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災害のあとに増える便乗商法・詐欺への備え|「その場で契約しない」を家族のルールにして、離れて暮らす親とも共有する

ミナト・編集長 / 備蓄・非常食担当
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災害のあとに増える便乗商法・詐欺への備え|「その場で契約しない」を家族のルールにして、離れて暮らす親とも共有する

2026年9月の連休中に関東へ接近した台風第25号は、伊豆諸島や関東南部を中心に記録的な大雨をもたらしました。千葉県の災害対策本部資料(9月22日17時30分開催の第4回会議)では、県内の住家被害が全壊19棟、半壊4棟、床上浸水341棟、床下浸水86棟と報告されています(暫定値で、今後変わります)。こうした災害のあとに決まって増えるのが、「無料で屋根を点検します」「保険金で自己負担なく修理できます」「義援金を集めています」といった便乗商法や詐欺です。この記事では、国民生活センターや消費者庁、警察庁、日本損害保険協会の資料で手口を整理したうえで、被災してから考えるのではなく、平時のうちに家族で決めておく対処ルールに落とし込みます。離れて暮らす高齢の親と共有する方法もあわせてまとめました。

本記事の手口の分類と相談件数は、国民生活センター「ご用心 災害に便乗した悪質商法」(2026年6月29日更新)、「自然災害に関連する消費者トラブルを未然に防ぐために」(2026年3月4日)、「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日)、「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」(2026年7月31日更新)、「分電盤の点検商法にご注意ください」(2026年9月16日)、消費者庁「災害に便乗した悪質商法に注意!」、警察庁「令和8年熊本地震に関する注意喚起」、金融庁「義援金等を装った詐欺にご注意!」、日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」(2026年7月31日更新)にもとづきます。クーリング・オフの制度説明は消費者庁「特定商取引法ガイド」と国民生活センターの解説によります。個別の契約が解除できるかどうかは事案によって異なるため、実際の対応は消費生活センター等の助言を優先してください。

災害のあとに何が起きるのか|5つの手口を知っておく

国民生活センターは、地震や大雨などの災害時には便乗した悪質商法が多数発生するとして、「工事・建築関連」「保険金を口実にした勧誘」「寄付金・義援金詐欺」の3つに分けて注意を呼びかけています。これに、警察庁が令和8年熊本地震の注意喚起で挙げた「公的機関や災害支援団体をかたる詐欺」「被災者の身内や友人を装う詐欺」「警察官を装う詐欺」を重ねると、家庭が知っておきたい手口はおおむね次の5つに整理できます。

手口よくある切り出し方狙い
無料点検(点検商法)「近所で工事をしている。お宅の瓦がずれているのが見えた」点検後に不安をあおり、高額な工事契約をさせる
保険金で自己負担なし「火災保険を使えば無料で直せる。申請も代行する」高額な申請サポート手数料や解約料を請求する
応急処置の高額請求「ブルーシートをかけてあげる」応急処置を入口に、高額な見積もりや不十分な工事につなげる
義援金・寄付「被災地の義援金を集めている」「支援物資を送るので不用品を譲って」現金や電子マネーをだまし取る、貴金属の訪問購入につなげる
公的機関を名乗る電話・訪問「市役所の者です」「給付金の手続きで」個人情報や口座情報、金銭を引き出す

「無料で屋根を点検します」は、災害と関係なく増え続けている

屋根や外壁の点検商法は、災害の直後だけの話ではありません。国民生活センターの集計では、点検商法全体の相談件数は2023年度12,550件、2024年度19,249件、2025年度19,696件と増加が続いています(2026年5月31日現在の登録分)。2023年10月に公表された屋根工事の点検商法に関する資料では、2022年度の相談のうち契約当事者の年代が分かる2,642件をみると、60歳代552件、70歳代847件、80歳代629件、90歳以上100件と、契約当事者の8割超が60歳以上でした。典型的な勧誘は「近所で行う工事のあいさつに来た」と訪問し、点検後に「このままだと瓦が飛んで近所に迷惑がかかる」と不安をあおるものだと説明されています。

