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乳幼児のミルク・離乳食の備蓄比較|液体ミルク・粉ミルク・ベビーフードを「お湯が使えない前提」で選ぶ

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乳幼児のミルク・離乳食の備蓄比較|液体ミルク・粉ミルク・ベビーフードを「お湯が使えない前提」で選ぶ

家庭の備蓄をひととおりそろえた後で、いちばん最後まで宿題として残りがちなのが赤ちゃんの分です。水も食料も家族分は用意した。でも、ミルクと離乳食だけは「いつものを買い足すだけでいいのかな」と手が止まる。その感覚は正しくて、乳幼児の栄養は大人の備蓄の縮小版では回りません。災害時には、お湯・清潔な水・洗浄消毒・電気が同時に失われる可能性があり、平時の授乳方法をそのまま続けられなくなるからです。この記事では、乳児用液体ミルク(缶・紙パック)、キューブ状の粉ミルク、常温で食べられるベビーフードという4タイプを、「お湯が使えない前提」で比較します。

ヒント

この記事にはアフィリエイト広告を含みます。紹介する商品は「選び方の目安」を示す代表的なタイプで、特定の型番を断定的に推奨するものではありません。価格・在庫・仕様は変動するため、購入前に各販売サイトの最新情報を必ずご確認ください。栄養や体調に関わる判断は、かかりつけの医師・助産師・管理栄養士にご相談ください。

災害時に失われるのは「食料」だけではない

大人の備蓄は、水と食べ物があればひとまず回ります。乳児の栄養が難しいのは、食べ物そのものより「食べさせるまでの工程」が壊れるからです。

粉ミルクを使うには、少なくとも次の4つが必要です。清潔な水、70℃以上を保ったお湯、洗って消毒した哺乳瓶と乳首、そしてお湯を沸かすための熱源。断水すれば1つめと3つめが、停電やガス停止があれば2つめと4つめが同時に失われます。つまり粉ミルクは、ライフラインが1本でも欠けると難易度が跳ね上がる備えなのです。

厚生労働省は、WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)が作成した「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」を2007年6月4日に公表しています。このガイドラインを受けて、自治体の案内でも、乳児用調製粉乳の調乳にあたっては使用する湯を70℃以上に保つこと、調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは廃棄することが示されています。

WHO/FAOが作成した「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」の公表(2007年6月4日)は厚生労働省のページ、調乳時に湯を70℃以上に保つこと・調乳後2時間以内に使用しなかったミルクを廃棄することは大阪府が同ガイドラインについて案内しているページにもとづきます。

日本栄養士会の「災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」も同じ趣旨を示しており、70℃以上のお湯で調乳する場合は粉乳中に存在するE.Sakazakii(サカザキ菌)が死滅するためリスクが劇的に減少するとしたうえで、調乳された粉ミルクは有害細菌の増殖に理想的な条件となるため、授乳の都度調乳してすぐに授乳することが最善で、残ったミルクは処分するよう案内しています。粉ミルクは無菌製品ではない、という前提が出発点です。

同じ手引きは、ミルク用の水についても、硬度が高いと腎臓に負担がかかり消化不良を引き起こす恐れがあるため硬度の低い軟水が望ましいこと、輸入品のミネラルウォーターには硬度の非常に高いものや非滅菌のものもあるため水道水が使えない場合は国産のものを用いること、給水車による汲み置きの水はできるだけ当日給水のものを使うことを示しています。「水ならなんでもよい」わけではないという点は、備蓄する水を選ぶときにも効いてきます。

70℃以上での調乳とE.Sakazakii、授乳の都度の調乳と残ったミルクの処分、調乳用の水(軟水・国産・当日給水)の考え方は、公益社団法人日本栄養士会・JDA-DAT「赤ちゃん防災プロジェクト 災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」(2019年1月版)にもとづきます。

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買う前に確認したい5つのこと

商品を選ぶ前に、わが家の条件を確認しておきます。ここがずれていると、せっかく備えても使えません。

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    いまの月齢と、これから半年でどう変わるか

    生後3か月の子と生後10か月の子では、必要なものがまったく違います。備蓄は「いまの月齢」ではなく「次の見直しまでに通過する月齢」で考えます。
  2. 2

    その子が飲む(食べる)実績があるか

    災害時に初めての銘柄や初めての食材を試すのは避けたいところです。備える前に、平時の外出や夜間の授乳で一度使っておき、飲む・食べることを確かめます。
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    哺乳瓶と乳首の本数、そして消毒手段

    洗浄も消毒もできない状況を想定します。使い捨ての哺乳瓶や乳首を用意するか、カップやスプーンで飲ませる方法を知っておくか、どちらかの答えを持っておきます。
  4. 4

