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「レベル4土砂災害危険警報」とは?|2026年に変わった土砂災害の情報と、がけ・斜面のそばの家庭が動く順番

カエデ・避難計画・防災情報担当
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「レベル4土砂災害危険警報」とは?|2026年に変わった土砂災害の情報と、がけ・斜面のそばの家庭が動く順番

家の裏に斜面がある。坂の途中に建っている。少し離れたところに小さな沢がある。そんな家に住んでいると、大雨のニュースを見るたびに落ち着かない気持ちになるのではないでしょうか。2026年5月29日から、土砂災害に関する情報の名前としくみが変わりました。長く聞いてきた「土砂災害警戒情報」は、発表される情報の名称としては使われなくなり、かわりに「レベル4土砂災害危険警報」という名前で発表されています。土砂災害防止法にもとづく情報としての位置づけそのものが変わったわけではありません。台風シーズンの後半を迎える前に、新しい情報の読み方と、がけ・斜面のそばの家庭が動く順番を整理しておきましょう。

本記事の情報名称・警戒レベルとの対応・発表基準は、国土交通省水管理・国土保全局と気象庁の資料「土砂災害に関する情報の改善」、気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」、内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和8年3月改定)」にもとづきます。運用の詳細は改善が続くため、最新の内容は気象庁・自治体の公表情報をご確認ください。

2026年9月、屋久島で「レベル5」が出た日

新しい名前が現実に使われた場面から見ていきます。2026年9月5日、鹿児島県の屋久島町に「レベル5土砂災害特別警報」が発表されました。

ウェザーニュースは、午前5時10分にレベル5の土砂災害特別警報が発表され、午前9時の時点でも継続していたと伝えています。日本気象協会の解説記事によれば、その後、午前11時30分に「レベル4土砂災害危険警報」に切り替わりました。

雨の量も記録的でした。日本気象協会は、5日午前5時30分までの24時間雨量が屋久島町の尾之間で490.5ミリに達し、観測史上1位となったとしています。ウェザーニュースは、午前9時までの24時間雨量を479.0ミリ(観測史上最大)と伝えています。気象庁の平年値では、尾之間の9月の月降水量は287.2ミリです。9月ひと月分の1.7倍前後にあたる雨が、24時間で降ったことになります。

MBC南日本放送は、島内の数か所で土砂崩れが確認されたものの、けが人の情報は入っていないと伝えています。港には川から流れ出た大量の流木が漂着し、長峰地区では水源地の取水口が増水で破損して289戸が断水、給水車が出動しました。宮之浦地区の一部では水道水に濁りが生じたとされています。

屋久島の警報の発表時刻・雨量・被害の状況は、ウェザーニュース、日本気象協会tenki.jpの解説記事(2026年9月5日)、MBC南日本放送の報道にもとづきます。尾之間の9月の平年値(1991〜2020年)は気象庁「過去の気象データ検索」によります。速報段階の情報を含むため、確定した記録・被害状況は気象庁・自治体の公表資料をご確認ください。

ここで大事なのは、雨量の大きさより「情報の並び方」です。レベル5が出て、数時間後にレベル4へ下がった。家庭にとってレベル5は、避難を始める合図ではありません。順番としては、その前のレベル4までに動き終えておく段階でした。

2026年5月29日、土砂災害の情報はこう変わった

気象庁は2026年4月14日の報道発表で、新たな防災気象情報の運用を同年5月29日から開始すると公表しました。対象は河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の4つで、いずれもレベル2からレベル5にあたる情報の名前に警戒レベルの数字が入っています。

土砂災害の場合、変更点は名前だけではありません。国土交通省水管理・国土保全局と気象庁の資料では、これまでの体系の課題として、「特別警報・警報・注意報」と「土砂災害警戒情報」の2系統に分かれていて分かりにくいこと、警戒レベルによって名称が異なること、発表基準の作り方が統一されていないことが挙げられています。新しい体系は、この2系統を1本にそろえたものです。

