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マイナンバーカードで変わる被災者支援|避難所受付のデジタル化と罹災証明書のオンライン申請、家庭の準備

カエデ避難計画・防災情報担当
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マイナンバーカードで変わる被災者支援|避難所受付のデジタル化と罹災証明書のオンライン申請、家庭の準備

避難所の受付でマイナンバーカードをタブレットにかざす。罹災証明書をスマートフォンから申請する。数年前まで実験段階だった話が、2026年にはニュースで名前を見かけるところまで来ました。とはいえ「わが家に何か関係があるのか」「今のうちに何をしておけばいいのか」は、なかなか見えてきません。

この記事は、デジタル庁や厚生労働省が公開している一次情報をもとに、被災者支援のデジタル化がいまどこまで来ているのかを整理したうえで、家庭側で今日できる準備に落とし込みます。制度の細かい解説より、「わが家のカードは使える状態か」を確かめるところに軸を置きました。

2026年、被災者支援のデジタル化はどこまで来たか

まず全体像です。家庭に関係する動きは、大きく次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

場面いま起きていること家庭にとっての意味
避難所に入るときマイナンバーカードなどで受付をデジタル化する実証が各地で実施受付が早くなる。配慮が必要な情報を伝えやすくなる
被災後の手続き罹災証明書をマイナポータルからオンライン申請できる自治体が拡大窓口に並ばずに申請できる場合がある
避難先での医療被災地の医療機関でオンライン資格確認の災害時機能が使えるようになる保険証がなくても受診でき、薬の情報を共有しやすい

いずれも「マイナンバーカードを持っていれば自動的に全部が便利になる」というものではありません。自治体の対応状況に差があり、実証段階のものもあります。それでも、平時にカードを使える状態にしておくかどうかで、被災後の動きやすさに差が出る場面は確実に増えています。なお総務省の公表では、マイナンバーカードの保有枚数率は令和8年7月末時点で84.0パーセントです。多くの世帯にカードがある前提で、仕組みが設計されつつあります。

保有枚数率は総務省「マイナンバーカードの保有状況について(令和8年7月末時点)」にもとづきます。

避難所の受付がデジタルになる

手書きの受付が、初動のボトルネックになっていた

災害が起きたとき、避難所の入口では避難者が用紙に氏名や住所を書き、職員がそれを手作業で集計する運用が長く続いてきました。デジタル庁ニュースが取材した三重県名張市の例でも、市内52か所の指定避難所で手書きの受付方式が取られてきたと紹介されています。さらに令和6年能登半島地震では、自治体職員自身も被災して初動対応にあたれないという課題が明らかになりました。名張市危機管理室の担当者は、記入作業に時間がかかること、今後は避難した人たちが力を合わせて避難所を運営し、行政がそれを支援する形が必要になることを、デジタル庁の取材に語っています。

名張市の指定避難所数、従来の受付方式、担当者の発言は、デジタル庁ニュース「限られた人材で初動対応を乗り越える。マイナンバーカードを活用した避難者受付のデジタル化実証(三重県名張市)」(2026年4月15日公開)にもとづきます。

2026年2月、三重県名張市での実証

デジタル庁は2026年2月、名張市の協力を得て、自ら開発した「マイナンバーカード避難者受付アプリ」を使った実証を行いました。デジタル庁が公表した資料によると、実施の概要は次のとおりです。

項目内容
実施自治体三重県名張市
実施日2月25日(水)14時00分から16時15分
会場百合が丘市民センター(名張市指定避難所)
参加者市職員、地域住民、デジタル庁、内閣府防災担当、防災DX官民共創協議会
使用端末避難所はAndroidタブレット(受付用)、市・県災害対策本部はPC(情報参照用)

受付に使えるカードは、実物のマイナンバーカード、iPhoneのマイナンバーカード、運転免許証、そして受付用ICカードの4種類とされています。何も持たずに逃げてきた人には、避難所の受付で受付用ICカードを発行して避難者情報を登録する運用です。

