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近畿の活断層「30年以内にM6.8以上が50〜60%」をどう読む|地震本部の新しい地域評価(2026年8月28日)をわが家の備えに翻訳する

カエデ・避難計画・防災情報担当
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近畿の活断層「30年以内にM6.8以上が50〜60%」をどう読む|地震本部の新しい地域評価(2026年8月28日)をわが家の備えに翻訳する

「近畿で30年以内にM6.8以上の地震が起きる確率は50〜60%」。2026年8月28日、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が公表した数字です。数字だけを見ると身構えてしまいますが、この確率は何を対象にした数字なのか、自分の家の近くの断層はどう評価されたのか、そして家庭は何から手をつければよいのか。そこまで読み解かないと、備えにはつながりません。この記事では、地震本部が公表した評価文・概要・ポイント資料・予測震度分布図を確認しながら、新しい評価の読み方と、自宅まわりの調べ方、優先して進めたい備えを整理します。近畿以外にお住まいの方にも、ご自分の地域の評価を確かめる手順として使っていただける内容にしています。

本記事の数値と記述は、地震調査研究推進本部地震調査委員会「近畿地域の活断層の長期評価(第一版)」(令和8年8月28日)、同事務局による「ポイント」「概要」「予測震度分布(簡便法計算結果)」、地震本部「長期評価結果一覧」、防災科学技術研究所 J-SHIS、国土地理院「活断層図」、気象庁、東京消防庁、内閣府、国土交通省の公開資料にもとづきます。断層ごとの確率とランクの算定基準日は2026年1月1日です。評価は新しい知見により見直されることがあります。お住まいの地域の具体的な対策は、自治体の最新情報もあわせて確認してください。

2026年8月28日に何が公表されたのか

地震本部の地震調査委員会は、2026年8月28日に「近畿地域の活断層の長期評価(第一版)」を公表しました。対象は、福井県・岐阜県・愛知県・三重県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・岡山県の11府県にまたがる陸域と、陸から続く沿岸海域の活断層です。いわゆる近畿2府4県だけでなく、岐阜・愛知・三重・福井・岡山の一部も含まれている点は、東海や中国地方の方も押さえておきたいところです。

評価の骨格は、事務局のポイント資料に次のようにまとめられています。

  • 近畿地域を、活断層の分布や地質構造、地震活動の特徴をもとに、近畿北西部・近畿三角帯・紀伊半島の3区域に分けた
  • 近畿北西部で7、近畿三角帯で38、紀伊半島で1の活断層を評価した(中央構造線断層帯は2つの区域の境界にあるため、両方の区域に属するものとして評価。断層の数は全域で45)
  • 主要活断層帯の既存の評価を改訂した(中央構造線断層帯は2017年の四国地域の評価で改訂済みのため、今回は改訂していない)
  • M6.8以上の地震が今後30年以内に発生する確率を、近畿の区域ごとに示した(ポイント資料では「新規公表」)

概要資料によると、今回改訂した主要活断層帯は20、新たに評価した主要活断層帯以外の活断層は24です。これまで主要活断層帯の一部として扱われていた先山-安乎断層・駄口断層・路原断層・集福寺断層も、独立した活断層として評価し直されています。

区域ごとの確率

区域評価した活断層30年以内にM6.8以上の地震が発生する確率区域の特徴(ポイント資料より)
近畿地域全域4550%〜60%―
近畿北西部730%主要活断層帯が複数存在。過去約100年間の地震活動は活発
近畿三角帯3840%〜60%国内でも活断層が集中的に分布しており、それらの活動度も高い
紀伊半島17%既知の活断層を起源とする地震活動は低調

区域に含まれる府県は、概要資料の表紙で次のように示されています。近畿北西部は福井県・滋賀県・京都府・兵庫県・岡山県、近畿三角帯は福井県・岐阜県・愛知県・三重県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県、紀伊半島は三重県・奈良県・和歌山県です。同じ府県が複数の区域にまたがっているので、自宅がどの区域に入るかは、概要資料や評価ページの地図で位置を確認するのが確実です。

評価文には、区域ごとの過去の大きな地震も記されています。近畿北西部では1927年北丹後地震(M7.3)、近畿三角帯では1995年兵庫県南部地震(M7.3)などです。

