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災害別の対策

電気・ガス・水道が復旧したときにやること|「戻った瞬間」の安全確認をライフライン別に

ツムギ住まいの防災・ライフライン担当
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電気・ガス・水道が復旧したときにやること|「戻った瞬間」の安全確認をライフライン別に

停電が続いた夜、ふいに部屋の照明がついた瞬間の安堵感は、経験した人にしか分からないものがあります。ただ、防災の資料を読んでいくと、事故がいちばん集中するのは「止まっている間」ではなく、この戻る瞬間だと分かります。倒れた電気ストーブに電気が通り、傷んだ配管に水圧がかかり、ガス漏れに気づかないままメーターを復帰させる。この記事では、電気・ガス・水道の3つについて、復旧の瞬間に家庭がやることを整理します。

本記事の手順は、政府広報オンライン(内閣府政府広報室)、経済産業省、総務省消防庁、環境省、製品評価技術基盤機構(NITE)、および各市町村の水道事業者・消防局が公表している案内にもとづきます。ガスのマイコンメーターの復帰手順については、業界団体である日本ガス協会・LPガス安全委員会の公表内容もあわせて参照しています。メーターや住宅設備の仕様は機種・地域で異なるため、実際の操作は自宅の機器の表示・取扱説明書と、契約している事業者・お住まいの自治体の最新の案内を優先してください。

なぜ「戻るとき」が危ないのか

止まっているときは、家の中の危険は基本的に増えません。ところが復旧すると、止まっている間に生じた損傷に対して、いきなりエネルギーや水圧がかかります。

  • 揺れで倒れた電気ストーブや観賞魚用ヒーターが、スイッチが入ったまま可燃物の上に転がっている
  • 壁の中の配線が傷ついているが、外からは何も見えない
  • ガス機器の接続部がゆるみ、わずかにガスが漏れている
  • 宅内の給水管に亀裂が入っていて、水圧が戻った瞬間に噴き出す
  • 排水管が壊れていて、トイレを流すと汚水が漏れる

どれも、止まっている間は表に出てきません。だからこそ「戻る前に確かめる」「戻すときは順番を守る」の2つが効いてきます。

ライフラインは同時には戻らない

もう一つ知っておきたいのが、3つのライフラインは足並みをそろえて戻ってこない、という点です。東京都防災会議が令和4年(2022年)5月に公表した「東京都の新たな被害想定」の概要資料には、首都直下地震が起きた場合に身のまわりで起こり得る様相として、次のような記述があります。

  • 電力が復旧しても、保守業者による点検が終了するまではエレベーターが使用できず、復旧が長期化する可能性
  • 排水管等の修理が終了するまで、集合住宅では水道供給が再開してもトイレ利用が不可
  • 高架水槽を設置する住宅では、水道が供給されていても、停電や計画停電が継続した場合、揚水できず水道が使えない状態が継続する可能性

上記は東京都防災会議「東京都の新たな被害想定 ~首都直下地震等による東京の被害想定~」(令和4年5月25日公表)の概要資料に、都心南部直下地震の想定条件で示された「身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相」の記載です。同資料には、被害の様相は一つの想定であり、実際の災害時に記載どおりの事象が発生するものではない、との注記があります。

つまり「電気が来た=元の暮らしに戻った」ではありません。戻ったライフラインごとに、その都度確認が要ると考えたほうが、現実に近い準備になります。

「復旧」には3つのレベルがある

自宅で水や電気が使えない状態には、原因の階層があります。ここを取り違えると、直る場所を待ち続けたり、連絡すべき先を間違えたりします。

レベル何が起きているか誰が直すか
家の中(宅内)ブレーカーが落ちている、マイコンメーターが遮断している、宅内の配管が破損している自分で復帰操作、または電気工事店・水道指定工事店・ガス事業者
建物単位集合住宅の給水ポンプ停止、受水槽の被害、共用部の設備損傷管理会社・管理組合
地域単位電力の送配電設備の被害、水道の配水管破損、ガスの導管被害電力・水道・ガスの各事業者