実施日・会場・参加者・使用端末・受付に使えるカードの区分は、デジタル庁 国民向けサービスグループ防災班「マイナンバーカードを活用した避難者受付アプリに関する自治体実証」(2026年2月27日付け資料)にもとづきます。

実際の流れはシンプルで、避難者はカードをタブレットにかざして読み取り、表示された氏名や住所に間違いがないかを確認します。そのあと同伴者の数やけがの有無といった簡単な補足情報を入力すれば受付は完了です。受付時に聞き取れなかった詳しい配慮情報は、受付後からでも追加で入力できるとされています。

ヒント

この実証には約20名の市民が参加し、避難者役だけでなく受付役も担当しました。参加した人からは「簡単でした」「普通にタブレットやスマホを使っている人だったら、全然問題ないです」という声や、毎年の防災訓練でこのアプリに慣れておけば発災後に実践できそうだ、という意見が紹介されています。

数字で見ると、どのくらい早くなるのか

デジタル庁は2022年度から避難所運営のデジタル化に関する実証事業を続けています。2024年度は石川県の協力を得て、2025年2月18日に金沢市の石川県地場産業振興センターで実証を行い、実験参加者56名と見学者約80名の合わせて約140名が参加しました。

このときの主な成果として、マイナンバーカードで入所した場合、手書きの場合と比べて入所手続きに要する時間を約9割削減できたことが挙げられています。速報値として、1人当たりの平均所要時間はアナログ業務が333秒、デジタル業務が32秒と示されています。あわせて、通信途絶を想定してStarlinkを用いた通信環境下でもシステムが安定稼働することが確認されています。

実証の日時・場所・参加人数、約9割削減という結果と333秒/32秒という速報値、Starlinkによる検証は、デジタル庁「デジタル庁における防災DXの取組」(国民向けサービスグループ)にもとづきます。数値は速報値であり、条件によって変わります。

5分かかっていた受付が30秒で終わる、と考えると変化の大きさが想像できます。雨や寒さのなかで列に並ぶ時間が短くなること、そして職員が受付から解放されて他の対応に回れることが、この仕組みのいちばんの狙いです。

通信が切れていても動く設計になっている

災害時のデジタル化で真っ先に心配になるのが「停電と通信断で使えないのでは」という点です。デジタル庁の資料では、令和7年度の「マイナンバーカード被災者情報把握システム」について、アプリやシステムを導入していない自治体でも構築なくすぐに使えること、電波(インターネット環境)がない場所でも使えること、指定避難所以外でもマイナンバーカードや運転免許証等で入退所受付ができることを満たすツールとして準備する、とされています。

最後の「指定避難所以外でも受付できる」という条件は、家庭にとって意外に大きな意味があります。名張市の担当者も、避難所以外に避難している人の把握が非常に重要になり、ポータブルかつオフラインで動く仕組みがあれば、こちらから出向いて把握することもできるのではないか、とデジタル庁の取材に語っています。在宅避難や車中泊、親戚宅への避難を選んだ世帯が「支援の対象から漏れる」問題への手当てとして期待されている部分です。

令和7年度のマイナンバーカード被災者情報把握システムの3つの要件はデジタル庁「マイナンバーカードを活用した避難者受付アプリに関する自治体実証」、避難所以外の避難者の把握に関する発言はデジタル庁ニュース(2026年4月15日)にもとづきます。

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いま使える自治体は限られる、という前提で考える

ここは冷静に押さえておきたいところです。名張市の取り組みも石川県の取り組みも「実証」であり、全国の避難所ですぐに同じ受付ができるわけではありません。デジタル庁は防災分野の施策として、避難所運営等のデジタル化に関するモデル仕様書の改定や、マイナンバーカードの利活用検討(スマートフォン搭載型を含む)を進めているという段階です。一方で、民間サービスとしての避難所チェックインシステムをすでに導入している自治体もあり、デジタル庁が自治体向けに配信している「マイナンバーカード・インフォ」では、カードをかざすだけで暗証番号の入力なしに避難登録ができる製品の導入事例が紹介されています。

