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家が住めなくなったら住まいはどうなる|令和8年熊本地震の仮設団地完成から知る「応急修理」と「建設型・賃貸型応急住宅」のしくみ

ツムギ・住まいの防災・ライフライン担当
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家が住めなくなったら住まいはどうなる|令和8年熊本地震の仮設団地完成から知る「応急修理」と「建設型・賃貸型応急住宅」のしくみ

2026年7月28日の熊本県熊本地方の地震(令和8年熊本地震)から、まもなく2か月になります。熊本県内では建設型応急住宅(いわゆる仮設住宅)の団地が順に完成し、入居者への鍵の引き渡しも始まりました。いまも避難先や親族の家、傷んだ自宅で暮らしている方が多くいらっしゃいます。被災されたみなさまに心からお見舞い申し上げます。

家が傷んだとき、「直して住み続けるのか」「いったん別の場所で暮らすのか」。この判断には、災害救助法にもとづく住まいの支援がいくつも関わります。ただ、名前が似ていて、組み合わせに決まりがあるため、被災後の慌ただしいなかで初めて知ると迷いやすいところです。この記事では、熊本で進んでいることを事実だけ短く確認したうえで、制度の全体像と迷いやすい分岐点を内閣府・熊本県・国土交通省の資料で整理し、平時に家族で話しておけることをまとめます。

本記事の制度の説明は、内閣府政策統括官(防災担当)「災害救助法の概要」(令和8年6月)、内閣府(防災担当)のリーフレット「災害時の『住まい』と『生活』の再建に向けて」(令和8年6月作成)、熊本県の各制度ページ・実施要領・Q&A、国土交通省「令和8年熊本地震に関する被災者の住まいの確保」によります。災害救助法による救助は都道府県等が実施するもので、対象・期間・金額は災害ごとの特別基準や実施要領で変わることがあります。実際の手続きは、お住まいの自治体の最新の案内を優先してください。

熊本でいま進んでいること|発災から約1か月で最初の仮設団地が完成、9月22日時点で4団地

熊本県の「建設型応急住宅の進捗状況」(令和8年9月22日時点)によると、8月3日に宇城市と氷川町で最初の建設工事に着手して以降、八代市・宇土市・美里町・甲佐町などで順に着工が続いています。完成した団地は次のとおりです。

日付熊本県が公表した内容
2026年8月3日宇城市・氷川町で最初の建設工事に着手
2026年8月29日氷川町吉本仮設団地が完成
2026年9月5日氷川町吉本仮設団地で入居者への鍵引渡し式
2026年9月8日氷川町鹿島仮設団地が完成
2026年9月18日氷川町で最初の自宅敷地内への建設型応急住宅の設置工事に着手
2026年9月20日宇城市当尾仮設団地が完成
2026年9月22日氷川町宮原防災公園仮設団地が完成

NHKは9月23日、宇城市内で初めての仮設住宅が完成し、入居する人たちに鍵が引き渡されたと報じました。同じ報道では、宇城市内で半壊以上の被害を受けた住宅が3200戸を超えているとも伝えています。

熊本県は、住まいの支援制度をまとめたページ(9月10日更新)で、住まいを失った方や半壊以上で一時的な住まいを探している方に向けて「公的賃貸住宅への一時入居」「市町村営住宅への一時入居」「県外の公営住宅、UR賃貸住宅への一時入居」「応急仮設住宅への一時入居」を、自宅を修理して住み続けたい方に向けて「被害の拡大を防ぐための緊急の修理」「被災した住宅の応急修理」を並べて案内しています。この並べ方が、そのまま被災後の住まいの選択肢の全体像になっています。

団地の着工・完成・鍵引渡しの日付は熊本県「『令和8年熊本地震』による建設型応急住宅の進捗状況について(令和8年9月22日時点)」、自宅敷地内への設置は熊本県の令和8年9月18日付報道資料、宇城市の状況はNHKの2026年9月23日の報道によります。入居に関する問い合わせは各市町村の窓口で受け付けています。