地域の停電情報の地図から色が消えたのに自宅は暗いまま、という場合は、家の中か建物単位に原因が残っている可能性があります。逆に、自分の家だけ水が出ないなら、宅内の止水栓や給水設備を先に見たほうが早いこともあります。

メモ

水道の行政上の所管は、令和6年(2024年)4月に厚生労働省から国土交通省と環境省へ移りました(水道整備・管理行政は国土交通省、水質・衛生管理は環境省)。ただし、家庭にとっての実際の窓口が市区町村の水道事業者(水道局・上下水道局・企業団など)であることは変わりません。断水と復旧の情報は、お住まいの水道事業者の発表を確認してください。

止まっている間にやっておく「戻る準備」

復旧時の安全確認は、止まっている間から始まっています。ここを飛ばすと、戻った瞬間にできることが極端に減ります。

  1. 1

    電気: ブレーカーを切り、コンセントからプラグを抜く

    政府広報オンラインは、停電時は全てのコンセントからプラグを抜くこと、避難などで家を離れるときはブレーカーを切っておくことを案内しています。北九州市消防局も、停電中は電化製品のスイッチを切るとともに電源プラグをコンセントから抜くこと、自宅などを離れるときはブレーカーを落とすことを挙げています。
  2. 2

    ガス: 器具栓と元栓を閉める

    日本ガス協会は、揺れがおさまってからガス機器を使用していた場合は機器のスイッチとガス栓の両方を閉めるよう案内しています。LPガス安全委員会は、避難するときは器具栓、ガスの元栓、ガスメーターバルブ(メーターガス栓)および容器バルブをすべて閉めるよう案内しています。
  3. 3

    水道: 元栓と、機器の止水栓を閉める

    香川県広域水道企業団は、断水したときは家の水道管に泥や濁った水が入るのを防ぐため水道の元栓(メーターボックスのハンドルを時計回り)を締めること、トイレ・給湯器・洗濯機等の止水栓も閉めることを案内しています。濁った水が入ると機器の故障につながるためです。
  4. 4

    トイレは流さない

    同企業団は、排水管が壊れていると水を流した際に汚水が逆流する危険があるとして、断水時はトイレの水を流さないよう案内しています。断水中の排せつは携帯トイレ・簡易トイレで受け止めます。

ヒント

「元栓を閉める」は、断水したあとでも間に合います。すでに水が止まっている状態でも、復旧の水が来る前に閉めておけば、濁り水が宅内の配管や機器に入るのを減らせます。断水を知った時点で閉めに行くだけでも効果があります。

断水中のトイレをどうするか

非常用トイレの備え方|1人1日5回×人数分。必要数の計算と使い方の基本

電気が戻るとき|順番を守り、濡れた家電は使わない

電気については当サイトに通電火災と感震ブレーカーの記事があるため、ここでは復旧の瞬間にやることへ絞ります。

ブレーカーを戻す順番

政府広報オンラインは、停電していた場合に急に電源を入れると通電火災などの二次災害が発生する危険があるとして、電気を復旧させるときの手順を次のように案内しています。

  1. 1

    ブレーカーが全て「切(OFF)」になっているか確認する

    落ちているつもりで落ちていない、ということが起こります。
  2. 2

    アンペアブレーカーを入れる

    分電盤の左側にあることが多い契約容量のブレーカーです(地域や契約により無い場合もあります)。
  3. 3

    漏電遮断器を入れる(ON)

    漏電を検知して電気を止める装置です。
  4. 4

    安全ブレーカーを一つずつ入れる(ON)

    部屋ごと・回路ごとのブレーカーを、まとめてではなく一つずつ入れます。

政府広報オンラインは、安全ブレーカーをONにしても漏電遮断器が再び自動的に「切(OFF)」になってしまう場合は漏電のおそれがあるとして、ブレーカーを切るよう案内しています。この場合は自分で何度も入れ直さず、電気工事店や電力会社に相談してください。

入れる前に、部屋の中を見る

船橋市の案内では、ブレーカーを上げる際は周辺にガス漏れがないか、電気機器の電源コードはすべて抜けているかを十分に確認してから復旧させること、ガス臭がしたりコンセントに異常があれば復旧させずに専門業者に相談することが示されています。

