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大雪への家庭の備え|雪下ろしの事故・車の立ち往生・閉じこもる数日を、雪が降る前に整える

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大雪への家庭の備え|雪下ろしの事故・車の立ち往生・閉じこもる数日を、雪が降る前に整える

雪の季節はまだ先ですが、大雪への備えは、実は秋のうちに進めておくほうが楽です。スコップや冬用タイヤは雪が降り出してから探すと品薄になりがちですし、屋根の雪下ろしを誰に頼むかといった話し合いも、雪が積もってからでは間に合いません。国土交通省によると、豪雪地帯は国土の約51%を占め、総人口の約15%が暮らしています。一方で、ふだん雪の少ない太平洋側でも、数年に一度の大雪で車の立ち往生や停電が起き、慣れていないぶん混乱が大きくなることがあります。この記事では、公的機関の資料をもとに、大雪で家庭に起きることを3つに分け、それぞれ雪が降る前に何を整えておけばよいかを整理します。

本記事の内容は、国土交通省「雪下ろし安全10箇条」「豪雪地帯対策の推進」「大雪に対する国土交通省緊急発表」、内閣府(防災担当)「市町村のための降雪対応の手引き」、中央防災会議会長通知「降積雪期における防災態勢の強化等について」(令和7年12月2日)、総務省消防庁「防災・危機管理eカレッジ」、首相官邸「雪害では、どのような災害が起こるのか」、気象庁「大雪について」などにもとづきます。お住まいの地域の除雪体制や支援制度は自治体ごとに異なります。実際の判断は、自治体と気象庁の最新の情報を優先してください。本記事は2026年9月26日時点の内容です。

大雪で家庭に何が起きるのか|3つに分けて考える

気象庁は、大雪になると道路の通行止めや車両の滞留、鉄道の運休や立ち往生、航空機の欠航などの交通障害、停電などが起き、集落の孤立や家屋の倒壊といった重大な災害にもつながると説明しています。また、大雪で交通機能がまひすると復旧までに数日かかることも多く、その間は物流が止まるなど、暮らしに大きな影響が出ます。

首相官邸の防災ページでは、雪害を「除雪中の事故」「車による雪道での事故」「歩行者の雪道での事故」「雪のレジャーでの事故」「雪崩による事故」の5つのケースに分けて説明しています。そのうえで、雪による事故の死者の多くは除雪中の事故によるものだとしています(令和5年度中の雪による人的被害の約9割が、雪下ろし等の除雪中の事故。ただし交通事故と転倒によるものを除く)。

家庭の備えとして考えるなら、次の3つに分けると整理しやすくなります。

場面起きやすいこと雪が降る前に整えたいこと
家の外(除雪)屋根からの転落、屋根からの落雪、水路への転落、除雪機の事故、作業中の体調急変安全装備、はしごの固定具、作業の人手、頼れる先(家族・近所・業者・自治体)
車立ち往生、長時間の車内待機、一酸化炭素中毒、スリップ事故冬用タイヤ、チェーン、スコップや砂、防寒具、車に積む水と食料
家の中停電、物流の停止、除雪待ちで外に出られない、給排気口の埋没明かり・ラジオ・水・食料・燃料、暖房の安全な使い方、給排気口の位置確認

大雪で起きる被害の説明と、交通機能のまひで復旧に数日かかることが多いという記述は、気象庁「大雪について」によります。雪害の5つのケースと、令和5年度中の雪による人的被害(交通事故・転倒を除く)の約9割が除雪中の事故であることは、首相官邸「雪害では、どのような災害が起こるのか」によります。

雪下ろし・雪かきの事故を防ぐ

事故の多くは、慣れた人の、いつもの作業中に起きる

国土交通省は、豪雪地帯では屋根の雪下ろしなどの除雪作業中の事故が多く発生しており、多雪の年には年間1,000件以上の事故が発生し、100人以上が亡くなるなど深刻な被害になっていると説明しています。また、死亡事故の約8割は65歳以上の高齢者によるものだとしています。

直近の冬についても、令和7年12月2日付けの中央防災会議会長の通知では、通知の前年の冬(令和6年から7年にかけての冬)に、除雪作業中の事故等により死者68名、重傷者416名などの人的被害があったとしています。同じ通知は、その冬の雪による犠牲者の約8割が雪下ろし等の除雪作業中に亡くなったこと、約9割が65歳以上の高齢者だったことにも触れています。

メモ

「多雪の年には年間1,000件以上」は、国土交通省が、雪の多い年に実際に起きている被害の規模として示している数字です。事故の件数や死者数は、その冬の降雪量によって大きく変わります。雪の少ない冬が続いたあとの大雪の年こそ、道具や段取りを忘れていることがあるので注意したいところです。

