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停電すると水も止まる|台風25号で千葉県に起きた「停電によるポンプ停止」の断水と、高台・山あいの家が確かめておくこと

ツムギ・住まいの防災・ライフライン担当
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停電すると水も止まる|台風25号で千葉県に起きた「停電によるポンプ停止」の断水と、高台・山あいの家が確かめておくこと

台風が通り過ぎて雨がやみ、道路の冠水も引いた。それなのに、蛇口をひねっても水が出ない。2026年9月の台風第25号のあと、千葉県の房総半島では、そんな断水が何日も続いた地区がありました。国土交通省の資料で断水の原因欄を見ると、「水道管の破損」と並んで「停電によるポンプ停止」という言葉が何度も出てきます。水道管は無事でも、水を高いところへ送り上げるポンプが電気で動いているため、停電が続くあいだは水も止まったままになる、という連鎖です。この記事では、台風第25号の断水を原因別に整理し、電気が止まると水が止まりやすい家の条件と、わが家がそれに当てはまるかを平時に確かめる手順をまとめます。

本記事の台風第25号の数値は、国土交通省「令和8年台風第25号による被害状況等について」(第6報〜第9報)、千葉県「第5回千葉県災害対策本部会議資料」、かずさ水道広域連合企業団の断水・応急給水のお知らせにもとづきます。いずれも速報値で、報が進むと修正されることがあります。執筆時点(2026年9月25日)で国土交通省の最新は第9報(9月25日8時00分現在)です。断水の最新状況と応急給水の場所は、お住まいの自治体と水道事業者の発表を優先してください。

台風第25号の断水を原因別に見る

第9報の表(9月25日6時時点)

国土交通省の第9報(9月25日8時00分現在)は、水道の被害について「千葉県内7市3町において断水が発生。4市1町では復旧済み」「茨城県内1市において断水が発生。復旧済み」「断水中の3市2町では応急給水を実施中」と記しています。表をそのまま写すと次のとおりです。

市町最大断水戸数現在の断水戸数断水期間被害等の状況
千葉市509/21〜22水道管の破損
茂原市2609/22水道管の破損
市原市9825249/22〜停電によるポンプ停止
鴨川市約450約1809/22〜水道管の破損、停電によるポンプ停止
君津市約2,010約1,7909/21〜水道管の破損、停電によるポンプ停止
南房総市約66009/21〜24水道管の破損、停電によるポンプ停止
大網白里市309/22水道管の破損
長柄町約2009/21〜22水道管の破損
大多喜町10469/21〜停電によるポンプ停止
鋸南町約120約1209/22〜停電によるポンプ停止
神栖市(茨城県)4,70009/21停電によるポンプ停止
合計約9,080約2,620--

国土交通省「令和8年台風第25号による被害状況等について(第9報)」の「水道(9/25 06:00時点)」の表から作成。第8報の表にあった山武市(最大1戸・現在1戸)は、第9報の表には載っていません。

目を引くのは、水道管の破損だけが原因の千葉市・茂原市・大網白里市・長柄町はすべて復旧済みなのに対し、25日の朝の時点で水が止まったままの3市2町(市原市・鴨川市・君津市・大多喜町・鋸南町)には、どれも「停電によるポンプ停止」が付いていることです。道路崩落で折れた水道管は掘り起こして直せば戻りますが、ポンプを動かす電気が戻らなければ、水道管が無事でも水は送れません。

千葉県の外では、茨城県神栖市で9月21日に「停電によるポンプ停止」による断水が4,700戸ありました(第9報の時点で復旧済み)。この表で1つの市町の最大断水戸数としてはいちばん大きな値で、停電による断水が房総の山あいだけの話ではないことがわかります。