ブレーカーを入れる前に見るところ

  • 電気ストーブ、こたつ、観賞魚用ヒーター、アイロンなど発熱する家電が倒れていないか
  • スイッチが入ったままの家電が、布や紙の上に転がっていないか
  • コンセントやプラグに焦げ跡、変色、こげたにおいがないか
  • コードが家具の下敷きになっていたり、被覆が破れていないか
  • 室内にガスのにおいがしないか
  • 浸水や雨漏りで濡れた家電がないか

製品評価技術基盤機構(NITE)は、災害による雨漏り・浸水などで水がかかったり水に浸かったりした家電製品について、内部に水が残っていたり泥や塩分などの異物が付着していたりすることで火災を引き起こすことがあると注意喚起しています。そのまま使用せず、慎重に動作確認を行い、異常があった場合は直ちに使用を中止してメーカーや販売店に相談するよう呼びかけられています。

注意

水に浸かった家電やモバイルバッテリーは、外側が乾いて見えても内部に水分や異物が残っていることがあります。「乾かせば大丈夫」と自己判断で通電するのは避け、メーカーや販売店に相談してください。とくにリチウムイオン電池を内蔵した製品は、時間がたってから発熱・発火することがあります。

北九州市消防局の案内には、再通電から長時間経過した後でも火災になる場合があるとして、壁内配線の傷や電化製品の内部故障が原因になることが説明されています。異常を見つけたときは、直ちにブレーカーを落として消防機関に連絡することとされています。ブレーカーを戻した直後だけでなく、その日一日は焦げたにおいや異音に注意を向けておくのが安全です。

感震ブレーカーと通電火災対策のくわしい解説

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ガスが戻るとき|自分で復帰できる場合と、できない場合

ガスは3つのライフラインのなかで家庭が操作する場面がいちばん多く、間違えたときの危険も大きい分野です。まず、状況を2つに分けて考えます。

状況何が起きているか家庭がやること
マイコンメーターが遮断しただけ導管からのガス供給は生きているが、地震・多量のガス漏れ・機器の長時間使用などを検知してメーターがガスを止めている安全を確認したうえで、自分で復帰操作を行う
地域一括の供給停止地震などでガス事業者が地域単位で供給を停止している自分では復帰できない。事業者の復旧作業と訪問を待つ

経済産業省は、ガス遮断機能付きのガスメーターは地震、ガス機器の消し忘れ、多量のガス漏れ、機器の長時間使用の際にガスを自動的に遮断すると説明しています。日本ガス協会も、震度5相当以上の地震ではマイコンメーターが自動的にガスを遮断すると案内しています。

まず確認すること|ガス臭いなら、復帰操作をしない

これがこの節でいちばん大事な一点です。

注意

ガス臭いときは、復帰の操作をしないでください。日本ガス協会は「ガス臭いときは、復帰の操作をしないでガス事業者へご連絡ください」と案内しています。LPガス安全委員会も、ガス漏れやガス臭いときは復帰操作をせず、LPガス販売店か緊急時連絡先に連絡するよう案内しています。経済産業省も、ガスが止まったらガス漏れの疑いもあるためガス臭くないか十分確認し、ガス臭くないとき(ガス漏れ以外の原因のとき)に復帰の手順に従うよう説明しています。

ガス漏れのおそれがあるときの動き方も決まっています。政府広報オンラインは、ガス漏れのおそれがある場合は窓を開けること、換気扇や火は使わないことを案内しています。換気扇のスイッチも電気のスイッチなので、入れた瞬間の火花が着火源になり得るためです。

ガスを復帰させる前の安全確認

  • 室内や器具のまわりでガスのにおいがしないか
  • ガス機器が変形・破損していないか
  • ガス管とガス機器をつなぐゴム管やコードがはずれていないか、傷んでいないか
  • 給排気設備(排気筒・給気口)に異常がないか
  • ガス機器が水に浸かっていないか
  • LPガスの場合、ガスボンベが元の位置から動いていないか

