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救急の日2026|「救急車がすぐには来ない」前提で、家族が今週できること

カエデ・避難計画・防災情報担当
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救急の日2026|「救急車がすぐには来ない」前提で、家族が今週できること

家の中で家族が倒れたとき、私たちは反射的に119番を思い浮かべます。実際、平時であれば救急車は数分から十数分で到着します。けれども災害の日は、その前提が変わります。同じ時刻に大勢がけがをして、道路がふさがり、電話が混み合う。そのとき最初に手を差し出すのは、救急隊ではなく家族や近所の人になります。消防庁が令和8年9月1日に公表した令和8年度「救急の日」及び「救急医療週間」を手がかりに、この1週間で家族ができることを整理します。

本記事の数値・制度の説明は、消防庁「令和8年度『救急の日』及び『救急医療週間』」(令和8年9月1日報道資料)、同「令和7年版 救急・救助の現況」(令和8年1月20日公表・令和6年中の数値)、同「救急安心センター事業(♯7119)の全国展開」、同「あなたの命を守る『マイナ救急』」、厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」、内閣府「令和7年版 防災白書」および中央防災会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループ「都心南部直下地震の被害想定【定量的な被害量】」(令和7年12月19日)にもとづきます。応急手当の具体的な手技はこの記事では扱いません。実際の対応は119番の指令員の案内と、お住まいの地域の消防本部・医療機関の最新情報を優先してください。

令和8年度の「救急の日」は9月9日|救急医療週間は9月6日から12日

消防庁の報道資料によると、「救急の日」及び「救急医療週間」は、救急業務及び救急医療に対する国民の正しい理解と認識を深め、救急医療関係者の意識高揚を図ることを目的に昭和57年に定められました。以来、9月9日を「救急の日」、この日を含む一週間(日曜日から土曜日まで)を「救急医療週間」としています。

令和8年度の日程は次のとおりです。

名称令和8年度の日程
救急の日9月9日(水)
救急医療週間9月6日(日)〜9月12日(土)

消防庁の実施行事としては、救急業務の推進に貢献した個人を表彰する救急功労者表彰が9月9日に予定されており、総務大臣表彰の受賞者は10名、消防庁長官表彰の受賞者は20名と公表されています。

家庭にとって注目したいのは、その他の取組として挙げられている2つです。ひとつは「救急の日」ポスター(制作:一般財団法人救急振興財団)で、報道資料には、突然人が倒れる場面に遭遇したときに備えて、その場で勇気をもって一歩を踏み出せるように、救急講習を受講し、心肺蘇生法やAEDの使い方などの知識と技術を身につけてほしいという願いをこめて作成されたと書かれています。もうひとつは「マイナ救急」の広報で、ポスターとオリジナルアニメーション動画のほか、政府広報による新聞・ラジオ・インターネット広告などが実施されています。

つまり今年度の呼びかけの中心は、道具をそろえることではなく「講習を受ける」「救急隊に情報が渡る状態にしておく」という行動です。この記事もその線に沿って組み立てます。

メモ

モシモニアには救急セットや応急手当用品の選び方をまとめた記事があります。あちらは「家に何を備えるか」という道具の話で、この記事は「救急につながるまでに家族がどう動くか」という行動の話です。道具がそろっていても呼び方と頼り先を知らなければ動けませんし、逆もまた同じなので、2本を組み合わせて読んでいただくのがおすすめです。

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平時でも「約9.8分」と「約44.6分」|数字で知る救急のいま

災害時の話に入る前に、ふだんの救急がどんな状況にあるかを確認します。消防庁が令和8年1月20日に公表した「令和7年版 救急・救助の現況」は、令和6年中の実績をまとめたものです。