メモ

近畿三角帯の40〜60%という幅は、近畿地域全域の50〜60%と重なっています。評価文は、区域のあいだで活断層が隣接している場合には「部分的に同時に活動する可能性を否定できない」ことにも留意するよう書いています。区域の境界線は、地震活動の明確な境界をなすものではないとも説明されています。

「断層ごとの確率」と「地域の確率」は何が違うのか

近畿について今回いちばん新しいのは、「地域でみた確率」が出たことです。ここを取り違えると、数字の受け止め方が大きくずれてしまいます。

これまでは断層ごとの数字だった

地震本部はこれまで、長さがおおむね20km以上でM7.0以上の地震を起こしうる「主要活断層帯」を対象に、断層帯ごとに地震の発生確率を評価してきました。ところが、2004年の新潟県中越地震(M6.8)や2007年の能登半島地震(M6.9)のように、M7未満の地震や主要活断層帯以外の断層でも被害が出ています。

そこで導入されたのが「活断層の地域評価」です。概要資料によると、地域評価では次の点が広げられました。

  • 長さ20km未満の断層、M6.8以上の地震を起こしうる断層も評価の対象に加える
  • 陸から続く沿岸海域の活断層や、地下に伏在する部分も含めて検討する
  • 個々の断層を評価したうえで、地域単位の発生確率を出す

地域の確率は「区域のどこかで起きる」確率

区域ごとの確率は、その区域に分布する活断層の「いずれか」を震源としてM6.8以上の地震が30年以内に起きる確率です。1本1本の断層の確率は数千年に一度という長い間隔を反映して小さな値になりがちですが、たくさんの断層をまとめて見ると、区域全体では大きな値になります。

注意

50〜60%は「近畿のどこかでM6.8以上の地震が起きる確率」であり、「自宅が強く揺れる確率」ではありません。逆に、紀伊半島の7%も「紀伊半島なら強い揺れは来にくい」という意味ではありません。評価文は、近畿に被害をもたらす地震は評価した活断層によるものだけではなく、隣接する中国・四国・中部地域の活断層、周辺海域の活断層、南海トラフなどの海溝型地震でも被害が生じうると明記しています。

2つの計算方法と、採用された数字

評価文によると、区域の確率は2つの方法で計算され、比較のうえでどちらかが採用されています。

  • 手法A(活断層): 区域内の活断層それぞれの発生確率を積み上げて求める
  • 手法B(地震活動): 1919年以降の地震観測記録から、統計的な経験則(グーテンベルク・リヒターの式)でM6.8以上の地震の発生確率を求める

近畿地域全域と近畿三角帯は手法A、近畿北西部と紀伊半島は手法Bの値が採用されました。近畿北西部と紀伊半島では、手法Aの値(近畿北西部6〜10%、紀伊半島2〜4%)は「過小評価となっている可能性が高い」とされたためです。

概要資料の参考ページには、地域評価をしても「まだ知られていない」震源断層があるかもしれないこと、最近の地震活動にもとづく発生率には既知・未知を含む震源断層が動く可能性が含まれていることが書かれています。地域の確率は、地図に描かれていない断層の可能性も含んだ数字として読むのがよさそうです。

評価文の「今後に向けて」でも、地表にずれの痕跡を残さない伏在断層や、活動度が低く地形に残りにくい活断層を見落としている可能性は否定できない、とされています。近畿北西部では、1925年北但馬地震(M6.8)のように、既知の活断層との関係が不明な地震も起きています。

S/A/Z/Xランクと「*」の読み方

断層ごとの評価は、確率の数字に加えてランクで示されています。地震本部の長期評価結果一覧と概要資料をもとに整理します。

ランク今後30年以内の地震発生確率意味
Sランク3%以上高い
Aランク0.1%〜3%未満やや高い
Zランク0.1%未満―
Xランク不明過去の地震データが少なく確率の評価が困難。すぐに地震が起きることが否定できない

さらに、「地震後経過率」が0.7以上の活断層には、ランクに「」が付きます(S、A*など)。地震後経過率は、最新の活動から評価時点までの経過時間を、平均活動間隔で割った値です。経過時間が平均活動間隔に達すると1.0になります。概要資料に抜粋されている全国地震動予測地図の手引きの説明では、1に近づくと次の地震がいつ起きてもおかしくない状態と言える、とされています。

