シニア・介護が必要な家族の防災グッズ選び方比較|おむつ・介護食・口腔ケアなど6タイプ


防災グッズの多くは「自分の足で歩き、自分で食べ、自分で排泄できる大人」を前提に作られています。ところが、高齢の家族や介護が必要な人と暮らしていると、その前提がそのままでは当てはまりません。トイレが使えない期間の排泄をどうするか、避難所で配られる食事が食べられなかったらどうするか、水が乏しいなかで口の中をどう清潔に保つか。この記事では、シニア・介護のある家庭が「標準的な備えに足す」道具を6タイプに整理し、公的機関の資料をもとに選ぶ観点を比較します。特定の商品の効果を保証するものではなく、わが家に必要なものを見つけるための地図として使ってください。
ヒント
この記事の役割|姉妹編との違い
モシモニアには、乳幼児のいる家庭向けの備蓄比較と、犬猫と暮らす家庭向けのグッズ比較があります。本記事はその「シニア・介護版」にあたります。家族の状況に合わせて備えをカスタマイズするという考え方は共通で、扱う道具だけが変わります。
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すでに公開している関連記事とは、次のように役割を分けています。重複する部分は本記事では簡潔にとどめ、それぞれの記事へ送ります。
| 記事 | 扱っていること | 本記事との関係 |
|---|---|---|
| シニアと暮らす家庭の防災 | 備えの全体像、避難の考え方、離れて暮らす親 | 本記事は「買う道具」に絞った実務編 |
| 持病の薬を災害で切らさない備え | お薬手帳の役割、備蓄日数、災害時の特例 | 本記事は薬そのものではなく「管理する道具」 |
| メガネ・補聴器・入れ歯の備え | 補助具そのものの備え方と点検 | 本記事は口腔ケア「用品」の選び方 |
| 携帯トイレ・簡易トイレの選び方比較 | 便袋・凝固剤・回数の備蓄計算 | 本記事は「座って使う」ための本体と補助具 |
| 個別避難計画の作り方 | 自治体の制度と相談の進め方 | 本記事は制度の外側にある家庭の道具 |
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なぜ「高齢の家族がいる家庭」だけ、備えの前提が変わるのか
まず、道具の話に入る前に、なぜこのテーマが特別に扱われるのかを公的な資料で確認しておきます。不安をあおるためではなく、どこに重点を置くかを判断するための材料です。
内閣府(防災担当)の「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」は、平成23年の東日本大震災において、被災地全体の死者数のうち65歳以上の高齢者の死者数は約6割であり、障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍に上ったと記しています。同じ指針は、近年の災害でも高齢者や障害者が犠牲となっているとして、災害における全体の死者のうち65歳以上の高齢者の割合は、令和元年台風第19号では約65%、令和2年7月豪雨では約79%であったことも挙げています。
「被災地全体の死者数のうち65歳以上の高齢者の死者数は約6割」「障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍」「令和元年台風第19号では約65%、令和2年7月豪雨では約79%」は、内閣府(防災担当)「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(平成25年8月/令和3年5月改定・令和7年6月更新)の記載にもとづきます。
さらに、避難したあとの生活も課題になります。令和7年版防災白書は、令和6年能登半島地震について、災害関連死のうち年齢が公表されている136名の内訳では80代以上が全体の約8割を占め、これまでの災害に比べ高齢者の割合が高いと記しています(令和6年11月21日時点)。死因の内訳では、循環器系疾患と呼吸器系疾患で全体の約60%を占めたことも示されています。
令和6年能登半島地震の災害関連死に関する記述は、内閣府「令和7年版 防災白書」特集第1章第1節にもとづきます。数値はいずれも同白書に記載された時点のものです。
つまり、高齢の家族がいる家庭の備えは「逃げる」だけでは終わりません。逃げたあと、あるいは自宅にとどまったあとの数日から数週間を、体調を落とさずに過ごすための道具が要る。この記事で扱う6タイプは、その「避難したあと」に効くものが中心です。
こうした声は珍しくありません。避難所生活を前提にするのか、在宅避難を前提にするのかで、必要な道具も変わります。まずは家族の状態を書き出すところから始めましょう。
選び方の5つの軸
どのタイプを選ぶときも、次の5つの軸で見ると判断しやすくなります。
- 1
本人の体の状態に合っているか
サイズ、かたさ、握りやすさ、座面の高さなど。「高齢者向け」と書かれていても、本人に合わなければ使えません。 - 2
介助する人の負担はどうか
交換のしやすさ、持ち運びの重さ、片手で扱えるか。介助する家族も被災者であることを前提に考えます。 - 3