メモ

上記の事例では、券面とICチップを同時に読み取ることで暗証番号の入力なしに登録できるとされています。ただし受付の方式は自治体や導入システムによって異なります。「暗証番号を聞かれることはない」と決めつけず、当日は受付の案内に従ってください。

注意

避難所の受付で、必要以上に個人番号(12桁のマイナンバー)そのものを口頭で伝える必要はありません。受付にカードを使う場合も、行われるのは本人確認と氏名・住所などの読み取りです。不審に感じたときは、その場の職員に確認して構いません。

罹災証明書のオンライン申請

罹災証明書は、生活再建の入口になる書類

罹災証明書は、災害で住家に被害を受けた方の申請により、被害の程度を証明する書面として市町村長が交付するものです。被災者生活再建支援金の給付や、税・保険料・公共料金の減免や猶予など、被災者向けの各種支援策を申請するときに必要になります。

制度そのものの解説と、保険・現金・重要書類の備えについては、別の記事で詳しく整理しています。この記事では「デジタルで申請する」部分に絞ります。

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マイナポータルからの申請手順

デジタル庁は、マイナンバーカードを利用してマイナポータルからオンラインで罹災証明書の発行を申請できることを案内しています。申請のために役所を訪問することなく、待たずに申請できるのが利点です。手順は次のとおりです。

  1. 1

    マイナポータルにアクセスする

    マイナポータルアプリ、またはブラウザからマイナポータルにアクセスします。スマートフォンで手続きするなら、平時のうちにアプリを入れておくと当日あわてません。
  2. 2

    「さがす」を押し、提出先の自治体を設定する

    被災した住まいのある市区町村を設定します。この設定は後から変更できます。
  3. 3

    「防災・被災者支援」のカテゴリを選ぶ

    「さがす」画面下部の「カテゴリから検索」にある「防災・被災者支援」を選びます。キーワード入力欄に「罹災証明書」または「り災証明書」と入れて探すこともできます。
  4. 4

    「【災害】罹災証明書の発行申請」を選ぶ

    検索結果の一覧から該当の手続きを選びます。
  5. 5

    説明を確認して「申請する」から入力する

    申請に関する説明を確認し、画面下部の「申請する」ボタンから必要項目を入力します。「ログインする」ボタンが表示される場合は、ログイン後に「申請する」が表示されます。

入力の途中で中断できるのも、被災時にはありがたい仕様です。画面最下部の「入力中の申請データを保存する」を押して申請データを保存しておけば、あとから「申請再開」ページで保存したデータをアップロードして続きから入力できます。

申請手順、カテゴリ名、手続き名、入力データの保存と再開の方法は、デジタル庁公式note「罹災証明書(り災証明書)をマイナポータルから申請する方法」(2026年4月28日更新)および「罹災証明書(り災証明書)をオンラインで申請する方法【令和8年熊本地震】」(2026年7月30日)にもとづきます。

「対応している自治体」でなければ使えない

ここが最も注意が必要な点です。デジタル庁は、マイナポータルでの申請可否は自治体によって対応状況が異なると明記しています。対応していない自治体では、そもそも「防災・被災者支援」のカテゴリが表示されない場合があります。

実際、令和8年熊本地震では、災害救助法の適用自治体のうちオンライン申請ができる自治体をデジタル庁が調べて一覧にまとめ、2026年8月4日時点の状況として公開しました。マイナポータル経由で受け付ける市町村もあれば、自治体独自の申請フォームで受け付ける市町村もあり、全戸調査を予定しているため現時点では申請自体が不要とされた町もあります。同じ被災地でも入口はばらばら、というのが実情です。

注意

オンライン申請には、マイナンバーカードまたはスマホ用署名用電子証明書を設定済みのスマートフォンによる電子署名が必要となる場合があります。電子署名をしなかった場合には、別途本人確認書類の提出が必要となる場合があります。ここでつまずかないために、後述する電子証明書の有効期限と暗証番号の確認が効いてきます。