項目令和6年中前年
救急出動件数(消防防災ヘリを含む)772万740件対前年比7万9,753件増(1.0%増)
搬送人員(同)677万1,193人対前年比12万7,814人増(1.9%増)
救急自動車による出動件数771万8,380件集計を開始した昭和38年以降で最多
救急自動車による搬送人員676万9,172人同じく最多
現場到着所要時間の平均約9.8分前年約10.0分
病院収容所要時間の平均約44.6分前年約45.6分

現場到着所要時間は119番通報を受けてから現場に到着するまで、病院収容所要時間は119番通報を受けてから医師に引き継ぐまでの時間です。前年より短くなったとはいえ、消防庁は新型コロナ禍前の令和元年と比べて現場到着で約1.1分、病院収容で約5.1分延びていると説明しています。

事故種別でみると、救急自動車による出動件数のうち「急病」が67.3%、「一般負傷」が15.9%、「転院搬送」が7.5%、「交通事故」が5.1%です。年齢区分別の搬送人員では「高齢者」が63.3%を占めます。そして傷病程度別では「軽症(外来診療)」が46.8%、「中等症(入院診療)」が44.6%、「重症(長期入院)」が7.3%です。

注意

「軽症が約半分」という数字だけを見て、救急車を呼ぶのをためらう必要はありません。消防庁の資料は、傷病程度は入院加療の必要程度を基準に区分しているため、軽症の中には早期に病院での治療が必要だったものや通院による治療が必要だったものも含まれていると明記しています。軽症は「呼ぶ必要がなかった」という意味ではありません。判断に迷うときは、後述の相談窓口やアプリを使い、緊急性が高いと感じるときはためらわず119番してください。

出動件数・搬送人員・所要時間・事故種別・年齢区分・傷病程度の数値と定義は、消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」(令和8年1月20日公表)のポイント資料によります。いずれも令和6年中の全国の値です。

災害の日はこの前提が崩れる|「約8割」は自助と共助だった

平時に約9.8分で来る救急車が、災害の日も同じように来るとは限りません。これは根拠のある心配です。

内閣府の「令和7年版 防災白書」は、阪神・淡路大震災について、生き埋めになった人の約8割が家族も含む自助や近隣住民等の共助により救出されており、公助である救助隊等による救出は約2割程度に過ぎなかったと記しています。同白書は、国民一人一人が災害を「自分事」として捉え、「自らの命は自らが守る」「地域住民で助け合う」という防災意識が醸成された地域社会を構築することが重要だとしています。

将来の想定でも同じ構図が示されています。中央防災会議 防災対策実行会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループが令和7年12月19日に公表した「都心南部直下地震の被害想定」では、想定ケースによって負傷者数が約7万7,000人から約9万8,000人、揺れによる建物被害に伴う要救助者(自力脱出困難者)が約4万3,000人から約4万8,000人と見込まれています。同資料の医療機能の項目には、被災都県内の医療機関においては建物被害やライフライン機能支障等により対応力が低下する中、重傷者等の膨大な数の医療需要が発生すると書かれています。

ただし、同じ資料はこうも書いています。重傷者らを入院需要とした場合、被災都県内で融通すれば計算上対応が可能であり、災害拠点病院を中心に医療機関の建物の耐震化等が進んだため、医療対応力(入院対応)の不足はほとんど発生しない、と。そのうえで、都県内での搬送等に支障がある場合等、入院対応ができない患者も発生する可能性はあると注意を添えています。

読み取り方はシンプルです。医療の受け皿づくりは進んでいる。けれどそこにたどり着くまでの時間は、家族と地域が引き受ける部分が大きい。だから救急の日の呼びかけは「講習を受けてほしい」なのです。

数年前の地震で、同じマンションの高齢の方が家具の下敷きになりました。管理人さんと男性数人で持ち上げて廊下まで運んだのですが、救急車が来たのは30分以上あとでした。あのとき自分は何もできず、ただ震えて見ていただけでした。応急手当の講習を受けようと決めたのはそのあとです。
小学生と暮らす読者