住まいの支援の全体像|「直して住む」か「いったん離れて住む」か

内閣府の「災害救助法の概要」には、被災後の恒久的な住宅確保までの流れを示した図があります。被災直後は避難所や親戚・知人宅、公営住宅等への一時的な入居で過ごし、数週間から数か月の間に「住宅の応急修理」「既存の公営住宅等」「賃貸型応急住宅」「建設型応急住宅」のいずれかへ進み、数か月から数年かけて、元の家への継続入居、持ち家の再建、民間賃貸住宅や災害公営住宅への入居といった恒久的な住まいへ移っていく、という流れです。

主な制度を、内閣府の一般基準(令和8年6月時点)で並べると次のとおりです。

制度目的主な対象期間・上限の一般基準
住家の被害の拡大を防止するための緊急の修理ブルーシートの展張などで雨風の浸入を防ぐ準半壊以上(相当)の損傷を受け、放置すると被害が広がるおそれがある住家1世帯あたり56,400円以内、災害発生の日から10日以内に完了
住宅の応急修理(日常生活に必要な最小限度の部分の修理)元の家に住み続けられるよう、市町村が必要最小限の部分を修理する大規模半壊の世帯、または中規模半壊・半壊・準半壊で自らの資力では修理できない世帯半壊以上は1世帯あたり757,000円以内、準半壊は367,000円以内。災害発生の日から3か月以内に完了(国の災害対策本部が設置された場合は6か月以内)
建設型応急住宅プレハブや木造などで建てた住宅を提供する住家が全壊・全焼・流失し、自らの資力では住宅を確保できない世帯など災害発生の日から20日以内に着工、完成の日から最長2年
賃貸型応急住宅(みなし仮設)民間賃貸住宅を自治体が借り上げて提供する同上災害発生の日から速やかに提供、最長2年
公営住宅等への一時入居公営住宅の空き住戸などを当面の住まいとして提供する自治体ごとに定める自治体ごとに定める

メモ

表の期間や上限額は内閣府が示す「一般基準」です。災害の規模によっては都道府県が国と協議して期間を延ばすなどの特別基準を設けることがあり、令和8年熊本地震でも、熊本県の緊急の修理の実施要領では救助期間を「災害発生の日から3カ月以内」としています。なお、応急修理の限度額は特別基準の設定ができない項目とされています。実際の期間は、被災した自治体の案内で確認してください。

制度の目的・対象・一般基準は内閣府政策統括官(防災担当)「災害救助法の概要」(令和8年6月)、熊本県の緊急の修理の期間は熊本県「令和8年熊本地震における住宅の応急修理『住宅の被害の拡大を防止するための緊急の修理』実施要領」によります。

直して住む1|被害の拡大を防ぐ緊急の修理

屋根・外壁・建具(ドアや窓)が傷んで雨漏りなどのおそれがあるとき、ブルーシートの展張やベニヤ板での簡易補修などを自治体の救助として受けられる制度です。内閣府のリーフレットでは、申込時に自治体職員が「準半壊」以上に相当する被害であることを確認するため、損傷箇所の写真を示すよう案内しています。

特徴は、次の雨までに急いで行う必要があるため、罹災証明書のための被害認定調査の結果を待たず、現場の目視や被災者が持参した写真で判断する運用になっている点です。修理業者に頼む方法のほか、自治体の窓口でブルーシート・ロープ・土のう袋などの資材を受け取り、自分やボランティアで施工する方法もあります。

注意

屋根の上の作業は転落の危険が大きい作業です。内閣府のリーフレットは、1人での作業を避け、ヘルメットや墜落制止用器具を着けて、高所作業の経験者と2人以上で行うよう呼びかけています。慣れていない場合は無理をせず、自治体の窓口に相談してください。

直して住む2|住宅の応急修理

居室・炊事場・便所など、日常生活に欠かせない部分を必要最小限だけ修理し、元の家に住み続けられるようにする制度です。被災者にお金を渡す制度ではなく、市町村が修理業者に依頼し、修理費を市町村が業者に直接支払う「現物給付」の仕組みです。限度額を超えた部分は自己負担になります。

