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防水バッグ・防水ケースの選び方比較|IPX等級の読み方と、書類・スマホ・電池を水から守る備え

カエデ避難計画・防災情報担当
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防水バッグ・防水ケースの選び方比較|IPX等級の読み方と、書類・スマホ・電池を水から守る備え

避難のことを想像するとき、多くの人は「何を持っていくか」までは考えます。けれど「それがどのくらい濡れるか」まではあまり考えません。大雨や台風で避難するとき、外は当然のように雨です。傘はさせないのでレインコートを着て、リュックを背負って歩きます。その数十分のあいだに、中の書類や着替えは思っている以上に水を吸います。

この記事では、持ち出すものを水から守る「個人装備」に絞って、防水バッグと防水ケースの選び方を整理します。誤解の多いIPX等級の読み方を押さえ、7タイプを比較し、最後に「買わなくてもできる代用」まで正直に書きます。特定の型番を断定的におすすめするものではなく、選び方の目安としてお読みください。

ヒント

この記事にはアフィリエイト広告(商品リンク)を含みます。紹介するのは選び方の目安になる代表的なタイプで、特定の型番を断定的におすすめするものではありません。価格・在庫・仕様は変動するため、購入前に各販売サイトの最新情報をご確認ください。

なぜ「濡らさない備え」が必要なのか

避難のときは、たいてい雨が降っている

大雨や台風で自治体から避難情報が出るのは、当たり前ですが雨の最中です。気象庁は、警戒レベル4の避難指示が発令されたら危険な場所から全員避難する必要があると案内しています。つまり「雨がやんでから」ではなく、降っているうちに動くことが前提の行動です。

福岡管区気象台は、避難するときの心得として、長袖・長ズボンを着用し、靴は運動靴のような脱げにくいしっかりしたものを履くこと、そして非常持ち出し品はリュックに入れて背負い、両手が使えるようにすることを挙げています。傘で片手をふさぐのではなく、背中に荷物を背負って歩く。この姿勢で数十分、雨の中を進むことになります。

警戒レベル4(避難指示)で危険な場所から全員避難する必要があることは、気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」にもとづきます。避難時の服装と、リュックを背負って両手を使えるようにするという心得は、福岡管区気象台「気象災害に備える」に示されています。

注意

道路が冠水し始めてからの移動は危険です。国土交通省の資料では、膝の高さ(およそ0.5メートル)程度の水深で大人でも歩行が難しくなるとされています。すでに周囲が浸水しているときは、無理に外へ出ず、建物の高い階へ移動する垂直避難など、より安全な行動に切り替えてください。防水の備えは「濡れても大丈夫だから水の中を進める」ための道具ではありません。

防災リュックは「完全防水」ではないことが多い

首相官邸は、非常時に持ち出すべきものをあらかじめリュックサックに詰めておき、いつでもすぐに持ち出せるようにしておきましょう、と案内しています。そこで用意するリュックですが、市販の防災リュックの多くは、生地に撥水加工がされていたり、難燃性の素材が使われていたりします。ただし、それは「水をはじく」であって「水を通さない」ではありません。布を縫い合わせた縫い目には針の穴が空いており、そこから水がしみ込みます。ファスナーの合わせ目や、背中側の生地と体のあいだも、雨が長く当たれば湿ってきます。

防水性能を売りにしているアウトドア用のドライバッグでさえ、メーカーは限界を明記しています。モンベルは同社のドライバッグ製品ページで「極めて高い防水性を持ちますが、水中での使用には適しませんのでご注意ください」と案内しています。専用品ですらそうなのですから、防災リュックそのものに完全な防水を期待するのは現実的ではありません。