現地調査と「自己判定方式」

オンラインで申請できても、被害の程度は自動では決まりません。罹災証明書の発行にあたっては、内閣府の「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」などに基づいて市町村の調査員が現地で被害認定調査を行い、全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・準半壊に至らない(一部損壊)の区分で被害の程度を判定します。

ただし例外があります。住家の損害割合が明らかに10パーセント未満で、申請する方が「準半壊に至らない(一部損壊)」という調査結果に同意できる場合には、現地調査を行わず、写真により被害認定を行う場合があります。これを自己判定方式と呼びます。

ヒント

どちらのルートでも、被害の写真が手続きを助けます。片付けを始める前に、建物の外観を四方向から、被害箇所は近くからと引きで、浸水した場合は水の跡の高さが分かるように撮っておくと、その後の説明がスムーズです。撮影日時が記録されるスマートフォンでの撮影が便利です。

被害認定の区分と自己判定方式の説明は、デジタル庁公式noteおよび内閣府「災害に係る住家の被害認定」にもとづきます。実際の認定は市区町村の調査によります。

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避難先での医療とマイナポータル

保険証を持ち出せなくても受診できる

急いで避難したとき、保険証は家に置いたままになりがちです。厚生労働省は令和8年熊本地震に際して、被災に伴い被災者がマイナ保険証または資格確認書等を保険医療機関に提示できない場合においても医療保険による受診が可能である旨を、関係団体や都道府県などに周知するよう要請しました(2026年7月28日)。あわせて、被災者がマイナンバーカードを持参できない場合でもオンライン資格確認システムで薬剤情報等が提供可能となる緊急時機能のアクティブ化が実施されています。

これは医療機関側で使われる「災害時医療情報閲覧機能」(災害時モード)の仕組みです。厚生労働省は、オンライン資格確認等システムを導入している被災地域の医療機関・薬局では、患者がマイナンバーカードを持参していない場合でも、氏名・生年月日・性別・住所等で薬剤情報・診療情報・特定健診情報の閲覧ができると案内しています。保険者番号や記号・番号、枝番といった資格情報の一部も確認できます。令和8年熊本地震では、この機能をアクティブ化した医療機関・薬局の一覧が厚生労働省のサイトに掲載されました(アクティブ化の期間は2026年8月10日まで)。

周知要請と緊急時機能のアクティブ化は厚生労働省「熊本を震源とする地震について(第14報)」(令和8年7月29日14時00分現在)、災害時医療情報閲覧機能の説明とアクティブ化の期間は同省「オンライン資格確認について」の「災害時・障害時の対応について」にもとづきます。対象期間や対象施設は災害ごとに定められます。

家庭側でできるのは「自分の薬の情報を見せられるようにしておくこと」

医療機関側の仕組みは頼もしいのですが、災害時モードが使えない場所もあります。厚生労働省はその場合の代替として、マイナンバーカードを持っている人は自分や家族のスマートフォンからマイナポータルにログインすれば、自分自身の過去の医療情報を確認できることを案内しています。避難所で医療関係者に、普段飲んでいる薬や特定健診のデータを共有したい場合にも使える、という位置づけです。

操作は、マイナポータルにログインし、「わたしの情報」から「健康・医療」を開き、「診療・薬剤情報」で表示対象日を選んで表示する、という流れです。ログインには4桁の暗証番号(利用者証明用電子証明書のパスワード)の入力が必要になります。資格情報や電子処方箋の処方・調剤情報も確認できます。

操作手順と4桁の暗証番号が必要である点は、厚生労働省のリーフレット「被災者の方の服薬履歴等を確認できます!」にもとづきます。閲覧できる情報の範囲は制度改正により変わることがあります。

メモ

マイナポータルで見られるのは、保険診療で処方された薬などの記録です。市販薬やサプリメント、医療機関にかからずに続けている対処は記録に残りません。お薬手帳や、常用薬をメモした紙が不要になるわけではない、と考えておくと安全です。