最近は分電盤の点検を口実にする手口も目立ちます。2026年9月16日の公表資料では、分電盤の点検商法の相談が2024年度1,290件から2025年度6,545件と約5倍に増え、2025年度の契約当事者は70歳以上が8割を超えたとされています。「電力会社ですが分電盤の点検に伺います」という電話から始まり、「耐用年数は法律で15年と決まっている」といったうその説明で交換工事を契約させる流れで、地震のあとに「分電盤が火災の原因になる」と不安をあおった事例も報告されています。

相談件数と年代別の数値は、国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」(2026年7月31日更新)、「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日)、「分電盤の点検商法にご注意ください」(2026年9月16日)によります。相談件数はPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)への登録分で、集計時点により変わります。

「保険金で自己負担なく修理できます」は、手数料と虚偽申請が落とし穴

日本損害保険協会は、「負担額なく屋根の修理ができる」と勧誘し、保険金が支払われたときに保険金の30%を報酬として請求する「完全成功報酬型」の申請代行の事例を紹介しています。国民生活センターの2026年3月の資料にも、「補償対象地域になった」と電話で来訪した事業者に、保険金総額の45%を成功報酬として支払う契約をしてしまった80歳代男性の事例(2023年8月受付)があります。保険金の請求は加入者自身が保険会社に行うのが基本で、代行を頼まなければ手数料はかかりません。

もう一つ重要なのが、虚偽の申請を持ちかけられる点です。「今回の雨で壊れたことにすれば、古くなったところも保険金できれいになる」という誘いに乗って経年劣化を災害による損傷として請求すると、詐欺に該当するおそれがあると消費者庁のチラシに明記されています。千葉市の注意喚起でも、保険会社から保険金の返還請求や契約解除をされたり、刑事罰に問われるおそれがあると説明されています。

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「ブルーシートを張ります」の応急処置が、高額工事の入口になる

国民生活センターの2026年3月の資料は、災害直後はブルーシートによる応急処置に関するトラブルが起き、その後、本格的な住宅修理を頼む段階で「工事が込み合っていてすぐに対応してもらえない」「よく検討しないまま訪問してきた事業者に依頼したところ高額な費用を請求された」といったトラブルが続くと整理しています。紹介されている事例では、地震後に「瓦がずれている。応急処置としてブルーシートをかけてあげる」と訪問してきた事業者に見積もりを頼んだところ、翌日約100万円の見積もりが出て、値引き後に契約したものの、作業範囲が見積もりより狭く、通常より高い工法が採用されていたことがあとで分かっています(2024年2月受付、70歳代男性)。

応急処置は必要なことですが、「屋根に上らない」前提で家族ができる範囲を平時に知っておくと、訪問してきた事業者にその場で頼らずにすみます。

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「義援金を集めています」「市役所です」は、電話が来た時点で疑ってよい

義援金や寄付をかたる詐欺は、災害のたびに繰り返されています。令和8年熊本地震のあと、金融庁は「義援金の募集を装った振り込め詐欺等が多数認められています」として、有名なボランティア団体を偽って不正な口座に振り込ませる、公的機関を装った電話で義援金を求める、SNSで架空の救助要請をして電子マネーの送付を求める、といった手口を挙げています。警察庁も同じ地震の注意喚起で、公的機関や災害支援団体をかたる義援金名目の詐欺、被災者の身内や友人を装って送金を求める詐欺、警察官を装う詐欺を「特に発生が懸念される事犯」としています。

覚えておきたいのは、消費者庁と国民生活センターがそろって示している「公的機関が各家庭に電話で義援金を求めることはない」という一点です。「市役所の者です」「給付金の手続きで口座を教えてください」という電話も同様に、電話が来た時点で切ってよいものです。国民生活センターの資料には、「被災地へ支援物資を送るため不用品を譲ってほしい」という電話が、実は貴金属を目的にした訪問購入だったという事例(2025年3月受付、70歳代女性)も載っています。親切心につけこむ手口は、被災地から離れた家にもかかってきます。