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いちばん効くのは「けがをしない家」にすること

救急の話をするとき、順番として最初に来るのは通報や手当ではなく「そもそもけがを減らす」ことです。消防庁がふだん使う「予防救急」という言い方も、この考え方を指しています。

前掲の首都直下地震ワーキンググループの資料は、家具等の転倒・落下防止対策について、死者数だけでなく重傷者数の低減により、緊急医療の需要の軽減につながり、重篤患者の救命にも資すると明記しています。そして、対策の実施率を上げた場合の効果を次のように試算しています(都心南部直下地震・冬・深夜のケース、屋内収容物移動・転倒および屋内落下物による重傷者数)。

家具等の転倒・落下防止対策の実施率重傷者数(冬・深夜)
現状(約36%)約6,700人
実施率75%約4,300人
実施率100%約2,600人

同資料は、内閣府「防災に関する世論調査」(令和4年9月)による家具等の転倒・落下防止対策の実施率が全国平均で35.9%であること、また対策自体が100%進んでも固定方法や壁の状況等によっては効果を発揮せず転倒・落下被害が発生するおそれがあることも記しています。「固定してあるから大丈夫」ではなく、固定のしかたまで見直す必要があるということです。

平時の予防も同じ延長線上にあります。消防庁の救急お役立ちポータルサイトには救急事故防止のリーフレットが用意されており、家の中で発生する高齢者の一般負傷として多い転倒・転落・窒息、乳幼児の一般負傷として多い「ころぶ」「おちる」「たべる」がまとめられています。災害用の備えと、ふだんの家の中の安全は地続きです。

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119番で伝えること|「あわてず、ゆっくり」でいい

いざというときにいちばん使うのは、やはり119番です。消防庁の「119番緊急通報」のページには、指令員が必ず確認する項目として次のことが示されています。

  1. 1

    火事か救急かをはっきり伝える

    最初に用件を伝えます。消防庁の広報素材でも「火事か救急かをはっきり言う」ことが最初に挙げられています。
  2. 2

    場所を伝える

    消防車・救急車が向かう住所です。住所は正しく、できるだけ詳しく。わからないときは、近くの大きな建物や交差点など目標になるものと方角を伝えます。
  3. 3

    状況を伝える

    誰が、どうなっているのか。指令員が順番に聞いてくれるので、聞かれたことに答えれば足ります。
  4. 4

    通報者の名前と連絡先を伝える

    到着までに場所の確認などで折り返しの連絡が入ることがあります。携帯電話から通報しているときは、その旨を伝え、しばらくは電源を切らずに近くにいてください。
  5. 5

    指令員の案内に従う

    消防庁は、緊急性が高い場合はすべてを聞く前でも救急車が出動するとしたうえで、「あわてず、ゆっくりと答えてください」と案内しています。手当の方法を口頭で指導してもらえることもあります。

メモ

携帯電話から119番がつながらないときについて、消防庁は公衆電話の利用、近隣の方への依頼、消防署への直接の訪問を挙げています。災害時は回線が混み合うことがあるので、「つながらないときは声を出して近所に助けを求める」を家族の合意事項にしておくと動きやすくなります。なお、通話状態の確認のために119番へかけることは控えるよう案内されています。

近所に助けを求められるかどうかは、日ごろの関係で決まります。あいさつができる相手が2、3軒あるかどうかで、災害の日の初動はかなり変わります。

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玄関に貼っておく「119番メモ」

  • 自宅の住所(番地・建物名・部屋番号まで)
  • 近くの目標になる建物と、そこからの方角
  • 家族の氏名・生年月日
  • かかりつけの医療機関名と電話番号
  • 持病・服用中の薬・アレルギー
  • 自宅の固定電話と家族の携帯番号
  • 地域の#7119(実施地域のみ)と#8000の番号

