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発達障害のある子と家族の防災|感覚過敏や「いつもと違う」に備える、持ち物・伝え方・避難先の決め方

シュン・家族・ペット防災担当
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発達障害のある子と家族の防災|感覚過敏や「いつもと違う」に備える、持ち物・伝え方・避難先の決め方

防災の情報は、どうしても「標準的な家族」を前提に書かれがちです。避難所に行けば落ち着いて過ごせる、配られた食事を食べられる、放送を聞けば動ける。けれど発達障害のある子がいる家庭では、その前提がそのまま当てはまらないことがあります。体育館のざわめきがつらい、いつもと違う予定で不安が強くなる、困っていることを言葉にできない。この記事では、国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センター(以下、DDIS)と内閣府(防災担当)の資料をもとに、こうした家庭が平時にできる準備を5つに分けて整理します。

メモ

発達障害の特性は一人ひとり違います。この記事は診断や医療・療育上の判断を扱うものではなく、家庭の備えの段取りを整理したものです。本人に合う方法は、主治医、療育や学校の先生、相談支援専門員など、ふだん本人をよく知る人と相談して決めてください。避難の判断は、お住まいの自治体が出す最新の情報を優先してください。

この記事の役割|すでに公開している記事との違い

モシモニアには、子育て家庭の防災や避難計画の記事がすでにあります。本記事は「発達障害のある子がいる家庭」に絞り、環境の変化や感覚過敏への家庭での準備を扱います。重なる部分は簡潔にして、それぞれの記事に送ります。

記事扱っていること本記事との関係
子育て家庭の防災乳幼児の備えを月齢別に整理本記事は月齢ではなく、子どもの特性を軸にする
個別避難計画の作り方自力で避難しにくい人のための市町村の制度本記事は移動の支援ではなく、環境の変化や感覚への備え
災害後の子どもの心のケア被災後の反応と接し方本記事は被災前の準備が中心
避難所での過ごし方、分散避難の決め方避難所生活の基本、避難先の選択肢本記事は特性のある子がいる家庭の避難先の比べ方に絞る

災害時に起きやすい困りごと|DDISの資料から

DDISは東日本大震災直後の平成23年3月に、被災地で発達障害のある人に対応する人に向けた記事「被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ」を掲載し、のちにリーフレットにまとめています。そこに挙がっている困りごとを、家庭の準備に置き換えると次のようになります。

DDISの資料が挙げる困りごと災害時に起きやすい場面家庭で平時にできる準備
見た目では障害があるように見えないことがある周囲から特性を理解されにくいヘルプマークやヘルプカード、もしもシートで伝える
変化が苦手な場合が多く、不安から強い抵抗を示すことがある急な移動、知らない場所、いつもと違うルール避難所の下見、避難の流れを写真や絵で予習する
感覚刺激に過敏、または鈍感なことがある大勢の人がいる環境が苦痛で避難所にいられない。けがをしても平気な顔をしているイヤーマフや耳せん、サングラスの用意。痛みや体調の伝え方の練習
話しことばの聞き取りが苦手、困っていることを伝えられないことがある一斉放送やアナウンスが分からない絵や文字で伝えるシートを持ち出し袋に入れる
見通しの立たないことに強い不安を示す学校の休み、停電、テレビ番組の変更時間を過ごせるもの、当面の日課を用意する
危険な行為がわからないことがある地盤のゆるい危ない場所に行ってしまう、医療機器を触ってしまう「行ってはいけない」を目に見える形で伝える方法を決めておく

困りごとの内容は、発達障害情報・支援センター「被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ(その1〜その3)」(平成23年3月)と、その内容をまとめたリーフレット版の記載によります。右列の「家庭で平時にできる準備」は、それらをもとに編集部が家庭向けに整理したものです。

同じリーフレットは、子どもは他人に起こったことでも自分のことのように感じることがあり、発達障害がある場合には想定以上の恐怖体験になることもあるとして、災害のテレビ映像などを見せずに別のことで時間を過ごせる工夫を求めています。災害が起きたあとの家庭の過ごし方にもつながる大事な視点です。