    アレルギーの有無と、確認済みの銘柄

    アレルギーがある場合は、対応品が支援物資で手に入る前提に立たないことが基本です。表示を確認できている製品を、多めに家庭で持ちます。
  5. 5

    保管場所の温度

    液体ミルクも粉ミルクも常温保存が前提です。夏場に高温になる車内や直射日光の当たる窓際は避け、家の中の涼しい場所に置き場所を決めます。

注意

母乳育児をしている場合、災害時に「念のため」と自己判断でミルクへ切り替えるのは慎重に考えてください。日本栄養士会の手引きは、これまで母乳で育児していた母親が授乳を中断すると母子の心身に影響がある場合もあるため、母乳代替食品の使用は一律に推奨したり安易に進めたりせず慎重に行うよう示しています。備えとして持っておくことと、実際に切り替えることは別の判断です。迷ったら、医療スタッフや管理栄養士・助産師に相談してください。

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タイプ別に比較|4つの選択肢

乳児用液体ミルクは、正式名称を「乳児用調製液状乳」といいます。消費者庁は、2018年(平成30年)8月8日に「特別用途食品の表示許可等について」を改正し、特別用途食品における乳児用調製乳に「乳児用調製液状乳」の区分を新設したと説明しています。同日には「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)も改正され、「調製液状乳」の規格基準が設定・施行されました。その後、2019年(平成31年)1月に乳等省令にもとづく「調製液状乳」として厚生労働大臣の承認を受けた2製品について、同年3月に初めて特別用途食品の「乳児用調製液状乳」としての表示許可が行われています。

乳児用調製液状乳の許可区分創設の経緯(2018年8月8日の表示許可等の改正と乳等省令改正、2019年3月の初の表示許可)は、消費者庁「(参考)乳児用液体ミルク(乳児用調製液状乳)の許可区分創設の経緯等について」にもとづきます。

4タイプの特徴を整理すると次のようになります。

タイプお湯哺乳瓶常温での賞味期限の目安容量と単価感向く場面
缶タイプの液体ミルク不要移し替えるなら必要(専用アタッチメントで缶のまま授乳できる製品もある)消費者庁のリーフレットでは缶は約1年。製品により18か月とするメーカー公表値もある1缶120〜240mlで1本あたり200〜300円前後1回量が多くなる月齢、避難所や車内など洗い物ができない場面
紙パックタイプの液体ミルク不要移し替えるなら必要(紙パック用の専用乳首がある製品もある)消費者庁のリーフレットでは紙パックは約6か月1本125mlで1本あたり200〜260円前後月齢の低い時期、持ち出し袋や外出時の少量使い
キューブ・スティックの粉ミルク必要(70℃以上)必要パッケージの賞味期限表示を確認27g程度の個包装で1袋100〜160円前後熱源と水が確保できる在宅避難、長期化したときの主力
常温で食べられるレトルト・瓶詰のベビーフード不要不要(スプーンと器)自主規格の上限目安はレトルト1年6か月、瓶詰2年6か月1食70〜100g程度で1袋100〜200円前後離乳期以降の食事。加熱なしでそのまま食べられる

価格帯は記事作成時点の一般的な流通価格からの目安で、容量・入数・販売店により変動します。賞味期限も製品ごとに異なるため、必ずパッケージの表示を確認してください。

メモ

「どれか1つ」を選ぶ比較ではありません。液体ミルクは水も加熱も要らない代わりに単価が高く、賞味期限も短めです。粉ミルクは単価と保存性で有利ですが、お湯と哺乳瓶が要ります。停電・断水の初期を液体ミルクでしのぎ、ライフラインが戻ったら粉ミルクへ、という組み合わせが現実的です。

1. 缶タイプの乳児用液体ミルク

金属缶に入った液体ミルクです。紙パックより賞味期限が長い傾向があり、1本あたりの容量も大きめなので、1回に飲む量が増えてきた月齢に向きます。缶の口に取り付ける専用アタッチメントを使うことで、缶のまま乳首を付けて授乳できる製品もあります(アタッチメントと乳首は別売り・セット販売の場合があります)。

株式会社明治は2021年4月21日のプレスリリースで、乳児用液体ミルク「明治ほほえみ らくらくミルク」の賞味期限を、従来の14か月から18か月へ延長したと発表しています。液体ミルクの賞味期限は製品によって幅があるため、備蓄用に選ぶときは表示を見比べる価値があります。

液体ミルクの容器包装別の保存期間の目安(紙パックは約6か月、缶は約1年)は消費者庁のリーフレット「乳児用液体ミルクってなに?」、賞味期限を18か月へ延長した件は株式会社明治の2021年4月21日付プレスリリース(メーカー公表値)にもとづきます。実際の期限は製品ごとに異なります。

缶タイプの乳児用液体ミルク(乳児用調製液状乳)

