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防災庁ができると何が変わる?|2026年7月成立の設置法と、わが家の備えの点検ポイント

カエデ避難計画・防災情報担当
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防災庁ができると何が変わる?|2026年7月成立の設置法と、わが家の備えの点検ポイント

ニュースで「防災庁」という言葉を見かけて、「国の防災が変わるらしい。ではわが家は何をすればいいのだろう」と気になった方も多いのではないでしょうか。2026年7月、防災庁を設置するための法律が公布されました。この記事では、防災庁がどういう組織なのかを一次情報にもとづいて整理したうえで、家庭の備えとして「変わること」と「変わらないこと」を落ち着いて仕分けしていきます。

防災庁とは|内閣に置かれる、防災の司令塔

防災庁は、平時の備えから発災時の対応、復旧・復興までを一貫して束ねる「司令塔」として構想された国の組織です。まず、事実関係を時系列で整理しておきます。

項目内容
法律名防災庁設置法(令和8年法律第61号)
関連法防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和8年法律第62号)
国会提出令和8年3月6日
衆議院可決令和8年5月19日
参議院可決(成立)令和8年7月13日
公布令和8年7月17日
施行(発足)令和8年中において政令で定める日

衆議院・参議院の審議終了日(可決日)と公布日・法律番号は衆議院「議案審議経過情報」、提出日と参議院での経過は参議院「議案情報」、法律の内容は内閣官房「防災庁設置準備」のページに掲載されている内容にもとづきます。最新の状況は内閣官房のページでご確認ください。

法律の趣旨は、防災に関する施策を円滑かつ迅速に推進するため、防災に関する内閣の事務を内閣官房とともに助け、防災に関する行政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ることを任務とする組織を置く、というものです。組織づくりの土台になっているのが、令和7年12月26日に閣議決定された「防災立国の推進に向けた基本方針」です。

メモ

「防災庁」という名前は新しいものですが、ゼロから生まれる組織ではありません。基本方針では、これまで防災を担ってきた内閣府防災担当を発展的に改組するかたちで防災庁を設置するとされています。窓口が入れ替わるというより、これまでの機能に権限と体制が加わる、と捉えるとイメージしやすくなります。

防災庁は何を担うのか|2種類の事務と4つの部門

防災庁の所掌事務は、大きく2種類に分かれています。

  • 内閣補助事務(内閣の重要政策に関する事務): 防災の施策に関する基本的な方針および計画、大規模な災害への対処に関する企画立案・総合調整、関係行政機関が講ずる施策の実施の推進など
  • 分担管理事務(自ら実施する事務): 中央防災会議や災害対策本部など防災に関する組織の設置・運営、国や地方公共団体・民間事業者等が防災計画等に基づき実施する事前防災の推進、被災者や被災自治体の支援、千島海溝地震・日本海溝地震・首都直下地震・南海トラフ地震等への対策など

つまり、「国全体の防災の方針を描く役割」と「実際に手を動かす役割」の両方を持ちます。基本方針では、内部組織として総合政策部門、災害事態対処部門、防災計画部門、地域防災部門の4部門を置き、それぞれに統括官と参事官を配置する構想が示されています。

所掌事務の区分と内部部門の構成は、内閣官房が公表した法律の概要資料および「防災立国の推進に向けた基本方針」(概要)に記載されています。

南海トラフ地震のような広域災害への備えは、家庭側でも押さえておきたいテーマです。臨時情報が出たときの動き方は、こちらの記事で整理しています。

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何が変わるのか|押さえておきたい4つのポイント

制度の話は細かくなりがちなので、家庭の視点から意味のある変化を4つに絞って見ていきます。

1. 司令塔が一つにまとまる

防災に関する重要事項を審議する「中央防災会議」は、これまで内閣府に置かれてきましたが、防災庁へ移管されます。防災庁の長および主任の大臣は内閣総理大臣とされ、その下に防災庁の事務を統括する防災大臣が置かれます。副大臣・大臣政務官に加えて事務次官も置かれ、常設の役所としての体制が整えられます。

2. 防災大臣に「勧告権」が加わる

内閣補助事務を遂行するため、防災大臣には関係行政機関の長に対する勧告権が与えられます。あわせて、勧告を受けた関係行政機関の長には、その勧告を尊重する義務が規定されます。

災害対応は、道路・住宅・医療・福祉・農林水産・通信など、多くの省庁にまたがります。これまでは調整に時間がかかりがちだった場面で、「防災の観点からこうしてほしい」と正面から求められる仕組みが用意された、というのがこの勧告権の意味合いです。

3. 「事前防災」が法律の基本理念になる

家庭の備えという観点でいちばん関係が深いのが、この改正かもしれません。整備法によって災害対策基本法が改正され、災害対策の基本理念に次の2つが加えられます。

  • 科学的なリスク評価に基づく事前防災
  • 被災者の良好な生活環境の確保

「起きてから対応する」だけでなく「起きる前に減らす」こと、そして「避難生活の質を確保する」ことが、法律の理念として明記されるかたちです。基本方針でも、スフィア基準等を踏まえた避難生活環境の抜本改善や、建物等の耐震化、防災まちづくりと復興の事前準備などが、事前防災の柱として挙げられています。