準備1|安心グッズを持ち出し袋に入れる

DDISが2026年7月に発行した当事者向けパンフレット「もしものときのために、そなえておきたいこと」は、発達障害のある本人や家族が少しずつ準備を始めるための資料です。主な対象は小学校5年生くらいから大人までで、家族や支援者と一緒に読むことが想定されています。

このパンフレットは、避難所で起こりうることとして、周りの音がうるさいと感じる、電気がまぶしいと感じる、においが気になる、知らない人がたくさんいる、いつもと違うルールやスケジュールがある、アナウンスや説明が分かりにくい、出された食べ物が食べられない、を挙げています。そのうえで、自分のために持ち出し袋に入れておくものとして次を例示しています。

パンフレットの例家庭での具体化のヒント
いつも飲んでいる薬(少なくとも5日分)主治医に災害時の備えとして相談し、薬の名前と量をメモしておく
お薬手帳のコピースマートフォンでも写真を撮っておく
食べられる食べ物(好きなお菓子やふりかけなど)「いつものおやつ」を数日分。ローリングストックで入れ替える
気持ちが落ち着くもの(本、ゲーム、音楽プレーヤーなど)好きなおもちゃ、図鑑、パズル。充電が要らないものも1つ入れる
ヘッドフォンや耳せん、マスク、サングラス聴覚過敏ならイヤーマフ、光がつらければ帽子やサングラス
もしもシート、じぶんの思いをつたえるシート準備2、準備3で作ったものを袋に入れる

避難所で起こりうることと、持ち出し袋に入れておくものの例は、発達障害情報・支援センター「もしものときのために、そなえておきたいこと」(2026年7月発行、監修:内山登紀夫氏)の記載によります。右列のヒントは編集部による補足です。

食べられるものが限られている子の場合、避難所で配られる食事を食べられないことは十分に起こりえます。「好きなお菓子やふりかけ」がパンフレットの例に入っているのは、そのためです。安心グッズは、家族の荷物とは別に子ども専用の小さな袋にまとめると、避難先で「これは自分のもの」と分かりやすくなります。

ヒント

安心グッズは、非常時に初めて渡すより、ふだんから使い慣れているものを選ぶほうが効きます。イヤーマフなら、スーパーや花火大会など、ざわざわした場所で試しておく。新しく買ったものは、袋に入れる前に家で何度か使ってみてください。

パンフレットには、外出中に災害にあって家に帰れなくなった経験のある当事者の声として、外に出るときにお財布など大切なもの、2〜3日分の薬、ヘルプマークを必ず持ち歩いているというメッセージも載っています。学校や習い事に持っていくかばんにも、最小限のセットを入れておくと安心です。

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準備2|もしもシート(サポートブック)を作る

災害のときは、家族もあわてます。本人が自分のことを説明できない場面もあります。そこで役に立つのが、本人の特性や接し方を1枚にまとめたシートです。一般にサポートブックと呼ばれるものですが、DDISのパンフレットには「もしもの時のサポートシート(もしもシート)」がひな形として付いていて、パンフレットのページからWord形式でもダウンロードできます。

もしもシートの主な記入項目は次のとおりです。

  • 名前、生年月日、診断名(あれば)、住所
  • 緊急連絡先(2カ所)、災害用伝言ダイヤルの登録番号
  • わたしに必要な支援・サポート(記入例は「紙に書いて教えてください」「ひとつずつ話してください」「大きな声で話さないでください」)
  • かかりつけ医、既往歴、飲んでいる薬、アレルギー
  • 偏食の有無、睡眠の問題とふだんの睡眠リズム
  • 興味のあること、好きなこと・モノ、苦手なこと
  1. 1

    本人をよく知る人と一緒に書く

    パンフレットは、もしもシートを家族や、ふだん関わっている支援機関の人など、本人をよく知っている人と一緒に作るよう勧めています。療育や学校の先生に「落ち着く方法」を聞くと、家族が気づいていない工夫が見つかることがあります。
  2. 2