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缶タイプの乳児用液体ミルク(乳児用調製液状乳)

価格の目安: 1缶200〜300円前後(容量・入数により変動)

調乳が不要で、水もお湯も使わずそのまま飲ませられるのが最大の利点です。缶タイプは紙パックより賞味期限が長い傾向があり、備蓄との相性が良いタイプ。専用アタッチメントに対応する製品なら、洗い物ができない場面でも缶のまま授乳できます。購入時は容量(120ml前後か200ml以上か)が今の月齢の1回量に合っているか、アタッチメントや乳首が別売りかを確認してください。開封後は飲みきりが前提で、飲み残しは与えません。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

2. 紙パックタイプの乳児用液体ミルク

紙パックの液体ミルクは1本125ml前後の少量タイプが中心で、月齢の低い時期や、持ち出し袋に入れる少量の備えに向きます。江崎グリコは「アイクレオ 赤ちゃんミルク」(125ml)の賞味期限を製造日から10か月と公表しており、常温を超えない温度での保存を案内しています。缶に比べると期限は短めなので、ローリングストックで回す前提で持つのが現実的です。

紙パック専用の乳首を取り付けられる製品もありますが、消費者庁のリーフレットは、紙パックや缶の場合は清潔な容器に移し替えて与えるよう案内しています。専用品を使う場合も、包装の汚れや破損がないかを確認してから使ってください。

紙パックの液体ミルクの保存期間の目安(約6か月)と、紙パック・缶は清潔な容器に移し替えて与えるという案内は消費者庁のリーフレット「乳児用液体ミルクってなに?」、「アイクレオ 赤ちゃんミルク」125mlの賞味期限10か月・常温を超えない温度での保存は江崎グリコの製品ページ(メーカー公表値)にもとづきます。

紙パックタイプの乳児用液体ミルク(125ml前後)

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紙パックタイプの乳児用液体ミルク(125ml前後)

価格の目安: 1本200〜260円前後(入数により変動)

1本あたりの量が少ないので、月齢が低い時期や「少しだけ足したい」場面で無駄が出にくいタイプです。軽くて角が丸く、持ち出し袋にも入れやすい形状。一方で缶より賞味期限が短めなので、備蓄用というより「ふだんの外出で使いながら回す」運用に向きます。専用乳首の有無は製品によって異なるため、購入前に確認を。開封したらすぐに使い、飲み残しは与えないでください。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

3. キューブ・スティックタイプの粉ミルク

粉ミルクは、缶入りの計量スプーン式のほかに、固形のキューブや個包装のスティックがあります。1個(1本)で出来上がり量が決まっているため計量が不要で、災害時のように手元が慌ただしい状況や、清潔な計量スプーンを保てない状況で扱いやすいのが利点です。個包装なので、開封済みの缶を持ち歩く必要もありません。

ただし、粉ミルクである以上、70℃以上のお湯という条件は変わりません。備えるなら、カセットコンロとボンベ、調乳用の軟水、そして哺乳瓶と消毒手段までをワンセットで考えてください。逆に言えば、その一式が用意できているなら、単価と保存性の面で粉ミルクは強い選択肢になります。

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キューブ・スティックタイプの粉ミルク(乳児用調製粉乳)

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キューブ・スティックタイプの粉ミルク(乳児用調製粉乳)

価格の目安: 27g程度の個包装で1袋100〜160円前後(箱の入数により変動)

計量スプーンが要らず、必要な袋数だけ持ち出せるのが利点です。液体ミルクより単価が抑えられ、保存性も高いので、備蓄の「主力」に据えやすいタイプ。ただしお湯・哺乳瓶・消毒がセットで必要なので、カセットコンロと調乳用の水まで含めて用意できているかが判断の分かれ目になります。保存は乾燥した涼しい場所で、パッケージの賞味期限表示を必ず確認してください。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

4. 常温で食べられるレトルト・瓶詰のベビーフード

離乳期に入ったら、月齢に合ったベビーフードが備蓄の中心になります。レトルトパウチや瓶詰のウエットタイプは、加熱せずそのまま食べられる製品が多く、お湯も食器も最小限で済みます。

日本ベビーフード協議会の「ベビーフード自主規格 第Ⅵ版」(2024年9月)は、賞味期間の上限の目安として、ウエットタイプの瓶詰は2年6か月、合成樹脂製ラミネート容器(レトルトパウチ)は1年6か月、ドライタイプは1年6か月と定めています(科学的根拠にもとづき別に設定したものを除く)。備蓄の入れ替え周期を考えるときの目安になります。

ベビーフードの容器包装製造形態別の賞味期間の上限の目安(瓶詰2年6か月、合成樹脂製ラミネート容器1年6か月、ドライタイプ1年6か月)は、日本ベビーフード協議会「ベビーフード自主規格 第Ⅵ版」(2024年9月)にもとづきます。