迷ったときの相談窓口|#7119・#8000・Q助

「救急車を呼ぶほどだろうか」と迷う場面は、災害時にも平時にもあります。公的な相談先は3つ知っておくと安心です。

窓口内容注意点
#7119(救急安心センター事業)急な病気やケガのとき、緊急性の有無、応急手当の方法、受診手段、適切な医療機関の案内を電話で相談できる。緊急性が高い場合は直ちに救急車を出動させる体制がとられている全国一律ではない。実施地域と受付時間は地域ごとに異なる
#8000(子ども医療電話相談事業)休日・夜間の子どもの急な病気やけがについて、住んでいる都道府県の相談窓口につながる。平成22年7月5日より全国で実施受付時間は都道府県ごとに異なる
全国版救急受診アプリ「Q助」症状・症候を画面上で選ぶと、「今すぐ救急車を呼びましょう」「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」などの必要な対応が表示されるスマートフォン版とWeb版がある。判断の目安であり診断ではない

まず#7119について。消防庁の資料は、令和8年度の導入予定を含めて全国42地域で実施され、エリア人口は全国1億1,116万人、人口カバー率は88.1%としています。うち都道府県内全域での実施は39地域、都道府県内一部での実施は3地域(札幌市周辺、名古屋市、田辺市周辺)です。全域実施の県でも島しょ部などが対象外となっている例があり、「日本全国どこでも#7119が使える」わけではありません。

受付時間も一律ではありません。消防庁の実施団体基本情報調査一覧(令和8年7月現在)を見ると、24時間365日の団体が多い一方で、山形県は毎日18時から翌8時、群馬県は平日16時から翌10時・土日祝10時から翌10時といった運用もあります。認知度の調査結果も掲載されており、埼玉県78%(令和4年度)、茨城県39.9%(令和7年度調査)、群馬県33.6%(令和7年8月実施)と地域差があります。番号を知っているかどうかが、そのまま使えるかどうかに直結する分野です。

注意

#7119・#8000・Q助は、119番の代わりではありません。意識がない、呼びかけに反応しない、呼吸がおかしい、大量に出血している、急に半身が動かない・言葉が出ない、といったときは、相談を挟まずに119番してください。消防庁も、真に病院に行く必要のある人のもとに救急車が到着できるよう、救急車の適時・適切な利用への協力を呼びかけています。「呼ぶべきときにためらわない」ことと「迷ったときに相談する」ことは両立します。

応急手当は「講習で身につける」|家族の受講計画をつくる

ここが今年度の「救急の日」の中心です。東京消防庁は、応急手当の目的を救命・悪化防止・苦痛の軽減の3つとし、その場に居合わせた人(バイスタンダー)が応急手当を速やかに行えば救命効果の向上につながると説明しています。

数字でも差が示されています。消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」によると、令和6年中に一般市民が目撃した心原性心肺機能停止の傷病者は2万7,769人で、そのうち一般市民が心肺蘇生を実施した傷病者は1万6,728人(60.2%)でした。

区分1か月後生存率1か月後社会復帰率
一般市民が心肺蘇生を実施15.3%10.4%
実施しなかった7.9%3.7%

消防庁は、この差を生存率で約1.9倍、社会復帰率で約2.8倍と示しています。さらに、一般市民が心肺蘇生を実施した傷病者のうちAEDを使用して除細動を実施した1,449人では、1か月後生存者が777人(53.6%)、1か月後社会復帰者が643人(44.4%)でした。

注意

この記事では、胸骨圧迫やAEDの具体的な手順は書きません。文章を読むだけで身につく技術ではないからです。消防庁のポスターが「救急講習を受講し、心肺蘇生法やAEDの使い方などの知識と技術を身につけてほしい」と呼びかけているのは、そういう意味です。手を動かして練習できる場に、一度だけでも足を運んでください。

講習の種類と、標準的な時間

消防庁の「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」では、住民向けの標準的な講習として次のものが定められています(平成23年8月31日改正時点。カリキュラムの合計時間は要綱の別表による標準値です)。

