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地震のあとに大雨・台風が来るとき|「暫定基準」で変わる情報と、複合災害への備え

カエデ避難計画・防災情報担当
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地震のあとに大雨・台風が来るとき|「暫定基準」で変わる情報と、複合災害への備え

日本の夏は、地震と雨の季節が重なります。大きな地震があった数日後や数週間後に、梅雨末期の大雨や台風がやって来ることは、決して珍しいことではありません。このとき家庭が知っておきたいのは、「地震のあとは、同じ雨でも危険度が違う」という一点です。地面や川、そして自分の家そのものの状態が、地震の前とは変わっているためです。国はこの変化に合わせて、警報などの発表基準を一時的に引き下げる「暫定基準」という仕組みを用意しています。この記事では、その意味と確かめ方、そして揺れたあとに雨の予報が出たときに家庭で確認する順番を整理します。

2026年夏に起きたこと|地震のあとに台風が近づいた

まず、実際に何が起きたのかを事実として確認しておきます。気象庁は、2026年7月28日16時27分頃に発生した熊本県熊本地方の地震を「令和8年熊本地震」と呼んでいます。マグニチュードは7.1、最大震度は7でした。

注目したいのは、この地震のあとに気象庁と国土交通省が続けて出した「暫定的な運用」の発表です。

発表日対象の情報主な内容
2026年7月28日土砂災害に関する警報等熊本県・長崎県・鹿児島県の市町村で、発表基準を通常基準の7割または8割に引き下げ
2026年7月30日同(第2報)新たに判明した震度データにもとづき、甲佐町の暫定基準を7割から8割に変更
2026年8月3日高潮に関する警報等熊本県宇城市・氷川町・八代市西部で、高潮特別警報・高潮危険警報の基準値を引き下げ
2026年8月4日大雨に関する警報等熊本県の6市町で、流域雨量指数基準を通常基準の7割に引き下げ

そして2026年8月5日、木原稔官房長官は記者会見で、台風第13号の接近を受けて熊本の被災地に警戒を呼びかけました。報道によれば、「地震で地盤が緩み、普段より少ない雨でも土砂災害が発生する恐れがある」と指摘し、車中泊や在宅避難をしている方に向けて「早め早めに命を守る行動を取るようお願いする」と述べています。

地震の発生日時・規模・最大震度と各暫定基準の内容は、気象庁の報道発表資料および「令和8年熊本地震 ポータルサイト」によります。官房長官の呼びかけは時事ドットコムの報道によります。被災地の状況は日々変わるため、最新情報は気象庁・国土交通省・自治体の発表をご確認ください。

メモ

この記事は、熊本の被災地の状況をお伝えするための記事ではありません。「大きな地震のあとに雨の季節や台風が来る」という、日本のどこでも起こりうる状況に、家庭としてどう備えるかを整理する記事です。2026年の出来事は、その仕組みを理解するための実例として引用しています。

地震そのものを受けた家庭の点検(家具の固定・備蓄・連絡手段)は、別の記事にまとめています。この記事は、その次に来る「雨」に絞った内容です。

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熊本地方の地震(2026年7月28日)を受けて|今日からできるわが家の備え点検

なぜ「地震のあとの雨」なのか|3つの変化

地震のあとに雨が危ないと言われるのは、精神論や心理的な不安の話ではありません。地震によって、雨を受け止める側の条件が実際に変わっているためです。大きく3つに分けて考えると理解しやすくなります。

1. 地盤や斜面が緩んでいる

気象庁は暫定基準の発表の中で、揺れの大きかった地域について「地盤が脆弱になっている可能性が高いため、雨による土砂災害の危険性が通常より高まっていると考えられます」としています。目に見える崩壊が起きていなくても、斜面の内部に細かな亀裂が入り、水がしみ込みやすくなっていることがあります。そこに雨が降ると、地震前なら耐えられた雨量でも崩れてしまう可能性が出てきます。