報が進むと数字が変わる

同じ表を第6報から第9報までならべると、表の変わり方と数字の揺れが見えてきます。

報(時点)断水の範囲最大断水戸数その時点の断水戸数原因の記載
第6報(9/22 7時)千葉市・君津市・南房総市約750約750水道管の破損のみ
第7報(9/23 7時)7市2町約4,560約3,940水道管の破損、停電によるポンプ停止
第8報(9/24 7時)8市3町約4,360約2,840水道管の破損、停電によるポンプ停止
第9報(9/25 6時)千葉県7市3町、茨城県神栖市約9,080約2,620水道管の破損、停電によるポンプ停止

第6報(9月22日7時時点)の表には、原因として水道管の破損しか載っていませんでした。停電によるポンプ停止が表に現れるのは第7報からです。ただし、後の報で表に加わった大多喜町(第8報から)と茨城県神栖市(第9報から)は、どちらも断水期間の始まりが9月21日とされています。第6報の時点ですでに起きていた停電による断水が、あとから表に載ったことになります。速報の表は被害の発生より遅れて更新されることがあるので、「表に載った日」を「断水が始まった日」と読み替えないよう注意が必要です。

また、最大断水戸数は第7報の約4,560戸から第8報の約4,360戸へ減っています。主に鴨川市の最大値が約830戸から約450戸に修正されたためで(ほかの市町では増えた値もあります)、「最大」の数字も後から直ることがあります。第9報で約9,080戸に増えたのは、主に茨城県神栖市の4,700戸が加わったためです。本記事で数字を示すときは、必ず何報の何時時点の値かを添えています。

千葉県の集計(9月24日12時時点)

千葉県が9月24日17時30分からの第5回災害対策本部会議に出した資料では、水道事業者ごとに原因がもう少し細かく書かれています。9月24日12時時点で断水していたのは5団体の2,695戸で、内訳は次のとおりです。

水道事業者地区断水戸数原因の記載
かずさ水道広域連合企業団君津市植畑233付近430道路崩落による水道管破損
かずさ水道広域連合企業団君津市大戸見・坂畑・蔵玉配水区1,340停電等による断水
かずさ水道広域連合企業団君津市怒田地区20停電等による断水
市原市加茂地区524停電による浄水場等停止に伴う断水
夷隅郡市広域市町村圏事務組合大多喜区域80停電による加圧ポンプ停止に伴う断水(復電次第復旧見込み)
安房郡市広域市町村圏事務組合鋸南町市井原・大崩・小保田・中佐久間地区120停電による加圧ポンプ停止に伴う断水(復電次第復旧見込み)
安房郡市広域市町村圏事務組合鴨川市大山地区・曽呂地区180道路崩落等による水道管破損
山武市木原地区1道路崩落による水道管破損

千葉県「第5回千葉県災害対策本部会議資料」(令和8年9月24日)の「水道施設関係について」から作成。同じ資料では、南房総市の平群地区・丸山地区の「停電による加圧ポンプ停止に伴う断水」は9月24日に復旧済みとされています。

原因に停電が含まれる地区を足すと、1,340+20+524+80+120で2,084戸になります(本記事での集計)。その時点で断水していた2,695戸のうち、およそ4分の3です。大多喜区域と鋸南町の地区には「復電次第復旧見込み」と書かれていて、水が戻る時期は電気が戻る時期しだいだということが、資料の言葉からも読み取れます。

同じ資料の千葉県第12報(9月24日17時30分発表)には、停電が約1万8,060軒と記されており、市町別では市原市約4,360軒、君津市約2,780軒、大多喜町約1,340軒、鋸南町約560軒などが並んでいます。断水が続いていた市町と、停電が残っていた市町は重なっています。

かずさ水道広域連合企業団の案内

君津市の山あいの地区に水を送っているかずさ水道広域連合企業団は、断水の原因を地区ごとに公表しています。9月24日更新のお知らせでは、君津市大戸見配水区・坂畑配水区・蔵玉配水区(約1,340戸)の原因を「管路での漏水発生及び停電のため」とし、9月22日午後から断水していると説明しています。見通しについては「管路の復旧及び停電解消後、断水解消予定時間の見通しが立ち次第お知らせします」とされ、水道管の修理だけでなく停電の解消も条件になっています。