水・電気がなくても使えるか
洗う・温める・充電するが前提の道具は、災害時に機能しなくなります。水がいらない形、常温で食べられる形を選びます。 - 4
ふだんの生活で使えるか
災害用にだけしまい込むと、いざというとき本人が拒否したり、使い方が分からなかったりします。日常に組み込めるものが強い道具です。 - 5
表示を自分で読み取れるか
介護食の区分表示や紙おむつの吸収回数など、表示の意味が分かると、店頭でも通販でも失敗が減ります。
とくに4つめは重要です。農林水産省の「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」も、高齢者の備蓄について、レトルト食品が苦手な高齢者も多いことから、普段から食べ慣れておくことや、試食しておいしいと思うレトルト食品を見つけて備えておくことも大切だと案内しています。備蓄品を「災害のときだけ食べるもの」にしないという考え方です。
「レトルト食品が苦手な高齢者の方も多いですが、普段から食べ慣れておくことや、さまざまな味付けの商品がありますので、試食してみて、おいしいと思うレトルト食品を見つけて備えておくことも大切です」は、農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」の記載にもとづきます。
6タイプの比較表
シニア・介護のある家庭で「標準的な防災グッズに足す」道具を、6タイプに整理しました。価格帯はいずれも2026年9月時点の一般的な目安で、製品によって大きく幅があります。
| タイプ | 向いている場面 | 選ぶときの見どころ | 価格帯の目安 |
|---|---|---|---|
| 大人用紙おむつ・尿とりパッド | 断水・トイレが使えない期間、避難所のトイレが遠い | アウター(テープ型・パンツ型)とインナー(パッド)の組み合わせ、ウエスト/ヒップのサイズ、吸収回数の表示 | 1パック1,000〜3,000円前後 |
| 介護食・やわらか食・とろみ調整食品 | 避難所の食事が食べられない、かむ力・飲み込む力が落ちている | UDF区分・スマイルケア食・特別用途食品など表示の枠組み、常温で食べられるか | 1食150〜500円前後/とろみ調整食品1袋800〜2,500円前後 |
| 服薬管理グッズ | 生活リズムが崩れ、飲み忘れ・飲み重ねが起きやすい避難生活 | 1週間分の仕切り、持ち出せる大きさ、手帳や処方内容のメモを一緒に入れられるか | 500〜3,000円前後 |
| 口腔ケア用品 | 水が乏しい避難生活、入れ歯の手入れができない | 水がなくても使える形(液体ハミガキ・スポンジブラシ)、義歯ケースと洗浄剤 | 300〜2,000円前後 |
| 移動・転倒対策グッズ | 停電で暗い室内の移動、床が硬い避難所での生活 | 折りたたみ杖の高さ調整、滑り止めの効き方、かかとのある室内履き | 1,500〜6,000円前後 |
| ポータブルトイレ・立ち座り補助 | 夜間の移動が難しい、和式や低い便座が使えない | 座面の高さ、肘掛けの有無、安定性、処理のしやすさ | 5,000〜20,000円前後 |
「どれから買うか」に唯一の正解はありません。ただ、トイレと食事は代わりがきかず、我慢が体調悪化に直結します。判断に迷ったら、1と2から手を付けるのが現実的です。
タイプ別の選び方
1. 大人用紙おむつ・尿とりパッド|断水中のトイレを支える主役
災害時にもっとも早く困るのがトイレです。内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」は、避難所の施設や仮設トイレに和式便器が多いことにより、足腰の弱い高齢者や車いす使用の身体障害者にとってはトイレの使用が極度に困難となると指摘し、あわせて「おむつ等の確保も課題となり」と記しています。同ガイドラインは過去の災害で、トイレの使用を減らすために水分や食事を控えることとなり、避難者の心身の機能の低下や様々な疾患の発生・悪化が見られたことも挙げています。
「足腰の弱い高齢者や車いす使用の身体障害者にとっては、トイレの使用が極度に困難となる」「おむつ等の確保も課題となり」「トイレの使用を減らすために水分や食事を控えることとなり、避難者の心身の機能の低下や様々な疾患の発生・悪化が見られた」は、内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(平成28年4月/令和6年12月改定)の記載にもとづきます。
紙おむつの構成は、日本衛生材料工業連合会の解説がわかりやすい整理をしています。外側にあたるテープ型・パンツ型・フラット型と、内側に重ねる尿とりパッドの組み合わせで考える、というものです。同連合会は、体重・体型に応じたサイズを使うことが漏れを防止するために大切だとし、パンツ型はウエスト、テープ型はヒップのサイズが選ぶ目安になると案内しています。また、外側が汚れていなければ尿とりパッドだけを交換する使い方も紹介されています。
紙おむつの種類(テープ型・パンツ型・フラット型)とサイズの考え方、尿とりパッドを併用して汚れたパッドだけを交換する使い方は、日本衛生材料工業連合会「紙おむつ・軽失禁」の解説にもとづきます。実際の使用方法は各製品の表示に従ってください。