内閣府のリーフレットは、修理の対象部位として、次の順に緊急性の高い部位から優先するよう案内しています。

  1. 屋根、柱、床、外壁、基礎など
  2. ドア、窓などの開口部
  3. 上下水道、電気、ガスなどの配管、配線
  4. 便器、浴槽などの衛生設備

熊本県の案内では、内装は原則として対象外、家電製品は対象外とされています。また、全壊の家は原則として対象外ですが、修理すれば住めるようになる場合は対象になり得るとされています。借家は原則として所有者が修理するものですが、所有者が修理できず、居住者の資力でも修理できない場合には、所有者の同意を得て対象になる場合があります。ただし熊本県のチラシでは、所有者に資力がないかどうかを所得証明書などで厳格に確認するとされ、所有者が法人の場合は資力がないとは考えにくいため対象にならないとされています。内閣府の「災害救助法の概要」も、会社の寮や社宅、公営住宅などは所有者が修理すべきもので対象にならないとしています。

注意

熊本県のチラシは「修理業者に代金を支払ってしまうとこの制度は利用できません」と大きく注意を促しています。応急修理を使うかもしれないときは、業者と契約・支払いをする前に、市町村の窓口に相談してください。

熊本県の案内では、申込時に次の書類を出すことになっています。罹災証明書と「修理前の被害状況が分かる写真」が含まれている点に注目してください。

  • 住宅の応急修理申込書
  • 住宅の被害状況に関する申出書
  • 罹災証明書
  • 修理前の被害状況が分かる写真(スマホでも可)
  • 修理見積書
  • 資力に関する申出書
  • 「住宅の応急修理」申込チェックシート

応急修理の仕組み・対象部位・限度額は内閣府「災害救助法の概要」(令和8年6月)とリーフレット「災害時の『住まい』と『生活』の再建に向けて」、熊本県での対象者・提出書類・注意事項は熊本県の案内チラシと実施要領によります。

いったん離れて住む1|建設型応急住宅

プレハブ、木造、ムービングハウス、トレーラーハウスなどで建てた住宅を提供するものです。内閣府の一般基準では、着工は災害発生の日から20日以内、供与期間は完成の日から最長2年です。令和8年熊本地震では、氷川町・宇城市など被災した市町村の中に仮設団地としてまとめて建てられています。一方で、建設に時間がかかるため、完成までは避難所や親族宅などで待つことになります。熊本では、最初の着工(8月3日)から最初の団地の完成(8月29日)まで、およそ4週間でした。

令和8年熊本地震では、農業・畜産業などの生業やその他の事情で自宅の敷地内に住み続ける必要がある方に向けて、自宅敷地内に建設型応急住宅を設置する取り組みも始まっています。熊本県の案内では、住家が全壊した方や、半壊以上で住宅として再利用できず解体を行う方などが対象で、敷地が接する道路の幅員4m以上、敷地の間口おおむね6m以上といった設置条件があります。設置・撤去費は公費で、光熱水費などは入居者の負担、入居期間は原則として入居日から2年以内です。

いったん離れて住む2|賃貸型応急住宅(みなし仮設)

民間の賃貸住宅を自治体が借り上げて提供するものです。内閣府の「災害救助法の概要」は、避難所で生活している被災者に速やかに応急仮設住宅へ移ってもらう観点から民間賃貸住宅を提供するものだと説明しています。既存の住宅を使うため建設を待たずに入居を進められる一方、家賃の上限などの条件に合う物件が、希望する地域で見つかるとは限りません。熊本県のQ&Aは、被災者それぞれの事情に適した物件を選んでもらうため、被災者自身が物件を探して申し込む仕組みだと説明しています。内閣府のリーフレットは、現金を給付する制度ではなく、被災者・自治体・物件所有者の三者で賃貸借契約を結んでから入居する制度であること、世帯人数に応じた家賃の上限があり、上限を超えた物件は対象にならないことを注意点として挙げています。