応急給水は午前8時から午後8時までで、9月24日更新の応急給水のお知らせでは6か所が示され、そのうち清和小学校は閉鎖となっています。千葉県の資料では、君津市怒田地区(20戸)の応急給水場所として怒田青年館も挙がっています。

注意

かずさ水道広域連合企業団は、水道管の応急復旧のあとに順次「洗管作業」(管の中を洗い流す作業)を行っており、一部の地域で水が出ることがあっても、企業団から断水解消のお知らせがあるまでは使用を控えるよう呼びかけています。断水からの復旧直後に水が出始めても、事業者の「解消」の発表を待つのが基本です。

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なぜ停電で水道が止まるのか

水は「高いところから流れ下る」のが基本

神奈川県の県営水道の説明によると、浄水場でつくられた水はポンプで配水池へ送られ、配水池は「高い所から低い所に流れる自然の力を利用してお客様へ送水するため、高台などに作られて」います。高い場所に配水池をつくれない地域では、水圧を上げて送るための「加圧ポンプ所」が置かれます。

横浜市水道局も、起伏の多い市域に一定の圧力で水を送るのは難しいため、給水区域を「自然流下系区域(低区)」と「ポンプ系区域(高区)」に分けて給水していると説明しています。

つまり、同じ町の中でも、配水池より低いところにある家は電気がなくても水が流れ下ってきやすく、配水池と同じくらいかそれより高いところにある家は、ポンプが動いていないと水が届きにくい、という違いがあります。台風第25号の千葉県資料でも、大多喜区域と鋸南町の地区の断水は「停電による加圧ポンプ停止に伴う断水」とされています。

ただし、停電で止まるのは地区の加圧ポンプだけではありません。同じ資料では、市原市加茂地区の原因は「停電による浄水場等停止に伴う断水」とされ、浄水場そのものが止まった例です。かずさ水道広域連合企業団の君津市大戸見・坂畑・蔵玉配水区は「管路での漏水発生及び停電のため」とされ、どの設備が止まったかまでは書かれていません。

配水池から自然に流れ下る区域でも、配水池へ水を補給する浄水場やポンプが止まったまま貯めた水が尽きれば、断水します。厚生労働省の水道施設被害状況調査報告書によると、2019年の房総半島台風では、富津市域で停電により竹岡増圧ポンプ場が機能を停止したことから、竹岡配水場にあった貯留水が9月11日時点で尽き、竹岡地区800戸と金谷地区1,000戸が断水しました。高台やポンプ系の区域は止まりやすい一方で、停電が長引けば低いところの家も無関係ではありません。

メモ

配水池や浄水場のポンプに非常用発電設備があれば、停電しても送水を続けられます。ただし、発電設備の有無や燃料の持ち時間は施設ごとに違い、小さな加圧ポンプ所まで備えがあるとは限りません。わが家の地区がどうなっているかは、次の章の手順で水道事業者に確かめるのが確実です。

停電で水が止まりやすい3つの住まい

停電による断水は、地域の配水の仕組みだけでなく、建物や家の設備でも起こります。公的機関の案内から、当てはまりやすい住まいを整理します。

住まいのタイプ止まる理由一次資料での説明
高台・山あいのポンプ系配水区の家配水池や加圧ポンプ所のポンプが止まり、地区全体に水が届かない神奈川県・横浜市の配水の説明、台風第25号の千葉県資料
受水槽や増圧ポンプのある集合住宅水道管に水が来ていても、建物のポンプが止まり上の階へ送れない大阪市水道局、那覇市上下水道局、北中城村
電動ポンプで汲み上げる井戸の家ポンプが動かず井戸水を汲み上げられない美馬市の災害時協力井戸の案内