備えるうえでの考え方はシンプルです。ふだん使っている銘柄・サイズを、日常のストックとは別に数日分多めに置いておく。これに尽きます。災害時に慣れない製品へ切り替えると、漏れや肌トラブルの原因になり、本人の負担も大きくなります。ふだんおむつを使っていない家庭でも、パンツ型を1パックだけ備えておくと、断水中や移動中に「トイレまで行けない」場面の保険になります。
メモ
大人用紙おむつ(パンツ型・テープ型)と尿とりパッド
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で1パック1,000〜3,000円前後
外側(アウター)と尿とりパッド(インナー)を分けて考えると選びやすくなります。歩ける方はパンツ型、寝て過ごす時間が長い方はテープ型が目安。サイズはウエストやヒップの表示で合わせ、吸収回数の表示で夜間用と日中用を使い分けます。ふだんと同じ銘柄を多めに置くのが一番確実です。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
2. 介護食・やわらか食・とろみ調整食品|「配られる食事が食べられない」に備える
避難所で配られるのは、おにぎり、パン、弁当が中心になりがちです。かむ力や飲み込む力が落ちている人にとって、これは食べられない食事になりえます。農林水産省の「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」は、災害時には物流機能の停滞により特殊食品が手に入りにくくなることが想定されるとして、平時から少なくとも2週間分を備蓄することが推奨されると記しています。水は飲料水として1人1日1リットル、調理等に使用する水を含めると3リットル程度あれば安心、カセットボンベは1人1週間分でボンベ6本程度という目安も示されています。
「災害時には物流機能の停滞により、特殊食品が手に入りにくくなることが想定されます。平時から少なくとも2週間分を備蓄することが推奨されます」「飲料水として、1人当たり1日1リットルの水が必要です。調理等に使用する水を含めると、3リットル程度あれば安心です」「1人/1週間分:ボンベ6本程度」は、農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」の記載にもとづきます。
表示の枠組みを区別して読む
介護食の売り場には似たマークが並んでいますが、根拠となる制度はそれぞれ違います。ここを区別できると、選ぶ精度が上がります。
- 特別用途食品「えん下困難者用食品」(消費者庁): 国の制度で、表示には消費者庁長官の許可が必要です。硬さ・付着性・凝集性の観点から、許可基準I(そのまま飲み込める性状のもの/均質なゼリー状)、許可基準II(口中で少しつぶして飲み込める性状のもの/均質なゼリー、プリン、ムース状)、許可基準III(少しそしゃくして飲み込める性状のもの/不均質なものを含む、まとまりの良いおかゆ状)の3つの規格基準があります。パッケージには許可基準区分を表す図表や、医師・歯科医師・管理栄養士・薬剤師・言語聴覚士等の相談指導を得て使用することが適当である旨が表示されます。
- 特別用途食品「とろみ調整用食品」(消費者庁): 同じ特別用途食品の1つで、液体にとろみをつけるためのものです。加熱をしなくても混ぜるだけでとろみをつけられ、時間がたってもとろみが保たれるよう成分が調整されています。
- スマイルケア食(農林水産省): 新しい介護食品の愛称で、青・黄・赤の識別マークがあります。青マークは噛むこと・飲み込むことに問題はないものの健康維持上栄養補給を必要とする方向け、黄マークは噛むことに問題がある方向け、赤マークは飲み込むことに問題がある方向けです。黄マークは「そしゃく配慮食品の日本農林規格」に適合しJASマークが付されたものに限り、赤マークは特別用途食品として「えん下困難者用食品」の表示許可を得たものに限り使用できます。
- ユニバーサルデザインフード(日本介護食品協議会): 業界団体の自主規格です。「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4区分がパッケージに表示されます。とろみ調整食品には区分の数字がなく、専用のマークが使われます。
- 学会分類2021(日本摂食嚥下リハビリテーション学会): 医療・介護の現場で使われる共通言語で、食事はコード0から4、とろみは「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階です。同学会は、とろみの段階の番号はとろみ調整食品の使用量の少ない順であり、難易度ではないと明記しています。
えん下困難者用食品の許可基準I・II・IIIの性状ととろみ調整用食品の特徴は消費者庁のリーフレット、スマイルケア食の青・黄・赤マークの位置づけは農林水産省「スマイルケア食(新しい介護食品)」、ユニバーサルデザインフードの4区分は日本介護食品協議会、とろみ3段階の考え方は日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類2021」にもとづきます。
