引っ越し・物件選びのときの防災チェック|重要事項説明で聞けること、内見で見ること

家具を固定するのも、水を備蓄するのも、いつでも始められます。けれど「どこに住むか」を決められるのは、引っ越しのときだけです。しかも住まいの立地と建物の性能は、その後の備えの前提をまるごと決めてしまいます。同じ非常用持ち出し袋でも、浸水想定のある1階に置くのと、内陸の3階に置くのとでは意味が変わります。この記事は「危ない土地を避けろ」という話ではありません。どんな土地にも何かしらのリスクはあり、大事なのは知ったうえで備え方を変えることです。物件を探しているこのタイミングだからこそできる確認を、契約前・内見・入居直後の3段階に分けて整理します。
なぜ「住む場所を決めるとき」が効き目の大きい機会なのか
住まいの防災には、あとから変えられるものと、変えにくいものがあります。家具の固定、備蓄、火災警報器の交換は、住み始めてからいくらでも手を入れられます。一方で、その土地の高さ、地形の成り立ち、避難場所までの距離、建物がいつの基準で建てられたかは、住み始めてからは基本的に変えられません。
だからこそ、物件を選んでいる期間は「変えにくいほうの条件を、意識して選べる」貴重な時間になります。しかも、引っ越しは何度も来るイベントではありません。仕事の都合や家賃、間取り、通勤時間といった条件と並べて、防災の視点をひとつ加えるだけで、その後何年ぶんもの備えの土台が決まります。
ここで大切にしたいのは、防災を最優先の条件にしなくてもよい、ということです。住まい選びは条件のバランスで決まるもので、通勤や学区や家賃を差し置いて「浸水想定区域は全部だめ」と考えると、選択肢はほとんどなくなります。実際、日本の平野部の多くは川がつくった低地の上にあり、市街地の相当部分は何らかの想定区域に含まれます。知ったうえで、その場所に合う備え方を選ぶ。それが現実的な進め方です。
契約前に「必ず説明されること」を知っておく
物件を探す側から見ると、防災の情報は自分で調べるものというイメージがあります。けれど実際には、宅地建物取引業者が契約前に説明しなければならない事項として、法令で決まっているものがあります。重要事項説明です。何が説明されるのかを先に知っておくと、当日その場で受け身にならずに済みます。
令和2年8月28日から、水害ハザードマップの説明が加わった
令和2年7月17日に宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令(令和2年内閣府・国土交通省令第2号)が公布され、令和2年8月28日から施行されました。改正で加わったのは、施行規則第16条の4の3第3号の2です。水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村長が提供する図面に、対象となる宅地または建物の位置が表示されているときは、その図面における所在地を説明する、というものです。
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方では、この説明義務について次のように整理されています。売買・交換・貸借の対象である宅地または建物が、水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水(内水)・高潮)ハザードマップ上のどこに所在するかを消費者に確認させるものであり、対象物件の位置を含む水害ハザードマップを洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、おおむねの位置を示すことにより行う、とされています。
ここで押さえておきたい点が3つあります。
- 賃貸も対象です。 施行規則第16条の4の3は、宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借のいずれにも第3号の2を含めており、解釈・運用の考え方も「売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物」と明記しています。賃貸だから説明されない、ということはありません。
- 水害は3種類に分かれています。 洪水(河川の氾濫)、雨水出水(内水。下水道などが処理しきれずあふれるもの)、高潮の3つで、それぞれについてマップを提示することとされています。川から遠いから関係ない、とは限らないのが内水です。
- 使うのは市町村の最新のマップです。 対象物件がある市町村が配布する印刷物、または市町村のホームページ等に掲載されたものを印刷したもので、確認して入手可能な最新のものを用いる、とされています。
公布日・施行日は国土交通省の報道発表資料および「宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令 新旧対照条文」、説明の範囲は「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 新旧対照条文」、条文は宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3(e-Gov法令検索)によります。
色が付いていない=安全、ではない