熊本県の賃貸型応急住宅の例を見ると、制度の具体的なイメージがつかみやすくなります。

項目熊本県の案内(令和8年熊本地震・熊本市を除く)
主な対象住宅が全壊・全焼・流失した方、半壊以上でも住宅として再利用できずやむを得ず解体する方、長期にわたり自宅に住めないと市町村長が認める方など(ほかに居住できる住宅がなく、自らの資力で住宅を確保できないことも要件)
家賃の上限(1か月)単身5.5万円、2人6.5万円、3〜4人9.5万円、5人以上13万円(超える物件は対象外で、超過分を自己負担して入ることも不可)
物件の条件貸主の同意、不動産仲介業者のあっせん、原則として耐震性が確認されていること
入居期間入居日から2年以内
県の負担家賃のほか、所定の範囲で退去修繕負担金(敷金)・礼金等や損害保険料
物件探し被災者自身が仲介業者を通じて探す(原則として県内の物件)

建設型・賃貸型の種類と一般基準は内閣府「災害救助法の概要」(令和8年6月)とリーフレット、熊本県の対象者・家賃上限・入居期間・費用負担は熊本県「令和8年熊本地震に係る賃貸型応急住宅の供与について」とQ&A、自宅敷地内への設置は熊本県「【令和8年熊本地震】自宅敷地内への建設型応急住宅について」によります。賃貸型を速やかな移行のための住まいとする位置づけは内閣府「災害救助法の概要」(令和8年6月)、物件を被災者自身が探す理由は熊本県のQ&A、熊本の団地の所在は熊本県「建設型応急住宅の進捗状況」によります。家賃上限などは災害と都道府県ごとに異なります。

いったん離れて住む3|公営住宅等への一時入居

県営・市町村営住宅などの空き住戸に、一時的に入居できる場合があります。内閣府の資料では、公営住宅の空き住戸の活用は災害救助法の対象外としつつ、被災者の当面の住まいの確保のため積極的に図るよう求めています(公営住宅法にもとづく目的外使用の扱い)。

令和8年熊本地震では、熊本県が県営住宅や国から提供を受けた国家公務員宿舎の空き戸数を公表しているほか、国土交通省が、被災者の申込みを受け付けている全国の公営住宅等の問い合わせ先一覧や、UR賃貸住宅の問い合わせ先をまとめています。地元を離れて親族の近くで暮らすといった選択肢も、制度の上では用意されていることになります。

公営住宅等の扱いは内閣府「災害救助法の概要」(令和8年6月)、熊本県内外の提供状況は熊本県「住まいの支援制度のご紹介」と国土交通省「令和8年熊本地震に関する被災者の住まいの確保」によります。

家庭が迷いやすい分岐点

制度の一つひとつより、組み合わせと順番で迷うことが多いようです。熊本県の実施要領・案内・Q&Aに書かれている扱いを中心に、分岐点を整理します。

迷いやすい場面資料に書かれている扱い
応急修理と応急仮設住宅は両方使える?原則はどちらか一方です。熊本県の応急修理の実施要領は、対象者の要件に「応急仮設住宅に入居していないこと」を挙げ、賃貸型応急住宅の案内には「賃貸型応急仮設住宅に入居すると応急修理制度を申し込むことはできなくなります」とあります。
修理に時間がかかる間はどこに住む?半壊以上で、補修しないと住めず、修理期間が1か月を超える見込みで、ほかに住まいを確保するのが難しい場合は、応急修理の期間中に応急仮設住宅を使える扱いがあります。熊本県の実施要領では、この1か月の工事期間は応急修理を申し込んだ時点から数えるとされています。期間は応急修理の申込日から原則6か月で、修理が終われば速やかに退去します。内閣府の資料では、このとき提供されるのは賃貸型応急住宅で、新たに建設型を建てることは認められないとされています。
その場合の申込の順番は?熊本県のQ&Aは「必ず先に応急修理の申し込みを行っていただき」としたうえで、先に賃貸型応急住宅を申し込むと応急修理制度が使えなくなると注意しています。
賃貸型に入ってから建設型に移れる?熊本県のQ&Aでは、賃貸型応急住宅に入居した方は、別の応急仮設住宅である建設型応急住宅に入居することはできないとされています。建設型ができるまでの「つなぎ」として賃貸型を使うことはできない、という整理です。
修理業者に先に払ってしまった熊本県のチラシでは、修理業者に代金を支払ってしまうと応急修理は利用できないとされています。
半壊だが、直せず解体するしかない地震被害で半壊(中規模半壊・大規模半壊を含む)であっても、住宅として再利用できずやむを得ず解体する場合は、応急仮設住宅の対象として扱われることがあります。
発災後、自分で賃貸住宅を借りて入居済み熊本県では、要件を満たし貸主の同意が得られれば、県・貸主・入居者の三者契約を結び直して入居日にさかのぼって対象になるとしています(損害保険料や仲介手数料など一部の費用は遡及不可)。
世帯を分けて申し込みたい熊本県のQ&Aでは、1世帯を2世帯に分けてそれぞれ申し込むことは原則としてできないとされています。応急仮設住宅は被災した世帯(罹災証明書)を基本に考えるためです。