注意
誤嚥性肺炎への備えという視点
農林水産省の同ガイドは、とろみ調整食品について、災害時に避難所で肺炎が流行するのは誤嚥性肺炎によるものが多いことが分かってきたとして、誤嚥性肺炎の予防のためにもとろみ調整食品を備えておきましょうと呼びかけています。食べる備えと、次に述べる口腔ケアの備えは、同じ課題の裏表だと考えると分かりやすくなります。
「災害時に避難所で肺炎が流行するのは、誤嚥性肺炎によるものが多いことが分かってきました。誤嚥性肺炎の予防のためにも、とろみ調整食品を備えておきましょう」は、農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」の記載にもとづきます。
同ガイドは、食べやすくする工夫として、横になったままではなく座るか少し身体を起こして食事をすること、食事前に少量の水で口を湿らせること、食べ物と水分を交互にとること、ゼリー飲料やポタージュスープなどとろみのある食品をとることも挙げています。レトルトのおかゆは水分がむせる原因になることがあるため、介護食などのごはんを混ぜて加熱し、ちょうどよい軟らかさに調整する方法と、普段から利用して調整の仕方に慣れておくことも紹介されています。
介護食(レトルト・やわらか食)とユニバーサルデザインフード区分表示品
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で1食150〜500円前後
常温で食べられるレトルトタイプが備蓄向きです。パッケージの区分表示(容易にかめる/歯ぐきでつぶせる/舌でつぶせる/かまなくてよい)を目安に、本人に合うものを平時に試食してから買いそろえます。味の好みは本人にしか分からないので、まず少量ずつ複数の味を試すのがおすすめです。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
とろみ調整食品(粉末・非加熱でとろみがつくタイプ)
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で1袋800〜2,500円前後
加熱せずに混ぜるだけでとろみをつけられるので、電気やガスが止まっていても使えるのが備蓄としての強みです。適切なとろみの強さは人によって異なるため、必ず事前に専門職へ相談を。一度に大量に加えるとだまができるので、少しずつ加えて調整します。開封後の保存方法は製品表示に従ってください。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
3. 服薬管理グッズ|「持っている」と「飲めている」は別
薬そのものの備え方(日数の目安、お薬手帳、災害時の特例)は別記事で詳しく整理しました。本記事で扱うのは、避難生活のなかで飲み忘れ・飲み重ねを防ぐための道具です。
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持病の薬を災害で切らさない備え|お薬手帳・備蓄日数・災害時の特例をやさしく整理
厚生労働省の「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」は、慢性疾患の方への留意点として、慢性疾患の中には継続的な服薬と日々の食事の栄養管理が必要な病気があるとし、処方薬を内服しているか、栄養管理が継続できているか確認するよう促しています。あわせて、家族と離ればなれになった場合に備えて、処方薬と栄養管理の内容が書かれたメモを持たせる等の工夫もよいと案内しています。
「慢性疾患の中には、継続的な服薬と日々の食事の栄養管理が必要な病気があります」「家族と離ればなれになった場合に備えて、処方薬と栄養管理の内容が書かれたメモを持たせる等の工夫もよいでしょう」は、厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」の記載にもとづきます。
道具としては、壁に掛ける「お薬カレンダー」と、持ち出せる「1週間分のピルケース」の2段構えが扱いやすい形です。自宅では見えるところに掛けておき、避難するときはピルケースごと持ち出す。お薬手帳とその写し、健康保険証やマイナンバーカード、処方内容のメモを1つのケースにまとめておくと、避難先で医療者に説明する場面でも役立ちます。
注意
お薬カレンダー・1週間分ピルケース・お薬手帳ケース
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で500〜3,000円前後
自宅用の壁掛けカレンダーと、持ち出す用のコンパクトなピルケースを分けると運用しやすくなります。ケースは「朝・昼・夕・寝る前」の仕切りがあり、手の力が弱くても開けられるものを。お薬手帳と処方内容のメモ、保険証の写しを一緒に入れられるポーチ型も便利です。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
4. 口腔ケア用品|水が少ない環境で「食べる力」を守る