なぜランクが導入されたのか

ランクは、2016年の熊本地震を契機に導入されたものです。概要資料によると、熊本地震の前、布田川断層帯(布田川区間)の30年以内の発生確率は「ほぼ0%〜0.9%」でした。地震のあと、確率の数字が降水確率のように「起こらない確率」が高く見えてしまい、かえって安心情報になっていたという指摘があり、より分かりやすい表記に見直されました。

地震本部の長期評価結果一覧には、次のような例も載っています。1995年兵庫県南部地震の発生直前の確率値を求めると0.02%〜8%、2016年熊本地震ではほぼ0%〜0.9%でした。活断層の地震は発生間隔が数千年程度と長いため、30年程度の確率は大きな値にならない、という説明が添えられています。

注意

同じページには、たとえZランクと評価された活断層でも、活断層が存在していること自体が、その地域で大きな地震が発生する可能性を示すと書かれています。また、日本はランク分けにかかわらず、どの場所でも地震による強い揺れに見舞われるおそれがある、とも明記されています。「Zランクだから安心」「Xランクは不明だから気にしない」とは読まないようにしてください。

今回の評価で目立ったランク

今回の近畿の評価(算定基準日は2026年1月1日)でS*ランクとされたのは、次の区間・断層です。確率は評価文の表1に示された幅です。

断層(区間)ランク30年以内の地震発生確率地震の規模(単独で活動する場合)
琵琶湖西岸断層帯北部区間S*3%〜14%M7.3程度
浦底-柳ヶ瀬山断層帯S*ほぼ0%〜18%M7.4程度
池田山断層S*0.3%〜12%M6.8程度
養老-桑名-四日市断層帯中部区間S*0.04%〜14%M6.9程度
養老-桑名-四日市断層帯北部区間S*ほぼ0%〜4%M7.4程度
六甲・淡路島断層帯 六甲山地南縁-淡路島東岸区間S*ほぼ0%〜7%M7.8程度
京都盆地-奈良盆地断層帯南部区間S*ほぼ0%〜6%M7.4程度
高茶屋断層帯S*0.1%〜6%M7.4程度
伊勢湾断層帯南部 白子-野間区間S*0.1%〜6%M7.0程度

いずれも近畿三角帯の断層です。

ランクは調査が進むと上がりも下がりもする

改訂前と比べると、ランクが変わった断層もあります。概要資料の新旧比較から、生活圏の広い2つの例を挙げます。

  • 六甲・淡路島断層帯の六甲山地南縁-淡路島東岸区間は、Aランク(ほぼ0%〜1%)からS*ランク(ほぼ0%〜7%)になりました。最新活動時期(16世紀から15世紀以降16世紀以前へ)や平均活動間隔の見直しが反映されています
  • 上町断層帯の主部区間は、S*ランク(2%〜3%)からZランク(ほぼ0%〜0.003%)になりました。最新活動時期が「約2万8千年前以後、約9千年前以前」から「約2千7百年前以後、11世紀以前」に見直され、平均活動間隔も直接法による6,400〜8,700年程度とされたためです。あわせて、新たに加わった沿岸部区間は活動間隔が不明のXランクとされています

メモ

上町断層帯のように数字が下がったとしても、それは「前回の活動が思っていたより最近だった」ことを反映したもので、断層がなくなったわけではありません。上町断層帯の地震の規模は、断層帯全体が同時に活動した場合でM7.7程度と評価されています。ランクの変化は、備えを緩める理由ではなく、評価が新しい調査で更新されていく性質のものだと知っておく材料と考えてください。

自宅の近くの活断層と予測震度を調べる手順

ここからは実践です。近畿の方は評価そのものを、近畿以外の方はご自分の地域の評価を当てはめて進めてください。どれもパソコンかスマートフォンで、30分ほどあれば一通り確認できます。

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    重ねるハザードマップで、自宅と活断層の位置関係を見る