メモ

表の扱いは、令和8年熊本地震について熊本県が定めたものが中心です。基本的な考え方は内閣府の一般基準にもとづいていますが、細かな運用は災害と都道府県ごとの実施要領で決まります。別の災害では、必ずその時の自治体の案内を確認してください。
家が半壊したら「修理の補助をもらって、そのあいだは仮設に住む」のが当たり前だと思っていました。修理と仮設は基本的にどちらか一方で、例外にも順番の決まりがあると知って、最初の窓口でまとめて相談することが大事なんだと分かりました。
持ち家で暮らす読者

どの制度も入口は罹災証明書と写真

緊急の修理を除き、ここで挙げた住まいの支援の多くは、罹災証明書に記載される住家の被害の程度(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊など)を基準に動きます。熊本県の賃貸型応急住宅のQ&Aでも、被災当時の居住地は基本的に罹災証明書で確認するとされています。

もうひとつ共通するのが写真です。緊急の修理は写真で被害の程度を判断することがあり、熊本県の応急修理の実施要領では、修理前・修理中・修理後の写真を必ず提出することとされています。同じ実施要領には、単に「修理を急いでいたため写真を撮り忘れた」という理由は、修理内容の証明にならないとまで書かれています。片づけや修理の前に、外観の4方向と部屋ごとの被害を撮っておくことが、どの制度を選ぶにしても土台になります。

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その先の恒久的な住まいへ|支援金・融資・保険

応急修理や応急仮設住宅は、あくまで「応急」の支援です。内閣府のリーフレットは、応急仮設住宅の供与期間は原則2年で、その間に恒久的な住まいを確保してもらうことになると案内しています。住まいの再建には、主に次の支援や備えが関わります。

  • 被災者生活再建支援金: 令和8年熊本地震では、内閣府が8月10日に熊本県全域への被災者生活再建支援法の適用を公表しています。内閣府の資料(令和8年4月現在)では、住宅の被害程度に応じた基礎支援金(全壊100万円、大規模半壊50万円)と、再建方法に応じた加算支援金(建設・購入200万円、補修100万円、賃借50万円。中規模半壊はそれぞれ100万円・50万円・25万円)の組み合わせで、単身世帯は4分の3の額です。申請期限は基礎支援金が災害発生日から13月以内、加算支援金が37月以内とされています。
  • 災害復興住宅融資: 住宅金融支援機構による、住宅の建設・購入・補修資金の融資です。罹災証明書の交付を受けていることが前提で、被災住宅がすでに復旧されている場合は原則として利用できないとされています。
  • 地震保険・共済: 内閣府のリーフレットは、速やかな生活再建のために保険・共済が重要だとしています。一般的な火災保険では、地震・噴火・津波による損害は補償されません。