常温で食べられる月齢別のレトルトベビーフード

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常温で食べられる月齢別のレトルトベビーフード

価格の目安: 1袋100〜200円前後(まとめ買いセットで1,500〜3,000円前後)

月齢別に区分が分かれており、具材の大きさや固さがその月齢に合わせて作られているタイプです。開けてそのまま食べられるので、断水中でも器とスプーンだけで食事にできます。備えるときは「今の月齢」ではなく「次の見直しまでに通過する月齢」の分も少し混ぜておくのがコツ。アレルゲン表示を必ず確認し、災害時に初めて食べさせることにならないよう、平時に一度試しておいてください。食べ残しや作りおきは与えないのが原則です。

※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

どれだけ備える?|計算の考え方

農林水産省は家庭備蓄の目安として、最低3日分から1週間分程度の食品を家族の人数分そろえること、ハザードマップで確認した地域のリスクによっては2週間分程度まで考えることを示しています。そして、乳幼児や高齢者、慢性疾患・食物アレルギーのある方など、食事に特別な配慮が必要な要配慮者については、少なくとも2週間分をストックすることを目安としています。乳幼児用の食品は災害時に手に入りにくく、供給が整うまでに時間がかかるためです。

家庭備蓄の日数の目安(最低3日分から1週間分、リスクに応じて2週間分程度)と、要配慮者について少なくとも2週間分という目安は、農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」および同「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」にもとづきます。

では、乳児のミルクは具体的にどれくらいでしょうか。自治体の備蓄計画に、参考になる数字があります。三重県は「三重県備蓄・調達基本方針」(令和元年6月)で、0歳児を対象に、育児用調製粉乳は1人1日あたり140g、乳児用液体ミルクは1リットルを基本とする、と定めています(母乳栄養のみの乳児分を除く)。これは自治体の公的備蓄の算定基準であり、家庭の必要量そのものではありませんが、「1日にどのくらいの量を見込むか」の感覚をつかむには役立ちます。

この数字を使って、完全にミルクで育てている0歳児1人分を機械的に計算すると、次のようになります。

日数粉ミルク液体ミルク(240ml缶)液体ミルク(125ml紙パック)
3日分約420g約13本約24本
1週間分約1,000g約30本約56本
2週間分約2,000g約59本約112本

注意

この表はあくまで上限側の目安です。実際の必要量は月齢・体重・母乳併用の有無で大きく変わり、離乳が進めば授乳量は減っていきます。数字をそのまま鵜呑みにせず、ふだんの1日の使用量(缶なら本数、粉なら回数×1回のスプーン数)を1日だけ記録して、それに日数を掛けるほうが確実です。栄養量や授乳量の判断は、かかりつけの医師・助産師・管理栄養士にご相談ください。

0歳児1人1日あたりの育児用調製粉乳140g・乳児用液体ミルク1リットルという算定は、三重県「三重県備蓄・調達基本方針」(令和元年6月)からの抜粋として、内閣府政策統括官(防災担当)ほかの事務連絡(令和元年10月25日)の別添「災害時における育児用ミルクの備蓄に関する自治体及び民間団体の取組事例」に示されているものです。自治体の公的備蓄の算定基準であり、家庭ごとの必要量を示すものではありません。

現実的には、いきなり2週間分を積み上げるのは大変です。まずは3日分を「調乳が要らないタイプ」でそろえ、そこから1週間分、2週間分へ広げていくのが無理のない順番です。停電・断水がいちばん厳しいのは発災直後なので、最初の3日分こそ液体ミルクの出番になります。

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哺乳瓶が洗えない・消毒できないときの備え

内閣府政策統括官(防災担当)、内閣府男女共同参画局、厚生労働省子ども家庭局母子保健課は、令和元年10月25日付の事務連絡で、災害時には断水や停電等により授乳にあたっての清潔な環境等が確保できない可能性があるとしたうえで、ライフラインが断絶された場合でも水等を使用せずに授乳できる乳児用液体ミルクを母子の状況等に応じて活用するとともに、平時から育児用ミルクおよび使い捨て哺乳瓶や消毒剤等の授乳用品などの備蓄も進めるよう、自治体に求めています。同事務連絡の参考資料では、令和元年台風第19号のプッシュ型支援で長野県に使い捨て哺乳瓶500個が届けられたことにも触れ、使い捨て哺乳瓶は洗浄や消毒が不要で、急な停電や断水、地震などの災害時に備えていればすぐに使えると説明しています。