講習標準時間主な内容
救命入門コース90分胸骨圧迫およびAEDの取扱い(参加証が交付される場合がある)
普通救命講習Ⅰ180分主に成人を対象とした心肺蘇生法、AEDの使用法、異物除去法、大出血時の止血法
上級救命講習480分成人・小児・乳児・新生児の心肺蘇生法、止血法に加え、傷病者管理法、外傷の手当(包帯法・副子固定法・熱傷の手当)、搬送法。筆記・実技の評価あり

要綱の備考には、2年から3年間隔での定期的な再講習を行うこと、e-ラーニングを活用した講習や普及時間を分割した講習を可能とすることが書かれています。実際に消防庁は「一般市民向け 応急手当WEB講習」を公開しており、事前にWEB講習を修了することで消防署等での講習時間を短縮する運用を取り入れている自治体もあります。ただし短縮の可否や時間は消防本部ごとに異なるため、申込先の案内を確認してください。

災害時に多い切り傷・打撲・骨折・やけどの手当まで学びたい場合は、上級救命講習が対応範囲です。1日がかりになるので、まず救命入門コースか普通救命講習から始め、家族のうち1人が上級まで進む、という分担が現実的だと思います。日本赤十字社も救急法などの講習を各都道府県支部で実施しているので、消防本部の日程が合わないときの選択肢になります。

ヒント

申込先は「お住まいの市区町村の消防本部・消防署」または「日本赤十字社の都道府県支部」です。多くの消防本部は年間の日程をウェブサイトで公開しています。救急医療週間に合わせて体験型のイベントを開く消防機関もあるので、まずは地元の消防本部のお知らせを見てみてください。子どもと一緒に参加できる短時間の体験コースを用意している地域もあります。

心肺蘇生実施の有無別の生存率・社会復帰率は消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」(令和6年中)、応急手当の目的とバイスタンダーの役割は東京消防庁「応急手当の重要性」、講習の種類と標準時間は消防庁「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」(平成5年3月30日消防救第41号、平成23年8月31日改正)の別表によります。講習の名称・時間・運用は消防本部によって異なります。

災害のあとに増えるけがへの備え|手袋・厚底の靴・そして受診

災害の直後だけでなく、片づけの期間にもけがは起きます。割れたガラス、突き出た釘、崩れた家具。石川県が公開している「被災地での片づけ作業時等における注意点について」には、次のような注意が示されています。

  • 釘の踏み抜き防止のため、安全靴や踏み抜き防止インソールなどを使う
  • 長袖・長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子などで肌の露出を減らす
  • 手袋を着用する
  • けがをしたら医療機関(皮膚科など)を受診し、適切な処置を受ける
  • 粉じん対策として防じんマスク(DS2マスク、N95マスク、FFP2マスク等)を着用する

同じ資料は破傷風についても触れており、釘の踏み抜き等による傷口から破傷風菌が感染し、口を開けにくい、首筋が張るなどの症状が現れることを説明しています。ワクチンについては、1967年以前生まれの方は基礎免疫として3回の接種、1968年以降生まれの方は10年ごとの追加接種が推奨されるとされています。自分がどちらに当たるか、追加接種から何年たったかは、母子健康手帳や接種の記録で確認できることがあります。

メモ

破傷風の予防接種の必要性や時期は、年齢・接種歴・けがの状態によって判断が変わります。この記事で「あなたは接種が必要」とは言えません。心配なときは、かかりつけの医療機関や地域の保健所に相談してください。片づけの前に、厚底の靴と厚手の手袋を家族分そろえておくことが、いちばん確実な予防になります。

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家庭の「医療情報カード」をつくる|マイナ救急も知っておく

救急隊は現場で、名前や生年月日といった基本情報に加えて、かかりつけの病院やこれまで服用している薬などを聞き取ります。本人が答えられない状況では、この聞き取りに時間がかかります。