警戒レベル2026年5月29日からの名称それまでの名称発表するのは誰か
レベル5レベル5土砂災害特別警報大雨特別警報(土砂災害)気象庁長官
レベル4レベル4土砂災害危険警報土砂災害警戒情報気象庁長官と都道府県知事(共同)
レベル3レベル3土砂災害警報大雨警報(土砂災害)気象庁長官
レベル2レベル2土砂災害注意報大雨注意報気象庁長官
レベル1早期注意情報早期注意情報気象庁長官

名称の対応関係と発表主体は、国土交通省水管理・国土保全局・気象庁「土砂災害に関する情報の改善」に示されています。同資料では、レベル4土砂災害危険警報に呼称は変わるが、土砂災害防止法第27条にもとづく避難に資する情報という土砂災害警戒情報としての性質を有することは変わらない、と説明されています。

レベル4の中身は、これまでの「土砂災害警戒情報」

いちばん覚えておきたいのがここです。レベル4土砂災害危険警報は、まったく新しい情報が増えたわけではありません。これまで市町村ごとに発表されてきた「土砂災害警戒情報」が、名前を変えたものです。国土交通省は、降雨による土砂災害の危険が高まったときに市町村長が避難指示を発令する際の判断や、自主避難の参考となるよう、都道府県と気象庁が共同で発表している防災気象情報だと説明しています。伝達の流れも、市町村長の避難指示と報道機関への周知という従来どおりの形です。

発表の指標も整理されました。同資料では、発表指標を、土砂災害警戒情報で用いている指標(土壌雨量指数と60分雨量の2要素)に統一するとされています。従来のレベル3相当(大雨警報(土砂災害))は土壌雨量指数だけを見ていましたが、これがレベル4と同じ土俵にそろった形です。

レベル3の意味が変わった|「空振り」が減るぶん、間が短くなる

家庭にいちばん影響するのは、実はレベル3の変更です。

内閣府のガイドラインでは、レベル3土砂災害警報は、60分雨量と土壌雨量指数の組み合わせの3時間先の予測値がレベル4土砂災害危険警報基準に到達するメッシュがあるときに発表される(予測精度に応じて4〜6時間先の予測値により発表する場合もある)とされています。つまり、レベル3は「レベル4になりそうだ」と見込まれたときだけ出る情報になりました。

国土交通省・気象庁の資料は、この変更の影響を率直に書いています。レベル4の発表に至らないレベル3の発表は、従来の大雨警報(土砂災害)に比べて大幅に減ります。令和5年6〜9月のデータにもとづく試算では、レベル4に至らないレベル3相当の発表回数が1,616回から280回まで減る見込みだとされています。

一方で、と資料は続けます。レベル3土砂災害警報の発表からレベル4土砂災害危険警報の発表までの時間が短くなる事例や、レベル3を経ずにレベル4を発表する事例が増えることが見込まれ、また、土砂キキクルは赤色の出現頻度が減るとされています。内閣府のガイドラインも、積乱雲が急速に発達する場合など予想が難しい状況では、レベル3土砂災害警報が発表されないことがある、と明記しています。

注意

「レベル3が出たら準備を始めよう」という組み立ては、これまでより成り立ちにくくなりました。レベル3が出ない、あるいは出てすぐレベル4になる場合があるためです。準備はレベル2土砂災害注意報や早期注意情報の段階で済ませ、レベル3は移動を始める合図として受け取ってください。

レベル3土砂災害警報の発表条件と発表回数の試算、レベル3を経ずにレベル4が発表される事例が増える見込みであることは「土砂災害に関する情報の改善」に、予想が難しい状況でレベル3が発表されないことがある点は内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和8年3月改定)」に示されています。気象庁は2026年4月30日の報道発表でも、レベル3土砂災害警報について、今までの大雨警報に比べて空振りの回数を大きく低減できる見込みとしています。