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家庭の準備1|カードと電子証明書の有効期限を確かめる

ここからが本題です。被災したその日に使えるかどうかは、平時の状態で決まります。まず確認したいのが有効期限で、実はカード本体と電子証明書で期限が別々です。

対象有効期間
マイナンバーカード本体発行日から10回目の誕生日まで(18歳未満は5回目の誕生日まで)
電子証明書(署名用・利用者証明用)年齢を問わず、発行日から5回目の誕生日まで

つまり、カード本体はまだ有効なのに、中の電子証明書だけが切れている、という状態が普通に起こります。電子証明書が切れていると、マイナポータルへのログインもオンライン申請もできません。「カードはある」と安心していると、いざというときにつまずくのはここです。

更新は、有効期間の満了する日までの期間が3か月未満になった日から手続きができ、有効期限の2か月から3か月前を目途に有効期限通知書が送付されます。更新にかかる手数料は無料です。

有効期間と更新開始時期、通知書の送付時期、手数料無料である点は、マイナンバーカード総合サイト(J-LIS)「更新手続きについて」および政府広報オンラインの案内にもとづきます。電子証明書の有効期間は公的個人認証サービス ポータルサイトでも同様に示されています。

注意

引越しや結婚などで住民票の氏名・住所などが変わると、署名用電子証明書は失効します(利用者証明用電子証明書は失効しません)。転居の手続きのついでに署名用電子証明書を再発行しておかないと、罹災証明書のオンライン申請で必要になる電子署名ができない、ということが起こり得ます。

住民票の基本4情報(氏名、生年月日、性別、住所)の記載が修正された場合に署名用電子証明書が失効する点は、公的個人認証サービス ポータルサイト「電子証明書の有効期間と失効」にもとづきます。

家庭の準備2|暗証番号を「思い出せる状態」にしておく

4種類あることを知っておく

マイナンバーカードの暗証番号は1つではありません。公的個人認証サービス ポータルサイトでは、次の4種類が示されています。

種類桁数・形式主な用途の例
署名用パスワード半角6文字から16文字。数字とアルファベット(大文字)の混在が必須電子署名を伴うオンライン申請
利用者証明用パスワード数字4桁マイナポータルへのログインなど
券面事項入力補助用パスワード数字4桁券面情報の読み取りを伴う手続き
個人番号カード用(住民基本台帳用)パスワード数字4桁窓口での手続きなど

家庭で困りやすいのは、数字4桁のものを3種類とも同じ番号にしているか別々にしているかを覚えていないケースです。交付時にどう設定したかを、家族で一度確かめておくと安心です。

ロックされると窓口に行くしかなくなる

パスワードを連続して間違えるとロックがかかります。署名用パスワードは5回連続、利用者証明用パスワードは3回連続で誤入力するとロックされ、その電子証明書は利用できなくなります。

ロックがかかった場合は、発行を受けた市区町村窓口でロック解除とパスワード初期化の申請をして再設定します。なお、署名用と利用者証明用のどちらか一方が使える状態であれば、スマートフォンアプリとコンビニのキオスク端末を利用して初期化できる場合があります。

パスワードの種類・形式、ロックまでの回数、解除方法は、公的個人認証サービス ポータルサイト「パスワードの失念」にもとづきます。窓口での手続きには顔写真付き公的証明書による本人確認が必要とされています。

注意

災害の直後は、市区町村の窓口が被災者対応で大変混雑します。「そのときに窓口へ行けばいい」は成り立ちにくい状況です。パスワードのロックだけは、平時のうちに解いておきたい種類のつまずきです。

暗証番号の管理が難しい家族には「顔認証マイナンバーカード」

暗証番号の設定や管理に不安がある方のために、暗証番号の設定が不要な「顔認証マイナンバーカード」があります。お住まいの市区町村窓口で手続きでき、すでにカードを持っている場合はカードを持参すれば設定の切り替えができます。代理人による手続きも可能です。ただし暗証番号を使う機能は制限されるため、マイナポータルでのオンライン申請などには使えません。高齢の家族について「窓口や医療機関で本人確認ができれば十分」なのか「オンライン申請もしたい」のかを踏まえ、迷う場合は市区町村窓口に相談してください。

