対策と消毒方法(資料)」にもとづきます。

つまり、避難のときは運動靴、片づけのときは長靴。この使い分けを家族で共有しておくのが実用的です。石川県は片づけ作業時の破傷風対策として、釘の踏み抜き防止のため安全靴や踏み抜き防止インソールなどを着用することを挙げています。長靴を選ぶときは、踏み抜き対策の有無も確認しておきましょう。

注意

石川県健康福祉部健康推進課の資料では、河川などの増水により浸水した地域では衛生環境が不良な状態となり、細菌性の下痢などの感染症や食中毒が発生しやすい状況となるとされています。作業中にけがをしたときは傷口をきれいな水で洗い流し、出血が多いようなら圧迫止血して医療機関を受診してください。刺し傷は傷口が小さくても奥が深く、細菌が入ると破傷風にかかることがあるとされています。判断に迷うときは医療機関や保健所に相談してください。

片づけ用の長靴(踏み抜き対策のある製品を選ぶ)

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片づけ用の長靴(踏み抜き対策のある製品を選ぶ)

価格の目安: 2,000〜8,000円前後(踏み抜き対策の有無で変動)

避難の移動用ではなく、水が引いたあとの片づけ用として持つ一足。泥や汚水から足を守り、くぎの踏み抜き対策がされた製品ならけがのリスクも下げられます。踏み抜き対策の有無は製品によって異なるため、購入前に商品ページの表示を確認してください。石川県は安全靴や踏み抜き防止インソールなどを挙げており、長靴以外も選択肢になります。作業後は外側を洗い、よく乾かしてから保管しましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

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5. 防水シューズカバー

履き慣れた運動靴のまま、上から履いて防水性を足す道具です。「避難は運動靴で」という原則を守りながら、靴が水を吸うのを遅らせられるのが利点。折りたためばポケットに入る大きさのものもあります。注意したいのは、靴底の作りによっては濡れた路面で滑りやすくなること。買ったらまず、雨の日に家の周りを歩いて感触を確かめておきましょう。深い水たまりを歩けば結局は上から水が入るので、これも「浸水を突破するための装備」ではありません。

防水シューズカバー(靴の上から履くタイプ)

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防水シューズカバー(靴の上から履くタイプ)

価格の目安: 1,000〜4,000円前後(素材・丈により変動)

履き慣れた運動靴を替えずに防水を足せるタイプ。折りたためば小さく、持ち出し袋にも入れやすい形です。靴底の作りによっては濡れた路面で滑ることがあるため、購入後に一度、雨の日に歩いて感触を確かめておきましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

6. 子ども用レインウェア

子どもの分は、大人用の流用がききません。袖や裾が余ると足元が見えず、つまずきやすくなります。歩くのは本人なので、サイズが合っていることがそのまま安全につながります。通学用を防災用に兼ねる家庭も多いと思いますが、その場合は「濡れて乾かしている最中に災害が起きたらどうするか」を考えておきましょう。

選ぶときは、フードのひさしがあって視界が確保できるか、袖口を絞れるか、明るい色と反射材があるか。そして、前述のJIS L4129の考え方にならって、頭や首まわりに垂れ下がったひもがないかも見ておきます。

子ども用レインウェア(上下セパレート)

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子ども用レインウェア(上下セパレート)

価格の目安: 2,000〜8,000円前後(サイズ・素材により変動)

子どもの分はサイズが合っていることが最優先。袖や裾が余ると足元が見えず危険です。明るい色と反射材があると、暗い雨のなかで見つけてもらいやすくなります。成長でサイズが変わるため、年1回の見直しを習慣に。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

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7. 反射材つきタスキ・アームバンド

雨具そのものではありませんが、組み合わせる価値の高い小物です。手持ちの雨具に反射材が付いていなくても、上からタスキやアームバンドを重ねれば視認性を足せます。警察庁が示すとおり、反射材を着用している歩行者は着用していない歩行者よりも2倍以上手前で発見できるといわれています。雨の夜、フードをかぶって前を向いている歩行者は、車から見つけにくい存在です。「見えるようにする」ではなく「見つけてもらう」ための道具として持っておきましょう。

反射材つきタスキ・アームバンド

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反射材つきタスキ・アームバンド

価格の目安: 500〜2,000円前後(枚数・仕様により変動)

手持ちの雨具に反射材がなくても、上から重ねれば視認性を足せる小物。軽くてかさばらないので、人数分を持ち出し袋に入れておけます。汚れると反射性能が落ちるため、たまに拭いておきましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