事故の中身も見ておきます。少し古い資料ですが、内閣府と国土交通省が平成23年(2011年)ごろに作成したパンフレット「よくある除雪作業中の事故とその対策」では、65歳以上の除雪中の事故について、屋根からの転落による死者が41%、屋根からの落雪による死者が17%、水路への転落による死者が10%、作業中の発作による死者が8%、除雪機に巻き込まれた死者が5%と示されています。さらに、屋根からの転落事故の32%ははしごから、転落した死者のうち60%は1階の屋根からだったとされています。高い屋根だけが危ないわけではない、ということがわかります。

多雪の年の事故件数・死者数と、死亡事故の約8割が65歳以上であることは、国土交通省「雪下ろし安全10箇条~除雪作業中の事故に注意しましょう~」によります。令和6年から7年にかけての冬の人的被害と、犠牲者に占める除雪作業中・65歳以上の割合は、中央防災会議会長通知「降積雪期における防災態勢の強化等について」(令和7年12月2日)によります。事故の内訳の割合は、内閣府・国土交通省のパンフレット「よくある除雪作業中の事故とその対策」(65歳以上の事故について。首相官邸の雪害ページからも案内されている資料で、PDFの作成日は2011年12月)によるもので、現在の統計とは異なる可能性があります。

国土交通省「雪下ろし安全10箇条」

国土交通省は、屋根からの転落のほか、転倒、除雪機、落雪、水路への転落、作業中の発症などを防ぐための注意事項を「雪下ろし安全10箇条」としてまとめています。チラシの内容を、家庭で確認しやすい形に整理します。

箇条内容のポイント
1. 安全な装備で行う(最重要)腰全体を支えるハーネス型などの安全帯、ザイルロープなど丈夫な命綱を使い、命綱の一端はアンカー(無ければ反対側の柱や固定物)にしっかり固定する。ヘルメットはあごひもを締め、長靴は滑りにくいものにする
2. はしごは固定する足元を固め、ロープや器具で固定する。屋根に対して決められた角度でまっすぐ立て、軒先から少し高くかける。はしごから屋根へ移るときは特に注意し、はしごの上で雪庇を落とす作業はしない
3. 作業は2人以上で行う1人だと事故の発見が遅れ、重大な事故につながりやすい。家族や親戚、近所の人と協力する
4. 足場の確認を行う雪止めの位置を確認し、落雪に巻き込まれないよう屋根の上から下ろす。滑りにくいよう雪は少し残す。晴れて気温が高い日は特に注意
5. 雪下ろしのときは周りに雪を残す転落したときに地面やコンクリートに強打しないよう、住宅周りの除雪は雪下ろしのあとに行う
6. 屋根から雪が落ちてこないか注意する軒下での作業に注意。時間がたった屋根雪は氷のように硬くなる。新雪や、晴れて暖かい日のゆるんだ雪は特に注意
7. 除雪道具や安全対策用具の手入れ・点検を行うスコップやスノーダンプを使いやすくしておき、古くなって壊れていないか定期的に点検する
8. 除雪機の雪詰まりはエンジンを切ってから棒などで取り除く素手で取り除かない。デッドマンクラッチ(安全装置)をひもで縛るなどして無効化しない
9. 携帯電話を身につける事故で動けなくなっても、家族や緊急医療機関などにすぐ連絡できるようにする
10. 無理はしない体調が悪いときは作業しない。作業前に準備運動をし、こまめに休憩をとる。寒い屋外での重労働は発作などの危険がある

表は国土交通省 国土政策局 地方振興課のチラシ「雪下ろし安全10箇条」の内容を、本記事で要約したものです。装備の詳細や正しい使い方はチラシ本体をご確認ください。

首相官邸の防災ページには、内閣府と国土交通省がまとめた「除雪中の事故防止10箇条」も掲載されています。こちらには「晴れの日ほど要注意、屋根の雪がゆるんでる!」「低い屋根でも油断は禁物!」「作業開始直後と疲れたころは特に慎重に!」といった、作業のタイミングに関する注意も入っています。1階の屋根や物置の屋根など「このくらいなら」と思える場所でも、同じ装備と段取りで作業するのが安全です。

注意

屋根の上での作業は、1人では行わないでください。命綱やヘルメットは「持っている」だけでなく、正しく固定・着用して初めて役に立ちます。装備がそろわない、手伝える人がいない、体調がすぐれないときは、屋根に上らない判断も大切です。無理をせず、家族や近所、自治体の支援、専門の業者に相談してください。