厚生労働省の同ガイドラインは、口腔衛生管理の項で、避難生活では水が十分に確保できないことにより歯・口・入れ歯の清掃がおろそかになり、食生活の偏り、水分補給の不足、ストレスなども重なって、むし歯、歯周病、口臭などが生じやすくなるとしています。そのうえで、特に高齢者では体力低下も重なり、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引きおこしやすくなると記しています。対応としては、できるだけ歯みがきを行い、歯みがきができない場合でも少量の水でできるうがい(ぷくぷくうがい)を行うよう働きかけること、入れ歯の紛失・破損や歯の痛みで食べることに困っている方には医療機関を紹介することが挙げられています。
「特に高齢者では、体力低下も重なり、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引きおこしやすくなります」「歯みがきができない場合でも、少量の水でできるうがい(ぷくぷくうがい)を行うよう働きかけましょう」は、厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」の記載にもとづきます。
内閣府の「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」でも、避難者の健康管理のチェックリストに「正しい口腔ケアの周知・指導を実施する」という項目が置かれています。運営側が意識する項目である一方、家庭で道具を持っていれば、支援を待たずに始められます。
新潟県は災害時の口腔ケアについて、備えておくとよいものとして歯ブラシと液体ハミガキ(水がなくても使用しやすいため)を挙げ、入れ歯を使っている方には入れ歯ケースと入れ歯洗浄剤も勧めています。水が少ないときの歯みがきの方法として、約30mlの水を用意し、水で歯ブラシをぬらして歯みがきをし、歯ブラシの汚れをティッシュでふきとり、コップの水を少しずつ口に含んで2〜3回に分けてすすぐ手順も紹介しています。液体ハミガキや洗口液があれば水の代わりに使え、水でのすすぎは不要とされています。
災害時に備えておく口腔ケア用品と、約30mlの水で行う歯みがきの手順は、新潟県「災害時の口腔ケアについて」の案内にもとづきます。日本歯科医師会も災害時の歯みがき方法や入れ歯の手入れ、災害時の口腔ケアに関する資料を公開しています。
介護が必要な方の場合は、歯ブラシに加えてスポンジブラシや口腔ケア用ウェットティッシュがあると、自分で十分にみがけないときの補助になります。使い方には向き不向きがあるため、ふだんの介護で使っている方法を災害時にも続けられるように、同じものを備蓄側にも用意しておくのが確実です。
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液体ハミガキ・スポンジブラシ・義歯ケース/洗浄剤
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で300〜2,000円前後
水が乏しい前提で選ぶのがポイントです。液体ハミガキ(洗口液)は水でのすすぎがいらないタイプが扱いやすく、スポンジブラシは介助でのケアに向きます。入れ歯を使っているなら、ケースと洗浄剤を持ち出し袋に。ふだん使っている製品と同じものをそろえると、使い方に迷いません。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
5. 移動・転倒対策グッズ|停電した室内と、慣れない避難所の床
災害時は、割れたガラスや倒れた家具、停電による暗さで、家の中が一気に危険になります。厚生労働省のガイドラインは、高齢者に対する留意点として転倒に注意することを挙げ、住居スペースに転倒の可能性があるようなものが落ちていないか、階段や廊下の照明は十分か確認し、段差や滑りやすい場所を作らない工夫も大切だとしています。また、生活不活発病の予防として、高齢者がひとりで動けるような環境を用意することや、杖等の福祉用具を準備することも予防につながると記しています。
「住居スペースに転倒の可能性があるようなものが落ちていないか、階段や廊下の照明は十分か確認しましょう」「高齢者がひとりで動けるような環境を用意することや、杖等の福祉用具を準備することも、生活不活発病予防につながるでしょう」は、厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」の記載にもとづきます。
平時の転倒対策も、そのまま災害時に効きます。消費者庁は「転倒予防の日」(10月10日)にあわせた注意喚起で、65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報が5年間で275件寄せられており、8割以上の方が通院や入院が必要なけがを負っていたと公表しています。予防策としては、個人に合った適度な運動を続けること、浴室や脱衣所に滑り止めマットを敷くこと、寝起きや夜間のトイレなどで体勢を変えるときは慎重にすること、段差のあるところや階段・玄関に手すりや滑り止めを設置すること、電源コードが通り道にこないように電気製品を置くことが挙げられています。