政府広報オンラインは、LPガスについてはガスボンベを点検し、元の位置から動いてしまっていた場合は復帰する前にガス業者に点検してもらうよう案内しています。日本ガス協会も、機器が水に浸かった場合や異常を検出した場合は、一酸化炭素中毒や火災のリスクがあるとして販売店やメーカーに点検を依頼するよう案内しています。

都市ガスのマイコンメーター復帰|一般的な手順

政府広報オンラインが案内している都市ガスの復帰の仕方は、次の流れです。

  1. 1

    全てのガス機器の使用を止める

    器具栓を閉じるか運転スイッチを切り、すべてのガス機器を止めます。日本ガス協会は、メーターのガス栓は閉めないよう案内しています。
  2. 2

    ガスメーターで赤いランプの点滅を確認する

    遮断中であることの表示です。メーターは一戸建てなら家のまわり、集合住宅ならメーターボックスの中にあることが一般的です。
  3. 3

    復帰ボタンのキャップを手で左に回して外す

    キャップ付きの機種の場合です。
  4. 4

    復帰ボタンを奥まで押し、ランプの点灯を確認したら手を離す

    日本ガス協会の案内では「復帰ボタンを奥までしっかり押して、表示ランプが点灯したらゆっくり手を離します」とされています。
  5. 5

    3分ほど待って、赤いランプの点滅が消えたら使用可能

    この約3分間はメーターがガス漏れの有無を確認している時間です。日本ガス協会は、この間はガスを使わないよう案内しています。
  6. 6

    復帰ボタンのキャップを元に戻す

    最後にキャップを戻して完了です。

経済産業省は、復帰ボタンを押した後に3分以内にガスコンロ等を使用すると、マイコンメーターがガス漏れと判断してガスを再び遮断してしまうことがあるとして、ガスを復帰する際は3分以上待ってから使用するよう注意しています。「復帰したのにすぐまた止まる」のは、多くの場合この待ち時間を守れていないためです。

LPガス(プロパンガス)の場合

LPガスは待ち時間などが都市ガスと異なります。政府広報オンラインが案内しているLPガスの復帰の仕方は次のとおりです。

  1. 器具栓と未使用のガス栓を全て閉める
  2. 左側のボタンを押す(「ガス止」の文字が消える)
  3. 液晶の文字とランプが点滅したら1分間待つ
  4. 液晶の文字とランプが消えたら復帰完了。ガスが使用可能になる

LPガス安全委員会も、使用再開前にガス漏れやガスの臭いがしていないかを確認し、ガス器具が損傷していたときはガスを使用せず器具メーカーに修理を依頼すること、復帰後も異常表示が出る場合は操作を繰り返さずLPガス販売店の点検を受けることを案内しています。

メモ

マイコンメーターの表示や操作方法は機種によって差があります。復帰ボタンの位置、キャップの有無、待ち時間の表示のしかたも一律ではありません。ここに書いた手順はあくまで一般的な流れです。実際は、自宅のメーターに貼られている表示や取扱説明書、契約しているガス事業者の案内に従ってください。判断に迷ったら、操作をせずに事業者へ連絡するほうが安全です。

大規模な供給停止からの復旧は、事業者が家に来る

地震などで地域単位にガスの供給が止まった場合は、家庭側の復帰操作では戻りません。日本ガス協会は、大規模な災害でガスの供給を停止した地域について、供給停止区域をさらに細分化したブロックごとに顧客宅を1戸ずつ巡回し、安全を確認しながら復旧作業を進めると説明しています。同協会が示す流れは、メーターガス栓の遮断、ブロック分け、埋設ガス導管の漏えい検査と修理、遮断バルブを開いての供給再開、顧客立ち会いのもとでの宅内設備の点検、そしてガスメーターを開けて使用できるようにする、というものです。

ヒント

この復旧方式のため、地域一括の供給停止からの復旧では在宅していること(立ち会い)が必要になります。避難していて不在が続くと、その家だけ復旧が後回しになることがあります。自宅に戻れる状況になったら、ガス事業者の巡回予定を自治体の広報や事業者のウェブサイトで確認しておくと、待ち時間の見通しが立ちます。