顔認証マイナンバーカードの申請方法・切り替え可否は、マイナンバーカード総合サイト(J-LIS)のよくあるご質問にもとづきます。利用できる機能の詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

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家庭の準備3|スマートフォンに載せておく

カード本体を持ち出せなくても、スマートフォンがあれば手続きができる。これが、ここ数年で最も家庭に効いた変化かもしれません。

  • iPhone: 2025年6月24日から「iPhoneのマイナンバーカード」が始まり、Apple Walletにマイナンバーカードの機能を追加できるようになりました。名張市の実証でも、受付に使えるカードの1つとして扱われています。
  • Android: 「Androidスマホ用電子証明書搭載サービス」により、スマートフォンに電子証明書を搭載できます。デジタル庁は、このサービスを刷新して「Androidのマイナンバーカード」として提供する予定を告知しています。

iPhoneのマイナンバーカードおよびAndroidスマホ用電子証明書搭載サービスの内容は、デジタル庁のサービスサイトにもとづきます。対応機種や利用できる機能は更新されるため、最新情報は各サービスサイトでご確認ください。

ヒント

スマートフォンに搭載しておくと、避難の途中でカード本体を持ち出せなくても、マイナポータルへのログインや電子署名ができる可能性が残ります。ただし搭載にはカード本体と暗証番号が必要なので、「なくしてから搭載する」ことはできません。搭載できる端末もカード1枚につき1台です。カードを財布に入れ、スマートフォンにも載せておく二重化を、平時のうちに済ませておきましょう。

停電が続けばスマートフォンも使えなくなります。電源の備えは、デジタル前提の備えとセットです。

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家庭の準備4|家族の分をどう管理するか

小さな子どものマイナンバーカードは、本人に持たせるより保護者が保管しているご家庭が多いと思います。避難所受付でのカード利用を考えると、家族全員分がどこにあるかを一箇所で把握できているかが問われます。また、マイナポータルでは代理人の設定をすると家族の情報を見られるようになり、親が子どもの予防接種の履歴などを確認する使い方が想定されています。設定には本人と代理人の双方のマイナンバーカードが必要です。

代理人設定で家族の情報を閲覧できる点と、双方のカードが必要である点は、マイナポータルのよくある質問にもとづきます。利用できるサービスの範囲は変更されることがあります。

家族で確認しておくカードの情報

  • 家族全員分のカードの保管場所を、全員が知っている
  • カード本体の有効期限を、家族分まとめて控えてある
  • 電子証明書の有効期限も別に控えてある
  • 数字4桁の暗証番号を、3種類同じにしたか別にしたかを覚えている
  • スマートフォンに搭載済みかどうかを、家族分整理してある
  • 紛失時の連絡先(マイナンバー総合フリーダイヤル)を控えてある

注意

暗証番号そのものを紙に書いてカードと一緒に保管するのは避けてください。控えるなら「設定した年」「どの番号を共通にしたか」といった思い出す手がかりにとどめ、番号そのものはカードとは別の場所で管理します。

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家庭の準備5|なくしたときの動き方を決めておく

災害時は、カードを紛失する場面が増えます。避難の混乱、浸水や倒壊による焼失・埋没、避難所での置き忘れ。いずれの場合も、最初にすることは同じです。

  1. 1

    まず一時利用停止の電話をする

    マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178、音声ガイダンス2番)で、24時間365日、一時利用停止を受け付けています。通話は無料で、英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語にも対応しています。マイナンバーカードと電子証明書を搭載したスマートフォンを紛失した場合も同じ番号で受け付けています。
  2. 2