2. 川や海岸の施設が傷んでいる

土砂だけではありません。気象庁は2026年8月4日の発表で、「一部河川において堤防沈下や護岸ひび割れ等が確認されている」ことを理由に、大雨に関する警報等の基準を引き下げています。また8月3日には、地盤変動等の影響を受けている地域で「高潮の危険性が通常より高まっている」として、高潮の基準値を引き下げました。堤防が数十センチ沈めば、それだけ越水しやすくなります。地震は、水を防ぐ施設の性能も変えてしまうということです。

3. 家そのものが傷んでいる

三つめは、もっと身近な変化です。屋根瓦がずれた、外壁にひびが入った、雨どいが外れた、窓のサッシがゆがんだ。地震のあとの家は、雨風に対する「防水性能」が下がっていることがあります。ブルーシートによる応急処置をしていても、強い風雨では固定が外れることがあり、恒久的な修理の代わりにはなりません。地震の被害としては軽微に見えても、そこに台風が重なると、雨漏りによる二次的な被害に発展することがあります。

地盤の脆弱化、河川の堤防沈下・護岸ひび割れ、地盤変動による高潮の危険性の高まりは、いずれも気象庁の報道発表資料に記載された内容です。

「暫定基準」とは|ふだんより早く、低い雨量で情報が出る

こうした変化に対応するための仕組みが暫定基準です。国土交通省は、暫定基準の考え方を次のように説明しています。地震等の発生後は地盤条件等が変化し、通常時よりも少ない降雨で土砂災害が発生する可能性があるため、通常の基準を見直す必要があると考えられた場合には、都道府県砂防部局と地方気象台等が協議し、通常よりも発表基準を引き下げた暫定基準を速やかに設定する、というものです。

2026年からの新しい防災気象情報では、土砂災害に関する情報は次のように呼ばれています。暫定基準は、このうちレベル2からレベル4までの発表基準に適用されます。

情報の名称警戒レベル家庭の行動の目安
レベル2土砂災害注意報レベル2相当ハザードマップと避難先・経路を再確認する
レベル3土砂災害警報レベル3相当高齢の方や小さな子のいる家庭は避難を始める
レベル4土砂災害危険警報レベル4相当危険な場所から全員が避難する
レベル5土砂災害特別警報レベル5相当すでに災害が発生・切迫。命を守る最善の行動を

「通常基準の7割」というのは、ざっくり言えば、いつもなら情報が出ない段階でも情報が出る、ということです。同じ雨の降り方でも、暫定基準が適用されている地域では、レベル4土砂災害危険警報がより早く発表されます。裏返せば、行政も住民も、より早い段階で行動することが求められている状態だといえます。

注意

暫定基準の期間中に気をつけたいのは、「この前の雨のときは何ともなかった」という経験則が通用しないことです。地面の条件が変わっているため、過去の雨との比較で判断すると、危険を過小評価してしまうおそれがあります。前と同じくらいの雨に見えても、情報が出たら情報のほうを信じてください。

暫定基準は、いったん決めたら固定というものでもありません。2026年7月30日の第2報では、震度データの内容が新たに判明したことを理由に、甲佐町の暫定基準が7割から8割へ変更されました。気象庁は「引き続き、地震後の降雨と土砂災害の関係を調査し、必要に応じて暫定基準を変更します」としています。つまり、暫定基準の内容そのものが更新されうるので、一度確認して終わりにせず、雨の予報が出るたびに最新の発表を見に行くのが安全です。

暫定基準の設定の考え方は国土交通省「レベル4土砂災害危険警報の発表基準を暫定的に引き下げて運用している地域について」および「土砂災害警戒情報の基準設定及び検証の考え方」(国土交通省水管理・国土保全局砂防部/気象庁大気海洋部/国土交通省国土技術政策総合研究所)に、情報の名称と警戒レベルの対応は気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」および「土砂キキクル」によります。行動の目安は一般的な目安であり、実際の判断はお住まいの自治体の避難情報を優先してください。