ガスの復旧が電気に比べて時間を要しやすいのは、こうして1戸ずつ、1箇所ずつ確認しながら進める方式によるものです。

停電中と停電復旧後のガス機器

意外と知られていないのが電気とガスの関係です。日本ガス協会は、コンセント接続などにより電気を使用するガス機器は停電時には使用できないと案内しています。給湯器やガスファンヒーター、温水式床暖房などがこれにあたります。「ガスは止まっていないのにお湯が出ない」のは、停電が原因のことがあります。同協会は、停電中は換気扇が動かないため、やむを得ずガス機器を使用する場合は窓を開けるなど換気に十分注意するよう呼びかけています。停電が復旧したあとは、ガス機器に異常がないことを確認してから使い始めてください。

水道が戻るとき|濁り水・空気・機器の順番

断水明けは、水が出た瞬間にうれしくなって、いきなり全部の蛇口を開けたくなります。ここが分かれ目です。

なぜ最初の水は濁るのか

豊見城市の案内では、断水の復旧後には蛇口から赤水(赤さび等が混じった水)や白水(微小な空気の泡が混じった水)が出たり、給湯器・洗濯機・浄水器・トイレ・加圧ポンプなど水道まわりの機器が、ゴミのつまりや水がないのに運転させたこと等による不具合が出ることがあるとされています。濁りには2種類あり、対処が違います。

見た目原因対処
赤色・茶色の濁り水道管の内側に付着していた酸化鉄(さび)が、水圧や流れの変化ではがれたもの濁りがなくなるまで、しばらく水を流してから使う
白色の濁り(白濁)水道管の中に入った空気が、細かい泡になって水と混ざったものコップに取ってしばらく置き、下から透明になっていくなら空気が原因

新潟市水道局は、濁った水が出たときはしばらくの間じゃ口から水を流しっ放しにし、透明になったことを確認してから使用すること、5分以上流しても透明にならない場合は水道局に連絡することを案内しています。飲用・洗濯・入浴は控えるよう示されており、万が一飲用した場合でも健康に影響はないとされています。水洗トイレの使用は問題ないとされています。

濁り水の原因と対処、飲用の可否についての記述は新潟市水道局および呉市上下水道局の公表情報にもとづきます。濁りが長く続く場合や、においが強い場合の判断は、お住まいの水道事業者の案内を優先してください。

通水の手順|ゆっくり、元栓に近い蛇口から

豊見城市の案内には、復旧後の対処として、元栓を開けたあと元栓になるべく近い蛇口をゆっくり開け、空気や赤水等が出ないか確認し、出た場合はきれいな水が安定して出るまでしばらく水を流し続ける、という手順が示されています。あわせて、蛇口を一気に開くと蛇口が大きく飛び跳ね、蛇口を破損させてしまう恐れがあるとも注意されています。

香川県広域水道企業団は、復旧の通知を受けたらメーターを確認しながら元栓を開けること、水道管に空気が入った状態で復旧後すぐにトイレの水を流すとタンクやウォシュレットが破損することがあるため、洗面所や洗い場の水から流して管内の空気を抜くことを案内しています。まとめると、次の順番になります。

  1. 1

    水道事業者の復旧(断水解除)の発表を確認する

    自治体の防災無線、水道事業者のウェブサイトやSNS、広報車などで確認します。近所で水が出ているからといって、自宅の区域が解除されているとは限りません。
  2. 2

    メーターを見ながら、元栓をゆっくり開ける

    メーターボックスのハンドルを反時計回りに開けます。このときパイロット(メーターの回転部分)の動きを見ておくと、後の漏水確認がしやすくなります。
  3. 3

    元栓にいちばん近い蛇口を、ゆっくり少しだけ開ける

    屋外の散水栓や洗面所など、機器を通らない蛇口から始めます。勢いよく開けないのがコツです。
  4. 4

    空気と濁りが抜けるまで流す

    最初はゴボゴボと空気が出ます。水が透明になり、安定して出るようになるまで流します。バケツに受けておけば、トイレの流し水などの生活用水として使えます。
  5. 5