消防庁が進めている「マイナ救急」は、この部分をマイナ保険証で補う取組です。消防庁のページによると、令和8年度は712本部(離島等を除く約99%の消防本部)、5,417隊(約97%の救急隊)で実施されています。流れは、119番通報時に指令員がマイナ保険証の準備を依頼し、救急隊員が医療情報の閲覧について同意を確認、顔写真による本人確認(暗証番号は原則不要)を行い、専用カードリーダーで情報を閲覧して搬送先の選定や処置に活用する、というものです。閲覧できるのは過去5年分の受診歴・薬剤情報や特定健診情報などで、迅速に確認するための「救急用サマリー」には直近3か月分の受診歴等が記載されます。利用にはマイナンバーカードを所有し、健康保険証の利用登録が完了している必要があります。

便利なしくみですが、カードを持ち出せない、通信や機器の状態が悪い、そもそも登録していない、という状況は災害時にはよくあります。だから紙の控えを併用します。

家族ひとりずつ作る医療情報カード(名刺サイズ)

  • 氏名・生年月日・血液型
  • 持病・既往症(手術歴があれば年と内容)
  • 服用中の薬の名前と量(お薬手帳の写真も別に保存)
  • 薬・食物のアレルギー
  • かかりつけの医療機関名・診療科・電話番号
  • 緊急連絡先を2つ以上(遠方の親族も)
  • 妊娠中であればその旨と週数、母子健康手帳の保管場所
  • 眼鏡・補聴器・入れ歯・在宅医療機器の有無

作ったカードは、財布・持ち出し袋・冷蔵庫の扉の3か所に置くと、どの状況でも1枚は手元に残ります。写真に撮ってクラウドに置くのも忘れずに。持病の薬の備え方は別記事で詳しく整理しています。

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AEDの場所を、今週のうちに地図で確かめる

AEDは「使い方を習う」だけでなく「どこにあるかを知っている」ことで初めて役に立ちます。一般財団法人日本救急医療財団の「財団全国AEDマップ」は、AEDの設置情報を地図上で公開しているもので、消防庁の救急お役立ちポータルサイトからも案内されています。設置者・設置管理者から公開の同意を得た情報を掲載しており、使用可能な時間等も含めて表示されます。スマートフォンのアプリも提供されています。

ヒント

今週やるのは3か所だけでいいと思います。(1)自宅から歩いて数分の範囲、(2)子どもの学校・園や高齢の家族が通う施設の近く、(3)自分の職場や通勤経路の駅。地図で見つけたら、次の散歩や通勤のついでに現地を確認してみてください。「駅の改札の外側」「マンションのエントランス」など、実際の位置を目で見ておくと記憶に残ります。

注意点もあります。掲載されているのは登録された設置情報に限られるため、地図に出ていない場所にAEDがあることも、逆に地図にあっても施設が閉まっている時間帯には使えないこともあります。だからこそ、複数の場所を知っておくことに意味があります。

救急医療週間の1週間でやること

9月6日から12日の1週間、1日1つずつなら無理なく進みます。

  1. 1

    1日目|相談窓口を調べて電話帳に登録する

    お住まいの地域で#7119が実施されているか、受付時間はいつかを消防庁の実施団体一覧か自治体のサイトで確認します。#8000と、地域の休日夜間診療所の番号も一緒に登録します。
  2. 2

    2日目|「119番メモ」を書いて玄関に貼る

    住所を番地・建物名・部屋番号まで、目標になる建物と方角も添えて書きます。子どもが読める字で書くのがポイントです。
  3. 3

    3日目|家族分の医療情報カードを作る

    持病・薬・アレルギー・かかりつけ。1人5分で書けます。財布と持ち出し袋に入れ、写真も撮っておきます。
  4. 4

    4日目|AEDマップで3か所を見る

    自宅周辺、学校や施設の近く、通勤経路。地図で確認したら家族に共有します。
  5. 5

    5日目|救命講習の日程を調べて申し込む

    地元の消防本部か日本赤十字社の都道府県支部のサイトで日程を確認します。まずは救命入門コースか普通救命講習から。予約が埋まっていれば次の回で構いません。
  6. 6