集合住宅は「水道が生きていても断水する」

大阪市水道局は、ビルやマンションでは「水道管自体は断水していなくても、高層階まで水を送るためのポンプが停電により停止した場合、建物内で断水が起こります」と説明しています。受水槽方式では高置水槽に水が残っているあいだは出ますが、なくなると断水します。一方で、配水管が健全であれば2、3階程度までは断水していない場合があり、1階の集会所や共用の水栓が使えることもある、としています。

沖縄県の那覇市上下水道局は、台風のときに受水槽やポンプを使っている家庭から「水が出ない」という問い合わせがあると紹介し、その原因のひとつに「停電等によるポンプの運転停止」を挙げて、集合住宅の断水原因の大部分を占めていると書いています。北中城村も、県営住宅や3階建て以上の建物、加圧ポンプを使う建物では、停電でポンプが動かず屋上タンクへの給水が止まり、電気が戻るまで断水する可能性があると案内し、台風に備えて浴槽やバケツ、ペットボトルで生活用水を確保するよう呼びかけています。

注意

那覇市上下水道局は、停電した場合に「電気が復旧してもポンプの電源がOFFになってしまうことがあります」と注意しています。北中城村も、電気が戻っても水が出ないときはポンプの稼働状態を確認する必要があるので建物管理者へ連絡するよう案内しています。暴風雨の最中に屋外のポンプを見に行くのは危険です。安全が確保できてから、管理会社や家主に連絡してください。

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井戸ポンプの家は「断水しない」とは限らない

井戸水を使っている家は、水道の断水とは関係なく水が出ると思われがちです。けれど、井戸水を電動ポンプで汲み上げている場合、停電するとポンプが動きません。徳島県美馬市は、災害時に生活用水として使える「災害時協力井戸」の案内の中で、停電により電動ポンプが使用できない場合は利用を制限または中止することがある、と明記しています。

井戸は停電と断水が重なったときの頼りになる水源ですが、「電動ポンプだけの井戸は停電中は使えない」と考えて、飲料水の備蓄は別に持っておくのが安全です。

7年前の房総半島台風でも、同じ地域で起きていた

64万1千軒の停電と、広い範囲の断水

停電による断水は、今回はじめて起きたことではありません。千葉県の「令和元年房総半島台風等への対応に関する検証報告書」は、2019年9月9日の台風第15号(令和元年房総半島台風)によって、同日午前8時ごろには「最大64万1千軒の大規模停電とそれに伴う広範囲に渡る断水が発生しました」と記しています。同報告書の被害の概要(令和2年3月19日現在)では、断水は13万3,474戸(15事業体)です。

国の水道施設被害状況調査報告書(厚生労働省、令和3年3月)は、内閣府の集計をもとに、千葉県・東京都・静岡県をあわせた最大断水戸数を13万9,744戸とし、「主な被害要因は停電であった」とまとめています。すべての地域で断水が解消したのは9月25日で、台風の上陸から16日後でした。

同じ市町の名前が並ぶ

その報告書の断水の一覧(表2-4)と、今回の第9報の表をならべると、同じ市町の名前が出てきます。

市町2019年の房総半島台風(最大断水戸数・原因)2026年の台風第25号・第9報(最大断水戸数・原因)
君津市などかずさ水道広域連合企業団(木更津市・君津市・富津市・袖ケ浦市)18,810戸、停電による断水(9/9〜9/25)君津市は約2,010戸、水道管の破損・停電によるポンプ停止
市原市1,313戸、停電による断水(9/9〜9/16)982戸、停電によるポンプ停止
鴨川市5,755戸、停電による断水(9/9〜9/16)約450戸、水道管の破損・停電によるポンプ停止
南房総市6,800戸、停電により断水(9/11〜9/21)約660戸、水道管の破損・停電によるポンプ停止
大多喜町400戸、停電による断水(9/9〜9/16)104戸、停電によるポンプ停止
鋸南町230戸、停電による断水(9/9〜9/25)約120戸、停電によるポンプ停止