場面別|わが家の組み合わせを決める

道具の性格がわかったら、「どこに何を置くか」を決めます。ここが決まっていないと、持っているのに使えない、という状態になります。

場面体を覆うもの足元あわせて
避難のための移動セパレートのレインスーツまたはポンチョひも付き運動靴反射材、ヘッドライト、リュック
持ち出し袋の中使い捨てレインコートまたは軽量ポンチョ防水シューズカバー反射材のタスキ、ポリ袋
浸水後の片づけ汚れてよいレインスーツまたは作業着ゴム長靴(踏み抜き対策)厚手のゴム手袋、マスク、ゴーグル
屋外での作業・待機透湿性のあるレインウェアとレインパンツ運動靴または長靴帽子、タオル、飲み物
車・職場の予備使い捨てレインコート歩きやすい靴反射材、軍手

置き場所は「取りに行ける場所」に

雨具は、玄関に1セット、持ち出し袋に1セット、車と職場に予備。この分散が基本形です。押し入れの奥や物置にしまうと、必要なときに出てきません。

  • 玄関: メインのレインスーツを家族分。ヘルメットや運動靴と同じ場所にまとめると動線が短くなります
  • 持ち出し袋: 軽量のポンチョか使い捨てレインコートを人数分。反射材のタスキも一緒に
  • 車・職場: 使い捨てレインコートと軍手。夏の車内は高温になり、ゴム系の素材は劣化が早くなります
  • 物置・ベランダ収納: 片づけ用の長靴と厚手のゴム手袋。使うのは水が引いたあとなので屋外でも構いません
「雨具は物置に全部まとめていました。でも物置は庭の奥で、雨の日に取りに行くこと自体が大変だと気づいて。避難用は玄関、片づけ用は物置、と分けたら気持ちが軽くなりました」
戸建てで暮らす読者

手入れと寿命|「いざ」のときに撥水が死んでいないように

雨具は、使わない期間が長いほど劣化に気づきにくい道具です。とくに次の3つは、しまい込んでいるあいだに静かに進みます。

  • 撥水の低下: 表面が水をはじかなくなり、生地が水を吸って重くなります。使用回数が少なくても、たたんだ折り目から落ちていきます
  • 目止めテープのはがれ: 縫い目の内側に貼られたテープが、高温多湿の場所で保管されると端からはがれてくることがあります
  • コーティングの劣化: ポリウレタン系のコーティングは湿気と熱で加水分解が進み、内側がベタついたり粉を吹いたりすることがあります

使ったあと・年に一度の点検

雨具の点検リスト

  • 使ったあとは真水で汚れを流し、ハンガーで完全に乾かしてから収納する
  • 収納袋に入れっぱなしにせず、年1回は広げて折り目の位置を変える
  • 水をかけて表面が玉状にはじくかを見る(はじかなければ撥水の回復を検討)
  • 縫い目のテープのはがれ、内側のベタつきや粉吹きがないか確かめる
  • ファスナー・面ファスナー・スナップが問題なく動くかを試す
  • 子ども用はサイズが合っているか、袖と裾の余りを確かめる

洗濯の方法は製品によって大きく異なります。洗濯機が使えるもの、手洗いのみのもの、熱で撥水が回復するもの、逆に熱で傷むもの。必ず洗濯表示と取扱説明書に従ってください。

メモ

点検の日は、防災週間(8月30日から9月5日)や台風シーズンの前など、家族が思い出しやすいタイミングに固定してしまうのがおすすめです。雨具は「使ってみないと壊れているとわからない」道具なので、点検日に一度着てみるだけでも価値があります。

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片づけのときは、雨具だけでは足りない

浸水後の片づけは、雨具のほかにいくつか装備が要ります。内閣府の防災Q&Aでは、災害ボランティアの一般的な装備として、一日分の飲み物、長袖、長ズボン、安全な靴、帽子、ヘルメット、ゴーグル、マスク、タオル、皮手袋(軍手は危険)、保険証、常備薬、救急セットなどが挙げられ、こまめに休みを取り水分を補給するようにとも書かれています。自宅の片づけでも、この考え方はそのまま使えます。

粉じん対策も見落とせません。環境省の災害廃棄物対策指針の技術資料では、災害廃棄物の撤去・処理活動における粉じん曝露量を低減・防止するために、従事する担当者やボランティアは適切な防じんマスクを着用する必要があるとされています。石川県も、片づけ作業で発生した粉じんに石綿(アスベスト)やカビが含まれるおそれがあるとして、防じんマスク(DS2マスク、N95マスク、FFP2マスク等)の着用を推奨しています。

災害ボランティアの装備と休憩・水分補給の呼びかけは内閣府 防災情報のページ「防災Q&A」、防じんマスク着用の必要性は環境省「防じんマスクによる飛散粉じん対策方法(災害廃棄物対策指針 技術資料)」、石綿・真菌への対策として防じんマスク(DS2・N95・FFP2等)を推奨する記述は石川県「被災地での片づけ作業時等における注意点について」にもとづきます。