リュックを防水にするのではなく、リュックの中で「濡れたら困るもの」だけを個別に包む。これがいちばん確実で、いちばん安く済みます。

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濡れると困るもの、その優先順位

濡らしたくないものはたくさんありますが、被災後の困りかたは同じではありません。優先順位をつけておくと、そろえる道具の数が減ります。

  • 書類と現金: 生活の立て直しに直結します。消防庁の「非常用持出品チェックシート」は、貴重品類として現金・10円玉・預金通帳・印鑑・保険証・免許証を挙げ、通帳やカード、健康保険証、運転免許証などは番号を控えたメモかコピーを用意しておくとよいと案内しています。紙が濡れて字がにじむと、控えとしての価値が落ちます
  • スマホとモバイルバッテリー: 連絡・情報収集・照明の要です。水が内部に入ると使えなくなるだけでなく、発火のリスクもあります
  • 常備薬とお薬手帳の控え: 濡れた薬は品質が保証できません。処方の記録も紙であれば同様です
  • 着替えとタオル: 濡れた服のままでは体温を奪われます。避難先で着替えられるかは体調に直接影響します
「避難所まで歩いて15分ほどなのですが、途中で雨が強くなって、着いたときにはリュックの中の着替えまで湿っていました。着替えるために持っていったのに、その着替えが濡れているというのは、なんとも情けない気持ちでした」
集合住宅にお住まいの方

モバイルバッテリーの水濡れは、故障だけの問題ではない

意外に知られていないのが、リチウムイオン電池を積んだ製品と水の相性です。製品評価技術基盤機構(NITE)は、水が内部に侵入すると、放置しているだけでも回路基板のショートやトラッキング現象によって異常発熱し、出火するおそれがあると注意を呼びかけています。雨に当たる場所に置かないこと、濡れた場合はすぐに電源を入れず、メーカーに相談することも案内されています。守るのは「壊れないため」だけではなく、人が密集する避難先で発火事故を起こさないためでもあります。

リチウムイオン電池搭載製品に水が入ると回路基板のショートやトラッキング現象により異常発熱・出火のおそれがあること、濡れた場合はすぐ電源を入れずメーカーに相談することは、製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全情報マガジン Vol.453『雨で濡れて起こる事故』」にもとづきます。

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IPX等級の読み方|IPX7とIPX8は何が違うのか

防水グッズの商品説明でいちばん目にするのが「IPX8」「IP68」といった表記です。ここを正しく読めるようになると、買い物の精度が上がります。

IPコードは「外来固形物」と「水」の2つの数字

IPコードは、電気機械器具の外郭(ケース)がどれだけ異物と水の侵入を防ぐかを示す保護等級です。国際規格はIEC 60529で、日本では長くJIS C 0920として運用されてきました。日本規格協会によれば、2026年1月にJIS C 60529:2026が制定され、これにともないJIS C 0920:2003は廃止されています。規格番号が国際規格と同じ5桁(60529)になったこと、新たにIPX9という等級が加わったことが主な変更点とされています。

表記は、IPに続く1つめの数字が外来固形物(粉じんなど)に対する保護等級、2つめが水の侵入に対する保護等級で、試験をしていない、または表示しない側は「X」と書きます。ですから「IPX8」は、防じん性能を表示せず防水等級が8という意味です。「IP68」なら防じんが6、防水が8。IPX表記の製品が防じんに弱いのではなく、単にその項目を表示していないだけ、という点は覚えておくと誤解が減ります。

第二特性数字(防水等級)のイメージ

日本品質保証機構(JQA)は、防水試験を等級ごとに次のように整理しています。数字が上がるほど、水のかかり方が厳しくなります。

等級試験の種類大まかなイメージ
IPX1・IPX2滴水試験上から落ちてくる水滴
IPX3散水試験斜め上からの雨のような水
IPX4散水試験あらゆる方向からの飛まつ
IPX5放水ノズル試験直進する噴流
IPX6放水ノズル試験強い直進噴流
IPX7水没試験一時的に水中に沈める
IPX8水没試験継続的に水中に沈める条件
IPX9高圧・高温水の噴射高温高圧の洗浄水

家庭の防災で意味を持つのは主にIPX4からIPX8です。雨に当たるだけならIPX4程度でも役に立ちますし、水たまりに落とす事態まで考えるならIPX7以上が目安になります。

IPX7とIPX8の違いは「一時的」か「継続的」か

ここがいちばん誤解されやすいところです。IPX7は、規定の圧力と時間で外郭を一時的に水中に沈めても有害な影響を受けない、という等級です。試験は一般に水深1メートル・30分間で行われるとされています。つまり「うっかり落とした」に対応する強さです。