災害時の授乳環境と、乳児用液体ミルクの活用および使い捨て哺乳瓶・消毒剤等の備蓄を求める内容、使い捨て哺乳瓶が洗浄・消毒不要である旨は、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官・内閣府男女共同参画局総務課・厚生労働省子ども家庭局母子保健課の事務連絡「災害時における授乳の支援並びに母子に必要となる物資の備蓄及び活用について」(令和元年10月25日)にもとづきます。

日本栄養士会の手引きも、災害時には哺乳瓶・乳首を洗浄および消毒することができない状況もあるとして、使い捨て哺乳瓶や乳首を災害備蓄用に準備しておくことは有効だとしています。ただし、一度使用したものの再利用はできません。

哺乳瓶や乳首がまったくないときの代替手段として、同手引きは紙コップ・カップ・スプーンの利用を挙げています。使用する容器はきれいに洗浄して熱湯で十分消毒してから使い、煮沸消毒や薬液消毒ができないときは衛生的な水でよく洗ってから使用します。赤ちゃんの口の中にミルクを流し込むのではなく、縦抱きにして赤ちゃんが自分で飲むようにするのが要点です。

注意

カップを使った授乳(カップフィーディング)について、日本栄養士会の手引きは次の注意を示しています。寝かせたままの姿勢での流し込みや、赤ちゃんが飲まなくなってからの流し込みは危険であること。与えた量の30%以上をこぼすという報告があるため、あらかじめ多めに用意すること。授乳時間は30分までとし、赤ちゃんが自分のペースを保てるようにすること。やり方に不安があるときは、災害時にぶっつけ本番で試すのではなく、平時に助産師や保健師などの専門職に相談しておくと安心です。

使い捨て哺乳瓶の有効性と再利用の禁止、哺乳瓶がないときの紙コップ・スプーン等の利用、カップフィーディングの手順と注意(流し込みの危険、30%以上こぼれるという報告、授乳時間30分まで)は、公益社団法人日本栄養士会・JDA-DAT「災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」にもとづきます。

使うときの注意|温め方・飲み残し・保存

液体ミルクは「開けてそのまま飲ませられる」ぶん、扱いのルールがシンプルです。ただし、いくつか外せない点があります。

消費者庁のリーフレット「乳児用液体ミルクってなに?」は、次のように案内しています。栄養組成は調乳後の粉ミルクと同じで、調乳の手間がなく温め不要でそのまま授乳できること。滅菌済で衛生的だが、飲み残しは雑菌が繁殖しやすいので与えないこと。水で薄めずに与えること。紙パックや缶の場合は清潔な容器に移し替えて与えること。開封後すぐに使用し、飲み残しは与えないこと。容器に破損・膨張等や、色・臭い・味に異常がある場合は使用しないこと。常温保存が可能だが、直射日光、火の近く、夏場の車中等を避けて保存すること。

液体ミルクの使い方・与え方・安全衛生上の注意・保存上の注意は、消費者庁のリーフレット「乳児用液体ミルクってなに?」(特別用途食品)にもとづきます。

日本小児科学会の災害対策委員会と日本小児医療保健協議会栄養委員会も、液体ミルクの使用にあたって、保存にあたっては高温下におかないこと、期限が切れていないか・破損がないかを確認すること、開封したらすぐに使用し飲み残しは使用しないことを示しています。あわせて、液体ミルク・乳児用粉ミルクは母乳代替食品であり、平時も災害時も乳児に推奨されるのは母乳であること、とくに避難所等では感染予防も考慮し、母乳育児をしていた方が母乳育児を継続できるような配慮と対応が必要であることを述べています。

液体ミルクの保存・確認・飲み残しに関する注意と、母乳代替食品の位置づけ・避難所での母乳育児継続への配慮は、公益社団法人日本小児科学会 災害対策委員会および日本小児医療保健協議会栄養委員会「乳児用調整液体乳(液体ミルク)の使用に関しての注意点」にもとづきます。

温め方については、日本栄養士会の手引きが具体的です。常温で保管されていれば温めて与える必要はないこと。温めて与えることもできるが、温め方は説明書に沿うこと。電子レンジは加熱が不均衡で一部に熱い部分(ホット・スポット)ができ、乳児の口にやけどを負わす可能性があるため不可であること。そして、温めたミルクを乳児が飲まなかった場合は保存せずに破棄すること。

注意

電子レンジでの加熱は避けてください。湯せんで温める場合も、製品ごとに可否と方法が異なるため、必ずパッケージの説明書きに従ってください。また、同手引きは、災害時には外国製品が支援物資として届くこともあるとして、外国語の表示、とくに月齢に適した製品であるかを必ず確認するよう注意を促しています。期限表示も日本製品と異なる場合があります(「BBE: 04-20」「USE BY: Apr 20」はいずれも2020年4月まで、「24.11.18」は2018年11月24日まで、といった例が示されています)。