    ほかの蛇口も、同じように一つずつ開ける

    台所、風呂場と順に、水側の蛇口から確認していきます。
  6. 6

    きれいな水を確認してから、機器類の止水栓を開ける

    給湯器、洗濯機、洗浄機能付きトイレ、浄水器、食洗機の順に戻します。

機器は最後|きれいな水を確認してから

呉市上下水道局は、濁った水が出た場合は電気温水器・ガス給湯器・全自動洗濯機・浄水器・洗浄機能付トイレなどについて、他の蛇口できれいな水が出るようになったことを確認してから使用するよう案内しています。濁ったまま使うと故障の原因になることがあるためです。

断水明けに、後回しにする機器

  • 給湯器・電気温水器・エコキュート(きれいな水を確認してから運転を再開する)
  • 全自動洗濯機(給水フィルターにゴミが詰まることがある)
  • 浄水器(カートリッジに濁りが入ると性能が落ちることがある)
  • 洗浄機能付きトイレ(ノズルや弁が詰まることがある)
  • 冷蔵庫の自動製氷機(復旧直後の氷は捨てて、給水タンクを洗ってから作り直す)
  • 食洗機・加湿器・ウォーターサーバーなど水を使う家電

ヒント

断水中に給湯器や電気温水器の運転を止めていた場合、復旧後に元へ戻す操作が必要な機種があります。取扱説明書の「断水したとき」「長期間使用しないとき」の項目を、平時のうちに一度読んでおくと当日あわてません。型番をスマートフォンに控えておくと、メーカーサイトで説明書を探しやすくなります。

宅内の漏水を確かめる

地震のあとは、宅内の給水管が傷んでいることがあります。大阪市水道局は、メーターを使った宅地内の水漏れ確認の手順として、すべての蛇口(給水栓)を閉める、メーターを見る、その状態で「パイロット針」が回っているときは水漏れの可能性がある、という3ステップを案内しています。同局は、この確認のあと、蛇口の閉まり具合、壁や地面の湿り具合、便器の水面の変化、下水管からの水の流れなども追加でチェックすることを勧めています。

注意

すべての蛇口を閉めているのにパイロットが回り続けている場合は、宅内のどこかで漏水している可能性があります。床下や壁の中で漏れていると被害が広がることがあります。メーターボックスのバルブ(止水栓)を時計回りに回して水を止めたうえで、水道事業者または指定給水装置工事事業者へ連絡してください。集合住宅の場合は階下への漏水につながるため、あわせて管理会社・管理組合にも連絡します。

排水側も確認する

水は「出る」だけでは足りません。流した水が正しく流れていくかも確認が必要です。政府広報オンラインは、大きな地震や浸水などが発生したときはトイレなどの生活排水を処理する浄化槽も被害を受けている可能性があるとして、そのままトイレの水を流すと汚水が漏れてしまうため、トイレを使用する前に浄化槽が使えるかどうかを確認するよう案内しています。環境省も「災害時の浄化槽被害等対策マニュアル(第3版)」を公表しており、住民用チェックシートが用意されています。

下水道に接続している住宅でも、東京都の被害想定資料が示すように、排水管等の修理が終了するまでは集合住宅で水道供給が再開してもトイレ利用ができない、という状況が起こり得ます。水が出たからトイレを流していい、とは限らないという点は、覚えておく価値があります。政府広報オンラインはまた、浸水による被害があった場合、井戸水は細菌などで汚染されている可能性があるため、必ず水質検査を受けて安全が確認されてから使うよう案内しています。

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集合住宅で気をつけること

マンションやアパートでは、地域のライフラインが復旧しても、建物の設備が原因で使えない状態が残ることがあります。

大阪市水道局は、ビル・マンション等の高層建築物では、水道管自体は断水していなくても、高層階まで水を送るためのポンプが停電により停止した場合に建物内で断水が起こると説明しています。配水管が健全であれば、2階・3階程度まで(1階部分の集会所や共用の水栓など)は断水していない場合があるとも記されています。高置水槽(高架水槽)の方式では、水槽内の水がある間は使えても、なくなると断水します。同局は、停電により断水した場合はまずビル・マンション等の管理者(管理会社)へ連絡することを案内しています。