IPX8は、それより厳しい「継続的に水中に沈めた状態」を想定した等級ですが、具体的な水深と時間は一律には決まっておらず、製造業者が定める条件(IPX7より厳しい条件)で試験されるとされています。したがって、同じIPX8表示でも、ある製品は水深3メートル・30分、別の製品は水深10メートル・1時間、というように中身が異なりえます。

メモ

IPX8はIPX7の完全な上位互換とは限りません。IPX7・IPX8は「沈める」試験であって、IPX5・IPX6の「噴流を当てる」試験は含まれていません。ホースの水や強い雨の吹きつけに対する強さも重視したい場合は、IPX5やIPX6の表示があるかどうかも見ておくと安心です。

「防水」「撥水」「生活防水」は等級ではない

商品説明に書かれた「防水」「完全防水」「生活防水」という言葉には、IPコードのような統一された定義がありません。等級の表示があれば、少なくともどの試験を想定しているかを読み取れますが、記載がなければ商品説明から判断するしかありません。なお布製のバッグは、そもそも電気機械器具向けのIPコードで語られる対象ではなく、等級表示のない製品が一般的です。その場合は、生地の素材、縫い目の処理、口の閉じ方といった構造から判断することになります。

IPコードが外来固形物と水に対する保護等級を示すことと防水試験の等級区分は日本品質保証機構(JQA)「IP試験」に、2026年1月のJIS C 60529:2026の制定・JIS C 0920:2003の廃止・IPX9の追加は日本規格協会の解説記事にもとづきます。IPX7の試験条件(水深1メートル・30分間)とIPX8の条件が製造業者の定めによるとされる点は、規格の一般的な解説として広く示されている整理です。個々の製品の試験条件は仕様表示でご確認ください。

選ぶときの6つの軸

等級の意味がわかったら、次は実物を見比べる番です。次の6点を順に確認すると迷いが減ります。

  1. 1

    何を守るかを先に決める

    「とりあえず大きい防水バッグを1つ」より、「書類用のA4ケース+スマホ用ポーチ+衣類用のドライバッグ」のほうが、結果的に軽く安く収まることが多いです。
  2. 2

    口の閉じ方を見る

    防水性を左右するのは生地よりも口の構造です。ロールトップ式(口を折り返してバックルで留める)、樹脂製のかみ合わせジッパー、スライドロック、パッキン付きラッチ式などがあります。ロールトップは折り返す回数が少ないと水が入りやすいため、余裕をもって折り返せる長さがあるかを見ます。
  3. 3

    容量とリュックへの収まりを確かめる

    リュックの中に入れる前提なら、5リットル前後の小型を複数のほうが扱いやすくなります。リュックごと包みたいなら容量+5リットル程度が目安です。
  4. 4

    素材と縫い目の処理を見る

    ターポリンなど厚手の素材は丈夫ですが重くなります。また、生地を縫い合わせた縫い目は針穴から水が入るため、防水性の高い製品は生地を溶着(圧着)して袋状にしていることが多いとされます。縫製の製品はシームテープなどの目止め処理があるかを見ます。
  5. 5

    透明度と操作性を確かめる

    スマホを入れたまま操作したいなら透明な窓のあるポーチが便利ですが、多くの製品では指紋認証や顔認証が働きにくく、カメラの画質も落ちます。中身が見えるタイプは、暗い場所で必要なものを探しやすい利点もあります。
  6. 6

    浮くか、目立つ色かを見る

    ロールトップ式は、空気を少し残して閉じると浮力が生まれるとされ、水に落としても沈みにくくなります。ただし浮くことを保証していない製品もあるため商品説明を確認してください。色は暗がりでも見つけやすい明るい色が有利です。

注意

防水の道具をそろえても、水に落としたものを取りに行く判断はしないでください。浮くタイプのバッグは「落としても回収しやすい」ためのものであり、流れのある水に入ってよいという意味ではありません。ものより身の安全が先です。