被災地以外でも、時間がたっても起きる

国民生活センターは、点検商法や公的機関を名乗る訪問購入のような便乗商法は「被災地であるかどうかにかかわらず」「災害が起きた直後に限らず時間がたってからでも」発生すると強調しています。3年前の災害の被災地調査員を名乗り、「保険の請求期限まで半年を切った」と保険金請求のサポート契約を持ちかけた事例も紹介されています。今回の台風第25号で直接の被害がなかった家庭にも、この記事のルールはそのまま当てはまります。

メモ

被災した自治体からは、災害のたびに個別の注意喚起が出ます。たとえば千葉市は2026年9月13日に「大雨など災害に便乗した悪質商法にご注意ください!」を更新し、消費者庁の「令和8年8月千葉豪雨で被災された皆様へ」の案内とあわせて、住宅修理・ロードサービス・保険金を口実にした勧誘・寄付金や義援金・災害ごみの回収の5分野で相談事例を公開しています。台風第25号の被災地でも、お住まいの自治体や都道府県の消費生活センターの案内を確認してください。

家庭で平時に決めておく5つの対処ルール

手口を知っていても、被災直後は疲れて判断力が落ちています。屋根が心配で、工事が込み合っていると聞かされ、目の前の人が「今日ならすぐ直せる」と言えば、頼りたくなるのが自然です。だからこそ、迷わずに済むルールを平時に決めておきます。国民生活センターと消費者庁のアドバイスをもとにすると、次の5つになります。

  1. 1

    その場で契約しない。屋根にも上らせない

    「近所で工事をしている」「瓦がずれているのが見えた」と突然訪問してきた事業者に、その場で点検させないことが出発点です。政府広報オンラインが紹介する事例には、点検後に見せられた写真が自宅の屋根と色が違っていた、というものがあります。工事や修理の必要性や費用をその場で判断するのは難しいので、どれほど急かされても「今日は決めない」で通します。必要のない契約はきっぱり断ってよく、特定商取引法では消費者が契約しない意思を示したあとの勧誘の継続や再勧誘は禁止されています。
  2. 2

    家族に相談する。複数の見積もりを取る

    「家族に相談してから決める」を、家族全員の合言葉にします。国民生活センターは、すぐに契約せず、複数の事業者から見積もりを取って比較し、周囲の人に相談することを勧めています。家を建てた工務店や、加入している保険の代理店など、平時から「困ったときに最初に電話する先」を決めておくと、訪問してきた事業者に頼らずにすみます。
  3. 3

    書面をもらう。相手の名前・会社・住所・電話番号を控える

    点検や見積もりを受けるにしても、事業者の名刺と、会社名・所在地・電話番号が書かれた書面をもらいます。訪問販売では、契約時に事業者名や住所、電話番号、クーリング・オフに関する事項などを書いた書面を交付することが法律で義務づけられています。書面を渡さない、契約書を持ち帰ろうとする、といった対応は、それ自体が断る理由になります。やり取りの日時と内容はメモに残します。
  4. 4

    保険は自分で保険会社に連絡する

    「保険金で無料で直せる」と言われたら、契約する前に、加入している保険会社か代理店に自分で電話します。日本損害保険協会と国民生活センターは、保険金の請求は加入者自身で行うことが基本だと繰り返しています。保険証券の保管場所と保険会社の連絡先を平時に確認しておくと、その場で電話できます。虚偽の申請は絶対に持ちかけに応じません。
  5. 5

    迷ったら188か#9110に電話する

    契約してしまったあとでも、契約する前でも、迷ったら消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センター等につながる)に相談します。義援金や公的機関を名乗る電話など、詐欺が疑われる場合は警察相談専用電話#9110です。「相談していいのか分からない」段階で電話してよい窓口です。