「65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報が5年間で275件」「8割以上の方が通院や入院が必要なけがを負っていました」と5つの予防策は、消費者庁「10月10日は『転倒予防の日』、高齢者の転倒事故に注意しましょう!」(令和2年10月8日)の記載にもとづきます。
注意
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なお、家具の固定や逃げ道の確保といった住まい側の対策は、道具を足す前にやっておきたい土台の部分です。こちらは専用の記事にまとめています。
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折りたたみ杖・滑り止めマット・かかとのある室内履き
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で1,500〜6,000円前後
折りたたみ杖は、持ち出し袋に入る予備として1本あると安心です(ふだん使う杖は持ち出す前提で、あくまで予備)。高さ調整ができ、自立するタイプが扱いやすいでしょう。滑り止めマットは浴室・脱衣所や避難先の床に。室内履きは、かかとがあり脱げにくく、底が滑りにくいものを選びます。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
6. ポータブルトイレ・立ち座り補助|「座って使える」を確保する
携帯トイレ(便袋と凝固剤)の備蓄量や種類の選び方は、専用の比較記事で整理しています。本記事では、そこで扱っていない「座って使うための本体・補助具」に絞ります。
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厚生労働省のガイドラインは、高齢者に対する留意点として、洋式トイレ(ポータブルトイレ)の設置・確保を挙げ、和式トイレが使用しづらいことによる水分摂取制限や、トイレへ行かないことによる日常生活動作能力の低下が起こらないためにも、早急に洋式トイレの設置・確保に努めるよう記しています。内閣府のトイレガイドラインも、高齢者・障害者への配慮として、洋式便器を確保する、使い勝手の良い場所に設置する、トイレまでの動線を確保する、トイレの段差を解消する、介助者も入れるトイレを確保する、といった項目を挙げています。
「和式トイレが使用しづらいことによる水分摂取制限やトイレへ行かないことによる日常生活動作能力の低下がおこらないためにも早急に洋式トイレの設置・確保に努めましょう」は厚生労働省のガイドライン、高齢者・障害者への配慮項目(洋式便器の確保、使い勝手の良い場所への設置、動線の確保、段差の解消、介助者も入れるトイレの確保)は内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」の記載にもとづきます。
家庭で用意するなら、見るべきは次の3点です。第一に座面の高さ。低すぎると立ち上がれず、高すぎると足が床につかず不安定になります。ふだん使っている椅子や便座の高さを実測して合わせるのが確実です。第二に肘掛け。手をついて立ち上がる動作を支えるので、ぐらつかないものを選びます。第三に処理のしやすさ。バケツを外して洗える構造か、携帯トイレの便袋がそのまま使えるかを確認します。断水時は洗えないので、便袋と凝固剤を併用する前提で考えておくと現実的です。
メモ
ポータブルトイレ(据置型・肘掛け付き)/立ち座り補助の手すり
広告価格の目安: 2026年9月時点の目安で5,000〜20,000円前後
座面の高さが調整でき、肘掛けで立ち座りを支えられるタイプが扱いやすいでしょう。ふだん使っている便座の高さを測って合わせるのがコツです。断水中は洗えないため、便袋と凝固剤を併用できる形かどうかも確認を。夜間の移動が不安な家庭では、平時から寝室に置いておく選択もあります。
※価格・在庫は変動します。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
買ったあとが本番|ふだん使いと、相談先を先に決めておく
道具は、そろえた時点では半分しか完成していません。残りの半分は「使えるようにしておくこと」です。
- 1
平時に一度、本人が使ってみる
介護食は試食、ポータブルトイレは実際に座る、杖は高さを合わせる。本人が「これは嫌だ」と感じるものは、災害時にはもっと使えません。 - 2
ローリングストックで回す
おむつも介護食も口腔ケア用品も、日常で使いながら買い足す形にすると、期限切れとサイズ違いを防げます。 - 3
家族で置き場所を共有する
介助する人が変わっても分かるよう、何がどこにあるかを紙に書いて貼っておきます。 - 4
相談先を1枚にまとめる
ケアマネジャー、主治医、薬局、訪問看護、歯科。連絡先と、災害時にどう連絡するかを1枚にまとめて持ち出し袋へ入れます。 - 5
自治体の制度を確認する
個別避難計画や福祉避難所の考え方は自治体ごとに運用が異なります。年に1回は最新情報を確認しましょう。
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ローリングストックの始め方|「食べながら備える」を今日から回す3ステップ