タイプ別の比較表

家庭でよく使われる7タイプを、閉じ方・水への強さ・容量・価格の目安で並べます。価格は市販品のおおまかな幅で、仕様やブランドによって変わります。

タイプ主な閉じ方水への強さの目安容量の目安価格の目安
ロールトップ式ドライバッグ口を数回折り返してバックル雨・水しぶきに強い。水中での使用は想定外の製品が多い2〜40リットル1,500〜6,000円前後
防水スタッフバッグ(軽量)ロールトップまたは巾着+防水生地雨に強い。長時間の水没は不可2〜15リットル1,000〜3,000円前後
防水ジッパー式ケース樹脂製のかみ合わせジッパー等級表示があれば一時的な水没にも対応A5〜A4サイズ1,000〜4,000円前後
スマホ用防水ポーチスライドロックまたは折り返し式IPX8表示の製品が多いスマホ1〜2台分800〜2,500円前後
パッキン付きハードケースラッチ+パッキンIP67・IP68表示の製品もある小〜中サイズ2,000〜8,000円前後
ザックカバー(レインカバー)ゴムでリュックを覆う雨をはじくが背面やすき間からは入るリュック20〜40リットル用1,000〜3,000円前後
厚手ポリ袋・ジッパー付き保存袋かみ合わせ、または口を結ぶ二重にすれば実用十分。破れやすい小〜45リットル300〜1,500円前後

読み取れるのは「防水性が高いものほど重く、かさばり、値段が上がる」という素直な関係です。防災の持ち出し袋では重さは正義ではありません。すべてを高性能でそろえるのではなく、優先順位の高いものにだけ強い装備を割り当てるのが現実的です。

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タイプ別に見る|使いどころと注意点

1. ロールトップ式ドライバッグ

アウトドアで定番の形です。口を数回折り返してバックルで留めることで、生地の重なりが水の通り道をふさぎます。防水性と扱いやすさのバランスがよく、着替えやタオルなど「かさばるけれど濡らしたくないもの」に向いています。

注意点は、折り返しの回数が少ないと圧力がかかったときに水が入ること、荷物を詰めすぎて折り返す余裕がなくなると防水性が落ちること。前述のとおり、メーカー自身が水中での使用を想定していない製品が多いことも押さえておきましょう。

ロールトップ式ドライバッグ(5〜20リットル)

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ロールトップ式ドライバッグ(5〜20リットル)

価格の目安: 1,500〜6,000円前後(容量・素材により変動)

着替えやタオルをまとめて守る主力タイプ。防災リュックの中に入れるなら5〜10リットル、リュックごと包みたいなら容量に5リットルほど足したサイズが目安です。口を余裕をもって数回折り返せるよう、荷物を詰めすぎないのがコツ。空気を少し残して閉じると水に落ちても沈みにくくなるとされます。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

2. 防水スタッフバッグ(軽量タイプ)

登山用の小分け袋で、薄手で軽く、たたむと手のひらに収まります。防水性はドライバッグに一歩譲るものの、リュックの中を仕分けしながら雨のしみ込みを抑えたい場面には十分です。色違いで数枚そろえると、「青は着替え、オレンジは衛生用品」というように暗い中でも判別しやすくなります。角のある物や重い物を入れると生地を傷めやすい点には注意を。

3. 防水ジッパー式ケース(書類・貴重品向け)

樹脂製のかみ合わせジッパーで密閉するケースです。A4やA5サイズの平たい形が多く、書類・通帳のコピー・現金・保険証券の控えといった「紙もの」を折らずにまとめて入れられます。重要書類は原本を自宅で守り、コピーを持ち出し袋に入れておくのが基本。この「持ち出す側のコピー」を守るのが、このケースの役割です。

防水ジッパー式の書類・貴重品ケース(A4サイズ)

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防水ジッパー式の書類・貴重品ケース(A4サイズ)

価格の目安: 1,000〜4,000円前後(サイズ・等級表示により変動)

本人確認書類や保険証券のコピー、通帳の番号を控えたメモ、現金をまとめて守る一枚。A4が折らずに入るサイズなら、罹災証明の申請などで使う書類の控えもそのまま収まります。透明タイプは中身が一目でわかる反面、避難所では人目に触れやすい点に配慮を。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