    見つかったら市区町村窓口で停止を解除する

    一時停止したあとにカードが見つかった場合は、市区町村にカードを持参して一時停止を解除すれば、引き続き使えます。
  3. 3

    見つからなければ再交付を申請する

    紛失・破損等による再交付は特急発行・交付制度の対象とされており、対象の事由が発生してから30日以内に市区町村窓口で申請すると、原則1週間で自宅にカードが届く仕組みです。再交付の手数料は2000円(電子証明書が不要な場合は1800円)とされています。

一時利用停止の受付体制と電話番号はマイナンバーカード総合サイト(J-LIS)「紛失・一時停止/セキュリティ」、特急発行・交付制度の対象・期間・手数料は同サイト「特急発行・交付制度による申請方法」にもとづきます。災害時の手数料の取り扱いは自治体が別途定めることがあるため、窓口でご確認ください。

メモ

カードを紛失しても、写真付きであることや券面の特殊加工、ICチップの保護により、第三者が容易になりすませる作りにはなっていないとJ-LISは説明しています。ICチップには税や年金などプライバシー性の高い情報は記録されていません。落ち着いて、まず一時停止の電話をかけてください。

デジタルが使えない場面のために、紙も残しておく

ここまでデジタルの話を続けてきましたが、最後に添えておきたいことがあります。被災直後は、停電・通信断・端末の水没・充電切れが同時に起こり得ます。避難所の受付がデジタル化されていても、それはあくまで自治体側の仕組みです。加えて、罹災証明書のオンライン申請に対応していない自治体もあり、マイナポータルで「防災・被災者支援」のカテゴリが出てこなければ、窓口や郵送など従来の方法で申請することになります。

注意

「マイナンバーカードがあるから紙は要らない」という置き換えにはなりません。本人確認書類のコピー、保険証券の番号、通帳の口座番号、当座の現金。これらの備えは、デジタル化が進んだあとも並行して残しておくのが現実的です。
熊本の地震のニュースで罹災証明書をスマホで申請できると知って、自分のマイナポータルを開いてみたんです。そうしたら電子証明書の期限が半年前に切れていました。カードは財布にあったので、まったく気づいていませんでした。休みの日に役所へ行って更新してきます。
小学生の子ども2人と暮らす読者

備えの点検日に、カードの期限確認を組み込んでおくと忘れません。年に数回の見直しの流れは、こちらで整理しています。

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お住まいの自治体の対応状況を確かめる

繰り返しになりますが、この分野は自治体差がとても大きい領域です。国の実証が進んでいることと、自分の住む町でそれが使えることは別です。次の順で確認すると、無理なく現在地が分かります。

  1. 1

    市区町村サイトで「避難所」「防災アプリ」を検索する

    避難所の受付方法や、市が導入している防災アプリ・避難所システムの案内が見つかることがあります。防災訓練の案内に「受付のデジタル化」が含まれている場合もあります。
  2. 2

    マイナポータルで自分の自治体を設定し、カテゴリを見る

    「さがす」で提出先の自治体を設定したうえで、「防災・被災者支援」のカテゴリが表示されるかを確認します。平時にここを一度開いておくだけで、被災後の見通しが立ちます。
  3. 3

    分からないことは防災担当課に聞く

    避難所の受付方法や罹災証明書の申請方法は、危機管理課・防災対策課などが窓口です。マイナポータルの操作で迷ったときは、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)でも相談できます。地域の防災訓練に受付のデジタル化を取り入れている自治体もあり、名張市の実証でも「毎年の防災訓練でこのアプリを用いて慣れていけば実践できそう」という声が出ていました。