停電が復旧しても、建物側の設備が自動的に元どおりになるとは限りません。給水ポンプの再起動、受水槽の水質確認、エレベーターの点検。いずれも管理会社や保守業者の作業が必要になることがあります。呉市上下水道局は、マンションなどの受水槽について、断水解除後きれいな水が出るまでは元栓を閉めておくよう案内しています。受水槽に濁り水が入ると、建物全体に影響が及ぶためです。

マンション・高層階の防災の備え

マンション(高層階・集合住宅)の防災|停電・断水・エレベーター停止に備える在宅避難

復旧見込みの調べ方と、戻ったあとの立て直し

復旧の瞬間に落ち着いて動くには、「いつ戻りそうか」の見通しがあるほうが楽になります。電気は契約している送配電事業者の停電情報ページ、ガスは契約しているガス事業者(都市ガスは供給区域の事業者、LPガスは販売店)の緊急連絡先、水道は市区町村の水道事業者の断水情報。この3つを平時にブックマークし、電話番号は紙に書いて分電盤の近くに貼っておきます。停電情報の地図には復旧見込み時間が表示される場合もありますが、調査が進まない段階では未定と表示されたり、後から延長されたりします。地図の色が消えても自宅が復電したとは限らない点は、前の章で触れたとおりです。

そして、ライフラインが復旧したら、その日のうちに備蓄の補充へ進みます。飲料水、カセットボンベ、乾電池、モバイルバッテリー、携帯トイレ。とくに電源は、電気が来ているうちに満充電へ戻しておきます。台風の季節なら、次の一つが控えていることも珍しくありません。

復旧した日にやること

  • ブレーカーを正しい順序で戻し、部屋ごとに異常がないか確認した
  • 焦げたにおい・異音・変色がないか、夜にもう一度確認した
  • ガスは安全確認のうえで復帰させ、機器が正常に燃えることを確認した
  • 水は元栓に近い蛇口から通水し、濁りが消えてから機器を使い始めた
  • すべての蛇口を閉めた状態で、水道メーターのパイロットが止まっているか確認した
  • トイレを流す前に、排水が正常に流れることを確認した
  • モバイルバッテリーとポータブル電源を満充電に戻した
  • 冷蔵庫の中身を確認し、傷んだものを処分した
  • 飲料水・カセットボンベ・乾電池・携帯トイレの残数を数えて補充した
  • 洗濯と入浴を済ませ、次に備えて浴槽に水を張った