2026年5月29日から変わった防災気象情報の名前と読み方は、こちらの記事で基礎から整理しています。

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わが家の地域に暫定基準が出ているか、どう確かめるか

「うちの地域は対象なのだろうか」と気になったときの調べ方です。特別なアプリは要りません。

  1. 1

    国土交通省が公開している一覧を見る

    国土交通省の砂防のページには、レベル4土砂災害危険警報の発表基準を暫定的に引き下げて運用している地域の一覧が、引き下げの要因となった地震ごとにまとめられたPDFで公開されています。市町村名と、通常基準に対する割合(7割・8割など)まで載っています。
  2. 2

    気象庁の報道発表資料を見る

    大きな地震があった直後は、気象庁の報道発表資料に暫定的な運用の発表が出ます。土砂災害だけでなく、大雨や高潮についても別に発表されることがあるため、地震のポータルサイトがあればそこもあわせて確認します。
  3. 3

    地方気象台・都道府県の砂防部局を見る

    各都道府県の砂防部局などのウェブサイトでは、土砂災害の危険度をメッシュごと・地区ごとに表示したり、発表基準と現在の降雨状況を確認できたりする情報が提供されています。地元の地方気象台のサイトも、県内向けの解説が出る場所です。
  4. 4

    市区町村の防災担当からの発信を確認する

    避難情報を出すのは市区町村です。暫定基準が適用されている地域では、防災無線・防災アプリ・公式サイトで注意が呼びかけられることがあります。家族で受信手段を確認しておきます。

ヒント

気象庁は2026年8月4日の発表の中で、大雨に関する警報等の暫定基準について「洪水キキクル及び大雨キキクルについても、暫定基準が反映されたものになり、引き続き避難対象地域の絞込みにご活用いただけます」としています。基準の数字そのものを覚えていなくても、キキクルの色を見れば、暫定基準を織り込んだ危険度が確認できるということです。難しく考えず、まずはキキクルを開く習慣をつけてください。

一覧を見て意外に感じるのが、暫定基準は「地震の直後の数日だけのもの」ではないという点です。国土交通省の一覧(令和8年7月30日現在)には、2024年1月の能登半島地震を要因とするものから2026年7月の熊本の地震を要因とするものまで、11の地震にひもづく地域が掲載されています。地震から2年以上が経っても暫定基準の運用が続いている市があるということです。「地震はもう落ち着いた」という感覚と、地面の回復のスピードは、必ずしも一致しません。

暫定運用地域の一覧と、掲載されている地震の件数(令和8年7月30日現在)は、国土交通省が公開しているPDF資料によります。確認できる場所についての説明は、国土交通省「砂防:レベル4土砂災害危険警報」によります。内容は随時更新されるため、必ず最新版をご確認ください。

揺れたあとに雨の予報が出たら|家庭で確認する順番

ここからは、実際の行動です。大きな揺れを経験したあと、天気予報に雨や台風のマークが出たら、次の順番で確認していくと漏れが少なくなります。

  1. 1

    自宅と避難先が土砂災害警戒区域・浸水想定区域に入っていないか、地図でもう一度見る

    ハザードマップポータルサイトや市区町村のハザードマップで、自宅・避難先・その間の経路を見直します。地震の前に一度見ていても、記憶があいまいなことは多いものです。「イエロー(土砂災害警戒区域)か、レッド(土砂災害特別警戒区域)か、区域外か」を家族で声に出して確認しておきます。
  2. 2

    暫定基準が出ているかを確認する

    前の章の方法で、自分の市区町村が対象かを確認します。対象なら、ふだんより一段早く動く前提に切り替えます。対象でなくても、揺れを感じた地域なら警戒レベルを一段上げて考えて損はありません。
  3. 3

    明るいうちに家のまわりを目視する

    斜面、擁壁、ブロック塀、のり面、側溝、屋根まわりを、外から見える範囲で確認します。詳しい見方は次の章にまとめました。
  4. 4

    避難先が使えるかを確認する

    地震で避難所が被害を受け、閉鎖されていたり別の場所に移っていたりすることがあります。市区町村の発表で、開設されている避難所を確認します。親戚・知人宅など、公的な避難所以外の選択肢も候補に入れておきます。
  5. 5