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被災者生活再建支援法の適用は内閣府政策統括官(防災担当)「令和8年熊本地震による災害に係る被災者生活再建支援法の適用について(熊本県)」(令和8年8月10日)、支援金の額は内閣府「災害救助法の概要」(令和8年6月)掲載の「災害救助法と被災者生活再建支援法の運用について」(令和8年4月現在)、申請期限・災害復興住宅融資・保険の位置づけは内閣府のリーフレットによります。

修理を急がせる勧誘に注意する

住まいの制度を使うかどうか考えている時期は、「すぐ直さないと危ない」「保険で自己負担なく直せる」と工事を勧める訪問が増える時期でもあります。国土交通省は、令和8年熊本地震の住まいのページで、災害に便乗した修理や点検をかたる悪質商法に注意するよう呼びかけ、契約を急ぐ前に相談するよう案内しています。応急修理は「先に払うと使えない」制度でもあるため、その場で契約・支払いをせず、市町村の窓口か消費者ホットライン(188)に相談してください。

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平時にできること|「直すか、離れるか」の材料を家族でそろえる

被災後の住まいの選択は、被害の程度だけでなく、家族の事情で大きく変わります。平時にできるのは、判断の材料をそろえておくことです。休日に30分ほどで進められる順に並べました。

  1. 1

    保険証券と本人確認書類の置き場所を決める

    本人確認書類は罹災証明書の申請などで求められ、火災保険・地震保険の証券は保険金の請求の手がかりになります。住宅ローンの書類や賃貸借契約書も、住まいの手続きで居住や契約の内容を確かめる場面で役立つことがあります(熊本県の賃貸型応急住宅のQ&Aでも、被災当時の居住を確かめる書類として物件の契約書や公共料金の支払書が挙げられています)。原本は持ち出しやすい場所にまとめ、コピーや写真をクラウドにも残しておきます。
  2. 2

    家の「平常時」の写真を撮っておく

    外観の4方向と各部屋の全景を撮っておくと、被災後の写真と比べやすくなります。持ち家なら、屋根や外壁の状態も分かる範囲で残しておきましょう。
  3. 3

    「直して住むか、いったん離れるか」の判断材料を話し合う

    家族の通勤・通学・通院先、介護や子どもの転校の事情、ペットの有無、親族宅に身を寄せられるか、仮住まいに移るなら地元の近くを優先するか。答えを決めておく必要はありません。「わが家が大事にしたいこと」を共有しておくだけで、被災後の窓口で相談しやすくなります。
  4. 4

    賃貸住まいなら、契約書と管理会社の連絡先を確認する

    借家の修理は原則として所有者が行うため、被災後はまず管理会社や貸主への連絡が必要になります。連絡先を家族で共有しておきましょう。
  5. 5

    自治体の住まいの窓口を調べておく

    市区町村のサイトで、被災時の住宅相談や罹災証明書の担当課がどこかを見ておきます。熊本県がまとめた応急修理の市町村窓口の一覧を見ても、担当は都市整備課・福祉課・財政課など市町村ごとにさまざまでした。

被災後の住まいに備えて、平時に確認しておきたいこと

  • 保険証券・本人確認書類・住宅関係の書類の置き場所を家族が知っている
  • 書類のコピーや写真をクラウドにも保存した
  • 家の外観4方向と各部屋の平常時の写真を撮った
  • 『修理業者と契約・支払いをする前に、まず市町村の窓口に相談する』と家族で決めた
  • 応急修理と応急仮設住宅は原則どちらか一方で、例外にも申込の順番があることを知っている
  • 仮住まいを考えるときに優先したいこと(学校・職場・通院・介護・ペットなど)を家族で話した
  • 賃貸住まいの場合、管理会社・貸主の連絡先を共有した
  • 住んでいる市区町村の住宅相談・罹災証明書の担当窓口を調べた