改正で最も誤解されやすいのがここです。国土交通省のQ&Aは、対象物件が浸水想定区域の外にある場合でも水害ハザードマップにおける位置を示さなければならないとしたうえで、浸水想定区域の外であるからといって水害のリスクがないと取引の相手方が誤認することがないよう配慮してください、と明記しています。
具体的な説明の仕方の例として、ハザードマップに書かれている「雨の降り方や土地利用の変化等により地図に示した浸水区域以外のところでも浸水することがあります」といった文言を示しながら読み上げ、詳細は市町村に問い合わせるよう案内することが考えられる、とも示されています。
メモ
水害ハザードマップ以外の防災項目は、別の枠で説明される
重要事項説明の防災関連項目は、水害ハザードマップだけではありません。施行規則第16条の4の3には、次のような項目が並んでいます。条文上の書きぶりは「その区域内にあるときは、その旨」ですが、国土交通省の解釈・運用の考え方に添えられた重要事項説明書の参考様式(別添3)には、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域のそれぞれに「区域内か否か」を選ぶ欄が設けられており、区域外である旨も記載・説明されるのが通常です。当日は、この欄がどう記入されているかを目で確かめ、あわせて「いつの指定図で確認したものか」を尋ねておくと、あとから見返すときの手がかりになります。
| 項目 | 根拠(施行規則第16条の4の3) | 条文上の書き方 | 対象となる契約 |
|---|---|---|---|
| 造成宅地防災区域 | 第1号(宅地造成及び特定盛土等規制法第45条第1項) | 区域内にあるときは、その旨 | 宅地・建物の売買/交換/貸借 |
| 土砂災害警戒区域 | 第2号(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第7条第1項) | 区域内にあるときは、その旨 | 宅地・建物の売買/交換/貸借 |
| 津波災害警戒区域 | 第3号(津波防災地域づくりに関する法律第53条第1項) | 区域内にあるときは、その旨 | 宅地・建物の売買/交換/貸借 |
| 水害ハザードマップの所在地 | 第3号の2(水防法施行規則第11条第1号) | マップを提示して位置を示す | 宅地・建物の売買/交換/貸借 |
| 石綿(アスベスト)使用調査の結果 | 第4号 | 記録があるときは、その内容 | 建物の売買/交換/貸借 |
| 耐震診断の内容 | 第5号 | 診断を受けたものであるときは、その内容 | 建物の売買/交換/貸借 |
項目と根拠法令は宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3(e-Gov法令検索)、様式上の記載欄は国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」別添3(重要事項説明書参考様式)によります。同条は、宅地の売買・交換では第1号から第3号の2まで、建物の売買・交換では第1号から第6号まで、宅地の貸借では第1号から第3号の2までおよび第8号から第13号まで、建物の貸借では第1号から第5号までおよび第7号から第12号までを説明事項としています。
また国土交通省のQ&Aでは、水防法以外の規定に基づくハザードマップ(ため池ハザードマップなど)まで説明することを求めるものではない、とされています。市町村が水防法に基づく水害ハザードマップを作成していない場合は、「作成されておりません」と説明することになります。逆に言えば、重要事項説明で提示される水害の情報は水防法に基づく洪水・内水・高潮の3種類までで、ため池ハザードマップのような水防法以外の規定によるマップや、土地の成り立ち・地盤といった情報は、自分で調べる領域として残るということです。
地図を家族の行動計画に落とすなら
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建物については、内見・契約前にこの3つを聞く
建物の地震への強さは、建てられた年で大きく変わります。節目は1981年(昭和56年)6月と、木造住宅についての2000年(平成12年)6月です。宅地建物取引業法施行規則も、耐震診断に関する説明義務の対象から「昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したもの」を除いており、法令上もこの日付が区切りとして使われています。
一方で、重要事項説明で説明されるのは「耐震診断を受けたものであるときは、その内容」です。診断を受けていない建物については、説明する内容そのものがありません。だからこそ、こちらから聞く必要があります。内見や申し込みの前に、次の3つを質問してみてください。
- 1
建築確認を受けた日と、新築工事に着手した日
「新耐震かどうか」を判断する基準は、完成した日ではなく、建築確認や着工の時期です。募集図面には「築年月」しか載っていないことが多いので、確認済証の日付が分かるかを聞きます。1981年前後、2000年前後の物件では特に重要です。 - 2
検査済証があるか