    国土交通省のハザードマップポータルサイトにある「重ねるハザードマップ」で自宅の住所を検索し、表示する情報から「活断層図」を選びます。国土地理院のパンフレットでは、「活断層図」に「大規模盛土造成地」や「土砂災害警戒区域等(急傾斜地の崩壊)」を重ねて、地震に関するさまざまな災害の危険性を把握する使い方が紹介されています。ただし国土地理院によると、活断層図は空中写真などを使った地形調査で作られており、原則として地形に現れていないものは表示していません。公開は249面(2025年12月23日時点)で、全国をくまなく覆っているわけではありません。線が表示されないことは、活断層がないことの証明にはなりません。
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    地震本部の評価ページで、近くの断層の評価と地震の規模を確認する

    「近畿地域の活断層の地域評価」のページには、評価した45の活断層ごとの評価文がPDFで並んでいます。近くにある断層の名前が分かったら、ランク、確率、想定される地震の規模(M)を見ておきます。一覧でざっと見たい場合は、概要資料の「新旧評価の比較」のページが便利です。
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    予測震度分布図で、その断層が動いたときの揺れの広がりを見る

    同じページにある「予測震度分布図」には、評価した活断層で想定される地震が起きた場合に、周辺でどの程度の揺れになりうるかを簡便法で計算した地図がまとまっています(中央構造線断層帯は2017年公表の四国地域の資料を参照)。資料には、強い揺れになる地域の広がりの目安を示したもので、実際の揺れは予測より1〜2ランク程度大きくなる場合があること、特に活断層の近くなどでは震度6弱の場所でも震度6強以上の揺れになることがあると書かれています。地図の色は「最低でもこのくらい」と読むくらいがちょうどよいでしょう。
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    J-SHIS Mapで、自宅の地点の揺れやすさと確率を見る

    防災科学技術研究所のJ-SHIS Mapでは、「震源断層」ボックスの「主要活断層帯」にチェックを入れると主要活断層帯の位置が表示され、断層をクリックすると概要と地震本部の長期評価へのリンクが出ます。「確率論的地震動予測地図」タブで地図を拡大し、自宅の地点をダブルクリックすると、地盤増幅率や、今後30年間にある震度以上の揺れに見舞われる確率などが表示されます。これは「区域でM6.8以上が起きる確率」とは別の指標で、海溝型地震も含めた「その地点が揺れる確率」です。地震ハザードカルテなどには評価基準日が示されているので、どの時点の評価にもとづく数字かもあわせて確認します。
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    調べた結果を、家族で見られる形に1枚にまとめる

    「一番近い活断層の名前とランク」「その断層で想定されるM」「予測震度分布図での自宅付近の震度」「J-SHISの地盤増幅率」の4つをメモします。数字を覚えることが目的ではなく、次の章の備えを「わが家はどこまでやるか」を決める材料にするためです。
上町断層帯がZランクに下がったというニュースを見て、正直ほっとしかけていました。でも予測震度分布図を開いたら、断層帯全体が動けば自宅のあたりはかなり強い揺れになる色でした。確率と揺れの大きさは別の話なんですね。
想定される読者の声(大阪府内の賃貸マンションに住む方)

近畿以外にお住まいの方へ

活断層の地域評価は、近畿が最初ではありません。地震本部のポイント資料の参考欄と地域評価のページによると、これまでに次の地域が公表されています。

地域公表日評価した活断層30年以内にM6.8以上の地震が発生する確率(ポイント資料の参考欄)
九州地域2013年2月1日2830%〜42%
関東地域2015年4月24日2450%〜60%
中国地域2016年7月1日2450%
四国地域2017年12月19日59%〜15%
近畿地域2026年8月28日4550%〜60%

公表の時期は地域ごとに10年以上離れているため、数字を並べて地域の危険度を比べるのではなく、ご自分の地域の評価ページを開いて中身を確認する入口として使ってください。ポイント資料には、今後は中部、東北、北海道の各地域を対象に地域評価を行い、順次公表していく予定と書かれています。

中部・東北・北海道にお住まいの方は、地域評価の公表を待たなくても、地震本部の「主要活断層帯の長期評価の概要<都道府県別>」で、都道府県ごとに主要活断層帯のランクと確率を確認できます。この一覧は2026年1月1日を算定基準日として1月14日に公表されたもので、8月の近畿の改訂は近畿地域の評価ページ側で確認する必要があります。