注意

夏場の片づけは熱中症の危険が高まります。環境省の事例集にあるとおり、防護具や長袖・長ズボンを着用する場合、夏季の気温・湿度が高い環境では熱中症のリスクが高くなるおそれがあります。作業は短時間で区切り、日陰で休み、水分と塩分を補給してください。無理はせず、自治体の窓口にも相談を。

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よくある質問

避難のときは傘ではだめなのでしょうか。
傘は片手がふさがるため、荷物を背負って両手を空けるという避難の基本と相性がよくありません。国土交通省 川の防災情報は避難時の心得として『持ち物はリュックで、手は自由に』と示しています。なお千葉県は服装のポイントとして『足元を確認するための傘や杖』を挙げており、傘を足元を確かめる杖として使う考え方も示されています。
長靴は防災に向かないということですか。
場面によります。避難の移動については、国土交通省 川の防災情報が『長靴よりひも付き運動靴で避難しましょう』と示し、千葉県も『靴はスニーカー(長靴は水が入ると動きにくいので避ける)』と案内しています。一方、水が引いたあとの片づけでは、生駒市が厚手のゴム手袋・ゴム長靴・マスクの着用を案内しているように、長靴が推奨される場面があります。避難は運動靴、片づけは長靴、と使い分けるのが実際的です。
耐水圧はどのくらいの数字を選べばよいですか。
公的な統一基準はなく、用途によって考え方が異なります。目安としては、短時間の移動なら数千ミリメートル程度でも役に立ち、強い雨のなかを長く歩く想定なら1万ミリメートル以上を検討する、という幅で考えるとよいでしょう。参考として、モンベルはレインウエアガイドで『レインウエアに求められる耐水圧20,000mm以上をクリアした素材を使用しています』と説明しています。
100円ショップのレインコートでも十分でしょうか。
予備としては十分に役立ちます。軽くて小さく、汚れたら捨てられるのは大きな利点です。ただし薄手で破れやすく、強い雨や風のなかを長く歩く用途には向きません。メインの雨具は別に用意し、こちらは持ち出し袋・車・職場に分散して置く予備として位置づけるのがおすすめです。
子どもの雨具は通学用と兼ねてよいですか。
兼ねること自体は問題ありませんが、通学用は使用中や乾かしている最中で手元にないことがあります。可能であれば防災用に1着を玄関に用意しておくと確実です。選ぶときは、サイズが合っていること、フードのひさしで視界が確保できること、明るい色と反射材があることを見てください。東京都生活文化局の資料は、JIS L4129の規定事項例として、頭、及び首まわりに垂れ下がっているひもがあってはならない、と紹介しています。
雨具はどのくらいで買い替えればよいですか。
使用頻度と保管環境によるため、一律の年数は示せません。目安として、表面が水をはじかなくなった、縫い目のテープがはがれてきた、内側がベタついたり粉を吹いたりしている、といった変化が出たら見直しどきです。年に1回、点検の日に広げて状態を確かめ、子ども用はサイズも一緒に見直すことをおすすめします。

まとめ|「1着で全部」ではなく「場面ごとに1つ」

防災の雨具選びは、性能の高さを競うものではありません。公的機関が示している避難時の姿は、荷物をリュックで背負い、両手を空け、ひも付きの運動靴で歩く、というものです。雨具は、その姿勢を保ったまま雨をしのぐための装備。だから「傘の上位互換」ではなく「両手を空けるための道具」なのです。

そのうえで、場面ごとに役割を分けます。避難の移動には、動きやすく視界が確保できるセパレートのレインスーツかポンチョ。持ち出し袋には、軽くてかさばらない簡易タイプと反射材。片づけには、汚れてよい雨具と長靴、厚手のゴム手袋とマスク。この3つがそろっていれば十分に実用的です。

今日からの一歩

  • 持ち出し袋を開けて、雨具が入っているか・破れていないかを確かめる
  • 家族分の雨具のサイズを、重ね着した状態で試す
  • 玄関に『避難のときに着るもの』を1セットまとめる(雨具・運動靴・反射材)
  • 片づけ用の長靴と厚手のゴム手袋を、物置など別の場所に用意する
  • 車と職場に、使い捨てレインコートを1枚ずつ置く
  • 子ども用のサイズ見直しを、年1回の予定に組み込む

雨具は、買ったその日から出番がない道具です。だからこそ、点検の日にちょっと着てみる、雨の日に一度使ってみるという小さな習慣が効いてきます。「もしも」の日に慌てて袋から引っ張り出すのではなく、いつもの雨の日にも手が伸びる。そんな置き方ができれば、備えはずいぶん軽くなります。

出典・参考

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