    6日目|家の中の「けがのもと」を1つ減らす

    寝室の家具の固定を1か所やり直す、廊下の荷物を片づける、スリッパと手袋を寝室に置く。どれか1つで十分です。
  7. 7

    7日目|家族で3分だけ話す

    「誰が倒れたら、誰が119番して、誰が近所に助けを呼ぶか」。役割を口に出して決めておくだけで、当日の迷いが減ります。
医療情報カードを作ってみて、自分が夫の薬の名前をひとつも言えないことに気づきました。お薬手帳を見ながら書き写して、ようやく「これを飲んでいるんだ」と。救急隊の方に聞かれても答えられなかったと思います。年に1回、健康診断のついでに書き直すことにしました。
夫と2人暮らしの読者

よくある質問

災害のときでも119番していいのですか
生命に関わる状況であれば119番してください。消防庁は119番を「助けが必要な方のための緊急通報」と位置づけており、緊急性が高い場合はすべてを聞く前でも救急車が出動するとしています。ただし大きな災害では通報が集中し、到着に時間がかかることがあります。内閣府の令和7年版防災白書は、阪神・淡路大震災で生き埋めになった人の約8割が家族も含む自助や近隣住民等の共助により救出され、救助隊等による救出は約2割程度だったと記しています。119番しつつ、同時に近所へ声をかけるという二本立てで考えてください。
救急車を呼ぶか迷ったときは、どうすればよいですか
実施地域であれば#7119(救急安心センター事業)に電話すると、緊急性の有無、応急手当の方法、受診手段、適切な医療機関の案内について相談できます。消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」も、症状を選んでいくと必要な対応の目安が表示されます。ただし意識がない、呼吸がおかしい、大量に出血しているといったときは、相談を挟まずに119番してください。
#7119は全国どこでも使えますか
いいえ。消防庁の資料では、令和8年度の導入予定を含めて全国42地域で実施され、人口カバー率は88.1%(エリア人口1億1,116万人)とされています。都道府県内全域での実施が39地域、都道府県内一部での実施が3地域(札幌市周辺・名古屋市・田辺市周辺)で、全域実施の県でも島しょ部などが対象外の例があります。受付時間も24時間365日の団体が多い一方、時間帯を限っている団体もあります。お住まいの地域の状況を平時に確認しておいてください。
夜に子どもの具合が急に悪くなったら、どこに相談すればよいですか
厚生労働省の子ども医療電話相談事業(#8000)は、平成22年7月5日より全国で実施されており、#8000にかけると住んでいる都道府県の相談窓口につながります。受付時間は都道府県ごとに異なり、24時間365日の県もあれば夜間のみの県もあります。あらかじめ地域の受付時間を確認して電話帳に登録しておくと、慌てずに使えます。緊急性が高いと感じるときは119番を優先してください。
この記事を読めば心肺蘇生やAEDの使い方がわかりますか
いいえ。この記事では具体的な手技を扱っていません。胸骨圧迫やAEDの操作は、実際に手を動かして練習しないと身につかないため、消防本部や日本赤十字社の講習を受けてください。消防庁の要綱では、救命入門コースが標準90分、普通救命講習Ⅰが180分、上級救命講習が480分とされています。消防庁の「一般市民向け 応急手当WEB講習」で事前学習をすると、消防署等での講習時間を短縮できる運用の地域もあります。
救命講習は有料ですか。どこで申し込みますか
申込先はお住まいの市区町村の消防本部・消防署、または日本赤十字社の都道府県支部です。費用や日程、対象年齢、テキスト代の扱いは実施機関によって異なるため、各機関の案内で確認してください。多くの消防本部は年間の日程をウェブサイトで公開しています。
マイナ保険証を持っていないと救急車に乗れないのですか
そのようなことはありません。マイナ救急は、救急隊員が搬送先の選定などに役立つ情報を早く把握するための取組で、消防庁によると令和8年度は712本部(離島等を除く約99%の消防本部)、5,417隊(約97%の救急隊)で実施されています。利用にはマイナンバーカードの所有と健康保険証の利用登録、そして本人の同意が必要です。持っていない場合や同意しない場合は、従来どおり聞き取りで対応されます。カードを持ち出せない状況も想定して、紙の医療情報カードやお薬手帳の写しも併せて用意しておくと安心です。
片づけ中に釘を踏んでしまいました。どうすればよいですか
石川県の案内では、けがをしたら医療機関(皮膚科など)を受診し、適切な処置を受けるよう示されています。釘の踏み抜き等による傷口から破傷風菌が感染することがあり、口を開けにくい、首筋が張るなどの症状が現れると説明されています。予防接種の必要性は年齢・接種歴・けがの状態で変わるため、自己判断せず医療機関に相談してください。作業時は安全靴や踏み抜き防止インソール、厚手の手袋の使用が推奨されています。