ヒント

近畿以外の方も、手順の1(重ねるハザードマップの活断層図)と4(J-SHIS Map)は全国で使えます。地域評価がまだの地域でも、「自宅の近くにどんな断層があり、どう評価されているか」を知ることはできます。

直下の地震に備えて、家庭で優先したいこと

活断層で起きる地震は、揺れが来るまでの猶予が短いという特徴があります。気象庁は、緊急地震速報は解析や伝達に数秒程度かかるため、内陸の浅い場所で地震が発生した場合などには、震源に近い場所への速報が強い揺れの到達に「原理的に間に合わない」ことに注意が必要だと説明しています。地震本部も、現在の地震学では地震の規模や発生日時を正確に予測することはできないとしたうえで、地震は突然発生し甚大な被害を及ぼす可能性があるため、日頃から耐震補強や家具の固定などの対策を講じておくことが重要だと書いています。

つまり直下の地震への備えは、「揺れてから動く」ではなく「揺れた瞬間にすでに安全な状態をつくっておく」ことが中心になります。家庭で優先したいのは次の3つです。

1. 寝室から家具の固定を始める

東京消防庁が実施した近年の地震被害調査では、負傷者の3〜5割が、屋内での家具類の転倒・落下・移動によって負傷していました。1日のうち無防備な時間が長く、揺れに気づいても動きにくいのが寝ている時間です。まず寝室の家具の配置を見直し、寝ている場所に倒れてくる家具・落ちてくる物をなくすところから始めます。

寝室の安全と家具固定の具体的な手順はこちら

家具の固定と寝室の安全対策|地震のけがを減らす週末1回の作業手順

2. 感震ブレーカーで、地震のあとの電気火災を防ぐ

内閣府は、大きな地震の後には電気に起因した火災が多く発生しているとして、地震時の電気火災を予防できる感震ブレーカーの設置を呼びかけています。揺れの直後は、ブレーカーを落としに行く余裕がないことも考えられます。揺れを感知して自動で電気を止める仕組みは、猶予の短い直下の地震に向いた備えのひとつです。

感震ブレーカーの種類と選び方はこちら

感震ブレーカーと通電火災対策|地震のあとの「電気の火事」を家庭で防ぐ

3. 住まいの耐震性を確かめる

国土交通省は、昭和56年(1981年)以前に建築された建物は、耐震基準が強化される前のいわゆる旧耐震基準で建てられ、耐震性が不十分なものが多く存在するとして、まず耐震診断で建物の耐震性を把握するよう呼びかけています。家具を固定しても、建物そのものが揺れに耐えられなければ守りきれません。建築年を確認し、必要なら自治体の耐震診断の窓口に相談します。なお国土交通省は、同省が直接、個別の住宅・建築物に対する耐震診断や耐震改修を行うことはないとして、悪質なリフォーム工事詐欺にも注意を呼びかけています。

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わが家の耐震性を確かめる|1981年・2000年の基準の違いと、診断・補助制度・費用の目安

メモ

近畿の沿岸部や大阪平野などにお住まいの方は、活断層の地震だけでなく南海トラフ地震への備えも必要です。評価文にも、南海トラフなどの海溝型地震により、紀伊半島沿岸部や大阪平野などの瀬戸内海沿岸の低地部は地震動や津波による被害が生じる可能性があると書かれています。家具固定や耐震化は、どちらの地震にも共通する備えです。