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4. スマホ用防水ポーチ

首から下げられるストラップ付きの、透明な袋タイプが主流です。入れたまま画面を操作できる製品が多く、雨の中で地図や避難情報を確認したいときに便利です。IPX8の表示がある製品も多く見かけますが、前述のとおり試験条件は製造業者が定めるため、表示だけで水深や時間まではわかりません。

実用上の注意は3点。入れたままだと指紋認証や顔認証が働きにくいこと、通話時の音がこもること、フィルム越しの撮影は画質が落ちること。避難中に本当にやりたい操作ができるかを、買ったその日に一度試しておくと安心です。

メモ

防水ポーチを使う前には、スマホの代わりに丸めた紙を入れて水に沈め、中が濡れないかを一度確かめておくと安心です。閉じるときに髪の毛や砂粒をかみ込むと、そこから水が入ります。閉じる面に異物がないかを毎回確認する習慣をつけましょう。

スマホ用防水ポーチ(ストラップ付き)

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スマホ用防水ポーチ(ストラップ付き)

価格の目安: 800〜2,500円前後(サイズ・仕様により変動)

スマホ・カード・鍵を身につけたまま守れる小さな装備。雨の中で避難情報を確認するなら、入れたまま画面操作ができるタイプが便利です。認証や通話の使い勝手は製品差が大きいので、購入後すぐに手持ちの機種で試しておきましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

5. パッキン付きハードケース

樹脂製の箱にパッキンを仕込み、ラッチで閉じるタイプです。水だけでなく衝撃からも中身を守れるので、予備のメガネや体温計など「割れると困る小物」に向いています。IP67やIP68の表示がある製品もあります。弱点はかさばること。持ち出し袋の「壊れたら本当に困る小物だけ」に絞って使うのが現実的です。

6. ザックカバー(レインカバー)

リュック全体を外側から覆うカバーです。上から降る雨には効果的で、値段も手ごろ。ただし背中側は開いている製品が多く、体との間に流れ込む水や下から跳ね上がる水は防げず、強い横なぐりの雨ではすき間から入ってきます。

つまりザックカバーは「一次防御」であって、中身の防水そのものではありません。カバーで大半の雨をしのぎ、中では大事なものを個別に包む。この二段構えが現実的です。

ザックカバー(リュック用レインカバー)

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ザックカバー(リュック用レインカバー)

価格の目安: 1,000〜3,000円前後(サイズにより変動)

リュックの上から一枚かぶせるだけで、雨に濡れる面積を大きく減らせます。手持ちのリュックの容量(リットル)に合うサイズを選び、夜間に見つけてもらいやすい明るい色を。背中側は守れないので、中の重要物は別に包むことが前提です。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

買わなくてもできる代用|ポリ袋とジッパー付き保存袋

正直に書きます。家庭の防災で必要な水準の多くは、厚手のポリ袋とジッパー付き保存袋で足ります。専用の防水バッグは「より確実に、より扱いやすく」するための投資であって、これがないと何もできないというものではありません。

  1. 1

    ジッパー付き保存袋を二重にする

    書類やスマホは、まず保存袋に入れ、空気をできるだけ押し出してから閉じます。そのうえで、もうひとまわり大きい袋に入れます。一枚目と二枚目でジッパーの向きを変えておくと、片方に水が入っても中まで届きにくくなります。
  2. 2

    ポリ袋は口をねじって折り返し、輪ゴムで留める

    着替えを入れる場合は、空気を抜いてから口を数回ねじり、折り返して輪ゴムで留めます。単に結ぶよりも水が入りにくくなります。ロールトップ式ドライバッグの仕組みを、袋と輪ゴムで再現するイメージです。
  3. 3

    リュックの中に大きなポリ袋を敷く

    45リットル程度のポリ袋をリュックの内側に敷き、荷物を入れて口を折り返せば簡易的な防水になります。ザックカバーと組み合わせると、かなりの雨をしのげます。
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    濡れた物を入れる袋も分けておく