見落としやすい2つの注意|ガス設備と除雪機

雪下ろしや雪かきで意外と見落とされるのが、家の外にあるガスの設備です。内閣府の降雪対応の手引きには、自治体が住民に呼びかける協力依頼の例として、雪下ろしの際にガスの設備が損傷しないよう注意することが挙げられています(北海道北見市の広報紙から一部抜粋し、内閣府が修正したものです)。中央防災会議会長の通知でも、除雪作業中の実践的な留意点の一つとして、ガス設備の損傷事故の防止が挙げられています。屋根から落とした雪がガスメーターや配管、プロパンガスの容器に当たる位置関係になっていないか、雪が降る前に家の周りを一周して確かめておくと安心です。

家庭用の除雪機を使う場合は、消費者庁の注意喚起も確認しておきましょう。消費者庁は、デッドマンクラッチなどの安全機能を正しく使うこと、雪詰まりを取り除くときは必ずエンジンを切り、エンジンや回転部の停止を確認してから雪かき棒を使うことを挙げています。また、物置で除雪機を使用中に一酸化炭素中毒で死亡する事故が起きていることから、作動中の除雪機の排気には一酸化炭素が多く含まれるため屋内で作動させるのは大変危険であり、始動・停止も含めて屋外で使うよう呼びかけています。エンジンを切った状態で手で押して動かせない大型の除雪機については、窓などを開けて十分に換気したうえで屋内で始動してすぐ屋外に出す、といった手順も同じページで示されています。

雪下ろしの際のガス設備の損傷への注意は、内閣府(防災担当)「市町村のための降雪対応の手引き」(令和7年11月改訂)に住民への協力依頼例として掲載されたもの(広報きたみ2017年12月号から一部抜粋し内閣府が修正)と、中央防災会議会長通知(令和7年12月2日)によります。除雪機の注意点は、消費者庁「除雪機による死亡・重傷事故を防ごう!-正しく、安全に使用してください-」によります。

離れて暮らす親の雪下ろしは「誰に頼むか」を先に決める

除雪中の事故は高齢者に多いため、親が雪の多い地域で一人暮らしや夫婦二人で暮らしている家庭では、雪下ろしを「誰がやるのか」を秋のうちに話し合っておくことをおすすめします。国土交通省は、作業をする本人だけでなく、家族や親戚、近所の人が安全対策をしていないのを見かけたら声をかけるなど、地域全体で安全対策を行うことが重要だとしています。また、昔から安全対策をしなくても事故に遭わなかったから大丈夫と考えるのは、とても危険だとも述べています。

頼れる先としては、次のようなものがあります。

  • 家族・親戚: 雪下ろしの日を決めて、2人以上で作業できるよう予定を合わせる
  • 近所・町内会: 豪雪地帯の各地では、町内会など地域の住民が協力して、高齢者など除雪作業が困難な人の家の除雪を行う共助の取り組みが行われています
  • 自治体: 内閣府の手引きでは、市町村が高齢者世帯など自ら雪下ろしが困難な世帯に対して、除雪業者の情報提供や除雪支援事業などで支援することが想定されています。制度の有無や条件は自治体によって違うので、親の住む市町村の窓口やホームページで確認します
  • 専門の業者: 屋根の雪下ろしを請け負う業者を、雪が降る前に探して連絡先を控えておく

なお、平年より雪が多いなどで災害救助法が適用された場合には、住家の倒壊等で生命・身体に危害が及ぶおそれがあり、自らの資力や労力では除雪できない人に対して、屋根の雪下ろしなどが救助として行われることがあります。空き家の雪が危険な状態になっている場合は、法律の定めにもとづき市町村長の判断で雪下ろしを行うことが可能とされています。困ったときは、まず市町村に相談してください。

毎年、父が一人で屋根に上っているのを知っていながら、電話で「気をつけて」と言うだけでした。去年の秋に帰省したとき、町内の雪下ろしの日程と、近所で頼める業者の電話番号を冷蔵庫に貼ってきました。父は最初「まだ自分でできる」と言っていましたが、1人では上らないという約束だけはしてもらいました。
雪国に親を残して都市部で暮らす読者

地域全体で声をかけ合う重要性と共助による除雪活動は、国土交通省「雪下ろし安全10箇条~除雪作業中の事故に注意しましょう~」によります。市町村による屋根雪下ろしの支援と、災害救助法による屋根雪の除雪は、内閣府(防災担当)「市町村のための降雪対応の手引き」(令和7年11月改訂)と中央防災会議会長通知(令和7年12月2日)によります。空き家の雪下ろしについての記述は、首相官邸「雪害では、どのような災害が起こるのか」によります。