    「こうしてほしい」を具体的に書く

    「音に敏感です」だけでなく、「大きな音がすると耳をふさいで動けなくなります。静かな場所に移れるとしばらくで落ち着きます」のように、起きることと助かる対応をセットで書きます。
  3. 3

    水にぬれない形で持ち歩く

    パンフレットは、ラミネート加工するかチャック付きのビニール袋に入れていつも持ち歩くこと、スマートフォンで写真を撮っておくことを勧めています。
  4. 4

    年に1回見直す

    書いた内容が変わっていないか、1年に1回見直すことも示されています。進級や誕生日など、決まった時期に合わせると忘れにくくなります。

もしもシートの記入項目、作り方、持ち歩き方、見直しの頻度は、発達障害情報・支援センター「もしものときのために、そなえておきたいこと」とそのテキスト版の記載によります。

DDISの支援者向けの記事は、避難所などで対応する人に対して、発達障害のある人への対応にはコツが必要なので、家族など本人の状態をよく分かっている人が近くにいる場合は必ずかかわり方を確認してほしいと呼びかけています。もしもシートは、その「かかわり方」を家族が一瞬で手渡せる道具です。家族が子どもから離れてしまう場面を想定して、コピーを複数用意しておくと安心です。

準備3|伝え方を用意する|周りの人へ、本人へ

周りの人に伝える|ヘルプマークとヘルプカード

ヘルプマークは東京都が作成したマークで、東京都福祉局は、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方が、周囲に配慮を必要としていることを知らせ、援助を得やすくするためのものと説明しています。都内の配布場所では、対象の方またはその代理人(家族や支援者など)の口頭による申し出で、1人1つ配布するとされています。一部の区市町村でも独自に作成・配布しているため、配布場所はお住まいの自治体のホームページで確認してください。

ヘルプカードは、緊急連絡先や必要な支援内容などを書いておき、災害時や日常生活の中で困ったときに周囲へ理解や支援を求めるためのものです。東京都福祉局は、区市町村でヘルプカードのほかSOSカードや防災手帳など地域の実情に応じたさまざまなカードや手帳が作られていること、東京都以外の全道府県でヘルプカードが導入されていること(令和6年10月1日時点)、特に知的障害者など一見して障害が分からない方が支援を求める際に有効であることを案内しています。

ヘルプマークとヘルプカードの説明は、東京都福祉局「ヘルプマーク」「ヘルプカード」の記載によります。配布方法や様式は自治体ごとに異なります。

一般社団法人日本自閉症協会も、災害時に向けた防災・支援ハンドブック(本人・家族用、支援者用)とヘルプカードを公開しています。自治体のカードと見比べて、本人が持ちやすい形を選んでください。

ヒント

マークやカードは、持っているだけでは伝わりにくいこともあります。子どもが自分で見せられる年齢なら、「困ったらこれを見せる」を家で練習しておきます。見せる相手の例(駅員さん、先生、避難所の受付の人)も一緒に決めておくと動きやすくなります。

本人が伝える|じぶんの思いをつたえるシート

DDISのパンフレットには、もう1つ「じぶんの思いをつたえるシート」が付いています。からだの具合が悪い(あたまいたい、おなかいたい、くるしい、けがをした、など)、行きたい場所(トイレ、いえ、びょういん、ひなんじょ、など)、ほしいもの・したいこと(のみもの、たべもの、くすり、もうふ、充電したい、やすみたい、ねたい、そうだんしたい、など)を、絵を指さしたり言葉にしたりして伝えるためのシートです。

DDISのリーフレットは、感覚が鈍感な場合には治療が必要なのに平気な顔をしていることもあるとしています。痛みや体調不良を本人が伝えにくい子の場合、このシートの「からだのぐあい」の部分を、ふだんの通院や体調を崩したときに一緒に使っておくと、非常時にも使いやすくなります。