工事が完了したあとに建築主事等の完了検査を受け、適法と確認された建物に交付されるのが検査済証です。あるかないかで、図面どおりに建てられたことの確からしさが変わります。紛失している場合も、自治体が保管する台帳に基づく証明書で確認できることがあります。 - 3
耐震診断・耐震改修の履歴があるか
診断を受けていれば重要事項説明で内容が示されます。受けていない場合は「受けていない」ことが分かるだけでも収穫です。分譲マンションなら、管理組合が耐震診断を実施しているか、長期修繕計画に位置づけがあるかも聞いておきたいところです。
検査済証や確認済証を売主・貸主が紛失している場合、自治体によっては建築計画概要書の閲覧や、建築確認台帳の記載事項証明書の交付を受けられます。大阪市の案内では、建築計画概要書には建築物の階数・高さ・建築面積・延べ面積・配置図等が記載されていること、台帳記載事項証明書は確認済証・検査済証の交付の記録を証明するものであることが説明されています。取扱いや手数料は自治体ごとに異なるため、物件所在地の建築部局に確認してください。
ヒント
建物の耐震性の調べ方はこちら
わが家の耐震性を確かめる|1981年・2000年の基準の違いと、診断・補助制度・費用の目安
内見の前後30分でできる、地形と周辺のチェック
内見の予約が取れたら、当日の前に30分だけ地図を開く時間をつくると、現地での見え方が変わります。使うのは無料の公的サイト2つだけです。
内見前に、地図で見ておくこと
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」には、全国の情報を1枚の地図に重ねて見られる「重ねるハザードマップ」と、市町村が作成したマップにリンクする機能があります。まずここで、住所を入れて洪水・内水・高潮・土砂災害・津波の各レイヤを順に表示します。
次に国土地理院の「地理院地図」です。国土地理院は防災に役立つ使い方として、標高を細かく色分けした色別標高図、土地の成り立ちを区分した地形分類、起伏を濃淡で表す陰影起伏図、過去に水域だった場所が分かる明治期の低湿地データ、過去の災害の教訓を伝える自然災害伝承碑、避難経路の高低差を確かめられる地形断面図などを紹介しています。
土地の成り立ちをもう一段詳しく見たいときは、土地条件図と治水地形分類図があります。土地条件図は、山地・台地/段丘・低地・水部・人工地形などの地形分類を示したもので、その土地が高燥か低湿か、自然の地形がどう人工的に改変されているかが分かります。治水地形分類図は、国と都道府県が管理する一級水系を対象に、旧河道や自然堤防、氾濫平野などを整備したものです。どちらも整備されている範囲が限られるため、自分の候補地に該当図があるかを確認してみてください。
内見前に地図で見ておく6項目
- 重ねるハザードマップで洪水・内水・高潮・土砂災害・津波を順に表示した
- 色別標高図で、周辺と比べて土地が高いか低いかを確かめた
- 地形分類や土地条件図で、その土地の成り立ち(低地か台地か、盛土か)を見た
- 明治期の低湿地データや治水地形分類図で、昔の水辺・旧河道が近くにないかを見た
- 自然災害伝承碑が近くにないか調べた
- 指定緊急避難場所を災害種別ごとに表示し、家からの距離と方向を確かめた
地図機能の名称と用途は、国土地理院「災害に備える!(地理院地図の使い方)」「土地条件図」「治水地形分類図について」「自然災害伝承碑」、および国土交通省「ハザードマップポータルサイト」によります。表示できる情報の種類や整備範囲は地域によって異なります。
現地で、目と足で確かめること
地図で当たりを付けたら、現地では次を見ます。部屋の中の設備は不動産会社の説明で分かりますが、外まわりは自分で歩くしかありません。
- 周辺との高低差。物件の前の道が、少し先の交差点より低くなっていないか。坂の下り切ったところ、線路や幹線道路のアンダーパス、駐車場の入口の位置は、雨のときに水が集まる場所の見当をつける手がかりになります。
- 擁壁とブロック塀。敷地の境界や、隣地との段差にある擁壁、道路に面したブロック塀は、地震のときに問題になる場所です。傾き・ひび割れ・水抜き穴の有無をひととおり写真に残しておきます。
- 避難場所までの経路。地図上の直線距離ではなく、実際に歩くルートを1回歩いてみます。踏切や大きな交差点、川を渡る橋、細い路地の塀の連なりは、非常時のボトルネックになりやすい場所です。
- 夜の道。可能なら、内見と別の日の夜に、駅から家までを一度歩いてみてください。街灯の間隔、人通り、歩道の有無は、停電時の避難のしやすさにも、日常の安全にも関わります。
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避難先について、ひとつ用語を整理しておきます。内閣府は、災害の危険から命を守るために緊急的に避難する場所を「指定緊急避難場所」(災害対策基本法第49条の4)、避難してきた人が一定期間滞在するための施設を「指定避難所」(同法第49条の7)として区別しています。指定緊急避難場所は洪水、崖崩れ・土石流・地滑り、地震、津波、大規模な火事などの災害種別ごとに指定され、指定避難所は災害種別に限らず指定されます。両方を兼ねる施設もありますが、「地震のときの避難場所が、洪水のときは使えない」ということが起こりえます。物件を見に行くときは、災害種別ごとに近い避難先を確かめておくと安心です。