注意

被災直後は「早く直したい」気持ちが最も強く、事業者もそこを突いてきます。応急処置が本当に必要な場面では、自治体の案内(災害救助法にもとづく住宅の応急修理制度や、自治体が把握している事業者団体の窓口)を先に確認し、それでも訪問してきた事業者に頼む場合は、必ず書面で見積もりをもらってから判断してください。
数年前の台風のあと、母のところに「近所で工事をしている」という人が来て、屋根の写真を見せられたそうです。母は「息子に相談してから」と言って帰ってもらったのですが、あとで聞くと、写真の屋根は瓦の色が違っていたとのことでした。あのとき合言葉を決めていなければ、その日のうちに契約していたと思います。
実家の親が80代の読者

契約してしまったら|クーリング・オフの使い方

ルールを決めていても、契約してしまうことはあります。そのときに使えるのがクーリング・オフです。訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合、法律で決められた事項が正しく書かれた契約書面(申込書面)を受け取った日から数えて8日以内であれば、理由を問わず無条件で契約を解除できます。

項目内容
対象訪問販売・電話勧誘販売(8日間)。突然の訪問や電話をきっかけにした屋根・外壁・分電盤の工事契約はここに当たることが多い
起算日正しく記載された契約書面または申込書面を受け取った日を1日目として数える。書面に不備があれば期間は進まない
方法はがきなどの書面、または電子メールやFAXなどの電磁的記録で通知する。契約年月日・契約内容・金額・販売会社・担当者名・「この契約を解除します」と自分の住所氏名を書く
記録はがきは両面をコピーし、特定記録郵便や簡易書留など出した日付が分かる方法で送る。コピーと控えは保管する
効果支払った代金は全額返還され、損害賠償や違約金は請求されない。工事などがすでに行われていても、その対価を支払う必要はない
妨害されたとき「クーリング・オフはできない」とうそを言われたり、威迫されたりして期間を過ぎた場合は、8日を過ぎても行使できる

クーリング・オフの制度説明は、消費者庁「特定商取引法ガイド」の訪問販売の解説と、国民生活センター「クーリング・オフ」、消費者庁チラシ「災害に便乗した悪質商法に注意!」にもとづきます。通信販売はクーリング・オフの対象外です。また、現金取引で代金が3,000円未満の場合などは適用されません。契約書に「クーリング・オフできない」と書かれていたり、期間を過ぎているように見えても、解除できる場合があります。諦めずに消費生活センターに相談してください。

ヒント

クレジット契約を組んでいる場合は、販売会社と信販会社の両方に通知します。国民生活センターは、送付の記録と関係書類を5年間保管するよう案内しています。はがきの書き方の例は消費者庁の「特定商取引法ガイド」にひな形があるので、平時に一度見ておくと、いざというとき迷いません。

相談窓口を家の目につく場所に貼っておく

被災直後に検索する余裕はありません。次の窓口は、番号と「何のときにかけるか」をセットにして、冷蔵庫や電話のそばに貼っておきます。

窓口番号どんなとき
消費者ホットライン188契約してしまった、勧誘が不審、見積もりが高すぎる。最寄りの消費生活センター等につながる。相談は無料(ナビダイヤルの通話料はかかる)。平日は市区町村の窓口、土日祝は都道府県のセンター等または国民生活センター。年末年始を除き原則毎日
警察相談専用電話#9110義援金や公的機関を名乗る電話、脅すような勧誘、詐欺が疑われるとき。緊急でない警察への相談用の全国共通番号。受付は平日8時30分から17時15分が基本(都道府県警察で異なる)。緊急時は110番
住まいるダイヤル03-3556-5147見積もりが適正か、工事の内容に不安があるとき。国土交通大臣指定の住まいの相談窓口で、一級建築士などが対応。受付は平日10時から17時
保険金に関する災害便乗商法相談ダイヤル0120-309-444「保険金で修理できる」という勧誘を受けたとき。日本損害保険協会が設置。受付は平日9時から12時、13時から17時
加入している保険会社・代理店証券に記載被害があったとき、保険が使えるか確認したいとき。請求は自分で行う