    動き出す合図を家族で決める

    「レベル3土砂災害警報が出たら祖父母を先に送り出す」「キキクルが赤になったら全員で出る」など、具体的な合図を決めます。暫定基準の期間中は、この合図を一段早めに設定しておくと安心です。
  6. 6

    雨が降り出す前に、明るいうちに移動を終える

    内閣府のガイドラインでも、夜間に状況が悪化する見込みがある場合はまだ日が明るいうちから避難すべきであり、暴風が予想される場合は昼夜を問わず暴風が吹き始める前に避難を完了させるべきだとされています。地震で足元が不安定な場所が増えているときは、なおさら早めの移動が大切です。

避難のタイミングに関する記述は、内閣府(防災担当)「避難情報に関するガイドライン」(令和8年3月)にもとづきます。区域の確認方法は国土交通省「ハザードマップポータルサイト」および市区町村が配布するハザードマップによります。

ハザードマップを家族の避難計画に落とし込む手順は、こちらにまとめています。

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ハザードマップの見方と家族の避難計画|「いつ・どこへ・どうやって」を決める

家のまわりを見るときのポイント

専門的な調査は専門家の仕事ですが、家庭でも「変化に気づく」ことはできます。地震の前と比べて違うところがないか、明るい時間帯に、安全な場所から見てください。

雨が降り出す前の目視チェック

  • 斜面やのり面に、地震の前になかった亀裂・段差・小さな崩れがないか
  • 擁壁やブロック塀に、新しいひび割れ・傾き・目地のずれ・はらみがないか
  • 斜面や擁壁の水抜き穴から、濁った水や土まじりの水が出ていないか
  • 側溝や排水口が、地震で崩れた土砂や瓦のかけらでふさがれていないか
  • 屋根瓦のずれ・棟のゆがみ・雨どいの外れが、下から見える範囲でないか
  • ブルーシートや土のうの固定がゆるんでいないか(自分で屋根には登らない)
  • 敷地内に、風で飛びそうな瓦・ガラス・トタンの破片などが残っていないか

注意

確認は「見るだけ」にとどめてください。屋根に登る、斜面に近づく、傾いた塀を自分で壊す、といった作業は、余震や落下によるけがの危険があります。ブルーシートの張り替えも、屋根の上での作業は転落事故が多く報告されている作業です。危険を感じたら自分で手を出さず、市区町村の相談窓口や施工業者に相談してください。夜間の見回りも、足元が見えず危険なので避けます。

地震のあと、自治体の依頼を受けた応急危険度判定士が建物を調査し、「危険(赤)」「要注意(黄)」「調査済(緑)」のステッカーを建物の見やすい場所に貼ることがあります。これは余震などによる二次災害を防ぐための応急的な判定で、罹災証明書のための被害認定調査とは別のものです。赤や黄の紙が貼られた建物では、雨風が加わればさらに状態が悪化する可能性があります。貼り紙の内容と自治体の案内に従ってください。

応急危険度判定の判定区分(赤:危険/黄:要注意/緑:調査済)は、一般財団法人日本建築防災協会が公開している応急危険度判定の解説によります。判定の実施状況や取り扱いは、お住まいの自治体の案内をご確認ください。

地震のときは家の中ばかり気にしていて、外まわりを見ていませんでした。雨の予報が出てから庭に出たら、擁壁の水抜き穴から泥水が出ていて驚きました。明るいうちに気づけたので、その日のうちに親戚の家へ移ることを決められました。
地震のあとに台風接近を経験した読者

避難の判断が変わる|地震と大雨が重なるとき

地震のあとの雨では、ふだんの水害のときと避難の考え方が変わる場面があります。

ひとつめは、避難先です。地震で避難所自体が被害を受けたり、地震の避難者で混み合っていたりすることがあります。「いつもの避難所」を前提にせず、開設状況を確認してから動くのが安全です。