本人に伝える|見通しを「目に見える形」で

DDISのリーフレットは、避難所などで対応する人に向けて、してほしいことを具体的に穏やかな声で伝えること、予定の変更は「○○(予定)はありません。□□をします。」のように具体的に伝えること、文字や絵、実物を使って目に見える形で説明することを示しています。内閣府の取組指針も、避難所での情報伝達について、発達障害児者などには分かりやすい短い言葉、文字、絵や写真の提示などで工夫するよう市町村に求めています。

これは家族にもそのまま使える考え方です。平時のうちに、次のようなものを用意しておくと、避難するときに本人へ見通しを伝えやすくなります。

  • 家から避難所までの道と、避難所の入口や中の様子を撮った写真
  • 「地震のとき」「お家で過ごすとき」「避難所に行くとき」の流れを絵や写真で並べたカード
  • 停電しても使える、紙のスケジュール表とペン

対応の仕方の例は、発達障害情報・支援センター「被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ」リーフレット版、避難所での情報伝達の工夫は、内閣府(防災担当)「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定)の記載によります。家庭で用意するものの例は編集部による整理です。

家族でできる防災訓練のやり方

家庭でできる防災訓練のやり方|15分の「4つの練習」と年2回で定着させる回し方

準備4|避難先を比べて、決めておく

避難所を下見する

DDISのパンフレットは、災害のときに初めての場所に行くのはとても不安なので、前もって一度、家の人や手伝ってくれる人と一緒に避難所を見に行くよう勧めています。ハザードマップで最寄りの避難所と、にげる道を確認しておくことにも触れています。

  1. 1

    ハザードマップで避難所と道を確認する

    自宅の災害リスクと、最寄りの指定避難所を確認します。浸水や土砂災害のリスクによって、使える避難所が変わることがあります。
  2. 2

    散歩のついでに歩いてみる

    休日の散歩のコースに避難所を入れます。建物の外観、入口、近くのトイレを写真に撮っておくと、準備3の「見通しカード」に使えます。
  3. 3

    地域の防災訓練に参加してみる

    パンフレットは、地域の防災訓練や避難訓練に積極的に参加することも勧めています。体育館の中に入れる機会があれば、音の響き方や明るさを本人と一緒に確かめておきます。
  4. 4

    「つらかったらどこへ行くか」を決めておく

    避難所の中で過ごせないときに移る先の候補を、家族で話しておきます。次の比較表が材料になります。

避難先の選択肢を並べて比べる

内閣府の取組指針は、市町村に対して、一般の避難所の中でも必要な場合に障害者などが要配慮者スペースや個室を利用できるよう、あらかじめ考慮しておくことを求めています。また、避難所は在宅や親戚・知人宅で避難生活を送る人にとっても、情報や必要な物資を受け取る場所になるべきだとしています。避難所に「泊まる」かどうかと、避難所と「つながる」かどうかは、分けて考えてよいということです。

避難先特性のある子にとっての利点気をつけたいこと事前に確認すること
在宅避難慣れた環境で過ごせる自宅が安全であることが前提。停電・断水への備えが要るハザードマップで自宅のリスク、家具の固定、備蓄
親戚・知人宅(縁故避難)顔見知りの人と過ごせる移動の距離と手段。先方の負担受け入れの可否を平時に相談しておく
指定一般避難所情報や物資が集まる音・光・人の多さ。いつもと違うルール要配慮者スペースや個室の考え方を市町村に聞く
指定福祉避難所要配慮者向けの環境や支援が想定されている誰でも最初から直接行ける場所とは限らない受入対象者と、直接避難の可否を市町村に確認
車中泊周りの刺激を減らせる健康面の注意が多い。安全な駐車場所が要る車中泊用の持ち物、情報や物資を受け取れる場所

一般の避難所での要配慮者スペース・個室、在宅避難者等への支援の考え方は、内閣府(防災担当)「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定)の記載によります。表の整理は編集部によるものです。