各窓口の受付時間は、政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話『#9110』番へ」「どうしよう?困ったときは、消費者ホットライン188番にご相談を!」、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター、日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」の記載にもとづきます。受付時間は変わることがあるため、最新の案内を確認してください。

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離れて暮らす親と共有する方法

国民生活センターの2025年度の集計では、65歳以上の消費生活相談は330,497件で全体の37.7%を占め、65歳以上では「点検商法」が販売方法・手口別の6位(14,167件)に入っています。年齢が上がるほど訪問販売や電話勧誘販売の割合が高くなり、85歳以上では訪問販売が最多になります。屋根工事の点検商法で契約当事者の8割超が60歳以上だったことも踏まえると、この記事のルールを最も必要としているのは、離れて暮らす親の家かもしれません。

親に「気をつけて」と言うだけでは、被災直後の判断は変わりません。決めておくのは、行動を一つに絞った具体的な約束です。

離れて暮らす親と決めておくこと

  • 合言葉を決める。訪問や電話で工事・保険・寄付の話が出たら『子どもに相談してから決める』と言って断る、と約束する
  • その場で決めていい金額をゼロにする。金額の大小にかかわらず、訪問や電話で持ちかけられた契約はすべて子どもに一報してから
  • 屋根には上らせない。点検を頼むのは、家を建てた工務店か、子どもが調べた事業者だけにする
  • 相談先カードを冷蔵庫と電話の横に貼る。188、#9110、子どもの携帯番号、保険会社の連絡先を大きな字で
  • 『市役所です』『給付金の手続きです』という電話は、切ってから市役所の代表番号にかけ直す、と決める
  • 災害のあとは子どもから電話をかける。『誰か来なかった?』『何か電話なかった?』と具体的に聞く
  • 保険証券の場所と保険会社の連絡先を、親と子の両方が把握しておく
  • 契約書やはがきの写真をスマホで送ってもらう練習を一度しておく(クーリング・オフの相談を子どもが代わりにできる)

メモ

「うちの親はしっかりしているから大丈夫」と思っている家庭ほど、共有が後回しになりがちです。国民生活センターの資料には、家を建てた事業者に相談したところ複数の怪しい点を指摘された、というように、身近な相談相手が一人いれば防げた事例が繰り返し出てきます。親の判断力を疑う話ではなく、「決める前に一本電話する」という段取りの話として伝えると、受け入れてもらいやすくなります。

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台風のあと、実家の父から「屋根を見てくれる人が来た」と電話がありました。電話の途中で「見積もりを書面でもらって、今日は帰ってもらって」とだけ伝え、翌日ネットで探した工務店に見てもらったら、屋根に異常はありませんでした。父は「断る理由を私に押しつけられて楽だった」と言っていました。
共働きで幼児を育てる読者

修理を頼む相手をどう探すか

便乗商法を断ったあとに残るのが、「では、誰に頼めばよいのか」という問題です。消費者庁のチラシでは、被災した住宅の補修工事に対応できる近隣の事業者を探す先として、国土交通省の住宅リフォーム事業者団体登録制度の登録団体や住宅関係団体に所属する事業者を一元的に検索できる「住まい再建事業者検索サイト」が案内されています。見積もりの内容に不安があれば、住まいるダイヤルで契約前の見積もりチェックを受けることもできます。

住宅の被害が一定程度に達している場合は、罹災証明書をもとにした公的な支援や、災害救助法にもとづく住宅の応急修理制度の対象になることがあります。片づけや修理を始める前に写真を撮っておくことが、これらの手続きの前提になります。

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ヒント

災害後は正規の事業者も込み合い、すぐには来てもらえないのが普通です。国民生活センターの事例でも、家を建てた事業者に「工事が立て込んでいてすぐは難しい」と言われたところに訪問業者が現れています。「待たされる」こと自体は異常ではありません。待つ間の雨しのぎは、屋根に上らない範囲の応急補修グッズと、室内側で受ける道具で乗り切る前提にしておくと、焦りが減ります。