ふたつめは、垂直避難の位置づけです。浸水では上階へ移ることが有効な場面がありますが、土砂災害では前提が変わります。内閣府のガイドラインは、土砂災害警戒区域等の居住者等の避難行動は「立退き避難」が原則だとしています。理由は、土砂災害が突発的に発生することが多く発生してから避難することは困難であるとともに、木造住宅を流失・全壊させるほどの破壊力を有しているため、屋内で身の安全を確保することができるとは限らないためです。同ガイドラインは、土石流が想定される区域では通常の木造家屋で2階以上に移動しても家屋が流出・全壊し命が脅かされる場合があるとも述べています。

注意

「2階に上がれば大丈夫」は、水害と土砂災害で意味が違います。土砂災害警戒区域にお住まいなら、区域の外へ移る立退き避難を基本に考えてください。上階への移動は、移動そのものがすでに危険な状況になってしまったときの、やむを得ない次善の行動です。

みっつめは、車中泊や在宅避難をしている場合です。地震のあとは、自宅の被害や余震への不安から、車の中や自宅の一部で過ごしている方がいます。車は移動できる反面、水がたまりやすい場所や斜面のそばに止めていると、雨のときに危険が高まります。雨の予報が出た時点で、駐車場所を見直すか、屋内の安全な避難先へ移ることを検討してください。

土砂災害時の避難行動の考え方は、内閣府(防災担当)「避難情報に関するガイドライン」(令和8年3月)によります。実際の避難の判断は、お住まいの市区町村が発表する避難情報を優先してください。

車中泊を選ぶ場合の注意点と装備は、こちらに詳しくまとめています。

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沿岸部にお住まいで、高潮の暫定基準が気になる方は、こちらもあわせてご覧ください。

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雨がやんでも、すぐには戻らない

意外に見落とされがちなのが、雨のあとです。内閣府のガイドラインは、土砂災害は降雨が止んだ後しばらくしてから発生する場合があるため、自宅・施設等への帰宅判断は市町村の避難情報の解除を踏まえて行う、としています。地面にしみ込んだ水がゆっくり動くため、雨雲が抜けたあとに崩れることがあるからです。

地震のあとで地盤が緩んでいる期間は、この「雨のあと」の時間もふだんより慎重に見ておきたいところです。空が晴れたからと急いで戻らず、自治体の避難情報が解除されるのを待つ。この一手間が、二次的な被害を避けます。

備えの側面|地震のあとの数週間の置き方

最後に、道具と暮らしの側の備えです。地震のあとの数週間は、平常時とは少し違う「置き方」をしておくと、雨の予報が出たときに慌てずにすみます。

地震のあと、雨の季節に向けて整えておくこと

  • 持ち出し袋を片づけずに玄関付近に置いたままにしておく(次に必要になるまでの期間が短い)
  • 袋の中身に、レインウェア・長靴・タオル・大きめのビニール袋を足しておく
  • スマホと予備バッテリーを、毎晩満充電にしてから寝る習慣にする
  • 車の燃料を半分以下にしない(停電時は給油も混み合う)
  • 断水と停電が同時に来る想定で、飲料水と生活用水を分けて確保しておく
  • 家の被害の写真を、雨で状態が変わる前に撮っておく(日付が分かる形で)
  • 自治体の相談窓口・避難所開設状況の確認先をメモしておく

写真については、雨が降るとどこまでが地震の被害でどこからが雨の被害か分かりにくくなります。罹災証明書の申請や保険の手続きでも記録は役に立つため、片づける前・雨が来る前に撮っておくと安心です。

注意

地震や風水害のあとには、災害に便乗した悪質商法の相談が寄せられています。国民生活センターは、「近所で工事をしている」などと突然訪問して屋根などを点検し、不安をあおって契約させる点検商法や、「保険金が使える」と勧誘する手口について注意を呼びかけています。その場で契約せず、家族や消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談してください。