在宅避難について、DDISのパンフレットは、家が安全なら家で過ごすことができるとして、水や食べ物を多めに買っておくこと(5日分が目安)、薬を多めにもらっておくこと、懐中電灯や電池、簡易トイレの準備、家具の固定、家族との連絡方法の確認を挙げています。一方で、家で過ごせなくなったときは避難所に避難するよう書いています。慣れた家で過ごせるよう備えることと、家を出る条件を決めておくことは、セットで考えてください。

在宅避難の進め方と条件

在宅避難の進め方|自宅で避難生活を続けるための準備と判断の基準

福祉避難所は「事前の調整」がカギ

福祉避難所について、内閣府(防災担当)は令和3年5月に「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」を改定しています。改定のポイントとして示されているのは、指定福祉避難所を指定一般避難所と分けて指定・公示すること、受入対象者を特定して公示できる制度を設けたこと、個別避難計画などを通じて事前に受入対象者を調整し、要配慮者が日ごろ利用している施設へ直接避難できるよう促すことです。

ガイドラインは、知的障害者や精神障害者(発達障害者を含む)の中には、障害特性により急激な環境の変化に対応することが難しい場合があり、一般の避難所への避難をためらうことがあるという指摘に触れ、平素から利用し環境に慣れている施設へ直接に避難したいとの声があるとしています。受入対象者の例としては、特別支援学校が障害児とその家族を受入対象者として特定することなどが挙げられています。内閣府は令和6年11月にも、特別支援学校を障害のある子どものための福祉避難所に指定する取組を進めるよう都道府県に依頼しています。

また、ガイドラインは、パニックなどの際に落ち着くためのスペースの確保に触れています。カームダウンスペースとは、主に自閉症を含む発達障害者や知的障害者が、急激な環境の変化に対応できずパニックが起きてしまった際に落ち着くために使う、人的・物理的な刺激の少ない空間のことで、パーティションで区切った空間やボックス型の空間の活用も有効だとされています。

注意

福祉避難所は、どこでも誰でも最初から直接行ける場所とは限りません。同じガイドラインは、直接の避難を想定していない指定福祉避難所では、支援者の到着が間に合わないなどで災害発生後の初日に開設が間に合わない場合もあること、希望する全員を直接避難させられない場合には、まず一般の避難所の要配慮者スペースに避難し、その後に移送する方法も検討することを示しています。「どこに、いつから行けるのか」は、必ずお住まいの市町村に確認してください。

指定福祉避難所の公示、受入対象者の特定、直接避難、カームダウンスペース、初日に開設が間に合わない場合の記述は、内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(令和3年5月改定)とその「主な改定のポイント」によります。特別支援学校の福祉避難所指定の推進は、内閣府(防災担当)の令和6年11月28日付事務連絡によります。

分散避難・縁故避難の決め方

避難先は避難所だけじゃない|分散避難・縁故避難の決め方と、親戚・知人宅に頼るときの準備

車中泊を選ぶなら

DDISのパンフレットは、発達障害の特性などでどうしても避難所で過ごせないことがあり、そのときに車中泊をすることがあるとしています。用意したほうがよいものとして毛布や寝袋、クッション、外から車の中を見えにくくするサンシェード、簡易トイレ、車用の充電器を挙げ、車は必ず安全な場所にとめること、エンジンをかけっぱなしにしないこと、30分から1時間に1回くらい立ったり足を動かしたりして体をほぐすことを注意点にしています。あわせて、物資やお知らせを受け取れる場所、トイレやお風呂、電気が使える場所の情報を集めるよう書いています。

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準備5|市町村の窓口・支援機関とつながる

DDISのパンフレットは、「つながっておくと、安心です」として、ふだんから近所の人にあいさつをしたり地域の行事に参加したりして顔見知りになっておくこと、市や町の窓口に相談することを勧めています。市や町の窓口では発達障害のある人や家族からの相談を受けていること、一人で避難することが難しい人を「避難行動要支援者」といい、市や町に届け出ると災害のときに助けてもらいやすくなることも書かれています。