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応急修理と応急仮設住宅は、両方使えますか
原則としてどちらか一方です。応急修理は元の家に住み続けるための制度で、応急仮設住宅は住まいを失った方のための制度という位置づけだからです。ただし、半壊以上で補修しないと住めず、修理期間が1か月を超える見込みで、ほかに住まいを確保するのが難しい場合は、応急修理の期間中(応急修理の申込日から原則6か月)に賃貸型応急住宅を使える扱いがあります。令和8年熊本地震の熊本県のQ&Aでは、この場合は必ず先に応急修理を申し込むよう案内され、先に賃貸型応急住宅を申し込むと応急修理が使えなくなるとされています。災害ごとの扱いは自治体の案内で確認してください。
応急修理でいくらまで直してもらえますか
内閣府の一般基準(令和8年6月時点)では、1世帯あたり、大規模半壊・中規模半壊・半壊は757,000円以内、準半壊は367,000円以内です。お金が支給される制度ではなく、市町村が業者に修理を依頼して費用を直接支払う仕組みで、限度額を超える部分は自己負担になります。対象は居室・炊事場・便所など日常生活に必要な最小限度の部分で、熊本県の案内では内装は原則対象外、家電製品は対象外とされています。
建設型と賃貸型は、どちらを選べばよいですか
一概には言えません。建設型は、令和8年熊本地震のように被災した市町村の中に仮設団地としてまとめて建てられることがある一方、完成まで時間がかかります。賃貸型は既存の住宅を使うため建設を待たずに入居を進められ、被災者自身が事情に合う物件を探して申し込む仕組みですが、家賃の上限があり、条件に合う物件が希望する地域で見つかるとは限りません。熊本県のQ&Aでは、賃貸型に入居すると建設型には移れないとされているため、通勤・通学・通院などの事情を踏まえて、市町村の窓口で相談してから決めることをおすすめします。
応急仮設住宅にはいつまで住めますか
内閣府の一般基準では、建設型は完成の日から最長2年、賃貸型も最長2年です。内閣府のリーフレットは、供与期間は原則2年で、その間に恒久的な住まいを確保してもらうことになると案内しています。熊本県の賃貸型応急住宅では、入居日から2年以内で、恒久的な住まいの確保後やライフラインの復旧後は速やかに退去する必要があるとされています。
賃貸住宅に住んでいて被災しました。応急修理や仮設住宅の対象になりますか
応急修理については、借家は原則として所有者が修理するものとされていますが、所有者が修理できず、居住者の資力でも修理できない場合には、所有者の同意を得て対象になる場合があります。ただし熊本県の案内では、所有者に資力がないかどうかは書類で厳格に確認され、所有者が法人の場合は対象になりません。内閣府の資料では、会社の寮や社宅、公営住宅なども対象外とされています。応急仮設住宅については、熊本県のQ&Aでは、被災した住宅が持ち家か民間賃貸住宅かで区別せず、要件に合えば対象になるとされています。まずは管理会社や貸主に連絡し、あわせて市町村の窓口に相談してください。
被災地から離れた場所に住んでいますが、今できることはありますか
保険証券や本人確認書類の保管、家の平常時の写真、自治体の住まいの窓口の確認、そして家族で『直して住むか、いったん離れるか』の判断材料を話し合っておくことです。被災後の住まいの制度は、罹災証明書と写真を入口に、申込の順番で使えるかどうかが変わるものがあります。平時に知っておくだけで、いざというときに窓口で相談する内容が整理しやすくなります。

まとめ|住まいの選択は「最初の窓口相談」から

令和8年熊本地震では、発災から約1か月(8月29日)で最初の仮設団地が完成し、9月5日から鍵の引き渡しが始まりました。約2か月たった9月22日時点で、4つの仮設団地が完成しています。その背後には、緊急の修理、応急修理、建設型・賃貸型応急住宅、公営住宅への一時入居といった、いくつもの住まいの支援が並んでいます。

覚えておきたいのは、応急修理と応急仮設住宅は原則どちらか一方であること、修理業者に先に払うと応急修理が使えなくなるなど、順番で結果が変わる制度があることです。そして、どの制度も罹災証明書と写真が入口になります。平時にできるのは、書類と写真をそろえ、家族で「わが家が大事にしたいこと」を話しておくこと。実際の対象や期限、手続きは災害ごとに変わるため、被災したときはお住まいの自治体と公的機関の最新の案内を優先してください。

出典・参考

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