よくある質問

訪問してきた業者に点検だけ頼むのは問題ないですか
国民生活センターは、突然訪問してきた事業者に安易に点検させないよう呼びかけています。点検後に見せられた写真が自宅の屋根と色が違っていた事例(政府広報オンライン)や、点検後に不安をあおって契約を迫る事例が多いためです。点検が必要だと感じたら、家を建てた工務店や、自分で調べた事業者に改めて依頼するのが安全です。
契約書に『クーリング・オフはできません』と書かれていました。もう無理ですか
そう書かれていても解除できる場合があります。訪問販売や電話勧誘販売であれば、法律で決められた事項が正しく書かれた書面を受け取ってから8日以内はクーリング・オフができ、うその説明で妨害された場合は期間を過ぎても行使できます。諦めずに消費者ホットライン188に相談してください。
保険金の請求を代行してもらうのは違法なのですか
代行そのものが直ちに違法というわけではありませんが、高額な成功報酬を請求されたり、解約時に高額な違約金を求められたりするトラブルが多く報告されています。保険金の請求は加入者自身で行うのが基本で、自分で保険会社に連絡すれば手数料はかかりません。経年劣化を災害による損傷と偽って請求することは詐欺に当たるおそれがあり、絶対に応じないでください。
義援金を送りたいときは、どう確認すればよいですか
金融庁は、振り込みや電子マネーの送付の前に、振込先がテレビや新聞などで公表されている口座番号・名義と同じかを確認するよう案内しています。公的機関が各家庭に電話で義援金を求めることはありません。電話や訪問で求められた寄付には応じず、自分で調べた正規の窓口から送るようにしてください。
親が契約してしまったようです。子どもが代わりに相談や解除の手続きをできますか
消費者ホットライン188には家族からも相談できます。まず契約書面の写真を送ってもらい、契約日と書面の受け取り日を確認したうえで相談してください。クーリング・オフの通知は契約当事者本人の名前で出しますが、はがきの下書きや郵送の段取りは子どもが手伝えます。
今回の台風で被害がなかった地域でも注意は必要ですか
必要です。国民生活センターは、点検商法や公的機関を名乗る勧誘は被災地かどうかにかかわらず、災害から時間がたってからも発生すると注意を呼びかけています。台風のニュースを口実に『近所で被害が出ている』と訪問してくる手口は、被災地から離れた地域でも起きます。

まとめ|ルールを決めるのは、災害の前

便乗商法や詐欺は、被災した人の「早く直したい」「誰かの役に立ちたい」という気持ちにつけこみます。手口を知り、「その場で契約しない」「家族に相談する」「書面をもらう」「保険は自分で連絡する」「迷ったら188か#9110」の5つを家族のルールにしておけば、被災直後の疲れた頭でも迷わずに動けます。そして、そのルールを最も必要としているのは、離れて暮らす親の家かもしれません。今週のうちに一本電話をかけて、合言葉と相談先カードの話をしてみてください。

災害便乗商法への備えチェック

  • 5つの手口(無料点検・保険金で自己負担なし・応急処置の高額請求・義援金・公的機関を名乗る電話)を家族で共有した
  • 『その場で契約しない』『家族に相談してから決める』を合言葉にした
  • 188・#9110・住まいるダイヤル・保険会社の連絡先を冷蔵庫や電話のそばに貼った
  • 保険証券の場所と保険会社の連絡先を確認し、請求は自分で行うと決めた
  • クーリング・オフの期間(訪問販売・電話勧誘販売は8日)と通知の方法を一度確認した
  • 困ったときに最初に電話する工務店や代理店を決めた
  • 離れて暮らす親と合言葉と相談先カードを共有し、災害後はこちらから電話すると決めた

出典・参考

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