相談先の候補は次のとおりです。

  • 市区町村の障害福祉担当課:避難行動要支援者名簿や個別避難計画、福祉避難所の受入対象者について
  • 発達障害者支援センター:DDISによると全国にあり、発達障害のある方やその家族の支援を行っていて、「発達障害かもしれない」と思っている人や家族も相談できる。DDISのウェブサイトで所在地を探せる
  • 通っている療育施設、特別支援学校や学校、相談支援専門員:災害時の連絡方法、施設が福祉避難所になっているかどうか

地域とのつながり、市や町の窓口、避難行動要支援者、発達障害者支援センターの説明は、発達障害情報・支援センター「もしものときのために、そなえておきたいこと」の記載によります。避難行動要支援者名簿と個別避難計画の制度は、内閣府 防災情報のページ「避難行動要支援者の避難行動支援に関すること」で公開されています。

窓口で何を聞けばよいか迷ったら、「発達障害のある子がいて、一般の避難所で過ごせるか不安です。うちの地域では、避難所の中の配慮や福祉避難所について、どう考えればよいですか」と、そのまま伝えてみてください。個別避難計画の対象になるかどうかも、ここで一緒に確認できます。

個別避難計画の制度と相談の進め方

個別避難計画の作り方|ひとりで避難が難しい家族のために、家族の側から動かす手順

災害が起きたあと、家族が意識したいこと

準備の記事ですが、DDISの資料には、災害後の家庭での過ごし方についても家族に役立つ記述があります。事前に知っておくと、当日の迷いが減ります。

  • 学校や職場の休み、停電、テレビ番組の変更など見通しが立たない状況でも、安定した生活リズムで過ごせるように、当面の新しい日課や時間を過ごせるものを用意する
  • 災害のテレビ映像などは子どもに見せず、別のことで時間を過ごせるよう工夫する
  • 災害前は一人でできていたことをしなくなることがある。リーフレットは、発達障害がある場合でも基本的には子どもの甘えを受け入れ、叱らずに穏やかな言葉かけで少しずつ安心できるようにすることが大切だとしている
  • けがや体調不良に本人が気づいていないことがあるため、本人の訴えだけでなく体の状態をひと通りよく見る

災害後の家庭での対応は、発達障害情報・支援センター「被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ」とそのリーフレット版の記載によります。

家族の負担にも目を向けてください。DDISのリーフレットは、避難所の中で理解者が得られない場合などに家族のストレスが高まることに触れ、家族を支えることの大切さを示しています。家族だけで抱え込まず、準備5でつながった窓口や支援者に早めに声をかけることも、備えの一部です。

災害後の子どもの心のケア

災害のあとの子どもの心のケア|出やすい反応と、家庭での寄り添い方

今週からできる、発達障害のある子と家族の防災チェック

  • 子どもが「落ち着く方法」と「苦手なこと」を3つずつ書き出した
  • イヤーマフや耳せん、サングラスなど、感覚を守るものを持ち出し袋に入れた
  • いつものおやつや食べられるものを、数日分入れて入れ替えている
  • 充電の要らない安心グッズ(本、おもちゃ、パズルなど)を1つ入れた
  • DDISのもしもシートをダウンロードし、家族や支援者と一緒に書いた
  • もしもシートをチャック付き袋に入れ、スマートフォンでも写真を撮った
  • じぶんの思いをつたえるシートを印刷し、ふだんの通院などで使ってみた
  • ヘルプマークやヘルプカードの配布場所を自治体のホームページで確認した
  • ハザードマップで自宅のリスクと最寄りの避難所を確認した
  • 避難所まで子どもと一緒に歩き、入口などの写真を撮った
  • 在宅避難・親戚宅・避難所・福祉避難所・車中泊を家族で比べた
  • 市区町村の窓口に、避難所での配慮や福祉避難所の受入対象者について聞いた
  • 発達障害者支援センターや療育先に、災害時の相談先を確認した
  • もしもシートを見直す時期(進級や誕生日など)を決めた

