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ゲリラ豪雨・急な大雨から家庭を守る|都市型水害・内水氾濫への備えと身の守り方

カエデ避難計画・防災情報担当
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ゲリラ豪雨・急な大雨から家庭を守る|都市型水害・内水氾濫への備えと身の守り方

朝は晴れていたのに、午後になって急に空が暗くなり、バケツをひっくり返したような雨が降り出す。ここ数年、そんな急な大雨を身近に感じる機会が増えました。気象庁の3か月予報でも、2026年の夏は全国的に気温が高い見込みとされています。ひと月を平均すれば降水量は平年並みでも、その中では短時間の激しい雨や線状降水帯による大雨が起こりうる、という点に注意が必要です。この記事では、地震のように突然やってくる「都市部の急な大雨」から家庭を守るために、降り出す前の備えと、降ってきたときの身の守り方を整理します。

都市型水害・内水氾濫とは|「川があふれる」だけではない

水害というと、大きな川があふれる様子を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、都市部で急な大雨のときに起きやすいのは、少し違うタイプの浸水です。

アスファルトやコンクリートで覆われた都市では、雨水が地面にしみ込みにくく、その多くが下水道や排水路に流れ込みます。1時間に50ミリを超えるような激しい雨が短時間に降ると、下水道の排水能力を超えてしまい、雨水が地上にあふれ出します。これが内水氾濫で、道路の冠水や、地下室・地下街・アンダーパスへの浸水を引き起こします。川からあふれる外水氾濫と違い、川の近くでなくても、また雨が局地的でも起こりうるのが特徴です。

下水道の排水能力を超える雨によって浸水が生じる内水への対策として、国土交通省「下水道による浸水対策」では、雨水幹線や貯留浸透施設などの整備、内水ハザードマップの公表、住民等の自助を組み合わせた総合的な浸水対策が示されています。

つまり、大きな川のそばでなくても、周りより低い土地や、地下につながる場所では、急な大雨で足元が水に浸かることがあります。「うちは川から遠いから大丈夫」と決めつけず、まずは自宅まわりのリスクを知ることから始めましょう。

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発生前の備え(1)ハザードマップで「内水」も確認する

備えの第一歩は、自宅がどのくらい浸水する想定なのかを知ることです。多くの自治体は、洪水ハザードマップに加えて、内水(浸水)を対象にしたハザードマップも公表しています。役所の窓口や自治体のウェブサイト、国土交通省の「重ねるハザードマップ」などで確認できます。

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    自宅の浸水想定を確認する

    洪水と内水の両方について、自宅がどの深さの想定に入っているかを見ます。「床上まで浸かる想定か」「地下や半地下はないか」で、とるべき対策が変わります。
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    低い場所・地下への入口を把握する

    通勤・通学路にあるアンダーパス(道路が線路や道の下をくぐる部分)、地下駐車場、地下街など、水がたまりやすい場所をあらかじめ知っておきます。
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    避難の要否を家族で話す

    浸水が浅い想定なら、自宅の2階以上へ移る在宅避難(垂直避難)が有力な選択肢になります。深い想定や地下に住まいがある場合は、早めに安全な場所へ移る計画にします。

浸水の想定区域や深さ、避難に必要な事項は、自治体が作成する水害ハザードマップにまとめられています。区域や想定は見直されることがあるため、避難の判断は自治体が発表する最新の情報を優先してください。

発生前の備え(2)水の入口をふさぐ・流す道をつくる

住まいへの浸水を防ぐ・遅らせる工夫は、いくつか家庭でも用意できます。特別な工事をしなくても、身近なもので代用できるものもあります。

降り出す前にできる浸水対策

  • 玄関や勝手口の前に、水のう(ポリ袋に水を入れたもの)を並べて簡易の壁にする
  • 段ボール箱にゴミ袋をかぶせて水を入れる『簡易水のう』を、出入り口に置く
  • 市販の止水板(防水板)があれば、玄関前などの開口部に設置する
  • ベランダや庭の排水口、家のまわりの側溝・排水溝の落ち葉やゴミを取り除いておく
  • トイレや浴室、洗濯機の排水口からの逆流に備え、水のうを載せてふさぐ
  • 浸水しやすい1階の家財や大切なものを、あらかじめ高い場所へ移す