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レベル4が出たら直ちに動く|「およそ2時間」は残り時間ではない

では、レベル4土砂災害危険警報が出たときは、どう受け止めればよいのでしょうか。内閣府のガイドラインは、次のように説明しています。

レベル4土砂災害危険警報は、60分雨量と土壌雨量指数の組み合わせが、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない基準に、2時間程度で到達する予測がなされたときに発表されます。つまり、レベル4土砂災害危険警報の発表後からおおむね2時間で、命に危険を及ぼす土砂災害が発生する可能性があるということです。

そして、そのすぐあとに但し書きが付いています。雨量が予測よりも急激に増加した場合には、結果としてレベル4土砂災害危険警報の発表前に土砂災害が発生する可能性があることに留意すること、というものです。

ここは読み違えやすいところです。「2時間」は、基準への到達を2時間程度先まで見て発表するという予測の幅であって、家庭に2時間の猶予が用意されているという意味ではありません。発表より前に土砂災害が起きることもあると、ガイドライン自身が断っています。レベル4は「あと2時間ある」ではなく「直ちに動く」の合図として受け取ってください。

レベル5についても、ガイドラインははっきり書いています。レベル5土砂災害特別警報は、レベル4避難指示に相当する気象状況の次元をはるかに超える大雨により重大な土砂災害の起きるおそれが著しく大きい場合に発表されるもので、その時点では既に土砂災害が発生している蓋然性が極めて高い、というものです。そのうえで、レベル5土砂災害特別警報が発表されていなくても、すでに重大な土砂災害が発生している場合もあることに留意する必要がある、とも述べています。

注意

レベル5は「避難を始める段階」ではありません。ガイドラインでは、レベル5の時点で土砂災害警戒区域などからまだ避難できていない場合は命の危険があるため、直ちに身の安全を確保する必要があるとされています。家庭のルールは「レベル4までに移動を終える」で固定してください。

土砂キキクルの色も、新しい基準で塗られている

危険度分布の「土砂キキクル」は名前も役割もそのまま残り、判定のものさしだけが新体系にそろいました。内閣府のガイドラインが示す判定の仕組みは次のとおりです。

色警戒レベル相当判定のしかた
災害切迫(黒)レベル5相当実況値がレベル5土砂災害特別警報の基準以上
危険(紫)レベル4相当実況値または2時間先までの予測値がレベル4土砂災害危険警報の基準以上
警戒(赤)レベル3相当3時間先の予測値がレベル4土砂災害危険警報の基準以上
注意(黄)レベル2相当実況値または6時間先までの予測値がレベル2土砂災害注意報の基準以上

気象庁は、土砂キキクルはレベル3土砂災害警報やレベル4土砂災害危険警報等を補足する情報であり、避難の判断は土砂災害警戒区域等にお住まいかどうかとあわせて行うよう案内しています。市町村単位で発表される警報と、1キロメートル四方のメッシュで示されるキキクル。この2つはセットで見る、と覚えておくと迷いません。

土砂キキクルの判定の仕組みは内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和8年3月改定)」の関連情報、位置づけと利用上の注意は気象庁「土砂キキクル」によります。キキクルは気象庁ホームページで10分ごとに更新され、土砂災害警戒区域等を重ねて表示することもできます。

わが家はどの区域か|晴れた日の30分で調べる

情報の読み方が分かっても、自宅がどこにあるかを知らなければ動けません。土砂災害は、対象になる区域がはっきり公表されている災害でもあります。

都道府県は、土砂災害防止法にもとづいて2種類の区域を指定しています。内閣府のガイドラインの説明はこうです。土砂災害警戒区域(通称イエローゾーン)は、土砂災害が発生した場合に居住者等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあり、警戒避難体制を特に整備すべき区域。土砂災害特別警戒区域(通称レッドゾーン)は、そのうち建築物に損壊が生じ居住者等の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあり、一定の開発行為の制限および建築物の構造の規制をすべき区域です。