高齢の家族の備えは、雪以外の災害とも共通する部分が多くあります。薬や連絡手段、避難の支援などは、こちらの記事にまとめています。

シニアと暮らす家庭の防災はこちら

シニアと暮らす家庭の防災|薬・避難・家の安全、離れて暮らす親のためにできること

車の立ち往生に備える

「除雪体制の整った道」でも止まることがある

気象庁は、近年の大雪では、集中的な降雪などで鉄道の立ち往生や車両の大規模な滞留がくり返し起きており、高速道路や国道のような除雪体制の整った道でも大規模な滞留が発生していると説明しています。特に、雪の少ない地域の車両が雪の多い地域へ移動して立ち往生し、その車を先頭に大規模な滞留が起きるケースがしばしばみられるとしています。

太平洋側の大雪にも特有の難しさがあります。気象庁は、南岸低気圧による大雪などでは、スタッドレスタイヤなどの備えをしていない車両や雪道に不慣れなドライバーが多く、除雪の車両や装備も少ないため、降雪量が多くなくても立ち往生やスリップ事故などの交通障害が起きやすいとしています。内閣府の手引きには、平成30年1月の大雪で、東京都の首都高速中央環状線の山手トンネルで、チェーンを装着済みの大型トレーラが上り坂で走行不能になり、最大約12kmの車両滞留が発生し、トンネル内に多くの車両が約10時間滞留した事例が紹介されています。

除雪体制の整った道でも大規模な滞留が起きていること、雪の少ない地域の車両を先頭にした滞留、太平洋側の大雪の特徴は、気象庁「大雪について」によります。山手トンネルの事例は、内閣府(防災担当)「市町村のための降雪対応の手引き」(令和7年11月改訂)によります。

いちばんの備えは「その日は運転しない」と決めておくこと

2026年1月19日の「大雪に対する国土交通省緊急発表」では、最新の気象情報や交通情報に注意し、大雪が予想される地域では、テレワークの活用なども含めて不要不急の外出を控えるよう呼びかけました。やむを得ず運転する場合には、冬用タイヤの装着、チェーンの装着方法の事前確認・携行と早めの装着、スコップや砂などの冬用装備の携行を求めています。また、降雪の状況によっては、高速道路とそれに並行する国道などが広い範囲で同時に通行止めになる場合があることにも触れています。

家庭で決めておけることは、次のようなことです。

  1. 1

    大雪の予報が出たら、移動の予定を前倒し・後ろ倒しする

    通院や買い出し、帰省などは、雪の前に済ませるか、雪がやんで道路が落ち着いてからにずらします。職場や学校とも、大雪の日の在宅勤務や休校の連絡方法を確かめておきます。
  2. 2

    冬用タイヤの交換時期と、チェーンの装着練習を秋のうちに

    スタッドレスタイヤは溝の深さや製造からの年数も確認します。チェーンは実際に一度、自宅の駐車場など安全な場所で着けてみると、いざというときの手間が大きく違います。
  3. 3

    チェーン規制の区間を知っておく

    国土交通省は、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪のときに、峠などの区間でチェーン規制を行うとしています。チェーン規制が行われている間は、スタッドレスタイヤを着けていても、タイヤチェーンをしていない車はその区間を通行できません。帰省先や通勤経路に規制区間が含まれていないか、国土交通省のページで確認しておきます。
  4. 4

    車に冬用の装備を積む

    総務省消防庁は、やむを得ず車を運転する際の準備として、防寒着、長靴、手袋、カイロ、スコップ、けん引ロープ、飲料水、非常食などを挙げています。首相官邸の防災ページでは、タイヤチェーン、ブースターケーブル、毛布、滑り止め用の砂、除雪用ブラシ、懐中電灯、ラジオなども、冬道で備えておきたい装備として紹介されています。

外出を控える呼びかけと、やむを得ず運転する場合の冬用タイヤ・チェーン・スコップや砂の携行、高速道路と並行する国道の同時通行止めは、「大雪に対する国土交通省緊急発表」(令和8年1月19日)によります。チェーン規制の実施条件と、スタッドレスタイヤでもチェーンが必要なことは、国土交通省「チェーン規制について」によります。車の準備品は、総務省消防庁「防災・危機管理eカレッジ 1.大雪・暴風雪への備え」と首相官邸「雪害では、どのような災害が起こるのか」によります。

車内で待つときは、一酸化炭素中毒に最大限の注意を

立ち往生で動けなくなったとき、いちばん気をつけたいのが一酸化炭素(CO)中毒です。車の周りに雪が積もってマフラー(排気口)がふさがれると、エンジンをかけて暖房を使っているうちに、排気ガスが車内に入り込むおそれがあります。内閣府の手引きには、平成25年3月の北海道の暴風雪で、中標津町で吹きだまりにより立ち往生した車内で4人が排気ガスにより中毒死した事故が記録されています。

中央防災会議会長の通知は、車で大雪に遭ったときに重要なこととして、暴風雪の際の早めの避難、走行できなくなったときの早めの救助依頼、車内で待機するときのマフラーの定期的な除雪と適切な換気による一酸化炭素中毒の防止、立ち往生してやむを得ず車を離れる場合はドアをロックせず、キーを車内の目立つ場所に残すこと、を挙げています。