まとめ|「講習の予約」と「1枚のカード」から

救急の日と救急医療週間は、救急業務や救急医療への理解を深めるための1週間です。今年度の消防庁の呼びかけは「救急講習を受講してほしい」と「救急隊に情報が渡るようにしておこう」の2つに集約されています。

平時の救急車は、通報から平均約9.8分で現場に着き、平均約44.6分で医師に引き継いでいます。災害の日はこの前提が崩れ、最初に手を差し出すのは家族と近所の人になります。だからこそ、家具を固定してけがそのものを減らし、119番で伝えることを紙にしておき、迷ったときの相談先を電話帳に入れ、講習で手を動かしておく。どれも派手ではありませんが、順番としてはこれが効きます。

今週やることをひとつだけ選ぶなら、地元の消防本部のサイトを開いて救命講習の日程を見ることをおすすめします。予約が取れなくても、日程を見た時点で「いつか受ける」が「いつ受ける」に変わります。もうひとつ選べるなら、家族分の医療情報カードを作ってください。1人5分、家族4人でも20分です。

なお、#7119の実施状況、#8000の受付時間、救命講習の日程・費用、破傷風の予防接種の判断は、いずれも地域や個々の状況によって異なります。この記事は公的資料をもとにした全体像の整理であり、最終的な判断は、お住まいの市区町村・消防本部・医療機関の最新の案内に従ってください。

「救急の日」及び「救急医療週間」の日程・趣旨・実施行事は消防庁「令和8年度『救急の日』及び『救急医療週間』」(令和8年9月1日報道資料)、救急の実施状況の数値は同「令和7年版 救急・救助の現況」(令和8年1月20日公表・令和6年中)、119番通報の内容は同「119番緊急通報」、♯7119の実施状況は同「救急安心センター事業(♯7119)の全国展開」および「実施団体基本情報調査一覧」(令和8年7月現在)、Q助は同「全国版救急受診アプリ」、マイナ救急は同「あなたの命を守る『マイナ救急』」、講習の種類と標準時間は同「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」(平成23年8月31日改正)によります。♯8000は厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」、自助・共助の割合は内閣府「令和7年版 防災白書」、負傷者数・要救助者数・医療機能・家具固定の効果は中央防災会議 防災対策実行会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループ「都心南部直下地震の被害想定【定量的な被害量】」(令和7年12月19日)、片づけ作業時の注意と破傷風は石川県「被災地での片づけ作業時等における注意点について」、応急手当の目的は東京消防庁「応急手当の重要性」、AEDマップは一般財団法人日本救急医療財団「財団全国AEDマップ」によります(いずれも2026年9月8日閲覧)。制度・数値・運用は改定されることがあります。

出典・参考

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