停電した冷蔵庫の食品をどう扱うか

夏の停電で冷蔵庫が止まったら|食品を守り食中毒を防ぐ備えと対処

よくある質問

ブレーカーはなぜ一つずつ入れるのですか
どの回路に異常があるかを切り分けるためです。政府広報オンラインは、電気を復旧させるときはブレーカーが全て切になっているかを確認したうえで、アンペアブレーカー、漏電遮断器、安全ブレーカーの順に一つずつ入れることを案内しています。安全ブレーカーをONにしても漏電遮断器が再び自動的に切になってしまう場合は、漏電のおそれがあるためブレーカーを切ってください。この場合は自分で入れ直しを繰り返さず、電気工事店や電力会社に相談してください。
ガスの復帰ボタンを押しても、また止まってしまいます
考えられる原因の一つが待ち時間です。経済産業省は、復帰ボタンを押した後に3分以内にガスコンロ等を使用すると、マイコンメーターがガス漏れと判断してガスを再び遮断してしまうことがあるとして、3分以上待ってから使用するよう注意しています。ガス機器の止め忘れがないかも確認してください。それでも復帰しない場合は、繰り返し操作せず、契約しているガス事業者(LPガスは販売店)に連絡してください。
部屋がガス臭いのですが、窓を開けて換気扇を回してよいですか
換気扇は使わないでください。政府広報オンラインは、ガス漏れのおそれがある場合は窓を開けること、換気扇や火は使わないことを案内しています。電気のスイッチの操作は着火源になり得るためです。窓や戸を開けて空気を入れ替え、その場でガス事業者(LPガスは販売店か緊急時連絡先)に連絡してください。日本ガス協会も、ガス臭いときは復帰の操作をせずガス事業者へ連絡するよう案内しています。
地震でガスが止まりました。自分で復帰させてよいか、どう見分けますか
マイコンメーターの表示を見るのが基本です。メーターの赤いランプが点滅していて、ガス臭くなく、機器にも異常がなければ、一般的にはメーターの遮断であり、表示に従って復帰操作を行います。一方、地域一括の供給停止の場合は復帰操作をしても使えるようになりません。日本ガス協会は、大規模な災害で供給を停止した地域では、ブロックごとに1戸ずつ巡回し、顧客立ち会いのもとで宅内のガス設備を点検してからメーターを開ける、と説明しています。判断に迷うときは、操作をせずにガス事業者へ確認してください。
断水が明けて出てきた白い水は、飲んでも大丈夫ですか
白い濁りは水道管内の空気が細かい泡になったものであることが多いとされています。呉市上下水道局や新潟市水道局は、コップに取ってしばらく置き、下から透明になっていくようであれば空気が原因である、と案内しています。ただし赤茶色の濁りの場合は、しばらく水を流して濁りがなくなってから使ってください。新潟市水道局は、濁っている間の飲用・洗濯・入浴は控えること、5分以上流しても透明にならない場合は水道局へ連絡することを案内しています。判断に迷う場合はお住まいの水道事業者に確認してください。
水は出るようになりましたが、トイレを流してよいか分かりません
排水側の確認が必要です。政府広報オンラインは、大きな地震や浸水のあとは浄化槽も被害を受けている可能性があるため、トイレを使用する前に浄化槽が使えるかどうかを確認するよう案内しています。下水道に接続している住宅でも、集合住宅では排水管等の修理が終わるまでトイレが使えないことがあると東京都の被害想定資料に示されています。確認が取れるまでは携帯トイレを使い、管理会社や自治体の案内を待つのが安全です。
停電の地図では復旧しているのに、自宅だけ電気が来ません
家の中のブレーカーが落ちている、感震ブレーカーが作動している、建物側の設備に被害が残っている、引込線が損傷している、といった可能性があります。まず分電盤を確認し、それでも復電しない場合は、集合住宅なら管理会社へ、戸建てなら契約している電力会社へ連絡してください。地図の表示は地域全体の状況を示すもので、個々の住宅の状態と一致しないことがあります。

まとめ|「戻った瞬間」を手順にしておく

ライフラインの復旧はうれしい出来事です。だからこそ、その場の勢いで一気に元の暮らしへ戻したくなります。けれど、電気・ガス・水道のいずれも、戻る瞬間にいちばん確認が要ります。要点はシンプルです。

  • 電気は、部屋の中を見てから、ブレーカーを順番に一つずつ
  • ガスは、においを確かめてから。臭いなら操作せず事業者へ
  • 水は、元栓に近い蛇口をゆっくり開け、濁りが消えてから機器を使う

そして、どれも「自分でやってよい範囲」と「事業者に任せる範囲」の線引きがあります。復帰ボタンを何度も押す、漏電遮断器を無理に入れ直す、濁ったまま機器を動かす。急ぐ気持ちが出やすい場面ですが、ここで一呼吸置けるかが、そのあとの数日を左右します。

ヒント

週末に一度、家族でメーター巡りをしてみてください。分電盤、ガスメーター、水道メーターの3か所を見て回るだけです。ふだん見ない場所なので、いざというとき「どこにあるか分からない」がいちばん時間を食います。子どもと一緒に回ると、防災の話をする自然なきっかけにもなります。

備えというと、買いそろえることばかりが思い浮かびます。でも、こうした「戻すときの手順を知っておく」ことも立派な備えです。もしもを、いつもの延長に置いておきましょう。

家庭でできる防災訓練のやり方

家庭でできる防災訓練のやり方|15分の「4つの練習」と年2回で定着させる回し方

出典・参考

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