注意

車内で待つときは、マフラーの周りに雪がたまっていないかをこまめに確認し、除雪と換気を欠かさないでください。JAFは、降雪時に車内にとどまるときはできるだけエンジンを切るよう呼びかけています。一酸化炭素は無色・無臭で気づきにくく、JAFによると、軽い頭痛や疲労感から始まり、進むと激しい頭痛やめまい、吐き気などが起きます。眠っている間は異変に気づけないため、エンジンをかけたまま眠らないようにし、体調の異変を感じたらエンジンを止めて換気してください。動けなくなったら、様子を見続けずに早めに救助を求めてください。やむを得ず車を離れるときは、あとで車を移動できるよう、ドアをロックせず、キーを車内の目立つ場所に残します。

中標津町の事例は、内閣府(防災担当)「市町村のための降雪対応の手引き」(令和7年11月改訂)によります。車内待機時のマフラーの除雪と換気、早めの救助依頼、車を離れる場合にロックせずキーを車内の目立つ場所に残すことは、中央防災会議会長通知「降積雪期における防災態勢の強化等について」(令和7年12月2日)と、総務省消防庁「防災・危機管理eカレッジ 1.大雪・暴風雪への備え」によります。降雪時はできるだけエンジンを切ることと、一酸化炭素中毒の症状は、JAF「雪で埋まった場合の一酸化炭素中毒の危険性とは?」によります。エンジンをかけたまま眠らないことと、異変を感じたらエンジンを止めて換気することは、これらの資料をふまえた本記事としての一般的な注意です。

車に積んでおく防災用品の選び方と、車中泊での一酸化炭素中毒・エコノミークラス症候群への注意は、それぞれ別の記事で詳しくまとめています。

車に積んでおく防災グッズの選び方はこちら

車に積んでおく防災グッズの選び方比較|脱出ハンマー・車載電源・防災セット・停止表示器材

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車中泊避難と車の防災|車に積んでおく備えとエコノミークラス症候群への注意

家に閉じこもる数日の備え

雪の日に「家にいる」ための準備

大雪が予想されるときの基本は、外に出ないことです。総務省消防庁は、大雪や暴風雪が予想される場合はできる限り車の運転をせず、不要不急の外出を避けること、そして自宅にいる場合は懐中電灯、携帯ラジオ、飲料水、食料を準備し、FF式暖房機の給排気口付近を除雪するよう呼びかけています。

雪による在宅の備えは、ほかの災害の在宅避難とほとんど同じです。そのうえで、雪ならではの点を押さえておきます。

雪ならではの状況家庭でできる備え
道路が通れず、数日買い物に行けない水と食料は、ふだんの買い置きを少し多めにしておく。孤立のおそれがある地域では、食料・水・燃料を十分に備える
着雪や倒木で停電する明かり、ラジオ、モバイルバッテリー、乾電池。停電しても使える暖房手段と防寒具
給排気口が雪に埋もれるFF式暖房機、風呂釜、給湯器などの給排気口の位置を確かめ、雪のたびに周りを除雪する
水道が凍る・止まる飲み水と生活用水を分けて備える。凍結対策は水道事業者の案内に従う
除雪が済むまで外に出にくい玄関から道路までの除雪の段取り(道具・担当・時間帯)を家族で決めておく

在宅時の備え(懐中電灯・携帯ラジオ・飲料水・食料)とFF式暖房機の給排気口付近の除雪は、総務省消防庁「防災・危機管理eカレッジ 1.大雪・暴風雪への備え」と中央防災会議会長通知(令和7年12月2日)によります。孤立のおそれがある地域での食料・水・燃料の備蓄は同通知によります。FFストーブ・風呂釜・給湯器などの排気口の確認は、内閣府(防災担当)「市町村のための降雪対応の手引き」(令和7年11月改訂)の住民への協力依頼例によります。大雪で停電や水道の凍結が起きた事例は、同手引きに記載されています。

給排気口の位置を、雪が降る前に確かめる

FF式の石油暖房機・ガス暖房機や、ガス給湯器、風呂釜などは、屋外の給排気口から空気を取り入れ、排気を外に出しています。日本ガス石油機器工業会は、FF式石油暖房機について、給排気筒トップ(屋外の給排気口)の周りが雪でふさがれると、運転中に排ガスが室内に漏れて危険だとしています。同会は、外壁の塗装などで給排気筒トップが養生シートで囲われた状態でも使用しないよう求めており、その理由として、不完全燃焼を起こし、一酸化炭素(CO)中毒や火災の原因になることを挙げています。屋外設置式のガス給湯器についても、積雪時は給排気部を点検・除雪すること、積雪や隣家の屋根からの落雪で給排気部がふさがれた状態で使うと異常着火して故障するおそれがあることが示されています。