温め方(常温保管なら温める必要はない・温め方は説明書に沿う・電子レンジ不可とホットスポット・温めて飲まなかった場合は破棄)、外国製の支援物資の表示確認と期限表示の読み方は、公益社団法人日本栄養士会・JDA-DAT「災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」にもとづきます。

離乳期・幼児期の食で押さえること

離乳が始まると、備蓄の中身はミルクからベビーフードへ移っていきます。ここで押さえたいのが月齢区分とアレルギー表示です。

日本ベビーフード協議会は、自主規格の中で「〇ヵ月頃から」等と対象月齢を表示することを定めています。同協議会のQ&Aでは、授乳・離乳の支援ガイドに沿って対象月齢を設定していること、対象月齢によって使用できる食材が異なること、月齢によってナトリウム摂取量や具材の大きさ・固さの基準が異なるため、対象月齢よりも小さい子には与えないことが案内されています。ナトリウムについては、自主規格が摂食時の含量を乳児に供する食品では100gあたり200mg以下、幼児に供する食品では100gあたり300mg以下と定めています。

また同Q&Aは、ベビーフードは使い切りが基本で、開封後の冷蔵・冷凍保管は風味や食感が変わることがあるためおすすめしないこと、食べ残しや作りおきは与えないことを示しています。避難生活では「もったいないから取っておく」判断をしがちですが、ここは平時と同じ基準を守るところです。

ベビーフードの対象月齢表示、対象月齢より小さい子に与えないこと、ナトリウム含量の基準、使い切りが基本で食べ残し・作りおきを与えないことは、日本ベビーフード協議会「ベビーフード自主規格 第Ⅵ版」および同協議会のQ&Aにもとづきます。

支援物資や炊き出しの食事を子どもに与えるときは、アレルギー表示に注意が必要です。消費者庁は、食品表示基準の改正により、2026年4月1日から特定原材料(表示義務の対象)にカシューナッツを追加しています。ただし、表示義務があるのは容器包装された加工食品で、炊き出しや量り売り、外食は表示義務の対象外です。国立健康・栄養研究所と日本栄養士会のリーフレットも、炊き出しに含まれる和風だし(さば、えび等)やコンソメ・スープ類(卵・牛乳等)、味噌・醤油・バター(大豆)などの調味料にアレルギーを起こす成分が入っていることがあるとして、医療スタッフに相談するよう案内しています。

同リーフレットは、避難所での離乳食について、5〜6か月の赤ちゃんなら母乳やミルクで代用を、7〜11か月の赤ちゃんならスプーンでつぶしたりお湯を加えておかゆ状に、12か月以降の赤ちゃんなら炊き出しのご飯に味噌汁を入れて簡単なおじやを作ったり、よく煮た大根や芋なら大丈夫、という段階の考え方を示しています。あわせて、生ものと十分に火が通っていない食べ物は絶対に与えないこと、塩分はなるべく控えめにすること、食器やスプーンは清潔にすることを挙げています。

特定原材料へのカシューナッツの追加(2026年4月1日施行)は消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」、炊き出しの調味料に含まれるアレルゲンへの注意と月齢別の離乳食の考え方、生もの・加熱不十分な食品を与えないこと・塩分を控えめにすること・食器を清潔にすることは、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所および公益社団法人日本栄養士会「赤ちゃん、妊婦・授乳婦リーフレット」にもとづきます。

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飲み水についても、ミルクを卒業したあとの子どもには大人と同じ量を当てはめられません。硬度の高いミネラルウォーターを避ける、という調乳時の考え方は、幼児が飲む水を選ぶときにも一度立ち止まる材料になります。家庭の飲料水の備蓄そのものは別の記事にまとめています。

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自治体の備蓄は当てにできる?

自治体が液体ミルクや粉ミルクを備蓄している例は増えています。三重県は令和元年7月下旬から8月上旬にかけて乳児用液体ミルク610缶を県の広域防災拠点に備蓄し、全都道府県で初めて現物での備蓄を行ったと紹介されています。大阪府箕面市は、公立保育所に常時600個の乳児用液体ミルクを備蓄できるよう、ローリングストックの手法を活用して平時も使いながら必要数を確保する取り組みを進めています。国も、被災者の命と生活環境を守るために不可欠な物資として、育児用ミルク(粉ミルク又は乳児用液体ミルク)や哺乳瓶等をプッシュ型で支援する枠組みを持っています。

普及啓発に力を入れている自治体もあります。東京都福祉局は「災害時に備えて 知っていますか?乳児用液体ミルク」として、液体ミルクが災害時に有効に活用されるためには平常時から正しい知識を持つことが大切だとして、専門家監修の動画とリーフレットを公開しています。同局は「妊産婦・乳幼児を守る災害対策ガイドライン」も公開しており、住んでいる地域の資料に一度目を通しておくと、家庭で何を用意すべきかが見えやすくなります。