集合住宅なら、追加で見ておきたいこと
集合住宅だから地震に強い、ということはありません。マンションもアパートも、地震への強さを左右するのは前の節と同じく建てられた年と構造で、木造や軽量鉄骨造の共同住宅も数多くあります。築年と構造を確かめるのは、戸建てと同じように必要です。そのうえで集合住宅には、停電や断水の影響が戸建てより広く出るという特徴があります。内見時に管理会社や仲介会社へ聞ける範囲で、次を確かめておくと入居後の備え方が決めやすくなります。
- 階数と、階段で運べるか。停電でエレベーターが止まった場合、水も食料も階段で運ぶことになります。何階かは家賃だけでなく、備蓄の置き方にも影響します。
- 給水方式。受水槽・高置水槽にいったんためる貯水槽水道方式か、配水管から直接引く直結給水方式かで、断水・停電時の水の出方が変わります。東京都水道局は、貯水槽水道方式の長所として「事故や災害時等に、貯水槽内に残っている水は使用できます」、直結給水方式の留意点として「事故や災害時等に、貯留機能がないため断水することがあります」を挙げています。あわせて押さえておきたいのが電気との関係です。受水槽から屋上の高置水槽へ汲み上げるポンプも、直結増圧給水方式の増圧ポンプも電気で動くため、停電が長引けば補給や加圧は止まります(配水管の水圧だけで届く3階までの直圧給水はポンプに頼らない一方、貯留がないので本管側が断水すればすぐ出なくなります)。どの方式かを聞いておくと、飲料水やトイレ用水をどれだけ備えるかの見当がつきます。
- 非常用電源の有無と範囲。非常用発電機があっても、対象が共用部の照明だけなのか、エレベーターや給水ポンプも動かせるのかで意味が違います。「あるかないか」ではなく「何が動くか」を聞くのがポイントです。
- エレベーターの地震時管制運転。地震を感知して最寄り階に停止する装置や、閉じ込め時の連絡手段について確認しておきます。
- 防災備蓄倉庫・防災訓練の有無。分譲マンションなら管理組合、賃貸なら管理会社が、備蓄や訓練をどこまで行っているか。近くの避難所にマンホールトイレが整備されているかも、断水時の見通しに関わります(国土交通省は、下水道管路のマンホールの上に簡易な便座やパネルを設けて災害時に迅速にトイレ機能を確保するものとして紹介しています)。
給水方式ごとの長所・留意点は東京都水道局「給水方式について(貯水槽水道方式と直結給水方式の違い)」、マンホールトイレは国土交通省「上下水道:災害時に使えるトイレ」によります。給水方式の区分や呼び方、選べる範囲は水道事業者ごとに異なるため、物件所在地の水道局の案内もあわせて確認してください。
集合住宅の在宅避難の備えはこちら
マンション(高層階・集合住宅)の防災|停電・断水・エレベーター停止に備える在宅避難
入居してからの2週間でやること
引っ越し直後は、荷ほどきと手続きで頭がいっぱいになります。それでも、この時期にしかできない、あるいはこの時期がいちばん楽な作業がいくつかあります。
- 1
家具を置く前に、固定の計画を決める
家具は「置いてから固定する」より「置く前に配置を決める」ほうが圧倒的に楽です。寝室と子ども部屋には背の高い家具を置かない、出入口をふさぐ位置に本棚を置かない、といった配置の工夫は、この段階なら追加費用ゼロでできます。 - 2
賃貸なら、壁を傷めない方法か、承諾を得る方法を選ぶ
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)は、重量物を掛けるためのくぎ穴・ネジ穴(下地ボードの張替えが必要な程度のもの)について、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いとしたうえで、地震等に対する家具転倒防止の措置については、あらかじめ賃貸人の承諾を得るか、くぎやネジを使用しない方法等の検討が考えられる、と記載しています。入居前後は貸主・管理会社とやり取りする機会が多い時期なので、相談を切り出しやすいタイミングでもあります。 - 3
住宅用火災警報器の有無と設置年を確かめる
消防庁は、住宅用火災警報器は基本的に寝室と、寝室がある階の階段上部(1階の階段を除く)に設置が必要で、市町村の火災予防条例により台所やその他の居室にも設置が必要な地域があるとしています。あわせて、10年を目安に本体を交換すること、定期的に点検ボタンを押して作動確認することも案内しています。入居時に、設置場所と本体に書かれた製造年・設置年月を見ておきましょう。 - 4
避難場所までを、家族で1回歩く
地図で確かめた経路を、実際に歩きます。荷物を持って、子どもの歩く速さで。何分かかったかをメモしておくと、避難の判断が具体的になります。 - 5
自治体の防災情報を受け取る設定をする
転入手続きのときに、防災マップや防災ガイドを窓口でもらえる自治体が多くあります。あわせて、自治体の防災メールや防災アプリ、緊急速報メールの受信設定、気象情報アプリの地点登録を、新しい住所で設定し直します。前の住所のままになっていると、必要な情報が届きません。 - 6
ご近所と、自治会・自主防災組織を知る