数はかなりの規模になります。国土交通省が公表している2026年6月30日時点の集計では、全国の土砂災害警戒区域は721,014か所、うち土砂災害特別警戒区域は621,287か所です。内訳は土石流が222,068か所、急傾斜地の崩壊が482,534か所、地滑りが16,412か所となっています。

メモ

避難情報の発令単位は、特別警戒区域ではなく土砂災害警戒区域です。内閣府のガイドラインは、土砂災害特別警戒区域は警戒レベル4避難指示の発令単位ではなく、土砂災害警戒区域が発令単位であることに留意する、としています。「うちはレッドゾーンではないから対象外」ではありません。
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    重ねるハザードマップで自宅の住所を入れる

    国土交通省の「重ねるハザードマップ」で自宅の住所を検索し、土砂災害のリスク情報を表示します。色が付いていれば土砂災害警戒区域等の中です。イエローとレッドのどちらなのかもあわせて確認します。
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    どの現象の区域かを見る

    同じ「土砂災害」でも、土石流の区域なのか、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)の区域なのか、地すべりの区域なのかで、間に合わないときの動き方が変わります。凡例で種類を確かめておきます。
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    市区町村の土砂災害ハザードマップも見る

    「わがまちハザードマップ」から市区町村が公開する地図にたどれます。避難場所は洪水や地震のときと違う場所が指定されていることがあるため、土砂災害のときの避難場所を必ず確認します。
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    区域のすぐ外側も確認する

    ガイドラインは、土砂災害警戒区域等以外の場所でも土砂災害が発生する場合があるため、これらの区域等の隣接区域も避難の必要性を確認する必要がある、としています。境界のすぐ外に住んでいる場合は「対象外」と考えないでください。
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    避難経路が斜面や沢を通っていないか歩いて確かめる

    ガイドラインでは、避難経路について土砂災害に対する安全性を確認し、適切な避難経路を選定するものとする、とされています。安全な避難先でも、行く道が危なければ意味がありません。

土砂災害警戒区域・特別警戒区域の定義、発令単位、隣接区域や避難経路の考え方は内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和8年3月改定)」に、全国の指定箇所数は国土交通省「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況(2026年6月30日時点)」によります。指定状況は随時更新されるため、最新の区域はお住まいの都道府県・市区町村の公表情報をご確認ください。

「裏の斜面はコンクリートで固めてあるから大丈夫」と思っていました。ハザードマップを開いたら、家全体がイエロー、玄関側の一部がレッド。避難場所も、地震のときとは別の建物が指定されていて驚きました。
坂の途中の一戸建てに住む読者

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家庭が動く順番|土砂災害は「立退き避難」が原則

洪水の記事では「2階に上がる」という選択肢を紹介しましたが、土砂災害では前提が変わります。内閣府のガイドラインは、土砂災害警戒区域等の居住者等の避難行動は立退き避難が原則であるとし、その理由を、土砂災害が突発的に発生することが多く発生してから避難することは困難であるとともに、木造住宅を流失・全壊させるほどの破壊力を有しているため、屋内で身の安全を確保することができるとは限らないため、と説明しています。

避難行動の整理表でも、屋内安全確保が関係する災害種別は洪水等と高潮で、土砂災害と津波は自宅・施設等が外力により倒壊するおそれがあるため立退き避難が原則、と注記されています。

段階気象庁が出す防災気象情報市町村が出す避難情報家庭の動き
前日〜数日前早期注意情報、時系列情報(なし)土砂災害の「警戒」以上が夜間から明け方に予想されていないか確認する。避難先と経路、持ち出すものを決める
レベル2レベル2土砂災害注意報、土砂キキクル「注意」(黄)(なし)避難先とルート、動く時刻を家族で確認する。車の移動先も決める
レベル3レベル3土砂災害警報、土砂キキクル「警戒」(赤)高齢者等避難高齢の家族・小さな子ども・ペットのいる家庭は移動を始める
レベル4レベル4土砂災害危険警報、土砂キキクル「危険」(紫)避難指示土砂災害警戒区域等にいる人は、区域の外の安全な場所への立退き避難を終える
レベル5レベル5土砂災害特別警報、土砂キキクル「災害切迫」(黒)緊急安全確保外に出るのが危険な段階。その場でできる最善の行動をとる