このほか、災害からの復旧および復興を推進するための本部に関する規定が災害対策基本法に追加され、日本海溝・千島海溝地震法と南海トラフ地震法についても、リスク評価の結果や人口動態の変化、技術の進展等に応じた基本計画の見直し義務が新設されます。

4. 地方に「防災局」が置かれる

防災庁には、地方機関として防災局を置くことが定められています。基本方針では、当面、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震と南海トラフ地震に対して、地域における事前防災の推進や、大規模災害時の政府の災害対応の業務継続性といった観点から、地方機関の設置に向けた具体的な検討を進めるとされています。本庁の設置を先行させ、地方機関が担うべき機能や適地は並行して検討する方針です。

メモ

地方機関(防災局)に関する規定の施行日は、本体の施行日とは別に定められています。公布の日(令和8年7月17日)から2年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、本庁より少し先の話になります。

勧告権と尊重義務、中央防災会議の移管、災害対策基本法の基本理念への追加、地方機関(防災局)の規定と施行期日は、内閣官房が公表した法律の概要資料に記載されています。

発足はいつか|「令和8年中の政令で定める日」

法律上、防災庁の設置は「令和8年中において政令で定める日」に施行されると定められています。閣議決定された基本方針でも、関連法案の成立後、業務遂行に必要となる所要の準備を行ったうえで令和8年中の設置を目指す、とされています。

ここで、情報の出どころを分けて見ておくと混乱しません。閣議決定された文書に書かれているのは「令和8年中の設置を目指す」までで、月日までは示されていません。これとは別に、政府は11月ごろの発足を目標としていると報道で伝えられています。そして、正式な発足日を決めるのは政令です。

この記事の執筆時点(2026年7月末)では確定した期日の告示は確認できていないため、「年内に発足する予定」と受け止めておき、実際の日付は内閣官房や内閣府防災のお知らせでご確認ください。

注意

制度の話題では、報道や解説記事の数字がひとり歩きしやすいものです。組織の規模や発足日などは準備の進み方で変わることがあります。家族に説明するときも「予定」と付け加えておくと、あとで情報が更新されたときに混乱しません。

家庭の暮らしに影響すること・しないこと

ここがこの記事のいちばん大事なところです。「防災庁ができるから、うちの備えも変えなければ」と身構える必要はありません。むしろ、変わらないものを確認しておくほうが役に立ちます。

変わらないこと

  • 避難情報を出すのは、引き続き市町村です。高齢者等避難(警戒レベル3)や避難指示(警戒レベル4)は、これまでどおりお住まいの自治体から発表されます。
  • 防災気象情報は気象庁が発表します。大雨警報や線状降水帯に関する情報など、天気にまつわる情報の出どころは変わりません。
  • ハザードマップは自治体が作成・公表します。自宅の危険を確認する手順もこれまでどおりです。
  • 家庭備蓄の考え方も変わりません。農林水産省は、最低3日分、できれば1週間分の食料備蓄をすすめており、飲料水は1人1日3リットルが目安とされています。

避難情報の発令主体と警戒レベルの考え方は内閣府「避難情報に関するガイドライン」、食料の備蓄日数は農林水産省「家庭での備蓄」、飲料水の1人1日3リットルは同省 家庭備蓄ポータル「大事な水、どうやって備えますか?」にもとづきます。基本方針でも、個別の行政分野における防災対策等は引き続き各府省庁が実施するとされています。実際の避難の判断は、お住まいの自治体と気象庁の最新情報を優先してください。

2026年5月29日から新しくなった防災気象情報の受け取り方は、別の記事で詳しく整理しています。警戒レベルの数字で動くタイミングを決めておくと、情報が増えても迷いにくくなります。

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変わることが期待される領域

一方で、時間をかけて改善が進むと見込まれるのが、避難生活と被災者支援の分野です。基本方針では、備蓄の強化などスフィア基準等を踏まえた避難生活環境の抜本改善、女性・高齢者・こども・障害者・外国人など多様な視点を取り入れた支援の充実、災害ケースマネジメントの実施体制の構築、被災自治体のワンストップ窓口としての伴走支援などが掲げられています。

ただし、これらは制度や体制が整っていく話で、明日から避難所が快適になるわけではありません。避難所での過ごし方や、自宅にとどまる在宅避難の準備は、引き続き家庭側で考えておく価値があります。

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公助と自助の関係を、冷静に見ておく

国の体制が強くなることは心強い変化です。同時に、大規模な災害では自治体そのものも被災し、道路や通信が寸断されて支援が届くまでに時間がかかることがあります。令和7年版防災白書では、地域の災害リスクを理解し、家具の固定や食料の備蓄等による事前の備えを行うこと、避難訓練に参加して適切な避難行動をとれるよう準備することが「自助」として位置づけられています。