2019年の値は厚生労働省「水道施設被害状況調査報告書」(令和3年3月)の表2-4(出典は内閣府「令和元年台風第15号に係る被害状況等について」令和元年12月5日17時00分現在)、2026年の値は国土交通省の第9報によります。2019年の事業者名は報告書の表記どおりで、市町の区域と給水区域は一致しない場合があります。

規模は2019年のほうがはるかに大きいものの、房総半島の山あいを中心に「停電で水が止まる」地区が繰り返し出ていることがわかります。同じ報告書によると、2019年には君津市域のほぼ全域が停電し、浄水場・配水場・増圧ポンプ場・取水施設(井戸)が止まって、21の配水区のうち1つを除いて送配水ができなくなり、合計1万4,750戸が断水しました。同じ報告書の一覧には、停電が15日続き、電源車で対応した浄水場も載っています。停電が長引けば、そのぶん断水も長引くということです。

集合住宅では「直結給水栓」が頼りになった

千葉県の検証報告書には、集合住宅の話も出てきます。千葉県企業局(県営水道)の給水区域では、浄水場は非常用発電で通常どおり給水を続けていたのに、受水槽方式や直結増圧方式の集合住宅では、建物のポンプが停電で止まる断水が広範囲で起きました。企業局には多数の問い合わせが寄せられ、貯水槽やポンプを通さずにつながっている「直結給水栓」があれば停電中でも水が出ることを案内し、場所は管理会社に相談するよう伝えています。千葉市稲毛区の大規模団地では直結給水栓がなく断水が続いたため、給水車を出して対応しました。

この経験から、企業局はその後の台風の前に直結給水栓の活用をホームページで広報しています。自分の建物にこうした水栓があるかどうかを、平時に知っておく価値がわかる事例です。

実家は水道なので、停電しても水は出るものだと思っていました。今回、親から「電気が来ないと水も来ない地区らしい」と聞いて初めて、集落の上のほうにポンプ小屋があるのを思い出しました。
想定される読者の声(房総の山あいに実家がある方)

わが家の水が停電で止まるか、平時に確かめる手順

停電で断水するかどうかは、家の場所と建物の設備で決まります。台風シーズンのうちに、次の順で確かめておくと、備える水の量を決めやすくなります。

  1. 1

    どこの水道事業者から水が来ているかを確かめる

    水道料金のお知らせや検針票には、水道事業者の名前と問い合わせ先が書かれていることが多いです。千葉県の例のように、市町村ではなく広域の企業団や事務組合が水道を運営している地域もあるため、まず「問い合わせ先はどこか」を押さえます。台風のときに断水や応急給水の情報を出すのも、この事業者です。

  2. 2

    わが家の地区の配水のしかたを問い合わせる

    事業者に「自宅の住所は、配水池から自然に流れ下る区域か、ポンプで加圧している区域か」「その区域のポンプや配水池には停電時の非常用電源があるか」を聞いてみます。答えられる範囲は事業者によって違いますが、「停電すると断水するおそれがある地区かどうか」だけでも分かれば、備えの量を決める手がかりになります。

  3. 3

    集合住宅なら管理会社に3つ聞く

    (1)建物の給水方式は受水槽方式か直結増圧方式か、(2)給水ポンプに非常用電源はあるか、(3)停電中でも使える共用の水栓(直結給水栓・非常用給水栓など)はあるか、あればどこか。大阪市水道局は、直結増圧方式なら2、3階程度までにある共用の水栓を非常用給水栓として使えることがあると説明しています。

  4. 4

    井戸の家はポンプの種類を確かめる

    井戸水を電動ポンプだけで汲み上げているなら、停電中は使えないと考えます。手押しポンプが併設されているか、家族が使い方を知っているかも確認しておきます。

  5. 5

    応急給水の場所と、情報の出どころを控える

    今回の君津市では、コミュニティセンターや道の駅の駐車場などが応急給水の場所になりました。自治体や水道事業者のウェブサイトで、近くの給水拠点になりうる場所と、断水情報を出す窓口(ウェブサイト・SNS・防災無線など)を控えておきます。