メモ

表の2列目と3列目は、出どころの違う別々の情報です。防災気象情報は気象庁(レベル4土砂災害危険警報は都道府県との共同)が、避難情報は市町村が出すもので、同じ段階の情報が必ず同時にそろうとは限りません。気象庁は、避難指示が発令されていなくても、土砂キキクルで「危険」(紫)が出た段階で、自ら土砂災害警戒区域等の外の少しでも安全な場所への避難の判断をするよう案内しています。逆に、避難情報が出たら気象情報を待つ必要はありません。

注意

立退き避難は、動ける状況であることが前提です。すでに土砂災害が発生・切迫していたり、夜間の暴風雨で移動そのものが危険だったりする場合は、区域の外へ出ることが最善とは限りません。そのときは次の「間に合わないときに、その場でできること」の考え方(ガイドラインでいう緊急安全確保)に切り替えてください。

各段階の情報と避難情報(高齢者等避難・避難指示・緊急安全確保)の関係は、内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和8年3月改定)」および気象庁の資料にもとづく目安です。避難指示が発令されていなくても自ら避難の判断をする点は気象庁「土砂キキクル」によります。実際の発令と避難の判断は、お住まいの自治体の情報を優先してください。

間に合わないときに、その場でできること

移動そのものが危険な状況になってしまった場合の行動も、ガイドラインには具体的に書かれています。ただしこれは、避難が遅れたときの次善の行動として位置づけられている点に注意してください。

立退き避難が間に合わないときの考え方(ガイドラインの記述より)

  • 土石流が想定される区域では、通常の木造家屋では2階以上に移動しても家屋が流出・全壊し命が脅かされる場合がある
  • 土石流が流れてくると予想される区域の中心からできるだけ離れる、または河川や渓流から高低差がある比較的高い場所へ移動する
  • 小規模な斜面崩壊(がけ崩れ)が想定される区域では、建築物の斜面とは反対側の可能な限り上層階に移動する
  • 近隣に高く堅牢な建物があり、かつ自宅より相対的に安全だと自ら判断できる場合は、そちらへ移動することも選択肢になる

注意

内閣府は、この行動をとったとしても身の安全を確保できるとは限らない、崖から離れた部屋まで土石流が流れ込むことがありえる、としています。そもそもこうした状況に至る前に、レベル3高齢者等避難やレベル4避難指示のタイミングで避難する必要があると強調されています。

なお、同じレベル4でも、川の氾濫や高潮のときは「上の階に上がる」という選択肢が条件つきで認められています。災害の種類で原則が違う点は、家族で確認しておきたいところです。

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夜と大雨のなかで判断しないための段取り

土砂災害でいちばん難しいのは、危険が高まる時間帯を選べないことです。屋久島でレベル5が出たのも、千葉県で2026年8月にレベル5土砂災害特別警報が発表されたのも、日が落ちてから明け方にかけての時間帯でした。

内閣府のガイドラインは、居住者等が留意すべき事項として、夜間や暴風時の立退き避難は危険を伴うとしたうえで、夜間に災害の状況が悪化する見込みがある場合はまだ日が明るいうちから避難するべきであり、暴風が予想される場合は昼夜を問わず暴風が吹き始める前に避難を完了させるべきである、としています。市町村側についても、時系列情報で夜間から明け方に土砂災害の「警戒」以上が予想されている場合は、夕刻時点で高齢者等避難や避難指示の発令を検討する必要がある、と書かれています。