袋に水を詰めたものは水のうと呼ばれ、室内では土のうの代わりに使えます。ゴミ袋を二重にして水を半分ほど入れ、口を縛って並べるだけでも、わずかな段差の隙間から入る水を防ぎやすくなります。排水溝の掃除は地味ですが効果が大きく、ゴミが詰まっていると、あふれた水の逃げ場がなくなってしまいます。

ヒント

大雨が予想される日は、洗濯機や食洗機など、排水を大量に使う家事を控えめにすると、下水があふれかけているときの逆流リスクを減らせます。あわせて、車を高い場所や立体駐車場の上階など、浸水しにくい場所へ移しておくと安心です。

発生前の備え(3)雨雲の動きをこまめに確認する

急な大雨は、数時間先までの見通しがつかみにくい一方で、雨雲レーダーを見れば「今どこで強い雨が降っているか」「これから自分の地域に近づくか」がある程度分かります。スマートフォンの雨雲レーダーや気象庁のキキクル(危険度分布)を、外出前や空模様が怪しいときに確認する習慣をつけましょう。

以前は空が暗くなってから慌てていましたが、出かける前に雨雲レーダーを見るようにしたら、『今日は午後に強い雨が来そうだから早めに帰ろう』と判断できるようになりました。地下鉄に乗る前にも見るのが習慣になっています。
都市部のマンションに住む読者

急に降り出したときの行動|近づかない・進入しない

いざ激しい雨が降り出したら、まず優先すべきは「危ない場所から離れること」です。都市型水害では、避難所へ向かう途中の道こそ危険なことがあります。無理な移動を避け、その場で安全を高める判断も大切です。

注意

冠水した道路は、水面から下の状況が見えません。マンホールや側溝のふたが外れて穴になっていたり、思った以上に水が深く流れが速かったりします。歩行でも車でも、冠水した場所には無理に進入しないでください。

急な大雨のときに守ること

  • 地下室・地下街・地下駐車場・アンダーパスに近づかない、いる場合はすぐ地上や高い階へ
  • 川・用水路・側溝の様子を見に行かない。水位が急に上がることがある
  • 冠水した道路は、車でも徒歩でも進入しない。車は水深が浅くても止まる・流されることがある
  • 無理に外出・帰宅しようとせず、頑丈な建物の中でやり過ごす
  • 自宅では、浸水のおそれがあれば1階から2階以上へ移る垂直避難を検討する

特に車での移動は注意が必要です。ドアは水圧で開きにくくなり、エンジンが止まって動けなくなることもあります。冠水した道路やアンダーパスに突っ込まない、という一点を、家族で共有しておいてください。地下にいるときは、水が流れ込むと階段を上るのが急に難しくなります。強い雨の音や周囲の様子に「おかしいな」と感じたら、早めに地上や高い階へ移りましょう。

情報の受け取り方|キキクルの「色」で危険度を見る

急な大雨のとき、家庭で頼りになるのが気象庁のキキクル(危険度分布)です。地図上で、自分のいる場所の危険度が色で示されるため、直感的に状況をつかめます。キキクルには、土砂災害の「土砂キキクル」、浸水害の「浸水キキクル」、洪水の「洪水キキクル」があります。

危険度の色は段階で濃くなっていきます。気象庁の説明では、令和4年6月30日から色の区分が整理され、現在は次のように示されています。

危険度の意味の目安とる行動の目安
今のところ危険度は高くない通常どおり。念のため情報を確認
注意今後の情報に注意し、備えを始める
警戒(警報級)危険な場所から避難の準備・開始
危険危険な場所からの避難を完了させる
災害切迫すでに災害発生のおそれ。命を守る最善の行動を

キキクルの種類と色の区分は、気象庁「キキクル(危険度分布)について」にもとづきます。同ページでは、令和4年6月30日から「災害切迫」(黒)が加わり、「非常に危険」(うす紫)と「極めて危険」(濃い紫)が「危険」(紫)に統合されたと説明されています。避難の判断は自治体の避難情報とあわせて行ってください。

覚えておきたいのは、紫(危険)が出たら、その場所での避難はすでに完了しているべき段階だ、ということです。黒(災害切迫)を待って動くのでは遅すぎます。色が赤から紫に上がる前に、行動を終えるつもりで早めに動きましょう。

注意

急な大雨では、危険度が段階を飛ばして一気に上がることがあります。「まだ黄色だから大丈夫」と油断せず、雨の降り方や周囲の様子とあわせて、早め早めに判断してください。