ただし、これは家庭の備えを不要にするものではありません。三重県の例では、県の備蓄は「セーフティネット」として、孤立地域の発生や物流機能の停止等の不測の事態に備えるものと位置づけられています。国のプッシュ型支援も発災後すぐに届くとは限らず、三重県の考え方では国からのプッシュ型支援が発災後4日目に届けられることを踏まえた計画になっています。そして何より、公的備蓄で銘柄や規格を選ぶことはできません。その子が飲み慣れた製品か、アレルギー対応品かは、家庭で備えるしかない部分です。

三重県の乳児用液体ミルク610缶の備蓄と位置づけ、箕面市のローリングストックによる備蓄、国のプッシュ型支援の枠組み、発災後4日目にプッシュ型支援が届く前提での県の備蓄計画は、内閣府政策統括官(防災担当)ほかの事務連絡(令和元年10月25日)およびその別添「災害時における育児用ミルクの備蓄に関する自治体及び民間団体の取組事例」にもとづきます。自治体ごとの備蓄内容は異なるため、お住まいの自治体の公表情報をご確認ください。

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ローリングストックと見直しのタイミング

乳幼児の備蓄がやっかいなのは、必要なものが数か月で変わることです。買い足した液体ミルクを使い切る前に離乳が進み、月齢に合わないベビーフードが箱の底に残る。これは誰にでも起こります。

先ほどの事務連絡も、災害のために備蓄した育児用ミルクについては、ローリングストック等により有効に活用することが可能であるとして、賞味期限が間近になった育児用ミルクを保育所等の給食の食材として活用することや、防災訓練・啓発活動で正しい使用方法を説明したうえで活用することを例に挙げています。家庭でも発想は同じで、「非常用にしまい込む」のではなく「ふだん使う中に混ぜておく」のが唯一続くやり方です。

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    毎月1回、決まった日に在庫を見る

    月初の予防接種や健診の予定と同じカレンダーに書き込みます。液体ミルクは賞味期限が比較的短いので、月1回の確認がちょうどよい頻度です。
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    期限が近いものから日常で使う

    夜間の授乳、外出、実家への帰省などで意識的に使い、使った分だけ買い足します。これで「災害時に初めて使う」状態を避けられます。
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    月齢が上がったら中身を入れ替える

    離乳が始まったらミルクを減らしてベビーフードを増やし、幼児食に移ったら食べ慣れたレトルトや菓子、飲み物へ。持ち出し袋の中身も同時に見直します。
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    哺乳瓶と乳首の点検も同じタイミングで

    使い捨て哺乳瓶の在庫、乳首のサイズ、消毒剤の期限をまとめて確認します。サイズが合わなくなっていることは珍しくありません。
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    夏と冬の入り口で置き場所を見直す

    液体ミルクも粉ミルクも高温を避ける必要があります。夏前に、直射日光の当たる場所や車内に置いていないかを確認します。

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ローリングストックの始め方|「食べながら備える」を今日から回す3ステップ

乳幼児のミルク・離乳食 備蓄チェックリスト

  • いま使っているミルク(または食べ慣れたベビーフード)の銘柄を書き出した
  • 調乳が要らないタイプ(液体ミルク)で、まず3日分を確保した
  • 1日の使用量を1日だけ記録して、必要量の計算根拠を作った
  • 使い捨て哺乳瓶または紙コップ・スプーンを用意し、カップ授乳の手順を読んだ
  • 哺乳瓶・乳首のサイズと消毒剤の期限を確認した
  • 調乳用の水を国産の軟水で用意し、飲料水の備蓄と分けて置いた
  • カセットコンロとボンベがあり、お湯を沸かせることを確認した
  • アレルギーがある場合、表示を確認済みの製品を多めに備えた
  • 月齢に合ったベビーフードを、次の月齢の分も少し混ぜて備えた
  • 備蓄品の置き場所が高温・直射日光を避けられているか確認した
  • 月1回の在庫確認日をカレンダーに書き込んだ
  • 住んでいる自治体の備蓄品目を公表情報で確認した