よくある質問

発達障害の診断がなくても、この準備は必要ですか
診断の有無にかかわらず、音や光に敏感、予定の変更が苦手といった様子がある子どもの家庭では役に立つ準備です。DDISの当事者向けパンフレットも、主な対象として発達障害のある人だけでなく、発達障害があるかもしれないと言われたことのある人や、その家族・支援者を挙げています。発達障害者支援センターは、発達障害かもしれないと思っている人やその家族も相談できるとされています。
もしもシートとサポートブックは何が違いますか
どちらも本人の特性や必要な配慮を周りの人に伝えるためのものです。サポートブックは一般的な呼び方で、形式は家庭や地域によってさまざまです。DDISのもしもシートは災害時を想定したひな形で、緊急連絡先、必要な支援、薬やアレルギー、食事や睡眠、好きなことや苦手なことを1つにまとめられます。すでにサポートブックがある家庭は、災害時に必要な項目が入っているかを見比べて補えば十分です。
ヘルプマークはどこでもらえますか
配布場所は地域によって異なります。東京都福祉局は、都内在住の方向けに都営地下鉄の駅や都立病院などでの配布を案内しており、対象の方またはその代理人(家族や支援者など)の口頭による申し出で1人1つ配布するとしています。一部の区市町村でも独自に作成・配布しているため、お住まいの自治体のホームページで確認してください。
避難所に行かず、最初から福祉避難所に行けますか
地域と事前の調整によります。内閣府の福祉避難所の確保・運営ガイドライン(令和3年5月改定)は、個別避難計画などを通じて事前に受入対象者を調整し、直接の避難を促すことを示しています。一方で、直接の避難を想定していない指定福祉避難所では、災害発生後の初日に開設が間に合わない場合もあるとしています。お住まいの市町村に、受入対象者と直接避難の可否を確認してください。
避難所で過ごすのが難しそうなら、在宅避難のほうがよいですか
自宅が安全であれば、慣れた環境で過ごせる在宅避難は有力な選択肢です。ただし、浸水や土砂災害のおそれがある場所では、自治体の避難情報に従って安全な場所へ移ることが優先です。DDISのパンフレットも、家で過ごすことができなくなったときは避難所へ避難するよう書いています。内閣府の取組指針は、避難所が在宅避難者にとっても情報や物資を受け取る場所になるべきだとしているので、在宅でも近くの避難所とつながっておくと安心です。
子どもに災害の話をすると怖がってしまいます
怖がらせる必要はありません。「地震のときはこうする」「お家で過ごすときはこれを使う」のように、手順と安心できる道具をセットで伝えるのが1つの方法です。避難所の下見も、散歩の途中に立ち寄る程度で十分です。DDISのリーフレットは、災害時のテレビ映像などを子どもに見せず、別のことで時間を過ごせる工夫を求めています。伝え方に迷ったら、療育や学校の先生など本人をよく知る人に相談してください。

まとめ|「うちの子の場合」を1枚にするところから

発達障害のある子がいる家庭の防災は、特別な道具をそろえることより、「うちの子の場合はこうすると落ち着く」を家族の外に伝えられる形にしておくことが中心です。安心グッズを袋に入れる。もしもシートを書く。ヘルプマークやカードで伝える準備をする。避難先を比べて、市町村の窓口に聞いておく。どれも、ふだんの子育ての延長でできることです。

今週できることを1つだけ選ぶなら、子どもが落ち着く方法と苦手なことを3つずつ書き出してみてください。それがもしもシートの中身になり、持ち出し袋に入れるものの手がかりになり、窓口で相談するときの言葉にもなります。完璧なシートでなくて構いません。書いたものがあれば、家族以外の人も子どもを助けやすくなります。

子育て家庭の防災の全体像

子どもがいる家庭の防災|乳幼児の備えリストと、月齢で変わる見直しのコツ

出典・参考

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