注意

雪が積もったら、暖房機や給湯器を使う前に、屋外の給排気口が雪でふさがれていないかを確かめ、ふさがれていれば除雪してから使ってください。自分で安全に除雪できない位置にある場合は、無理をせず、取扱説明書やメーカー・販売店の案内に従ってください。

FF式石油暖房機の給排気筒トップが雪でふさがれると運転中に排ガスが室内に漏れて危険であることと、養生シートで囲われた状態での使用が不完全燃焼による一酸化炭素中毒や火災の原因になることは、日本ガス石油機器工業会「FF式石油暖房機の安全な使い方」によります。屋外設置式のガス給湯器の積雪時の点検・除雪と、給排気部がふさがれた状態で使うと異常着火し故障となるおそれは、同会「ガス給湯器・ガス給湯付ふろがま[屋外設置式]の安全な使い方」によります。

雪の日に慌てないよう、秋のうちに次のことを確かめておくと安心です。

  • 家の外壁のどこに給排気口があるかを家族で確認し、写真を撮っておく
  • 給排気口の近くに、屋根からの落雪や、除雪した雪を積み上げる場所がないかを見る
  • 取扱説明書で、給排気口がふさがれたときの注意や、異常時の表示・停止のしかたを確認する
  • 集合住宅でベランダ側に給湯器がある場合は、ベランダに雪が吹きだまらないかも見ておく

屋内で石油ストーブやカセットガスストーブなどの燃焼器具を使う場合は、換気が欠かせません。雪で窓を開けにくい日ほど換気がおろそかになりがちなので注意してください。停電中にも使える暖房器具の選び方と、換気・給油・置き場所の注意点は、こちらの記事で詳しく整理しています。

停電でも使える暖房器具の選び方と安全な使い方はこちら

停電でも使える暖房器具の選び方比較|石油ストーブ・カセットガスストーブを「換気・給油・置き場所」の安全から選ぶ

電気や燃料に頼らない防寒の備えもあると、停電が長引いたときの安心感が違います。

停電・避難時の防寒・保温グッズの比較はこちら

停電・避難時の防寒・保温グッズの選び方比較|電源に頼らず暖をとる5タイプを「重ね着・断熱・局所加温」で組み合わせる

ヒント

家の前の消火栓や、除雪車が通る場所に物を置かないことも、雪の日の「共助」の一つです。内閣府の手引きには、自治体が住民に呼びかける協力の例として、消火栓の除雪や、自宅の前や車庫の出入口にある障害物を移動することが挙げられています。一人暮らしの高齢者などへの声かけも、同じく協力の例として挙げられています。

水と食料の量の目安や、停電への備え全般は、次の記事もあわせてご覧ください。

家庭の備蓄品リストはこちら

家庭の備蓄品リスト|水・食料は3日分から1週間分を目安に無理なくそろえる

停電への備えと停電時の過ごし方はこちら

停電への備えと停電時の過ごし方|明かり・電源・冷蔵庫の現実的な対策

雪の情報の受け取り方|2026年5月から名前が変わったものがある

大雪の情報は段階的に出る

気象庁は、大雪のおそれに応じて段階的に情報を発表しています。気象庁の説明をもとに、流れを整理します。

情報発表の目安家庭での使いどころ
早期注意情報(警報級の可能性)5日先までに警報級の大雪が予想されているとき週の予定を見直し、買い出しや通院を前倒しする
気象解説情報大雪となるおおむね数日から1日程度前に、警報・注意報に先立って予告することがある。警報・注意報の発表中は、経過や予想、防災上の留意点を解説する雪の見込みを確認し、在宅の準備と車の予定変更を決める
大雪注意報大雪による災害が起こるおそれがあるとき外出を控え始める。家の前の除雪道具や給排気口の周りを確認する
大雪警報社会的影響の大きい災害が起こるおそれがあるとき。そのおおむね3〜6時間前に発表不要不急の外出はしない。車の運転は避ける
大雪特別警報警報の発表基準をはるかに超える現象が予想され、重大な災害の起こるおそれが著しく高まっているとき最大級の警戒。自治体の呼びかけに従い、命を守る行動をとる

早期注意情報・気象解説情報・大雪警報の発表の目安は、気象庁「大雪について」によります。特別警報の説明は、気象庁「特別警報について」によります。注意報の行は、気象庁の警報・注意報の位置づけをもとに本記事で要約したものです。実際の発表のタイミングは、地域や雪の降り方によって変わります。