よくある質問

液体ミルクだけを備えておけば十分ですか。
最初の数日をしのぐという意味では有効ですが、それだけで長期をカバーするのは現実的ではありません。液体ミルクは単価が高く、消費者庁のリーフレットでも保存期間の目安は紙パックで約6か月、缶で約1年とされています(製品により異なります)。停電・断水が厳しい発災直後を液体ミルクで、ライフラインが戻った後を粉ミルクで、という組み合わせが無理なく続けられます。
粉ミルクをぬるま湯や水で溶かしてもよいですか。
WHO/FAOのガイドラインを受けた案内では、調乳に使う湯は70℃以上を保つこととされています。日本栄養士会の手引きは、どうしても沸騰したお湯を準備できない場合には乳児に適した衛生的な水で溶かすとしつつ、70℃に満たないお湯や水での調乳は粉ミルク中のE.Sakazakiiを完全に不活性化させるのに十分な温度には到達していないと明記しています。お湯が用意できない状況が想定されるなら、水を足して調乳するより、初めから調乳の要らない液体ミルクを備えるほうが確実です。
液体ミルクは温めたほうがよいですか。電子レンジは使えますか。
日本栄養士会の手引きは、常温で保管されていれば温めて与える必要はないとしています。温めて与えることもできますが、温め方は製品の説明書に沿ってください。電子レンジは加熱が不均衡で一部に熱い部分(ホットスポット)ができ、乳児の口にやけどを負わす可能性があるため不可とされています。なお、温めたミルクを乳児が飲まなかった場合は保存せずに破棄します。
飲み残したミルクは、次の授乳まで取っておけますか。
取っておかないでください。消費者庁のリーフレットは、滅菌済で衛生的だが飲み残しは雑菌が繁殖しやすいので与えないよう案内しています。日本小児科学会の災害対策委員会等も、開封したらすぐに使用し飲み残しは使用しないことを示しています。粉ミルクについても、日本栄養士会の手引きは授乳の都度調乳してすぐに授乳することが最善で、残ったミルクは処分するとしています。
哺乳瓶を消毒できないときはどうすればよいですか。
使い捨ての哺乳瓶や乳首を備えておく方法と、紙コップやスプーンで飲ませる方法があります。使い捨て哺乳瓶は洗浄や消毒が不要で、一度使ったものの再利用はできません。カップで飲ませる場合は、赤ちゃんを縦抱きにして自分で飲めるようにし、寝かせたままの流し込みは避けます。手順に不安があれば、平時に助産師や保健師などの専門職に確認しておくと安心です。
ベビーフードは何か月分くらい備えればよいですか。
農林水産省は、食事に特別な配慮が必要な要配慮者について少なくとも2週間分を目安として示しています。ただし乳幼児は月齢で必要なものが変わるため、2週間分を一度にそろえて長期保管するより、ふだん使う分を少し多めに持って回すローリングストックのほうが実際には無駄が出ません。日本ベビーフード協議会の自主規格では賞味期間の上限の目安がレトルトで1年6か月、瓶詰で2年6か月とされていますが、月齢が合わなくなるほうが先に来る点に注意してください。
母乳育児ですが、ミルクも備えるべきですか。
備えとして持っておくこと自体は、選択肢を増やす意味があります。日本栄養士会の手引きは、母乳代替食品や使い捨て哺乳瓶等を災害時のために備えておくことは、とくに生後6か月未満の乳児の命を守るために大変重要だとしています。一方で、母乳育児をしていた方が授乳を中断すると母子の心身に影響がある場合もあるため、母乳代替食品の使用は一律に推奨したり安易に進めたりせず慎重に行うよう示しています。備えることと切り替えることは分けて考え、実際の判断は医療スタッフや管理栄養士・助産師に相談してください。
支援物資で外国製のミルクが届いたら使ってよいですか。
日本栄養士会の手引きは、災害時には外国製品が支援物資として届くこともあるとして、外国語の表示に注意すること、とくに月齢に適した製品であるかを必ず確認することを求めています。期限表示の書式も日本製品と異なる場合があります。判断に迷うときは、避難所の医療スタッフや管理栄養士に確認してください。

まとめ|最初の3日を「調乳が要らない形」で持つ

乳幼児の備えでいちばん効くのは、点数を増やすことではなく、順番を決めることです。まずは、お湯も水も洗い物も要らない液体ミルク(または月齢が上なら常温で食べられるベビーフード)で、最初の3日分を確保する。次に、使い捨て哺乳瓶か紙コップという「飲ませる手段」を用意する。そのうえで、カセットコンロと調乳用の軟水がそろっているなら、粉ミルクで1週間分、2週間分へと厚みを足していく。この順番なら、限られた予算と収納でも積み上げられます。

そして、備えたものは必ず一度使ってみてください。缶の開け方、アタッチメントの付け方、紙コップでの飲ませ方。どれも初めて触るのが被災した夜、というのは避けたい状況です。ふだんの夜間授乳や外出でひととおり試しておけば、それだけで当日の負担がずいぶん軽くなります。

最後に、ここで挙げた数値や手順はいずれも公的機関や専門団体が示す一般的な目安です。お子さんの月齢・体重・体調、そしてアレルギーの有無によって適切な選択は変わります。実際の判断は、かかりつけの医師・助産師・管理栄養士、そしてお住まいの自治体の最新情報を優先してください。「もしも」の授乳を、「いつも」の延長線上に置いておきましょう。

出典・参考

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