災害に便乗した悪質商法に関する注意喚起は、国民生活センター「ご用心 災害に便乗した悪質商法」によります。

土砂災害そのものの仕組み、前兆現象、キキクルの色の読み方は、こちらの記事に基本をまとめています。この記事とあわせて読むと、判断の材料がそろいます。

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よくある質問

暫定基準は、どのくらいの期間続くのですか
あらかじめ決まった期間はありません。気象庁の発表では『当分の間』とされ、地震後の降雨と土砂災害の関係を調査したうえで、必要に応じて変更するとされています。国土交通省が公開している一覧(令和8年7月30日現在)には、2024年1月の能登半島地震を要因とする地域も掲載されており、地震から2年以上が経っても運用が続いている例があります。解除や変更の情報は、気象庁・国土交通省・都道府県の発表でご確認ください。
暫定基準の対象地域に住んでいないなら、地震のあとの雨は気にしなくてよいですか
そうとは言い切れません。暫定基準は市町村単位で設定されますが、同じ市町村の中でも斜面の状態は場所ごとに違います。また、揺れが基準の見直しに至らない程度でも、自宅周辺の斜面や擁壁に変化が出ていることはあります。対象かどうかにかかわらず、明るいうちに家のまわりを目視し、キキクルや自治体の避難情報で判断する姿勢は変わりません。
地震の被害で家が傷んでいます。台風が来る前に自分で屋根を直したほうがよいですか
屋根の上での作業は転落の危険が大きく、余震が続く時期はとくに危険です。応急的なシートがけを含め、高所での作業は自分で行わず、市区町村の相談窓口や施工業者に相談してください。屋内側でできること(家財を窓や壁から離す、雨漏りしそうな場所にバケツやビニールを用意する、貴重品を上階や高い場所へ移すなど)を優先し、危険が高いと感じたら早めに家を離れる判断も選択肢に入れてください。
避難所が地震の避難者でいっぱいだと聞きました。どうすればよいですか
公的な避難所だけが避難先ではありません。土砂災害警戒区域や浸水想定区域の外にある親戚・知人宅、安全な地域の宿泊施設なども選択肢になります。市区町村は雨に備えて追加の避難所を開設することもあるため、開設状況の発表を確認してください。いずれの場合も、移動は明るいうちに、雨や風が強まる前に終えるのが基本です。
土砂災害警戒区域に入っていますが、高齢の家族がいて移動が大変です
避難に時間がかかる方がいる家庭は、一般の目安より一段早く動くことが勧められています。目安としては、レベル3土砂災害警報やキキクルの赤(警戒/警戒レベル3相当)の段階で移動を始めます。暫定基準が適用されている地域では情報がふだんより早く出るため、その分だけ早く動ける時間が生まれます。日中のうちに、雨が本降りになる前に移動を終える計画にしてください。

まとめ|「同じ雨でも危険度が違う」を家族の共通認識に

地震のあとの雨で大切なのは、特別な知識ではなく、前提を切り替えることです。地面が緩み、堤防や護岸が傷み、家の防水性能も下がっている。だから、同じ雨でも危険度が違う。この一文を家族の共通認識にできれば、あとは情報の色と数字に従って動くだけです。

地震のあとに雨の予報が出たら

  • 自分の市区町村が暫定基準の対象か、国土交通省の一覧や気象台の発表で確認する
  • ハザードマップで自宅・避難先・経路のリスクを見直す
  • 明るいうちに、斜面・擁壁・塀・排水まわりを外から目視する(登らない・近づきすぎない)
  • 避難所の開設状況を確認し、親戚・知人宅など複数の候補を用意する
  • 土砂災害警戒区域では立退き避難が原則。上階への移動は次善の行動と理解する
  • 動き出す合図を家族で決め、ふだんより一段早く設定する
  • 雨がやんでも、避難情報が解除されるまでは戻らない

そして、この考え方は熊本にお住まいの方だけのものではありません。日本では毎年どこかで大きな地震が起き、その多くが雨の季節や台風シーズンと重なります。国土交通省の一覧に11もの地震が並んでいることが、それを示しています。次に大きな揺れを感じたときのために、「地震のあとには雨のことも考える」という順番を、今日のうちに覚えておいてください。

台風が近づく前後の家庭のタイムラインづくりは、こちらの記事が下敷きになります。

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出典・参考

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