ニュースで防災庁の話を見て、正直「国がやってくれるならうちはそこまで頑張らなくても」と一瞬思いました。でも調べてみると、法律に書かれたのは『事前に減らす』という考え方で、それは家庭でも同じなんですね。まずは持ち出し袋の中身を見直すところから始めます。
小学生の子どもと暮らす読者

自助の位置づけは内閣府「令和7年版防災白書」の記述にもとづきます。公助の体制が整うことと、家庭での備えが必要であることは、どちらかを選ぶものではなく両立するものと考えられています。

国の体制が変わる今、わが家でやる5つの点検

制度のニュースは、備えを見直すきっかけとしてちょうどよいタイミングです。難しいことはしません。30分から1時間あれば一巡できる内容にしぼりました。

  1. 1

    ハザードマップで自宅のリスクをもう一度見る

    「事前防災」は、まず自宅のリスクを知ることから始まります。国土交通省のハザードマップポータルサイトや自治体の配布資料で、浸水・土砂災害・津波などの想定区域に自宅が入っているかを確認します。前に見たのが数年前なら、更新されていないかもあわせて確認しましょう。
  2. 2

    避難先と避難のスイッチを家族で確認する

    どのレベルで、どこへ、誰と動くのかを言葉にしておきます。避難指示(警戒レベル4)で危険な場所から全員避難、が基本の目安です。在宅避難で足りるのか、それとも早めに出るのかを、自宅のリスクに照らして決めておきます。
  3. 3

    備蓄の量と期限を棚おろしする

    飲料水は1人1日3リットル、食料は最低3日分、できれば1週間分が目安です。数だけでなく賞味期限を確認し、期限が近いものは普段の食事で使って買い足します。夏なら熱中症対策の飲料、冬なら保温グッズなど、季節に合わせた入れ替えも忘れずに。
  4. 4

    持ち出し袋の中身を季節と家族に合わせる

    乾電池やモバイルバッテリーの残量、常備薬の期限、衣類のサイズを確認します。この1年で家族構成や体調が変わっていれば、その分を反映します。
  5. 5

    連絡手段と集合場所を決めて、一度試す

    災害用伝言ダイヤル171や災害用伝言板、メッセージアプリなど、家族で使う方法を一つ決めます。体験利用できる日に実際に操作しておくと、いざというときに迷いません。

制度のニュースをきっかけにやる5分の点検

  • ハザードマップで自宅の想定リスクを確認した
  • 避難する場所と、避難を決める警戒レベルを家族で共有した
  • 飲料水と食料の量・賞味期限を確認した
  • 持ち出し袋の電池・バッテリー・薬の期限を確認した
  • 家族の連絡手段と集合場所を決め、一度試した

ハザードマップの読み方から避難計画づくりまでを順を追って進めたい方は、こちらの記事が下敷きになります。

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年に一度の総点検としてまとめて済ませたい場合は、防災週間に合わせる方法もあります。

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よくある質問

防災庁はいつ発足するのですか
防災庁設置法の施行日は「令和8年(2026年)中において政令で定める日」とされています。閣議決定された基本方針に書かれているのも「令和8年中の設置を目指す」までで、月日は示されていません。これとは別に、政府は11月ごろの発足を目標としていると報道で伝えられています。正式な発足日は政令で定められるため、内閣官房や内閣府防災の発表でご確認ください。
防災庁ができると、避難情報を出すのは国になるのですか
いいえ。高齢者等避難や避難指示などの避難情報は、これまでどおり市町村が発令します。大雨警報などの防災気象情報も引き続き気象庁が発表します。基本方針でも、個別の行政分野における防災対策等は引き続き各府省庁が実施するとされています。
防災庁と内閣府防災はどう違うのですか
基本方針では、内閣府防災担当を発展的に改組して防災庁を設置するとされています。防災庁は内閣に置かれ、長および主任の大臣は内閣総理大臣、事務を統括する防災大臣が置かれます。中央防災会議は内閣府から防災庁へ移管されます。
勧告権とは何ですか
防災大臣が、内閣補助事務を遂行するために関係行政機関の長に対して行える勧告のことです。勧告を受けた関係行政機関の長には、その勧告を尊重する義務が規定されています。省庁をまたぐ防災の課題を進めやすくするための仕組みです。
法律が変わったら、家庭の備蓄の目安も変わりますか
家庭備蓄の目安が変わったという発表は確認されていません。農林水産省は最低3日分、できれば1週間分の食料備蓄をすすめており、飲料水は1人1日3リットルが目安とされています。今後の見直しがあれば、公的機関の最新情報を優先してください。

今日からの一歩

防災庁の設置は、国の防災を「起きてから」から「起きる前」へと軸足を移すための大きな枠組みづくりです。ただ、法律に書かれた「科学的なリスク評価に基づく事前防災」という考え方は、実は家庭でやっていることとよく似ています。自宅のリスクを知り、被害を減らす手を先に打っておく。規模は違っても、向いている方向は同じです。

ニュースをきっかけに、今日はハザードマップを開いてみる。それだけでも、「もしも」を「いつも」に近づける一歩になります。制度の続報は、内閣官房や内閣府防災、お住まいの自治体の発表でご確認ください。

出典・参考

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