家庭のルールに翻訳すると、判断の場所は「夕方」に移ります。夕方のうちに、今夜の見通しを見て、動くか動かないかを決めてしまう。決めてしまえば、真っ暗な中で雨音を聞きながら迷う時間がなくなります。

ヒント

内閣府のガイドラインによれば、気象庁の時系列情報は、警報・注意報の発表にかかわらず翌日までの見通しを市町村ごとに3時間単位で示し、1日4回(5時・11時・17時・23時)更新されます。見通しが大きく変わった場合などには、臨時に修正情報が発表されることもあります。17時の更新は、まさに「今夜どうするか」を決めるための材料です。土砂災害については、警報や危険警報が発表される可能性のある時間帯として示されます。

夜間・暴風時の避難についての考え方、夕刻時点での発令の検討、時系列情報の更新時刻(5時・11時・17時・23時)と臨時の修正情報は、内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和8年3月改定)」に示されています。土砂災害と高潮について時系列情報が警戒レベル相当情報の発表が予測される時間帯を示す点は、国土交通省水管理・国土保全局・気象庁「土砂災害に関する情報の改善」によります。

前兆に気づいたら、待たずに動く

小さな落石、湧き水の濁り、地鳴り・山鳴り。こうした前兆現象を発見した場合について、ガイドラインは、直ちに身の安全を確保する行動をとるとともに、市町村にすぐに連絡する、としています。情報が出ているかどうかとは別に、気づいた時点で動く、ということです。

ただし、前兆はいつも現れるとは限りません。前兆に頼りきらず、区域とレベルで動く。前兆に気づいたら、レベルを待たずに動く。この2本立てで考えてください。前兆現象の具体例と、がけ崩れ・土石流・地すべりというタイプごとの違いは、こちらの記事で詳しく整理しています。

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雨がやんでも、すぐには戻らない

見落とされやすいのが、帰るタイミングです。ガイドラインは、土砂災害は降雨が止んだ後しばらくしてから発生する場合があるため、自宅・施設等への帰宅判断は市町村の避難情報の解除を踏まえ行う、としています。雨がやんで空が明るくなっても、地中にしみ込んだ水はすぐには抜けません。帰る判断も、自分の感覚ではなく自治体の解除に合わせてください。

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台風シーズンの前に、一度やっておくこと

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  • 重ねるハザードマップで自宅の住所を検索し、土砂災害のリスク情報を表示する
  • イエロー(警戒区域)かレッド(特別警戒区域)か、どの現象(土石流・がけ崩れ・地すべり)の区域かを控える
  • 市区町村のハザードマップで、土砂災害のときの避難場所(洪水や地震と別のことがある)を確認する
  • 避難経路が斜面の下や沢沿いを通っていないか、一度歩いて確かめる
  • レベル4土砂災害危険警報は「おおむね2時間で発生する可能性がある」段階で、2時間の猶予が約束されたものではない、と家族で共有する
  • レベル3が出ないままレベル4になることがある、と知っておく
  • 夜間に危険が高まりそうな日は、夕方のうちに動くかどうかを決める、というルールを一行で決める

なお、地震のあとは同じ雨でも土砂災害が起きやすくなるため、レベル4土砂災害危険警報の発表基準を暫定的に引き下げて運用する地域があります。お住まいの地域が対象になっていないかは、こちらで確認方法を整理しています。