引っ越しの挨拶は、防災の第一歩でもあります。自治会や自主防災組織があるか、防災訓練がいつ行われるかを聞いておくと、いざというときに声を掛け合える関係の入口になります。
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「避ける」ではなく「備え方を変える」
物件を調べていると、必ず何かのリスクが見つかります。そこで手が止まってしまわないために、分かったことを備え方に翻訳する視点を持っておきましょう。
| 分かったこと | 備え方の変え方(例) |
|---|---|
| 洪水・内水の浸水想定がある | 寝室や備蓄を上階に置く、非常用持ち出し袋を2階に置く、大雨時の車の置き場を先に決める、在宅避難ではなく早めの立ち退き避難を前提にする |
| 土砂災害警戒区域が近い | 斜面から離れた部屋で寝る、大雨のときに滞在する部屋を決めておく、警戒レベルが上がる前に動く合図を家族で決める |
| 津波の想定がある | 高台や津波避難ビルまでの経路を複数、実際に歩いておく。夜間・悪天候のルートも確かめる |
| 揺れやすい地盤・低地 | 家具の固定を最優先にする、ガラス面の飛散防止、食器棚の扉ロック |
| 高層階・エレベーター依存 | 携帯トイレと飲料水を多めに、階段での運搬を前提に分散して置く |
| 木造密集地域 | 感震ブレーカー、消火器、初期消火と早期避難の確認 |
どの行に当てはまっても、やることは「引っ越しさえやめれば解決」ではありません。同じ家でも、家具の置き方と避難の合図が決まっていれば、結果は変わります。物件選びの段階でリスクを知る価値は、そこにあります。
注意
よくある質問
賃貸でも、水害ハザードマップの説明は受けられますか。
重要事項説明でハザードマップの色が付いていない場所だと言われました。安心してよいですか。
内見のときに、不動産会社へ何を聞けばよいですか。
賃貸で家具を固定したいのですが、壁に穴を開けてよいですか。
ハザードマップに載っていない災害リスクはどう調べますか。
引っ越し直後にまず何から手をつければよいですか。
まとめ|条件表に、防災の1行を足す
物件を探すときのチェックリストには、家賃、間取り、駅からの距離、日当たりが並びます。そこに1行だけ、「ハザードマップと築年を確認したか」を足してみてください。それだけで、内見のときに見る場所が変わり、重要事項説明で聞ける質問が増えます。
そして、リスクが見つかっても選択肢から外す必要はありません。分かったことを、備え方の設計図に書き換えるだけです。浸水想定があるなら備蓄を上階に、揺れやすいなら家具の固定を先に、高層階なら携帯トイレを多めに。住む場所を決めるこの一度きりのタイミングで得た情報は、そこに住んでいるあいだずっと、わが家の備えの土台になります。
出典・参考
- 不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化(報道発表資料)/国土交通省
- 宅地建物取引業法施行規則の改正について/国土交通省
- 宅地建物取引業法施行規則の一部改正(水害リスク情報の重要事項説明への追加)に関するQ&A/国土交通省
- 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 新旧対照条文(水害リスク情報の追加)/国土交通省
- 宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令 新旧対照条文/国土交通省
- 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 別添3(重要事項説明書参考様式)改正後/国土交通省
- 宅地建物取引業法施行規則(e-Gov法令検索)
- ハザードマップポータルサイト/国土交通省
- 重ねるハザードマップ/国土交通省
- 災害に備える!(地理院地図の使い方)/国土地理院
- 地理院地図/国土地理院
- 土地条件図/国土地理院
- 治水地形分類図について/国土地理院
- 自然災害伝承碑/国土地理院
- 避難場所に関すること/内閣府防災情報のページ
- 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のダウンロード/国土交通省
- 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)本文/国土交通省住宅局
- 住宅用火災警報器を設置しましょう!/総務省消防庁予防課
- 住宅用火災警報器Q&A/総務省消防庁予防課
- 住宅・建築物の耐震化について/国土交通省
- 新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(新耐震木造住宅検証法)/日本建築防災協会
- 建築計画概要書・定期調査報告概要書、定期検査報告概要書、台帳記載事項証明書とは/大阪市
- 上下水道:災害時に使えるトイレ(マンホールトイレ)/国土交通省
- 給水方式について(貯水槽水道方式と直結給水方式の違い)/東京都水道局
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