停電で断水しやすいかのセルフチェック

  • 自宅は周囲より高い場所や山あいにあり、近くにポンプ小屋や加圧ポンプ所がある
  • 受水槽・高置水槽・増圧ポンプのある集合住宅やビルに住んでいる
  • 過去の台風や停電のときに、水道の水が出なくなったことがある
  • 井戸水を電動ポンプだけで汲み上げている
  • 自宅の水道事業者の名前と問い合わせ先をすぐに言えない
  • 停電中でも使える共用の水栓が建物のどこにあるか知らない

1つでも当てはまるなら、停電が起きたら断水も続くかもしれない前提で、次の章の水の備えを厚めにしておくと安心です。

停電が長引くと断水も続く、という前提で水を分ける

飲料水は「1人1日3リットル」を人数と日数でかける

首相官邸の「災害が起きる前にできること」は、飲料水を3日分(1人1日3リットルが目安)備えるよう案内し、大規模災害のときには「1週間分」の備蓄が望ましいとしています。3人家族なら、3日分で27リットル、1週間分で63リットルです。

停電による断水は、今回の千葉県の例のように「復電次第」で長さが決まります。2019年には2週間以上続いた地区もありました。停電しやすい地域や、前の章のチェックに当てはまる家では、3日分で止めずに1週間分を目標にしておくと、給水所へ通う回数を減らせます。

生活用水は別に考える

首相官邸の案内は、飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水も必要だとして、水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水をいつも張っておく、といった備えを勧めています。北中城村も、台風に備えて浴槽やバケツ、ペットボトルで生活用水を確保するよう呼びかけていました。

台風の場合は、地震と違って接近の数日前から予報が出ます。停電で断水しやすい家では、接近前の備えに「浴槽とポリタンクに水をためる」を入れておくと、ポンプが止まってからの数日を乗り切りやすくなります。

区分使いみち備え方の例
飲料水飲む・調理するペットボトルの備蓄(1人1日3リットル×日数)
汲み置きの水道水飲料水の予備、手洗い清潔でふたのできる容器に、口元まで満水にして保存
生活用水トイレ・掃除・体を拭く浴槽の水、ポリタンク、雨水タンク

那覇市上下水道局は、水道水を備蓄するときは蛇口から直接容器に入れ、口元まで満水にして保存するよう案内しています。浄水器を通した水や沸騰させた水は消毒用の塩素が少なくなるため備蓄に向かず、塩素の効果は一般的に、直射日光を避けた常温で3日程度、冷蔵庫で10日程度が目安とされています。停電すると冷蔵庫も止まるので、汲み置きの水は早めに使い、飲み水はペットボトルの備蓄を基本にするのが確実です。

ヒント

台風の接近前にためた浴槽の水は、停電と断水が重なったときのトイレの水として役立ちます。ただし、下水道や排水管が被害を受けているおそれがあるときは流さず、非常用トイレを使ってください。小さな子どもがいる家庭では、浴槽の張り置きが溺水事故につながらないよう、ふたや浴室の鍵で対策してください。

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断水への備え|飲料水と生活用水の分け方と、給水を受けるときの準備

給水所に行くときの持ち物

応急給水では、水を受け取る容器を自分で持っていくのが基本です。停電中はエレベーターも止まるため、集合住宅の上の階まで運ぶことも考えて、一度に運べる量で小分けにできる給水袋やポリタンクを用意しておくと動きやすくなります。

停電と断水が重なる台風の前に

  • 飲料水を人数分(1人1日3リットル×3日、できれば1週間分)
  • 浴槽とポリタンクに生活用水をためる
  • 給水袋・ポリタンクと、運ぶためのキャリーやリュック
  • 非常用トイレ(凝固剤タイプ)を人数×日数分
  • 水道事業者と管理会社の連絡先を控える
  • 応急給水の場所になりうる施設を地図で確認する