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よくある質問

「レベル4土砂災害危険警報」とは、どんな情報ですか
2026年5月29日から運用が始まった、土砂災害に関する警戒レベル4相当の情報です。従来の「土砂災害警戒情報」が名前を変えたもので、都道府県と気象庁が共同で、市町村単位を基本として発表します。内閣府のガイドラインでは、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない基準に2時間程度で到達する予測がなされたときに発表される、つまり発表後からおおむね2時間で土砂災害が発生する可能性があると説明されています。土砂災害警戒区域等にいる人が全員避難する段階です。
土砂災害警戒情報や大雨警報(土砂災害)はなくなったのですか
名称が整理されました。土砂災害警戒情報はレベル4土砂災害危険警報に、大雨警報(土砂災害)はレベル3土砂災害警報に、大雨特別警報(土砂災害)はレベル5土砂災害特別警報になっています。国土交通省・気象庁の資料では、レベル4土砂災害危険警報に呼称は変わるが、土砂災害防止法第27条にもとづく避難に資する情報という土砂災害警戒情報としての性質を有することは変わらない、とされています。危険度分布の「土砂キキクル」も名前のまま残っています。
レベル3が出てから動けば間に合いますか
必ずしもそうとは限りません。新しい体系では、レベル3土砂災害警報は3時間先の予測値がレベル4の基準に到達するときに発表されるため、レベル4に至らない「空振り」は大きく減る一方、レベル3からレベル4までの時間が短くなる事例や、レベル3を経ずにレベル4が発表される事例が増えると見込まれています。内閣府のガイドラインも、積乱雲が急速に発達する場合など予想が難しい状況ではレベル3が発表されないことがある、としています。準備はレベル2や早期注意情報の段階で済ませておくのが安全です。
がけのそばですが、2階に上がれば避難したことになりますか
土砂災害では、区域の外へ出る立退き避難が原則です。内閣府のガイドラインは、土砂災害が突発的に発生することが多く、木造住宅を流失・全壊させるほどの破壊力を有しているため屋内で身の安全を確保できるとは限らない、と説明しています。避難行動の整理表でも、上階への移動などの屋内安全確保が関係するのは洪水等と高潮で、土砂災害と津波は立退き避難が原則と注記されています。移動が間に合わない場合の次善の行動としては、がけ崩れが想定される区域では斜面とは反対側の可能な限り上層階へ、土石流が想定される区域では流れてくると予想される区域の中心から離れる、といった考え方が示されています。
雨がやみました。もう家に戻って大丈夫ですか
内閣府のガイドラインは、土砂災害は降雨が止んだ後しばらくしてから発生する場合があるため、自宅・施設等への帰宅判断は市町村の避難情報の解除を踏まえて行う、としています。地中にしみ込んだ水はすぐには抜けないため、空が明るくなったことを理由に戻るのは避け、お住まいの自治体が避難情報を解除したかどうかで判断してください。

まとめ|「レベル4までに、区域の外へ」

2026年の見直しで、土砂災害の情報は5段階の警戒レベルにきれいにそろいました。名前を聞けば、いまどの段階なのかが分かります。そのぶん、家庭が決めておくことははっきりしました。

覚えるのは3つだけです。自宅が土砂災害警戒区域等に入っているかを地図で知る。レベル4土砂災害危険警報はおおむね2時間で土砂災害が発生する可能性がある段階であって、猶予が保証されているわけではないこと、レベル3を経ずにレベル4になることもあると知っておく。そして、土砂災害では上の階ではなく区域の外へ出る、という原則を家族で共有する。

国土交通省が2026年3月31日に公表した集計では、令和7年の土砂災害は37の都道県で578件発生しました。集計開始以降(昭和57年〜令和6年)の平均1,116件を下回る水準ですが、それでも1年で578件です。「めったに起きない」というより「どこかで毎年起きている」災害だと考えて、地図を1回だけ開いてみてください。

ヒント

今日は1つでかまいません。重ねるハザードマップを開いて自宅の住所を入れ、土砂災害のリスク情報を表示してみる。色が付いていなければ安心材料が1つ増え、付いていれば「次に何を決めるか」がはっきりします。雨が降り出してから調べるより、ずっと落ち着いて確認できます。

夜にかかる大雨で、実際にどんな順番で情報が動いたのか。2026年8月の千葉県の事例を時刻とともに整理した記事もあわせてどうぞ。

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出典・参考

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