2026年5月からの新しい名前

気象庁は2026年5月29日に、新たな防災気象情報の運用を始めました。大雨・土砂災害・河川の氾濫・高潮に関する情報は、避難情報の5段階の警戒レベルとより強く結びつく形に整理されました。一方、大雪と暴風雪の特別警報・警報・注意報は「警戒レベル相当情報以外」の情報として整理されており、「大雪警報」「大雪注意報」といった名前は変わっていません。

雪に関して名前が変わったのは、次の2つです。

  • これまでの「顕著な大雪に関する気象情報」は、「気象防災速報(短時間大雪)」になりました。除雪が降雪の勢いに追いつかず、大規模な交通障害が起きる可能性が高い状況を想定した短文の情報です。気象庁によると、個々の地点で値は異なるものの、おおむね3時間で20〜25cm、または6時間で30〜40cmの降雪を観測し、その後も警報級の降雪が続くと予想される場合に発表されます。運用地域は、新潟・富山・石川・福井・山形・福島(会津地方)・滋賀・京都・兵庫・広島・岡山・鳥取・島根と、岐阜(関ケ原町付近)です
  • これまでの「気象情報」は、気象の状況や見通しを網羅的に解説する「気象解説情報」になりました。大雪の場合は「気象解説情報(大雪)」のような形で発表されます

気象庁は、大雪警報の基準を大幅に上回るなど一層の警戒が必要なときに、気象解説情報で厳重な警戒を呼びかけることがあり、この呼びかけは沖縄を除く全国で、雪の少ない地域でも行われるとしています。「気象防災速報(短時間大雪)」や厳重な警戒の呼びかけが出た地域では、不要不急の外出を控え、ほかの地域からもその地域へ向かわないことが大切だとされています。

メモ

2026年5月の運用開始より前に作られた資料や記事には、「顕著な大雪に関する気象情報」「大雪に関する気象情報」といった以前の名前が残っていることがあります。ニュースやアプリで新しい名前を見ても、内容は同じ系統の情報だと考えて大丈夫です。

新たな防災気象情報の運用開始日は、気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」によります。大雪・暴風雪の特別警報・警報・注意報が警戒レベル相当情報以外の情報として整理されていること、「顕著な大雪に関する気象情報」が「気象防災速報(短時間大雪)」になることは、国土交通省・気象庁「防災気象情報の改善について」(令和7年12月)によります。気象防災速報(短時間大雪)の名称変更の時期、発表の目安、運用地域、厳重な警戒の呼びかけは、気象庁「大雪について」によります。気象解説情報の説明は、気象庁「気象防災速報、気象解説情報など」によります。

大雨の「レベル付き警報」など、2026年5月に変わった防災気象情報の全体像は、こちらの記事で整理しています。

2026年に変わった防災気象情報はこちら

2026年に変わった防災気象情報|「レベル付き警報」と線状降水帯の新情報を家庭でどう受け取るか

出かける前に「今後の雪」を見る習慣を

気象庁の「今後の雪」では、積雪の深さと降雪量について、24時間前から現在までの状況と6時間先までの予報を、地図上で確認できます。政府広報オンラインの解説によると、5キロ四方の分布で表示され、1時間ごとに最新の情報に更新されます。道路や鉄道の地図と重ねて見られるので、出かける時間帯やルートを決めるのに役立ちます。気象庁の「大雪・暴風雪に関する最新の防災気象情報」のページには、今後の雪や積雪の深さ、警報・注意報、気象解説情報へのリンクがまとまっているので、ブックマークしておくと便利です。

「今後の雪」の内容は、気象庁「大雪について」および政府広報オンライン「雪予報の確認に!気象庁『今後の雪』で6時間先までの雪の予報をチェック!」(2025年8月8日)によります。なお、同記事では短時間の大雪の情報が以前の名称「顕著な大雪に関する気象情報」で紹介されています。

秋のうちに済ませるチェックリスト

雪が降り始めると、道具も時間も足りなくなりがちです。次のことを、秋のうちに一つずつ片づけておきましょう。

雪が降る前の準備

  • スコップ、スノーダンプ、雪かき用の手袋と長靴がそろっているか、壊れていないかを確認する
  • 屋根に上る可能性があるなら、ヘルメット・安全帯・命綱・はしごの固定具を用意し、使い方を確かめる
  • 雪下ろしを誰がするか(家族・近所・業者・自治体の支援)を決め、連絡先を控える
  • 離れて暮らす親と、1人で屋根に上らない約束と、頼る先を話し合う
  • 冬用タイヤの交換時期を決め、チェーンを一度装着してみる
  • 車にスコップ、砂、けん引ロープ、防寒着、毛布、カイロ、水、非常食、ライトを積む
  • FF式暖房機・給湯器・風呂釜の給排気口の位置を確認し、落雪や雪の置き場と重ならないか見る
  • ガスメーターや配管、プロパンガスの容器が、屋根からの落雪で傷つかない位置か確認する
  • 懐中電灯、ラジオ、モバイルバッテリー、乾電池、数日分の水と食料、停電中でも使える暖房手段を用意する
  • 気象庁の「今後の雪」と大雪・暴風雪の情報ページをスマートフォンに登録する