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よくある質問

マイナンバーカードがないと避難所に入れないのですか
いいえ。マイナンバーカードは受付を早くするための手段の1つです。デジタル庁の実証では、受付に使えるものとしてマイナンバーカードのほかにiPhoneのマイナンバーカード、運転免許証が挙げられており、何も持たずに逃げてきた人には受付用ICカードを発行して登録する運用が示されています。カードの有無で避難の可否が決まるものではありません。
罹災証明書はどの自治体でもマイナポータルから申請できますか
いいえ。デジタル庁は、マイナポータルでの申請可否は自治体によって対応状況が異なると明記しています。対応していない自治体では「防災・被災者支援」のカテゴリ自体が表示されない場合があります。自治体独自の申請フォームを用意している例や、全戸調査を行うため申請が不要とされる例もあります。必ずお住まいの自治体の案内をご確認ください。
カードの有効期限と電子証明書の有効期限は同じですか
違います。マイナンバーカード本体は発行日から10回目の誕生日まで(18歳未満は5回目の誕生日まで)、電子証明書は年齢を問わず発行日から5回目の誕生日までです。カードは有効でも電子証明書だけが切れていることがあり、その状態ではマイナポータルへのログインやオンライン申請ができません。
暗証番号を忘れてロックされたらどうなりますか
署名用パスワードは5回連続、利用者証明用パスワードは3回連続で誤入力するとロックがかかり、その電子証明書が使えなくなります。解除は発行を受けた市区町村窓口で行いますが、どちらか一方が使える場合はスマートフォンアプリとコンビニのキオスク端末で初期化できる場合があります。災害後は窓口が混み合うため、平時に解消しておくことをおすすめします。
保険証を持ち出せませんでした。避難先で受診できますか
厚生労働省は令和8年熊本地震に際し、被災者がマイナ保険証や資格確認書等を提示できない場合でも医療保険による受診が可能である旨を周知するよう要請しています。また被災地域では、オンライン資格確認の災害時医療情報閲覧機能により、カードがなくても氏名・生年月日・性別・住所等で薬剤情報などを確認できる運用が取られます。窓口で被災した状況を伝えてください。
マイナンバーカードは持ち出し袋に入れておくべきですか
一概には言えません。ふだん財布に入れて携帯している方はそのままで構いませんし、自宅で保管している方は、避難時に持ち出す優先順位の高いものとして置き場所を決めておく方法があります。いずれの場合も、スマートフォンへの搭載やコピーの分散保管を併用しておくと、失ったときの影響を小さくできます。

まとめ|「持っている」から「使える状態にしてある」へ

2026年の被災者支援は、確実にデジタルの側へ動いています。避難所の受付は約9割の時間短縮が実証され、罹災証明書はスマートフォンから申請できる自治体が広がりました。避難先の医療でも、カードがなくても薬の情報を引き出せる仕組みが災害のたびに動いています。

ただし、その恩恵を受けられるかどうかは、平時にカードを「使える状態」にしてあるかで決まります。カード本体の期限、電子証明書の期限、暗証番号、スマートフォンへの搭載、家族分の把握。この5つを確かめるだけなら、休日の30分で足ります。

今日はまず、マイナポータルにログインしてみてください。ログインできれば、利用者証明用の暗証番号も電子証明書も生きているということです。ログインできなければ、そこが最初に埋めるべき穴です。制度や対応状況は変わっていくため、実際の手続きにあたっては、デジタル庁と厚生労働省、そしてお住まいの自治体の最新の案内を必ずご確認ください。

マイナンバーカードの防災点検リスト

  • マイナンバーカード本体の有効期限を確認した
  • 電子証明書の有効期限を確認した(本体とは別)
  • マイナポータルにログインできることを確かめた
  • 数字4桁の暗証番号を、3種類同じにしたか別にしたか把握している
  • スマートフォンにマイナンバーカードの機能を搭載した
  • 家族全員分のカードの保管場所を共有した
  • マイナポータルで自分の自治体を設定し、防災・被災者支援のカテゴリを確認した
  • 紛失時のマイナンバー総合フリーダイヤルを控えた
  • 本人確認書類のコピーと当座の現金も、これまでどおり備えている

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被災後の生活再建でものを言うのは、事前に整えた「紙」と「お金」です。本人確認書類や保険証券のコピーを分散して保管し、当座の現金を小銭ごと用意し、罹災証明書と被災者生活再建支援制度のしくみを知っておく。今日からできる、暮らしを立て直すための備えをまとめました。