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よくある質問

「近畿で30年以内に50〜60%」は、自分の家が30年以内に大きく揺れる確率ですか
違います。地震本部の評価の50〜60%は、近畿地域の評価対象の活断層のいずれかを震源として、M6.8以上の地震が今後30年以内に発生する確率です。自宅の地点で強い揺れに見舞われる確率を知りたい場合は、防災科学技術研究所のJ-SHIS Mapの「確率論的地震動予測地図」で、自宅の地点の震度の超過確率を確認します。これは海溝型地震も含めた別の指標です。
近くの活断層がZランクなら、備えを後回しにしてもよいですか
後回しにする理由にはなりません。地震本部は、たとえZランクと評価された活断層でも、活断層が存在していること自体が、その地域で大きな地震が発生する可能性を示すと明記しています。1995年兵庫県南部地震の発生直前の確率値は0.02%〜8%、2016年熊本地震はほぼ0%〜0.9%だったことも示されています。
Xランクは確率が分からないだけなので、低いと考えてよいですか
いいえ。Xランクは、過去の地震データが少なく確率の評価が困難なものです。地震本部の長期評価結果一覧では「すぐに地震が起きることが否定できない」と説明されています。低いのではなく、分からないという意味です。
「*」が付いているとどういう意味ですか
地震後経過率が0.7以上の活断層に付く印です。地震後経過率は、最新の活動から評価時点までの経過時間を平均活動間隔で割った値で、平均活動間隔に達すると1.0になります。今回の近畿の評価では、琵琶湖西岸断層帯北部区間や六甲・淡路島断層帯の六甲山地南縁-淡路島東岸区間などがS*ランクとされています。
上町断層帯のランクが下がったのはなぜですか
概要資料によると、上町断層帯の主部区間は、最新活動時期が約2千7百年前以後、11世紀以前に見直され、平均活動間隔も6,400〜8,700年程度とされた結果、S*ランク(2%〜3%)からZランク(ほぼ0%〜0.003%)になりました。前回の活動が以前の想定より新しいと分かったことによる変化で、断層帯全体が同時に活動した場合の地震の規模はM7.7程度と評価されています。新たに加わった沿岸部区間はXランクです。
近畿以外に住んでいます。自分の地域の評価はどこで見られますか
地震本部の「活断層の地域評価」のページで、九州(2013年)、関東(2015年)、中国(2016年)、四国(2017年)、近畿(2026年)の評価を確認できます。中部・東北・北海道は今後順次公表の予定です。それまでは、地震本部の「主要活断層帯の長期評価の概要<都道府県別>」で都道府県ごとの主要活断層帯のランクと確率を確認できます。
重ねるハザードマップで家の近くに活断層の線がなければ安心ですか
安心とは言えません。国土地理院の活断層図は地形調査で作られており、原則として地形に現れていないものは表示していません。公開されている範囲も全国の一部です。地震本部の評価文も、地表にずれの痕跡を残さない伏在断層などを見落としている可能性は否定できないとしています。線の有無にかかわらず、家具固定や耐震性の確認は進めておきたい備えです。

まとめ|確率は「どこまで備えるか」を決める材料にする

2026年8月28日の近畿地域の評価で新しく示されたのは、区域単位で見た「M6.8以上の地震が30年以内に起きる確率」です。全域で50〜60%という数字は、特定の断層や特定の家ではなく、たくさんの活断層が集まる地域全体の見通しを表しています。一方で、断層ごとのランクは新しい調査で上がりも下がりもし、Zランクでも活断層があること自体が大きな地震の可能性を示す、というのが地震本部の立場です。

家庭にとって大事なのは、数字の大小に一喜一憂することではありません。自宅の近くにどんな断層があり、動いたらどのくらい揺れうるのかを一度調べて、「揺れた瞬間に安全な家」に近づけることです。寝室の家具固定、感震ブレーカー、住まいの耐震性の確認。この3つは、評価がどう更新されても変わらない備えです。

活断層の評価をわが家の備えにつなげるチェック

  • 自宅が近畿地域の評価のどの区域(近畿北西部・近畿三角帯・紀伊半島)に入るかを確認した
  • 重ねるハザードマップで活断層図を表示し、自宅の近くの活断層の名前を調べた
  • 近くの活断層のランク(S/A/Z/X)と「*」の有無、想定される地震の規模を確認した
  • 予測震度分布図で、その断層が動いた場合の自宅付近の震度の目安を見た
  • J-SHIS Mapで自宅の地点の地盤増幅率と、30年間に強い揺れに見舞われる確率を見た
  • 近畿以外の場合は、自分の地域の地域評価または都道府県別の一覧を確認した
  • 寝室で、寝ている場所に倒れる家具・落ちる物がない状態にした
  • 感震ブレーカーの設置状況を確認した
  • 住まいの建築年を確認し、1981年以前なら耐震診断の相談先を調べた

調べた内容は、家族が見られる場所に1枚にまとめておくと、次に評価が更新されたときにも見直しやすくなります。

出典・参考

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