よくある質問

雪の少ない地域に住んでいても、大雪の備えは必要ですか
必要です。気象庁は、太平洋側の南岸低気圧による大雪などでは、冬用タイヤの備えがない車や雪道に不慣れなドライバーが多く、除雪の体制も少ないため、降雪量が多くなくても立ち往生やスリップ事故などが起きやすいとしています。屋根の雪下ろしの機会は少なくても、数日外に出られない場合の備蓄や停電への備え、大雪の日は運転しないと決めておくことは、どの地域でも役立ちます。
雪下ろしは何人でやればよいですか
国土交通省の「雪下ろし安全10箇条」では、作業は2人以上で行うこととされています。1人での作業は、事故が起きたときに発見が遅れ、重大な事故につながる危険が高くなるためです。家族や親戚、近所の人と協力し、作業中は携帯電話を身につけておきましょう。手伝える人がいないときは、自治体の支援制度や専門の業者に相談してください。
1階の屋根や物置の屋根なら、1人でも大丈夫ですか
油断は禁物です。内閣府と国土交通省の「除雪中の事故防止10箇条」には「低い屋根でも油断は禁物!」という項目があります。平成23年(2011年)ごろに作成された、65歳以上の除雪中の事故についてまとめたパンフレットでは、屋根から転落して亡くなった人のうち60%が1階の屋根からだったとされています。低い屋根でも、はしごの固定、命綱とヘルメット、2人以上での作業を守ってください。
立ち往生したら、エンジンを切って寒さに耐えるべきですか
体を冷やしすぎるのも危険なので、防寒着や毛布、カイロで暖をとりつつ、エンジンを使う場合はマフラーの周りの除雪と換気をこまめに行うことが大切です。中央防災会議会長の通知では、車内で待機するときのマフラーの定期的な除雪と適切な換気による一酸化炭素中毒の防止が挙げられています。JAFは、降雪時に車内にとどまるときはできるだけエンジンを切るよう呼びかけています。エンジンをかけたまま眠ってしまうのは避け、動けなくなったら早めに救助を求めてください。
車を置いて避難するとき、鍵はかけたほうがよいですか
立ち往生してやむを得ず車を離れる場合は、ドアをロックせず、キーを車内の目立つ場所に残すことが重要だとされています。中央防災会議会長の通知でも、車両の走行不能時の早めの救助依頼とあわせて重要な点として挙げられています。道路上に残った車を動かせないと、除雪や緊急車両の通行の妨げになりかねないためです。貴重品は身につけて持ち出しましょう。
大雪の情報の名前が変わったと聞きました。何が変わったのですか
2026年5月29日から、気象庁の新たな防災気象情報の運用が始まりました。雪に関しては、短時間の大雪に一層の警戒を呼びかける「顕著な大雪に関する気象情報」が「気象防災速報(短時間大雪)」に、警報・注意報を補足して解説する「気象情報」が「気象解説情報」になりました。大雪警報・大雪注意報の名前は変わっていません。
FF式の暖房機は、雪の日に何に気をつければよいですか
屋外にある給排気口が雪でふさがれないようにすることです。日本ガス石油機器工業会は、FF式石油暖房機の給排気筒トップの周りが雪でふさがれると、運転中に排ガスが室内に漏れて危険だとしています。総務省消防庁は、大雪で自宅にいる場合の注意として、FF式暖房機の給排気口付近の除雪を挙げています。給湯器や風呂釜の排気口も同様です。雪が降る前に位置を確認し、雪のたびに周りを除雪しましょう。異常があったときの止め方は、取扱説明書で確認しておくと安心です。

まとめ|雪が降る前の1日で、冬の不安はかなり減らせる

大雪への備えは、「家の外の除雪」「車」「家の中」の3つに分けると、やることがはっきりします。除雪は2人以上で、装備を正しく使い、無理なら頼る。車は雪の日に運転しないことを基本に、どうしても走るなら冬用タイヤとチェーン、スコップを積み、車内で待つときはマフラーの除雪と換気を忘れない。家では明かり・ラジオ・水・食料をそろえ、給排気口をふさがない。どれも、雪が降ってからでは準備しにくいものばかりです。

まずは今週末、家の周りを一周して、給排気口の位置と、屋根の雪が落ちる場所を確かめてみてください。離れて暮らす親がいる方は、雪下ろしを誰に頼むかを電話で一度話してみるだけでも、この冬の安心は大きく変わるはずです。

出典・参考

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