    濡れたタオルやレインコートを収める袋がないと、乾いた荷物まで湿ります。「乾いた物用」と「濡れた物用」で袋を分け、色や大きさを変えておきます。

ただし限界もあります。ポリ袋や保存袋は擦れに弱く、リュックの中でこすれていつのまにか小さな穴が空いていることがあります。口の部分も、水に沈めればいずれ浸水します。厚手のものを選び、消耗品と割り切って点検のたびに新しくしておきましょう。

厚手のチャック付きポリ袋(A4サイズ・書類用)

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厚手のチャック付きポリ袋(A4サイズ・書類用)

価格の目安: 100枚入りで1,000〜2,000円前後(厚みにより変動)

防水対策のいちばん安い入口。書類のコピー、スマホ、常備薬、乾電池と、用途を選ばず使えます。二重にする前提なので少し多めに。厚みのある製品ほど破れにくく、備蓄品の小分けにもそのまま使えます。消耗品と割り切り、点検のたびに入れ替えましょう。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

中身別・どう分けて包むか

道具がそろったら「何をどれに入れるか」を決めます。ここが決まっていないと、いざというときに詰め直しで時間を使ってしまいます。

守りたいもの使う道具の目安ひとこと
書類・保険証券のコピー、通帳の控え防水ジッパー式ケース(A4)または保存袋の二重折らずに入るサイズならそのまま窓口へ出せます
現金(紙幣・小銭)小さめのジッパー付き保存袋小銭は紙幣と分け、公衆電話用の10円玉もまとめて
スマホスマホ用防水ポーチ(首下げ)入れたまま操作できるか事前に確認
モバイルバッテリー・ケーブルジッパー付き保存袋またはハードケース濡れたら電源を入れずメーカーに相談
常備薬・お薬手帳の控えジッパー付き保存袋の二重錠剤のシートも湿気に弱いので密閉を
着替え・下着・タオルドライバッグまたは防水スタッフバッグ1人分ずつ小分けにすると配りやすい
濡れた物・使用済みの衣類厚手ポリ袋(色を変える)乾いた荷物と必ず分ける
リュック全体ザックカバー+内側にポリ袋二段構えで大半の雨をしのげます

濡れてしまったときの応急処置

紙の書類・写真が濡れたとき

国立国会図書館は、水に濡れた資料は48時間を経過するとカビ発生のリスクが高まるため、すぐに対処する必要があるとしています。基本はできるだけ早く乾かすこと。同館の資料では、吸水紙をはさんで風を当てる方法や立てて並べて乾かす方法が紹介され、すぐに乾かすのが難しい場合は濡れたまま冷凍して時間をかせぐ方法も示されています。なお、光沢のあるコート紙は濡れると紙同士が貼り付きやすいとされます。写真やパンフレット類は重ねたままにしないのがポイントです。

48時間を経過するとカビ発生のリスクが高まること、濡れたまま冷凍して時間をかせぐ方法、光沢のある紙が貼り付きやすいことは、国立国会図書館「資料防災(対応)」にもとづきます。同館の資料は図書館資料を対象としたものですが、家庭の書類にも考え方は応用できます。

スマホ・モバイルバッテリーが濡れたとき

NITEの案内にあるとおり、濡れた直後に電源を入れるのは避け、メーカーに連絡して安全性を確認するのが基本です。内部に水が入ったまま通電すると、ショートを起こすおそれがあります。表面の水を拭き取り、乾いた場所に置き、充電もしないでください。

注意

水に濡れたモバイルバッテリーは、そのまま使い続けないでください。膨らんでいる、熱を持っている、変色している、異臭がするといった変化があるものは、可燃ごみに出さず、お住まいの自治体が案内する回収方法に従って処分してください。

なお、夏でも濡れた服のままでいると体温が奪われます。避難先に着いたら、まず乾いた服に着替えることを優先してください。着替えを防水の袋に入れておく理由は、まさにここにあります。