「記録的短時間大雨情報」が出たら

大雨のときに、テレビやスマートフォンで「記録的短時間大雨情報」という言葉を目にすることがあります。これは、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測・解析したときに発表される情報です。その地域で土砂災害や洪水などの危険度が急激に高まっていることを知らせるのが目的です。

記録的短時間大雨情報は、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測・解析した際に発表されるものとして、気象庁「記録的短時間大雨情報」で説明されています。発表基準の雨量は、地域ごと(概ね府県予報区ごと)に、過去の1時間雨量の記録などを参考に定められています。

この情報が自分の地域や近くで発表されたら、「今まさに、経験の少ない激しい雨が降っている」というサインです。屋外にいるなら安全な建物へ、自宅なら低い場所を避けて高い階へ、といった行動を、迷わずとってください。台風の数日前からの時系列の備えについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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よくある質問

ゲリラ豪雨は事前に予測できないのでしょうか
数日前からピンポイントで予測するのは難しいのが実情です。ただ、雨雲レーダーやキキクルを見れば、今どこで強い雨が降り、これから自分の地域に近づくかは、ある程度分かります。大気が不安定で急な雨が予想される日は、外出前や空が暗くなったタイミングでこまめに確認することが、いちばん現実的な備えになります。
マンションの高層階に住んでいます。内水氾濫の備えは必要ですか
住戸そのものの浸水リスクは低くても、備えは役立ちます。エントランスや地下駐車場、エレベーター機械室が浸水すると、停電やエレベーター停止で在宅生活に支障が出ることがあります。地下や1階の共用部の状況、停電への備え(モバイルバッテリーや飲料水の備蓄)を確認しておくと安心です。
水のうと土のう、家庭にはどちらを用意すればよいですか
手早く用意できるのは水のうです。丈夫なポリ袋やゴミ袋を二重にして水を半分ほど入れ、口を縛って並べるだけで、玄関や排水口からの浸水を遅らせる簡易の壁になります。土のうは屋外向きで、より重く効果的ですが、砂や袋の準備と保管が必要です。まずは水のうで代用し、必要に応じて自治体の土のうステーションなども調べておくとよいでしょう。
車で移動中に急な大雨で道路が冠水してきたら、どうすればよいですか
冠水した場所やアンダーパスには進入しないのが基本です。水深が浅く見えても、エンジンが止まったりドアが開きにくくなったりします。すでに水が迫っている場合は、無理に走り抜けようとせず、高い場所へ車を移すか、車を離れて頑丈な建物の高い階へ徒歩で避難する判断も必要です。危険を感じたら早めに車を降りることを優先してください。
急な大雨のとき、避難所へ向かうべきか自宅にいるべきか迷います
浸水が浅い想定で自宅が頑丈なら、無理に外へ出ず2階以上へ移る垂直避難が安全なことが多いです。移動中の道路の冠水こそ危険だからです。一方、地下や半地下、深い浸水想定の場所にいる場合は、危険度が上がる前の明るいうちに、安全な場所へ移ってください。ハザードマップで自宅の想定を確認し、事前に方針を決めておくと迷いません。

まとめ|「急な大雨」を、慌てない備えに変える

ゲリラ豪雨や急な大雨は、地震のように突然やってきます。けれど、地震と違って「雨雲の接近」という手がかりがあり、日ごろの準備で被害を小さくできる部分も多くあります。大きな川のそばでなくても、都市では下水があふれる内水氾濫が起こりうる。この前提を知っておくだけでも、身の守り方が変わります。

この夏、家庭でやっておくこと

  • ハザードマップで、洪水と内水(浸水)の両方の想定を確認する
  • 玄関・排水口用に、水のう(ポリ袋やゴミ袋)をすぐ作れるよう準備しておく
  • 家のまわりの側溝・排水溝、ベランダの排水口を掃除しておく
  • 外出前や空が怪しいときに、雨雲レーダー・キキクルを見る習慣をつける
  • 冠水路・アンダーパス・地下・川に近づかない、を家族で共有する

まずは今日、お住まいの自治体のハザードマップで「内水」の想定を開いてみてください。そして、キッチンのゴミ袋が、いざというとき玄関を守る水のうになることを、家族で話してみましょう。その小さな準備が、次の急な大雨のときに、慌てない一歩につながります。

出典・参考

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