制度の側からの備えについては、個別避難計画の記事で、家族の側からどう相談を切り出すかまで整理しています。道具と計画は両輪なので、あわせて確認してみてください。
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よくある質問
介護食の『区分』はどれを選べばよいですか
とろみ調整食品はどれくらいの量を入れればよいですか
ふだんおむつを使っていませんが、備えたほうがよいですか
避難所と在宅避難、どちらを前提に備えればよいですか
備蓄はどれくらいの期間分を用意すればよいですか
ポータブルトイレは介護保険で買えますか
離れて暮らす親のために、何から送ればよいですか
今日からの一歩
高価な防災セットを買い足すより、「いま使っているものを、少し多めに、取り出しやすい場所に置く」ほうが、シニア・介護のある家庭では効果が大きくなります。まずは家族の状態を書き出し、足りないものを1つずつ埋めていきましょう。
シニア・介護のある家庭の防災グッズ点検リスト
- ふだん使っている紙おむつ・尿とりパッドを、日常のストックとは別に数日分〜2週間分置く
- 常温で食べられる介護食を、本人が試食して『食べられる』と確認したうえで備える
- とろみ調整食品を1袋備え、平時に使い方を練習しておく
- お薬カレンダーとは別に、持ち出せる1週間分のピルケースを用意する
- お薬手帳の写し・処方内容のメモ・保険証の写しを1つのケースにまとめる
- 液体ハミガキ、スポンジブラシ、義歯ケースと洗浄剤を持ち出し袋に入れる
- 折りたたみ杖の予備と、かかとのある滑りにくい室内履きを寝室に置く
- 浴室・脱衣所に滑り止めマットを敷き、通り道の電源コードと段差を見直す
- ポータブルトイレを置くなら、座面の高さを実測して合わせ、便袋と凝固剤も併せて備える
- ケアマネジャー・主治医・薬局・歯科の連絡先を1枚にまとめ、持ち出し袋へ
- 自治体の個別避難計画・福祉避難所の運用を年1回確認する
安全や健康に関わる判断は、この記事だけで完結させないでください。薬の扱いはかかりつけの医師・薬剤師へ、かむ力や飲み込む力に関することは主治医・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士へ、福祉用具や避難の支援はケアマネジャーと市区町村の窓口へ。最終的な判断は、お住まいの自治体や公的機関、専門家の最新の情報を優先してください。
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避難所での過ごし方|安全・衛生・体調を守る生活の基本
出典・参考
- 避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針(令和7年6月更新)/内閣府(防災担当)
- 避難行動要支援者の避難行動支援に関すること/内閣府(防災担当)
- 令和7年版 防災白書 特集 第1章 第1節 令和6年能登半島地震の概要と被害状況/内閣府
- 避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定)/内閣府(防災担当)
- 避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(令和6年12月改定)/内閣府(防災担当)
- 避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン/厚生労働省
- 「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」について/厚生労働省
- 要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド/農林水産省
- 災害時に備えた食品ストックガイド(パンフレット一覧)/農林水産省
- えん下困難者用食品ってなに?(特別用途食品リーフレット)/消費者庁
- とろみ調整用食品ってなに?(特別用途食品リーフレット)/消費者庁
- 特別用途食品について/消費者庁
- スマイルケア食(新しい介護食品)/農林水産省
- ユニバーサルデザインフードとは/日本介護食品協議会
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021/日本摂食嚥下リハビリテーション学会
- 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!/消費者庁
- みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故/消費者庁
- たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?/政府広報オンライン(内閣府政府広報室)
- 災害時の口腔ケアについて/新潟県
- 日本歯科医師会の災害歯科医療対策/日本歯科医師会
- 紙おむつ・軽失禁(大人用紙おむつの使い方)/日本衛生材料工業連合会
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