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非常用給水タンク・給水袋の選び方比較|断水時に水を運んで清潔に確保する道具

よくある質問

停電しても水道が出る家と出ない家があるのはなぜですか
水道には、高台の配水池から自然に流れ下る区域と、ポンプで水圧を上げて送る区域があります。ポンプ系の区域や、受水槽・増圧ポンプのある集合住宅、電動ポンプで汲み上げる井戸では、停電でポンプが止まると水が出なくなります。同じ町内でも、家の高さや建物の設備によって分かれます。
停電が直ったのに水が出ません。どうすればよいですか
地区のポンプが再起動するまで時間がかかることがあるほか、集合住宅では電気が戻っても建物のポンプの電源が切れたままのことがあると、那覇市上下水道局や北中城村が案内しています。まず水道事業者の断水情報を確認し、集合住宅なら管理会社や家主に連絡してください。暴風雨の最中にポンプを見に行くのは避けてください。
復旧作業中に水が出始めたら使ってよいですか
かずさ水道広域連合企業団は、洗管作業の途中で一部の地域で水が出ることがあっても、断水解消のお知らせがあるまでは使用を控えるよう呼びかけています。濁りや空気が混じることもあるため、事業者の解消の発表を待つのが基本です。
停電による断水はどれくらい続きますか
復電までの時間で決まるため、一概には言えません。台風第25号では、千葉県の資料で大多喜区域や鋸南町の地区に復電次第復旧見込みと書かれていました。2019年の房総半島台風では、すべての断水の解消まで上陸から16日かかっています。最低3日分、できれば1週間分の飲料水を目安にしてください。
戸建てなら停電しても断水しませんか
戸建てでも、自宅がポンプで加圧している配水区にあれば、地区のポンプが止まると断水します。台風第25号では、千葉県の資料で大多喜区域や鋸南町の地区が停電による加圧ポンプ停止での断水とされていました。また、浄水場や配水池へ水を送るポンプが停電で止まって配水池の水が尽きれば、流れ下る区域でも断水することがあります。戸建てか集合住宅かより、どの配水区にあり、その施設に停電時の備えがあるかを水道事業者に確かめるのが確実です。
断水の最新情報はどこで確認できますか
お住まいの自治体と、水道を運営している事業者(市町村の水道局、企業団、事務組合など)の発表がいちばん新しく正確です。国土交通省や県のまとめは、各時点の速報値を集めたもので、数値が後から修正されることがあります。

まとめ|「電気が止まったら水はどうなるか」を先に知っておく

台風第25号の千葉県の断水では、水道管の破損だけが原因の市町が先に復旧し、国土交通省の第9報の時点で断水が続いていた市町には、どれも「停電によるポンプ停止」が原因に挙がっていました。しかも、君津・市原・鴨川・南房総・大多喜・鋸南という同じ地域で、7年前の房総半島台風でも停電による断水が起きています。

停電で水が止まるかどうかは、住まいの場所と建物の設備で決まります。今日できる一歩は、水道料金のお知らせで水道事業者の名前を確かめ、集合住宅なら管理会社に「停電したら水はどうなるか」を聞いてみることです。答えが「止まるかもしれない」なら、飲料水を1週間分に近づけ、台風の前に浴槽とポリタンクへ水をためる習慣をつけておきましょう。停電そのものへの備えは、停電対策の記事にまとめています。

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出典・参考

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住まいの防災

マンション(高層階・集合住宅)の防災|停電・断水・エレベーター停止に備える在宅避難

マンションは建物が無事なら在宅避難が基本になりますが、停電でエレベーターや給水ポンプが止まると高層階から断水し、階段での運搬も重労働になります。各戸でやる家具固定・水と携帯トイレの備え、管理組合の共助まで、集合住宅ならではの備えを整理しました。