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保管と点検のコツ

防水グッズは、使わない期間が長いぶん、劣化に気づきにくい道具です。樹脂のジッパーは砂や糸くずをかみ込んだまま放置すると密閉しなくなり、スマホ用ポーチの透明フィルムは折り目に沿って白い筋が入り、そこからひび割れが進みます。年に1回か2回、備えの点検日に次を確かめておきましょう。

防水グッズの点検リスト

  • ジッパーの閉じ面を指でなぞり、汚れがあれば水拭きして乾かす
  • ハードケースのパッキンが硬くなったり切れたりしていないか見る
  • 透明フィルムの折り目に白い筋やひび割れが出ていないか見る
  • 洗面器の水に丸めた紙を入れて沈め、中が濡れないか試す
  • 使ったあとは真水ですすぎ、口を開けて陰干しする
  • ポリ袋・保存袋は古いものを取り出し、新しいものに入れ替える

備えの点検そのものを習慣にしたい方は、こちらもあわせてどうぞ。

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よくある質問

IPX8と書いてあれば、水に沈めても絶対に大丈夫ですか。
そうとは言い切れません。IPX8は継続的に水中に沈めた状態に対する保護等級ですが、具体的な水深と時間の条件は製造業者が定めるとされ、製品ごとに異なります。商品説明に書かれた水深や時間の記載を確認してください。また、閉じるときに異物をかみ込めば表示どおりの性能は出ません。
防災リュック自体を防水のものに買い替えるべきでしょうか。
必ずしもその必要はありません。市販の防災リュックは撥水加工や難燃性を重視した製品が多く、防水を求めるならリュックの中で個別に包むほうが確実で安価です。買い替えを考えるなら、防水性より先に、背負ったときの重さと歩ける距離を確認することをおすすめします。
ジッパー付き保存袋を二重にするだけで足りますか。
家庭の防災で必要な水準の多くはそれで足ります。ただし擦れに弱く、口を水に沈めればいずれ浸水します。消耗品として多めに備え、点検のたびに新しいものへ入れ替える前提で使ってください。
スマホは防水対応だから、ケースは不要ではないですか。
防水対応のスマホでも、等級は水没を無制限に許すものではなく、経年で性能が落ちることもあります。ポーチに入れておけば落下時の緩衝にもなり、首から下げて両手を空けられる利点もあります。用途に応じて併用を検討してください。
濡れてしまった通帳や証書は、使えなくなりますか。
にじみ具合によります。まずは早めに乾かすことが大切で、国立国会図書館の資料では、水に濡れた資料は48時間を経過するとカビのリスクが高まるとされています。手続きの可否は金融機関や発行元の窓口で確認してください。日ごろから番号を控えたメモやコピーを別の場所に用意しておくと、原本が傷んでも手続きを進めやすくなります。

まとめ|「全部を守る」より「これだけは守る」

防水の備えは、装備を増やすほど強くなるように見えて、実際には重さと引き換えになります。避難で歩けるかどうかは荷物の重さで決まりますから、すべてを高性能な防水バッグでそろえるのは得策ではありません。

現実的な組み立て方は、こうです。まず、濡れたら生活の立て直しが遅れる書類のコピーと現金を、水に強いケースか二重の袋に入れる。次に、連絡と情報の要であるスマホとモバイルバッテリーを別々に包む。そのうえで、体温を守る着替えを防水の袋に小分けにする。ここまでできていれば、多くの場面で困りません。そして専用品を買う前に、台所にあるジッパー付き保存袋を数枚、持ち出し袋に足す。それだけでも今日から一段階前進です。

今日からの一歩

  • 持ち出し袋を開けて、雨に濡れたら困るものを3つ書き出す
  • 書類のコピーと現金を、ジッパー付き保存袋の二重にして入れ直す
  • スマホとモバイルバッテリーを、別々の袋に分ける
  • 着替えを1人分ずつ袋に小分けにする
  • 手持ちの防水ポーチを、洗面器の水で一度試す
  • 厚手のポリ袋を、乾いた物用と濡れた物用に分けて入れておく

「もしも」の日に、乾いた着替えと、読める書類と、動くスマホがある。それだけで、その後の数日はずいぶん違います。まずは台所の引き出しから、一歩を始めてみてください。

出典・参考

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